岩手県立総合教育センター研究集録(2001)


総合的な学習の時間における情報活用の実践力を高める指導の在り方に関する研究

−情報通信ネットワーク等の活用をとおして−

釜石市立尾崎小学校 教諭 佐 藤  敬


T 研究目的

 情報教育においては、横断的・総合的な課題、児童の興味・関心に基づく課題などの解決における学習活動で情報通信ネットワーク等を活用し「情報活用の実践力」を育てることが大切である。
 しかし、実践校の児童の実態は、課題にそって情報を収集し、それらをまとめて発表するという活動はできるものの、情報を「創造する」「発信する」「伝達する」という力が十分に身についているとはいえない。また、まとめ段階における自己評価が不十分であり、その後の課題追究への深まりがあまりみられない。
 このような状況を改善するためには、総合的な学習の時間で情報活用の実践力を明確にし、学習活動に位置づけて展開することが必要であると考える。そして、情報通信ネットワーク等を活用し広く情報を発信し、情報活用という視点で自己評価を行い、課題追究するという学習活動が必要である。
 そこで、本研究は総合的な学習で情報通信ネットワーク等を活用し、情報活用の実践力を位置づけた学習活動を展開する中で情報の発信と自己評価をし、課題追究するという活動をとおして情報活用の実践力を高める指導の在り方を明らかにし、情報教育に役立てようとするものである。

U 研究仮説

 総合的な学習の時間において情報活用の実践力を明確にし学習活動に位置づけて展開するなかで、情報通信ネットワーク等を活用し広く情報を発信し、情報活用という視点で自己評価を行い、課題追究させれば情報活用の実践力が高まるであろう。

V 研究の内容と方法

1 内容
 (1) 総合的な学習の時間において情報活用の実践力を高める指導の在り方に関する基本構想の立案
 (2) 基本構想に基づく指導試案の作成
 (3) 授業実践及び実践結果の分析と考察
 (4) 情報活用の実践力を高める指導の在り方に関する研究のまとめ

2 方法
 (1) 文献法   (2) 質問紙法   (3) 授業実践

3 授業実践の対象
 釜石市立尾崎小学校  第5・6学年 1学級(男子9名 女子5名 計14名)

W 研究結果の分析と考察

1 総合的な学習の時間における情報活用の実践力を高める指導の在り方に関する基本構想

(1) 情報活用の実践力を高めることについての基本的な考え方

ア 情報活用の実践力を高める総合的な学習の時間の意義
 近年の加速度的な情報通信ネットワークの普及により、今まで紙やビデオ・写真といったメディアで伝えられてきた情報が次々とデジタル化され私たちの生活の中に入ってきている。これからますます進むであろう高度情報化社会を生きる子どもたちにとって、大量の情報の中から自分にとって有益な情報だけを選んで活用することはとても大切なことであると考える。子どもの発達段階によって収集できる情報やその活用手段はさまざまである。しかし、どの発達段階においても情報を主体的に収集し判断すること、それらを子どもなりに処理し表現、創造すること、さらに自らが発信し相手に伝達することが必要であることにかわりはない。
 情報教育を学校教育の中に位置づけて指導する場合、各教科で情報機器の特性を生かした指導過程を考える際に、コンピュータや情報通信ネットワークをうまく組み合わせて「情報活用の実践力」を養うように計画されることが望ましいとされている。
 また、総合的な学習の時間は、各学校が地域や学校の実態に応じて創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する時間とされている。その具体的な学習活動として、国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題、児童生徒の興味・関心に基づく課題、地域や学校の特色に応じた課題などが例示されている。実践校の総合的な学習の時間では1年間を通して主に地域理解を深めるという視点から指導計画が立てられている。
 しかし、児童の学習活動に目を向けた場合、資料の収集活動や自分の考えを交えてのまとめが十分とは言えず、自己評価や児童相互の評価も甘くなりがちな傾向が見られる。そのため地域理解を深めるという総合のねらいの達成について深まりがみられない状況にある。
 そこで本研究では情報活用の実践力を構成する要素を明らかにし、課題解決型の総合的な学習の時間における学習過程に教師がその要素を明確に位置づけることと、自己評価を情報活用の実践力という観点で行わせることで情報活用の実践力を高めようとするものである。情報活用の実践力が高まることで課題追究への意識が高まり、より受け手を意識した分かりやすいまとめを行い、進んで情報発信するようになると考える。このような手だてにより、総合的な学習の時間のねらいである「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること」「学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること」に沿った学習が展開するものと考える。

イ  情報活用の実践力を高めることについての基本的な考え方
 実践校では課題解決学習において情報活用の実践力が明確に定義されないまま学習を進めてしまうことが多い。まずはじめに情報活用の実践力の構成要素を明らかにし課題解決型の学習過程にその構成要素を位置づけ、教師が常にそれらを意識しながら指導することが必要であると考える。そこで本研究では、総合的な学習の時間における情報活用の実践力を構成する要素《収集・判断・表現・処理・創造・発信・伝達》を【表−1】のような力ととらえる。また、それらの力は相互に絡み合っていると考え課題解決型の総合的な学習時間に情報活用の実践力を構成する要素を位置づけたものが【表−2】である。
 また、子どもに情報活用の実践力という観点で自己評価を行わせることで情報活用の実践力が高まり、さらに指導と自己評価が相互に有効にはたらきあうことで情報活用の実践力がさらに高まると考える。

ウ 情報通信ネットワーク等を活用する意義
 過去、岩手県内の小学校では、子どもが課題解決の深化のために情報通信ネットワーク等を利用する実践は少数の小学校でしか行われていなかった。それは、課題解決に向けて子どもが個人で利用するのに必要な台数のコンピュータや十分な容量を持った情報通信ネットワークが整備されていなかったことが原因と考えられる。その結果、子どもが十分にコンピュータを操作できず、教師も情報通信ネットワークの利便性や有効性が享受できなかったのである。
 しかし、最近は文部科学省の示した配備計画によるコンピュータの配備が各学校に行われ、インターネットへの接続も可能な学校が急速に増えた。今後各教科の中で計画的に使用され、有効活用されると思われる。課題解決学習において情報通信ネットワーク等を活用することにより、次のような新たな学習活動が展開される可能性があると考える。
 第一に、従来の課題解決学習の過程では、課題解決に必要な情報の収集段階で「人から聞いたり、図書館で調べたり、実際に現場で調べたり」という活動を行うのが一般的である。従来の活動ももちろん大切にしていく必要があるが、ここに情報通信ネットワークという手段を導入することで時間と距離の壁が取り除かれ、ネットワーク上に大量に蓄積された情報を活用できるようになる。
 第二に、従来は模造紙で行っていたまとめの過程をネットワーク上での発信を意識し、情報をデジタル化することで、一度まとめたものをより分かりやすいものに修正したり、課題の追究により新たにわかったことを容易に追加できたりするようになる。模造紙上のまとめには、発表者として発達段階に応じた柔軟な作業方法が選択でき、また閲覧する児童にとっては資料の一覧性などの点での分かりやすさなどアナログ的なよさがある。そして何より、資料をまとめる活動自体を学習する場として考えた場合には、大切にしなければならない活動だと考える。そのよさに、デジタル作業の「容易に追加・修正できる」という特性が加わることで課題の深化追究への意欲もより高まり、大量の情報を整理し再構築していくことで新たな情報の創造も期待される。結果としてより質の高い課題解決学習が行われると考える。
 第三に、多方面からの評価が期待できるということである。情報の発信という点では学校内、学級内の発表会程度というきわめて限定された範囲でしか行われていないのが現状である。そこで情報の発信・伝達の過程で情報通信ネットワークを使い自分の研究をホームページで発表するという活動を行い、さまざまな地域・年齢・職業の方々へ情報を発信することで多様な評価をしてもらえるようになる。今まで気がつかなかったような新たな課題を発見できる可能性や、より深い自己評価が期待できるのではないかと考える。
 これらのことから、課題解決、課題の深化発展に情報通信ネットワーク等を活用することで、課題解決学習が、より広がり、深まるのではないかと考える。

(2) 総合的な学習の時間における情報活用の実践力を高める指導についての基本構想図
 これまで述べてきたことをまとめたものが基本構想図【図−1】である。

2 総合的な学習の時間における情報活用の実践力を高める指導を取り入れた指導試案

(1) 指導試案
 基本構想図に基づき次ページ【表−3】のような指導試案を作成した。

(2) 検証計画
 総合的な学習の時間における情報活用の実践力を高める指導の在り方について【表−4】に示す検証計画に基づいて検証を進める。

3 総合的な学習の時間「尾崎テーマ学習」の授業実践
 (1) 授業実践期間  平成13年9月10日〜10月3日
 (2) 単元「尾崎テーマ学習」の指導計画(16時間扱い)【表−5】

4 実践結果の分析と考察

(1) 情報活用の実践力の育成状況
 指導試案に基づく授業実践による情報活用の実践力の高まりをみるために、情報活用の実践力の構成要素である《収集・判断・表現・処理・創造・発信・伝達》の形成状況について児童に対する意識アンケートを行った。
 【表−6】評価表は情報活用の構成要素の具体的な能力についての評価規準である。この評価表は《収集・判断・表現・処理・創造・発信・伝達》の各能力に2ページの【表−2】をもとにして課題解決型の学習過程をあてはめ4段階で表したものである。一方《表現・処理・発信》の能力については従来の課題解決型の学習にコンピュータと情報通信ネットワーク等の活用を加えたものである。
  この評価表をもとにして教師が客観的な評価を事前及び事後に実施し、その結果から情報活用の実践力の高まりについて分析と考察を行った。

 次ページの【表−7】は夏休みの作品(模造紙上の表現)から最終まとめ(コンピュータ上の表現)の段階の比較から実践力の各能力の高まりの変容状況を表したものである。その結果、情報活用の実践力の能力7項目中すべての項目について有意差が見られた。また、中間まとめ(コンピュータ上の表現)から最終まとめ(コンピュータ上の表現)の段階における情報活用の実践力の状況にサイン検定を行った結果が【表−8】である。こちらもすべての項目において有意差が見られた。これらのことから単に模造紙からコンピュータを用いたまとめに移行したことによる変容ではなく、全体を通して情報活用の実践力を高めることをねらった指導の結果、児童が変容したものと考えられる。次にこの【表−7】について考察する。

 課題解決学習における課題設定・課題追究段階での《収集・判断の能力》に関わる活動では、適切な手段で情報を収集し、目的にあった質問をするという児童の姿が見られた。また集めた資料をすべてまとめに利用するのではなく課題にそった解決に必要な部分だけを選んだり、文章と合うような画像を選択したりしていた。
 《判断の能力》で変容の見られなかった児童は課題設定の段階で何についてどの部分を調べたいのかという絞り込みができなかったと考えられる。特に地域から離れた課題を設定した児童は情報収集でインターネット等で大量の情報を集めていたが、大量の情報が得られるものの、どの部分が自分に必要な資料なのかが分からなくなってしまう児童もいた。児童に課題を絞り込んで設定させる必要性がある。
 《収集の能力》で変容のなかった3人のうち2人の児童は夏休みの自由研究の段階ですでに評価が高く、今回の授業のねらいではそれ以上の高まりを期待できる段階(A段階の得た情報を確認するために実験するなどの追試を行うレベル)ではなかった児童である。
 課題解決学習におけるまとめ・発表段階での《表現・処理・創造の能力》の項目は模造紙からコンピュータ上へと表現方法自体が大きく変化したことが変容につながったものと考えられる。レイアウトの変更や写真の貼り付けなど紙の上ではむずかしいことがコンピュータ上では容易にできるというコンピュータの特性が理解されたと思われる。また、フォトレタッチソフトでの画像加工、スキャナを使用して画像の取り込みをするなど必要な資料を自ら得ようという姿勢が見られ、画像をトリミングしたり、大きさの調整をしたりして自分に必要な情報へと加工していた。しかし、すべてをコンピュータ上で作ってしまうことにこだわるのではなく例えば児童の描いたイラストはそのままスキャナーで読みとって利用することも必要であると考えられる。
 《創造の能力》については、従来の「分かってよかった」という表現ではなく、「(カキやホタテを)作っている人の苦労が分かりました。」「使いこなしてあとをつぎたい。」など情報発信を意識し自分の考えや意見を交えたまとめ方を心がけていて検定でも有意差が認められたものの、事後の評価がBの児童が半数以上であり、自分の考えや意見を盛り込んだ記述をさせる指導が今後さらに必要である。
 課題解決学習における発信段階での《発信・伝達の能力》に有意差が認められたことから、自己評価に加え情報通信ネットワーク等を利用し他からの評価を参考にする学習が有効であると考えられる。また、児童は読み手の分かりやすさを意識し、必要な情報や表現方法を吟味しまとめており、正しく分かりやすく伝える意識が高まったと考えられる。他からの質問や意見に応じる形で課題を再設定して追究した結果を発信する児童も多くいた。今後は今回実践した情報発信型だけではなく、他の研究へ質問や感想を出すといった情報参加型の方向も検討する必要があると考えられる。

(2) 課題解決学習に関する意識の変容
 次ページの【表−9】は情報活用の実践力の構成能力について、児童の意識の変容をアンケート形式で調べχ2検定(危険率5%)を行ったものを表にしたものである。
 その結果情報活用能力の要素7項目中3項目、課題解決能力の3項目中2項目に有意差が認められた。また、情報活用能力の要素2項目については検定不能となった。
 「課題深化の意識」については有意差が認められた。マイナス反応は12人(事前)から3人(事後)へと大幅に減少した。これは情報通信ネットワークを通して他の児童から評価されたことが一番大きな原因ではないかと思われる。もちろん情報活用の実践力の観点で自己評価を行い、教師も同じ観点から評価を行ったことも要因ではあるが、ネットワークの向こうから同学年の児童に質問をされたり誉められたり改善点を指摘されたりすることで、情報発信者としての意識が高まり結果として課題深化への意識が高まったものと考えられる。しかし、他校からの評価については事前の打ち合わせが不可欠であり、それ以前の問題として協力してくれる学校を探すことが意外と難しく感じられた。児童の意欲的な活動には非常に有効だとは思われるが、学校同士が年間計画レベルで日程を調整し確実に評価が行えるような体制が必要だと考えられる。
 有意差の認められなかった項目はすでに児童の意識の中で高まっている部分であると考えられる。しかし、感想などを見ると今回の実践で今まで以上に児童の課題解決への意識が高まったと考えられる。
 次に、有意差が見られた項目は、表現手段の変化の部分であり、今回の授業実践ではコンピュータを使った意味がとても大きいと考えられる。逆に有意差がなかった部分はコンピュータを使わなくても同じような活動ができる部分であり、実践校の児童たちは低学年から自由研究でその部分の力が育っていたと考えられる。しかし、さらにコンピュータを活用して課題解決学習を進めたことにより情報活用の実践力が高まったものと考えられる。

(3) 自己評価の変容
 自己評価はインターネットでの発信が終わり研究に対する意見が寄せられたときと、最終的に学習が終わったときに記述式で行った。【表−12】は、項目ごとの特徴的な児童の自己評価を表にまとめたものである。
 1回目のまとめの自己評価と最終的な自己評価は一見あまり変化がないように感じるが、最終的な自己評価では「表現・処理・創造・伝達」の項目に1回目の自己評価を受けて課題を追究した内容の記述が見られる。しかし、作品の変化ほど自己評価が大きく変化しているわけではないことと必ずしも項目と記述内容が一致していない面も見られることから、情報活用の実践力の能力をさらに細かく分析して児童にわかりやすい言葉で問う必要性を感じる。

(4) 課題解決学習の発展や深まり
 情報活用の実践力の観点では「(1) 情報活用の実践力の状況」でサイン検定を行った結果有意差が認められ、「(2) 課題解決学習に関する意識の変容」でχ2検定を行い課題解決学習に必要な能力の2項目で有意差が認められたが、ここでは具体的な例を挙げて観察比較する。【図−2】の児童は夏休みの研究と今回のテーマ学習にほぼ同じものを選んでいるのだが、夏休みの研究のまとめは文字ばかりでわかりづらい内容であった。実践後はイラスト、グラフが入り、自分の考えも入るなど、研究物としての深まりが見られるものになった。これは、課題を地震の発生の原理と死者数に絞って設定して追究をし、得られた資料から必要な資料を適切に選び相手によく伝わるように表現を工夫した結果と考えられる。
 【表−11】は、最終の自己評価と同時に行ったコンピュータに関する質問とテーマ学習のまとめ方に関する質問の答えから抜粋したものである。作業するときの加除修正の容易さというコンピュータの特性をよく理解していると感じた。また、課題解決型の学習の基本に加えて「相手に自分が伝えたいことが伝わるようにテーマにあった文や写真を入れること」といったような情報の発信者としての心構えまで身についた児童もいることに頼もしさを感じた。
 自己評価の最後に自分の研究に点数を付けるとすれば何点ですか?という項目を作って自己採点をさせてみた。その結果ほとんどの児童が80点以上と評価し、100点と書いた児童も6人いた。今回の自分の研究結果についての満足度は非常に高いものであった。

6 情報活用の実践力を高める総合的な学習の時間の指導の在り方のまとめ
 以上のように、基本構想および指導試案に基づく授業実践を行い実践結果の分析と考察を通してその妥当性を考察してきた。ここでは「成果として考えられること」「課題として考えられること」についてまとめることにする。

(1) 成果として考えられること

 課題解決型学習の総合的な学習の時間に「情報活用の実践力を構成する能力」を位置づけ、教師の評価や児童の自己評価をそれらの観点で行うことで、課題解決型学習への深まりがみられたこと。
 インターネットで発信し、他校の児童からの質問や評価を受けることにより、児童が課題を深める意欲づけになったこと。
 従来の模造紙でのまとめ方に加え、コンピュータを利用してまとめることで新たな収集・処理・表現・発信方法に触れることができ、その利便性について児童が認識できたこと。

(2) 課題として考えられること

 課題をしっかり持たせないとその後の収集や、課題追究で児童が方向性を見失ってしまうことが多く、課題設定の段階で教師側が十分に助言を与えて課題を絞り込ませる必要があること。
 受け手を意識した情報の創造・表現・発信には作文力や読解力が必要とされる。したがって基礎的な読み書きの力をふだんの授業の中で育てておく必要があること。

X 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ
 この研究は、課題解決型の学習としての総合的な学習の時間で一連の学習過程に教師が情報活用の実践力を明確に位置づけること、自己評価を情報活用の実践力という観点で行わせること、情報発信し他からの評価を受け課題を追究することで情報活用の実践力を高めようとするものである。その実践結果を、情報活用の実践力の状況、課題解決学習に関する意識の変容、自己評価の変容、課題解決学習の発展や深まりの四点から分析と考察を加えることにより、仮説の有効性の検討にあたってきた。その結果、次の点について明らかにすることができた。

(1)  課題解決型の学習としての総合的な学習の時間で一連の学習過程に教師が情報活用の実践力を明確に位置づけ自己評価を情報活用の実践力という観点で行わせることは情報活用の実践力を高める上で有効であること。
(2)  課題解決型の学習としての総合的な学習の時間で情報発信し他から評価を受けることは、情報の発信者としての意識と課題を追究する意欲を高める上で有効であること。

2 今後の課題

(1)  総合的な学習の時間だけではなく他の教科の課題解決型学習でも本指導試案を活用できるか検討し改善していくこと。
(2)  情報活用の実践力を構成する能力のうち表現・処理・創造の三項目と発信・伝達の二項目についてさらに要素を明らかにし、その違いを明確にすること。

<参考文献>
文部科学省 「小学校学習指導要領解説 総則編」 1999年
文部科学省 「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議最終報告」 1998年
岩手県教育委員会 「平成13年度 学校教育指導指針(幼稚園・小学校・中学校)」 2001年


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