印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数:104  第1学年 生活科活動計画案 指導者 箱崎 鎮子教諭(石鳥谷町立新堀小学校) 作成者 加藤 清(総合教育センター研究員) (1)授業実践の計画 ア 授業実践にあたっての基本的な考え方     生活科の教科の目標は「自立への基礎を養う」であり,個々の具体的な単元や活動に固有な「ねらい」の    実現を図りながら,同時に,個々の単元を貫き,それらを統合する究極の「ねがい」の実現をめざして指導    にあたることが大切であるとされる。生活科の教科としての目標は,単元の中で実現をめざす「ねらい」と    各単元を貫き長い目で一人一人の成長をめざす「ねがい」の両面から検討し,明確にしたうえで指導を行う    ことが大切になってくると考える。また,生活科の授業では,児童の生き生きとした活動を方向づけたり,    その活動を広げ深めたりしてより価値ある活動を導いていくような支援が必要であるとされる。 そこで,    授業実践にあたっては,児童の学習や日常生活を直接指導して一人一人の児童を詳しく理解し,実態を把握    している学級担任を指導者とすることとし,活動計画・活動案等については研究担当者が立案し授業者との    協議により作成することとした。また,対象学級や授業実践の時期については,研究協力校と協議のうえ決    定することとした。 イ 単元活動計画の構想 (ア)授業を実施するにあたって A 児童の実態把握       単元活動計画を立案するにあたって,児童の実態を把握するため,学級の様子,日常の遊び・学習時      の状況,生活科にかかわっての様子の三点について調査した。それをまとめたのが,次の【表−8】で      ある。 【表−8】学級児童の実態(特徴) +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 明るく活発で,ボ−ルけり,かけっこなどの外での遊びが好きな児童が多い。人の話| |を聞く態度や表現力に弱さがあり全体の前で言い表すことを苦手にしている。 | | 今までの生活科では「安全を守るための学校の周りの設備に気づく活動」「校庭の草| |花遊び」「うさぎ,チャボの世話活動」「あさがおやつゆくさの色水遊び」「秋の虫の| |紹介」などを行った。きっかけをつかむと興味・関心を示し,学習後にも草花や虫・実| |を見つけ教室にもってきて紹介する。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ B 事前調査の実施(教師が用意する学習内容)       活動計画の立案にあたっては,児童の実態を把握するために,次のような視点から調査を実施し,児      童一人一人の実態や願いを指導に生かすようにした。 O学習内容に関する経験の有無・状況・知識 O活動への興味・関心の傾向 O製作活動に伴う習慣や技能の程度 C 活動の場の設定       秋の樹木や草花・虫など身近な自然の観察,収集などの活動ができる校庭や全校児童が毎年秋の遠足      で訪れる戸塚森森林公園を活動場所に選んだ。この公園は学校から眺望することができ,地域のシンボ      ル的な公園で,針葉樹や落葉樹も多く児童の活動意欲や好奇心を高めるのに適していると判断した。 D 単元の選定       研究協力校の年間活動計画を基本としたが,具体的な内容については研究担当者との話し合いによっ      て選定していった。身近な自然物の探検や収集,それらを使った造形遊びを中心とする活動内容を実施      することとした。 (イ)単元活動計画 (ア)A〜Dのことを基本として,次のような単元の活動計画を作成した。 (A) 単元名  「秋と遊ぼう」 (B) 授業実践学級  第1学年1学級(児童数33名) (C) 授業実践の実施期間   平成6年10月下旬〜11月上旬 (D) 単元について        本単元は,内容設定の視点(4)「土,砂などで遊んだり,草花や木の実など身近に るもので遊       に使うものを作ったりして,みんなで遊びを工夫することができるようにする。」に基づいて設定し       たものである。        子どもたちが登校時に見つけたどんぐりや色づいた木の葉を教室に飾ったり,朝のニュ−スなどで       関心を高めたりしながら,子どもの活動意欲を引き出していく。校庭に出たり,森林公園に出かけた       りして,野外の自然に触れさせ,落ち葉や木の実を集めさせる。そして,それらを使って,おもちゃ       や飾り物などを作ったり,作ったもので遊んだりする。さらに自分たちが感じとった秋をいつまでも       とっておく方法を相談させることによって,家族に紹介する作品の発表会へと活動を広げていきたい       と思う。このような活動をとおして,秋を体感させ,季節の変化に関心をもつことができるようにさ       せるとともに友達と協力して一つのことをやりとげる満足感を味わわせたいと思う。        作る活動では,公園や集めた自然物を使って,どんなものを作りたいかを考えさせる。この活動を       とおして,自然物の素材のもつ色や形のおもしろさに気づかせたい。表現活動を重視し,子どもの内       面の思いや願いを引き出し,個に応じた支援をしていくことにより,子どもの活動の深まりや広がり       を促していきたいと思う。        遊ぶ活動では,子どもの意識の流れを大切にしたい。自分で作ったおもちゃを使って遊ぶだけでな       く,友達どうしでいっしょになって遊んだり,交換し合って遊んだりして友達とのかかわりをもつよ       うに働きかけをしたいと思う。また,遊びながらおもちゃを改良したり,互いの情報を交換しあった       りしてよりよいものにする活動を促すような触れ合い(振り返り)の場を意図的に設定していきたい       と思う。   (E) 活動計画(10時間扱い) o大単元名 「秋と遊ぼう」 −−−−−−−−−−−−−−−−−10時間 ・小単元名 1 秋を見つけよう −−−−−−−−−−−−−−−−− 3時間 2 作って遊ぼう −−−−−−−−−−−−−−−−− 3時間 3 遊びの発表会をしよう −−−−−−−−−−−−−−−−− 4時間 (F) 単元目標 o 秋の公園に出かけ,秋の落ち葉や木の実を探すことをとおして,秋を体感する。そして,秋の収穫       物(落ち葉や木の実)を使って遊びに使うものを作って遊んだり,更に個々の製作物を使った発表会       をしたりする活動をとおして自然の変化に気づくとともに,みんなと協力して楽しく遊んだりするこ       とができる。 o 秋の公園で,落ち葉や木の実など秋の様子を表すものについて関心をもち,楽しく遊ぶことができ       る。 o 探してきた収穫物(落ち葉や木の実)で,自分の作りたいものを工夫して作り,楽しく遊ぶことが       できる。 o 個々の製作物を持ち寄り,発表会を行うことをとおして,友達と協力して一つのことをやりとげる       楽しさを味わうことができる。 (F) 活動計画と評価計画 +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 活 動 計 画     |      評 価 計 画      | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |小単元名   具体目標  |生活への関心・意|活動・体験につい| 近な環境や自分 | |(時数) |欲・態度 |ての思考・表現 |についての気づき| +−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |(1) 秋を|・学校の周りや公|・学校の周りや公|・五感(見る・聞|・身近な自然への| |見つけよ| 園に出かけ秋を| 園に出て,秋の| く・嗅ぐ・味わ| 関心を深め,季| |う | 探すことをとお| 草花・落ち葉・| う・触れる)を| 節や自然の様子| |(3時間) | して,秋を体感| 木の実などを集| 使って秋を体感| が変わっていく| | | することができ| めようとうとす| し,それを話し| ことに気づくこ| | | るようにする。| る。 | たり言葉や絵で| とができる。 | | | | | 表現することが| | | | | | できる。 | | +−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |(2) 作っ|・探してきた収穫|・作ってみたいも|・自然物の特性を|・落ち葉や木の実| |て遊ぼう| 物を使って自分| のをきめ,自分| 生かして工夫し| には形や色など| |(3時間) | の作りたいもの| なりの発想や友| て遊びに使うも| にさまざまなも| | | を自分なりに工| 達からの情報を| のを製作するこ| のがあることに| | | 夫して作り,楽| 生かして作ろう| とができる。 | 気づき,自然物| | | しく遊ぶことが| とする。 | | の不思議さがわ| | | できるようにす| | | かる。 | | | る。 | | | | +−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |(3) 遊び|・個々が作ったも|・個々の製作物を|・自然の素材のよ|・みんなで一つの| |の発表会| のを持ち寄り,| 生かしたり新た| さを生かして遊| ことをやりとげ| |をしよう| みんなで発表会| な遊びを作ろう| びを工夫したり| ることの楽しさ| |(4時間) | をすることをと| としている。 | ,体をいっぱい| がわかる。 | | | おして,友達と|・発表会でみんな| 使って作った | | | | 協力して一つの| と楽しく遊ぼう| り,発表したり| | | | ことをやりとげ| としている。 | することができ|・自然の素材の特| | | る楽しさを味わ| | る。 | 徴に気づく。 | | | うことができる| | | | | | ようにする。 | | | | +−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+ ウ 授業実践     単元の活動計画に基づき,授業実践の展開案を作成した。ここでは,第一次の展開 及び授業の概要につ    て述べることとする。 (1) 小単元名 第一次      「秋を見つけよう」−−−−−−−−−−−3時間 (2) 日 時     平成6年10月24日(月) 3校時 10月25日(火) 2・3校時 (3) ねらい o 落ち葉や木の実など秋の様子に関心をもち,自然と親しむことができる。 o 公園の木や周りの野原のしげみに入って遊ぶことにより,自然と触れ合うことの楽しさを味わう。 o 製作物を作るための材料となる落ち葉や木の実などを集めることができる。 (4) 展開 -[1] A「学校の周りの秋を見つけよう」------------1時間 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−+ | 予想される児童の姿    | 教 師 の 支 援      |時間|準備物等   | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−+ |1.一人一人の本時のめあてをつ|・今日の活動内容を知らせる。 |10分| | | かみ,カ−ドに記入する。 |・『秋を見つけよう』をめあてに活| | | | | 動させる。 | | | | | | | | |2.校庭に出て,自然物を集めた| | |ビニル袋 | | りする。 | |25分| | |・かわいい赤い実があったよ。| | | | |・この葉っぱきれいでしょう。|・児童が具体的な活動をとおして感| | | |・あそこにどんぐりいっぱい落| じ取ったことを大切にする。 | | | | ちていたよ。 |・夏のころの木の様子と比べて考え| | | |・虫の鳴き声がしている。 | させる。 | | | | (コスモス、トンクリ、ススキ、コオロギ....)|○友達どうしで見せ合ったり,比べ| | | |・夏のころと比べて,校庭や周| たりしてかかわりを深めている児| | | | 囲の様子を見直す。 | 童をほめる。 | | | | | | | | |3.落ち葉や木の実を集める。 | | | | | | | | | |4.活動を振り返る。 |○各班から出てきたことを整理し,| | | |・集めた落ち葉や木の実を紹介| まとめる。 | | | | し合う。 | |10分| | | | | | | |5.落ち葉や木の実を取りに行く|・「秋をもっと見つけたい」という| | | | ことを話し合う。 | 児童の願いを引き出し,公園へ出| | | | | かけたいという気持ちを引き出す| | | | | ようにする。 | | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−+ B 授業における子どもの活動の概要      二〜三名の子どもが拾ってきた落ち葉や木の実をみんなに紹介しながら,「みんなもこんな落ち葉を見     つけてみたいかな?」と秋見つけや遊びの活動を誘発する発問をし,黒板に『秋と遊ぼう』と単元名を書     く。どんなことをして遊びたいかを確認し,数名の子どもに発表さたところ,具体的な活動内容を言えた     ので,ほかの子どもの活動への意欲づけがされたと思う。      外で飛び回るのが好きな子どもたちなので,「校庭に出て秋を見つけよう」といったら大喜びだった。     見つけに行く範囲や集合の合図などの約束をして“振り返りカ−ド”に個人目標を書き終わった子から校     庭に出て探すことにした。めあての書き方に慣れていないので戸惑っている様子が見られた。「秋らしい     物を探すのだ」というめあてで校庭に出ているので遊具で遊ぶ子はいなかった。ジャングルジムの上から     もみじを採ろうとする子もいた。恵み農園(校庭に隣接した畑地)の入口では真ん丸のどんぐりを拾うこ     とができた。「大きなどんぐりを見つけたよ」と隆広君が教えに来た。「僕も欲しい」と言った子に「隆     広君に聞いてごらん。きっと教えてくれるよ」と子どもどうしのかかわりをもたせるような助言をした。     一緒についていったら,農園の東側に落ちている大きなどんぐりを半数以上の子どもたちが集まって拾っ     いた。ここであんなに大きなどんぐりを拾えるとは思ってもいなかった。A男は大きなどんぐりをたくさ     ん拾っていたが,B子は,どんぐりも葉っぱも二〜三個(枚)だった。20分程度活動した後,集合させ     る。拾ったものでどんな遊びをしてみたいか何人かに発表させたが 自分の拾ったものに夢中で,話に耳     を傾ける状態ではなかった。秋をもっと見つけることのできる場所は?と聞くと,校庭でもっと活動した     いという反応はあるものの,最初のうちは戸塚森公園という場所は子どもの口からは出てこなかった。遠     足の時(10月7 日) 木々の葉っぱがまだ色づいていなかったためであろうか。もっといっぱい拾える違う     ところはどこだろうか 何人かに確認することで,次時は戸塚森公園の秋見つけに行くことになった。     「今日の5時 目に行こう」と言いだす子もあり,明日の活動への期待感をもって終わった。 (4) 展開 -[2] A「森林公園に出かけていって秋を見つけよう」−−−−−−−−−2時間 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−+ | 予想される児童の姿    | 教 師 の 支 援      |時間|準備物等   | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−+ |1.活動に必要なものをもって森|・目的地までのバスの車窓から見え|10分|ビニル袋,手 | | 林公園に行って,秋見つけを| る景色を眺め,遠足の頃と変わっ| |袋,ハサミ等 | | する。 | た様子を話し合わせる。 | |〈子供〉 | |2.公園で遊びたいことや気をつ|・今日の活動・目標や内容を確認す| |救急箱(薬) | | けたいことを話し合う。 | る。 | |笛等〈教師〉 | | ・友達と一緒に遊ぶ活動。 |・グル−プごとに,いろいろ方法で| | | | ・落ち葉や木の実を採集する| 自由に挑戦させる。 | | | | 活動。 |○さまざまな気づきやひらめきを大| | | | ・集めた物をみんなに紹介す| 切にして,とことんやらせる。 | | | | る活動 | | | | |3.活動場所の範囲を確認をす |・安全上の注意については,遠足の| | | | る。 | 時のことを参考に確認し徹底す | | | | ・活動場所(範囲) | る。 | | | | ・集合場所(本部席・荷物置| | | | | き場) | | | | |4.グル−プで,遊ぶ場所や遊ぶ|・集団に入れない子ども,遊び方が|40分| | | ことを決めて遊ぶ。 | わからない子どもと一緒に遊び,| | | | ・葉っぱや実,草花を使って| 活動を支援する。 | | | | 遊ぶ活動。 |・危険な遊びになっていないかどう| | | | ・公園内の遊具で遊ぶ活動。| かに留意しながら,その都度指導| | | | ・周りの野原の茂みに入って| する。 | | | | 遊ぶ活動。 |○集めた物や採った物の見せ合いを| | | | ・木に触れて遊ぶ活動。 | させる。 | | | | |・友達と協力したり,教え合ったり| | | |5.「発表会」の材料を集める。| する活動を深めるようにさせる。| | | | ・落ち葉,実,枝,松ぼっく|・材料集めをしていないグル−プに| | | | り | 対しては,材料集めをするよう呼| | | | ・草花,ススキ,笹竹など | びかける。 | | | |6.遊んだことや集めたものをグ|・自分が見つけたり作ったりしたも|10分| | | ル−プごとに紹介し合う。 | のの中で,特に印象深いものに絞| | | | ・遊んで楽しかったこと。 | って発表させる。 | | | | ・わかったこと,不思議だな|○友達の工夫を見つけている子ども| | | | と思ったこと。 | を賞賛するようにする。 | | | | ・集めたもの。 | | | | | ・もっとやりたかったこと。| | | | |7.教室にもどる。 |○めあてと比べてよかったこと,不|10分| | | | 十分だったことの確認をさせる。| | | |8.活動を振り返る。 |○探検の時の具体的な行動や会話を|20分| | | ・集めた材料の保管 | 思い出させ,その子なりに思い描| | | | ・「あのねカ−ド1・2・3」を| けるようにする。 | |あのねカ−ド | | 選択し記入する。 |○新聞(本)に押し葉にしたりしな| |クレヨン,筆 | | ・見つけたよ | がら,落ち葉を分類したり,整理| |記用具 | | ・やってよかったな | したりする。 | | | | ・やってみたいな |・次時の予告 | | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−+ B 授業における子どもの活動の概要      その日は,雲一つない快晴の小春日和の天候で,「拾ったものを入れる袋をもって出かけ う」という     ことでス−パ−のビニル袋を持って出かける(各自一個づつの鋏を入れて)バス 中で三つのめあてを確     かめる。 ア 秋をいっぱい見つける。 イ 班ごとに行動する。 ウ 友達の発表をしっかり聞く。   ゴルフ場を過ぎたところで一旦バスから降りた。(そこは,ならの樹木が道路沿いに十数 並んであり     道端の草むらには,いっぱいのどんぐりが落ちている。また,脇道の土手には っぱいのススキが生い茂     っていた。)ススキがたくさん茂っていたのが目に入り「ススキを りたい」と言う声がした。子供たち     の目がススキから離れなかった。ススキの葉で手を切らないように注意し,鋏を使うように指示して活動     に入った。どんぐりを拾った子供たちは芽が伸びていることに気がつき,次々と教えに来てくれた。花粉     きのこを手にもち,煙を出して遊 男子もいた。やがて,「きれいな木の葉を探しにいこう」と誰からと     もなく声がして,坂道を歩いている時,土手の上の方にある葉っぱを採るためか,「(草状の)崖を上が     ってもいい?」と聞かれたので「気をつけてね」と言ったら数人が草にしがみつきながら登っていった。     登ることはできても降りる時は足場がないので降りる子どもたちを見ている私も怖かった。A男 登って     道路に出る時,笹藪で腕をすりむいた。子どもたちが急な崖を登ったことは初めての 験だったようで,     A男を含め何人かの子どもたちにはスリルや満足感とともに何かできるという自信につながった感じがす     る。漆の葉の見分け方を教えてから木の葉や落ち葉を採る活動を再び行うことにした。葉っぱや実,草花     を使って遊ぶ活動をした後で,班ごとに発表をさせる。きれいに紅葉した落ち葉は少なく材料が限られて     いるため,ススキの箒,葉っぱのお面が多く,他には葉っぱのヴァイオリン,オムライス,ススキの鳥,     花の腕時計等にして遊んだなどという子もいた。作った作品の発表にしてしまったので材料や道具の足り     ない子は完成できなかっため発表できなかった。戸塚森の秋の遊びの中で気づいたことを発表させるよう     にすればよかったなと反省した。A男は,ススキの箒を作ったことを発表し,B子は何も作りませんでた     と発表した。