印刷用紙:B4縦 1ページの行数:52 1行の文字数(半角で):122   −−以下 指導案本文−−                 第5・6学年図画工作科学習指導案                                        日 時 平成8年10月2日(水)2校時                                        児 童 5年 男1名・女3名  計4名                                            6年 男2名・女2名  計4名                                        授業者  佐 藤 謙 司 1、題材名   だんボ−ルア−ト(つくりたいものをつくる)(6年教材) 2、題材設定の理由  (1)題材について      第5・6年学年における「つくりたいものをつくる」についての目標は、「生活を楽しく豊かにするものなどを用途や美し     さを考え構想をねってつくり、デザインの能力や創造的な工作の能力を高める。」である。「つくりたいものをつくる」の内容     は「生活を楽しく豊かにするものをつくったり、身近な環境などを造形的に構成したり伝え合うものをつくったりすることが     できるようにする。」であり、そのような活動を通して育てる能力は、5学年は「つくるものの用途や美しさ、楽しさを考えて、     形による動きの感じ、色の強い弱いの感じ、材料の感じなどに関心を持ってつくること。」、6学年は「つくるものの用途や     美しさ 楽しさを考えて形や色、材料などの特徴を総合的に生かしてつくること。」 である。      この学年の子供たちは、見方や感じ方、造形感覚などが個性的になり、計画的につくろうとする面が育ってくる。また、高     学年として学校生活の中心的な活動をし、自分を取り巻く環境や自分自身の生活についての認識が高まり、それらとの関わり     について主体的に考えるようになる。そのようなことから、子供のつくりたいものは、多様になり、新しい試みが見られるよ     うになる。「だんボ−ルア−ト」は、だんボ−ルのよさを知り、それを生かして、相互に伝え合うものをつくって楽しむ題材     である。デザインやつくり方、言葉を造形に生かすなど、自分のアイデアを生かして半立体的な看板などのメッセ−ジボ−ド     として表現するものであり、この学年の子供にはとても適した題材といえる。      本題材の主材料で使うだんボ−ルには、次のようなよさがある。      @、手触りがやさしく、弾力があり、丈夫であること。      A、形をつくって重ねると、立体感や空間を表現できること。      B、断面の波形や、表面の紙をはぎ取ると現れるストライプの模様が造形的であること。      C、切ったり、穴を開けたり、表面の紙をはがしたり、接着したり、加工することが子供の力でも容易にできること。      D、黄土色がほかの色と融和すること。     以上のことから、だんボ−ルのよさを生かして多様な造形を試みるのにはとても適してるといえる。さらに子供たちにとって     は身近な材料の一つで、とても集めやすく多量に利用できるものである。また、本題材では、伝え合うものとして、子供が想     像した夢の会社の看板をデザインや言葉を工夫してつくる。こんなことができたら楽しいだろうな、こんなことが売られてい     れば面白いだろうなと思う空想の会社や店を想像し、その会社や店の仕事など具体的に自由に話し合うことで、子供の多様な     発想を生かす。看板の表現方法は、だんボ−ルのよさを生かし半立体的に表したり、絵の具での彩色やその他の描材や身辺材     料を使っての装飾をしたり、一人一人の子供の工夫を生かした創造性のある表現をさせる。      このような表現活動を通して、自分の思いを大切にし意欲的に活動できるようにさせたい。  (2)児童の実態について      学級の子供たちは、図画工作が好きである。作品をつくっている時は、「とても楽しい。」「アイデアが浮かぶ。」「思い     どおりにできる。」と思っており、自分の思いの実現に向けて自分なりの工夫をするようになってきている。子供たちは、こ     れまでに「オットット」(つくりたいものをつくる)や「マンモスを追え」(つくりたいものをつくる)などに取り組み、動     きや画材の質感から発想を広げ、いろいろな材料や技法を積極的に取り入れながら、意欲的に取り組んできた。      材料であるだんボ−ルについては、学習発表会で小道具をつくったり、自由時間に遊び道具つくって遊んだりという経験を     持つ。しかし、だんボ−ルのよさを生かして、作品に仕上げるという経験はほとんどない。また、「伝え合うものをつくる」     の分野の作品は、6年生は、昨年「なぞなぞクイズ板」をつくった経験はあるが、5年生は全く経験がない。そこで、本題材     では、参考作品の鑑賞を通しながら、だんボ−ルのよさや伝えるもののおもしろさを知り、作品づくりの見通しを持たせ、子     供の思いを大切にした学習活動を展開したい。発想段階では、「こんな会社があったら楽しいだろうなという夢の会社を考え     てみよう。」として提案し、自由に話し合い、看板のイメ−ジをふくらませ、構想段階では、アイデアスケッチやだんボ−ル     での試作を繰り返しながら、作品のイメ−ジをはっきりさせるとともに、だんボ−ルのよさを体験させたい。装飾については、     子供の自由な表現を認め、創造力を発揮させたい。      この活動を通して、自分の思いを実現できるように支援し、成就感を味わわせたい。 3、目 標   (1) <関心意欲態度> だんボ−ルという素材のよさを生かした作品づくりを楽しむ。   (2) <発想構想の能力> 半立体を生かした表現を工夫する。   (3) <創造的な技能> 見て美しく、伝えたい内容が分かりやすい表し方を追求する。   (4) <鑑賞の能力> 造形作品を鑑賞し、自分が感じたり、気づいたことをもとに一層関心を高める。 4、準 備   (1)児童    水彩絵の具、はさみ、カッタ−ナイフ、必要な身辺材など   (2)教師    ・場・・・・・・・商店や会社のおもしろい看板の写真を掲示しておく。            ・材料・用具・・・だんボ−ル、接着剤、カッタ−マット、目打ちなど 5、学習計画(4時間扱い)(本時1時間目) +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階 | 子供の活動 | 教 師 の 支 援 |評 価| +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||1、参考作品を見て、題材に対する |・提示した参考作品を鑑賞させ、その題材のよさに気づかせながら|| | | || 表現意欲を高めるとともに、だん | 興味関心や表現意欲を高める。 || | | || ボ−ルのよさに気づく。 | ・この看板でいいところはどんなところですか。 ||(4)| | || ・つくってみたい | || | |お || | || | | ||2、看板について、ブレ−ンスト−ミ|・こんな会社があったら楽しいだろうという夢の会社を自由に発表|| | |も || ングし、発想のもとを広げる。 | させる。その会社では、何をするのか、できるだけ具体的に話し|| | | || ・食堂の看板 | 合い、看板のイメ−ジをふくらませる。 || | |う || ・係の看板 | ・こんな会社があったら楽しいだろうという会社は、どんな|| | | || | 会社かな。 || | | ||3、発想した看板をアイデアスケッチ|・発想した看板をクロッキ−ノ−トにアイデアスケッチする。 || | | || する。 |・子供によっては看板に対するキャッチコピ−も考えさせたい。 || | | || ・こんなのはどうかな。 | ||(2)| | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | 4、だんボ−ルで試作しながら、看板|・だんボ−ルを使って簡単に試作させ、だんボ−ルのよさを実感させ| | | | の構想を固める。 | ながら構想を固めさせる。 | | | | ・こんな方法も使えるぞ。 |・だんボ−ルカッタ−やはさみなどを安全に気をつけさせながら使わ| | | 60分| | せる。 | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | | 5、自分の思いの実現に向けて、表し|・アイデアスケッチに従い、自由につくらせる。 | | |あ | 方を工夫しながら製作する。 |・ことばをかけ、子供を励ましたり、認めたり、つまづきを把握でき| | |ら | ・楽しいな。 | るようにする。 |(1)| |わ | | | | |す | 6、彩色や装飾を工夫する。 |・絵の具だけでなく、他の描材や材料も積極的に使えるように準備し|(3)| | | ・色を塗ってみよう。 | ておく。 | | | 100分| ・何か貼って飾ろう。 | | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |み | 7、自他の作品のよさを見合う。 |・自他の作品で工夫したところを発表させる。 | | |あ | ・おもしろいな。 |・自由に発表し合える、よさを見つけ合える雰囲気をつくる。 | | |う | ・楽しかったな。 | |(4)| | 20分| | | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ 6、本時の学習  (1)ねらい 伝え合うことをはっきりさせ、楽しい看板をイメ−ジする。  (2)展 開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階 | 子供の活動 | 教師の支援 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1、参考作品を見て、題材に対する興味|・参考作品を提示し、子供に直接触らせ鑑賞させることで、何の看板で、何で| | | を持ち、だんボ−ルのよさに気づく。| つくり、どんな工夫をしているのか気づかせながら、題材に対する興味や | | | ・おもしろそうだ。 | 表現意欲を高める。 | |お | ・面白い看板名だな。 |・だんボ−ルのさまざまな加工の仕方に着目させ、重ね合わせたり曲げたりし| | | ・だんボ−ルで、こんなこともでき| 半立体にできることや、波模倣やストライプ模倣を利用できることに気づか| | | るんだ。 | せ、だんボ−ルのよさを知らせたい。 | | | ・つくったみたい。 | キャッチコピ−では何を伝えたいのか考えさせていきたい。 | | | | ・これは何の看板でしょう。 | |も | | ・これは何でつくったのでしょう。 | | | | ・この看板でいいところはどんなところですか。 | | | | (評) 参考作品のよさを見つけることができたか。 | | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 提案| 夢の会社の看板をつくってみよう。 | | |う | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |2、夢の会社を自由に話し合う。 |・こんな会社があれば楽しいだろうなという会社を自由に発表させる。 | | | ・釣りをうまくさせる会社 |・実際にある会社や店などを発表し合ったり、こんなことができたらおもし | | | ・野球をうまくさせる会社 | ろいだろうという会社を発表し合ったりし、子供一人一人の想像力を働かせ| | | ・天気を売る会社 など | る。 | | | |・夢の会社については、できるだけ具体的に仕事の内容や売っているものなど| | 15分| | 考えさせ、発想に広がりが出るようにさせたい。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3、自分の看板を決め、アイデアスケッ|・全員で話し合ったことから触発されて発想できた自分の考えを、簡単にアイ| | | チをする。 | デアスケッチさせる。 | | | ・これにしよう |・キャッチコピ−については、どのようにつけると楽しいか、回りの人達に | |あ | ・こんな感じはどうだろう。 | 楽しく伝わるかなどを考えさせながらスケッチさせたい。しかし、表現活動| | | ・こうしよう | をしながら思いつく子供も考えられることから、無理に考え出させず、子供| |ら | | のペ−スで行えるようにさせたい。 | | | |・思うように決められないでいる子供には、どんなことをやりたいのか子供の| |わ | | 思いをはっきりさせれるように言葉をかけたり、教科書の作例などを見せ、| | | | 発想のもとを広げさせたい。 | |す |4、アイデアスケッチにそって、だん |・だんボ−ルなどで簡単に試作し、看板のイメ−ジを固めていかせたい。 | | | ボ−ルなどで簡単につくる。 | | | | ・簡単に切れるぞ |・だんボ−ルカッタ−やはさみなどを安全に気をつけさせながら使わせる。 | | | ・しましま模様が面白い | | | | ・いろいろな形にできるよ | (評) 夢の会社の看板を思い浮かべることができたか。 | | 25分| ・切りやすいな。 | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |5、今日の活動を振り返り、感想発表を|・どんな看板をつくろうとしていて、どんなところが楽しかったか、次時は | |み | する。 | 何を頑張りたいか発表させる。 | | | ・だんボ−ルっておもしろい。 |・友達の作業ぶりについても発表させたい。 | |あ | ・たのしかった。 |・次時の予告をしながら、これからの政策手順を知らせる。 | | | ・看板を考えることができてよかっ| | |う | た。 | | | 5分| ・次は、うまくつくっていきたい。| | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+