高等学校「家庭一般」学習指導案

期 日  平成12年9月28日(木)
場 所  岩手県立千厩東高等学校
対 象  産業技術科 第2学年 

1 単元名 「子どもの発達と保育」

2 単元について

現在の高校生は、核家族化や少子化による家族構成の変化から、体験的に子どもの発達を知る機会がほとんどない。そのため、乳幼児の保育の学習をしても実感がわかず、意欲に欠ける現状である。また、現行の学習指導要領にある「青年期の生き方と結婚」や自分の幼少の頃をイメージさせることから授業を展開しても、実感や意欲につなげることは難しかった。
このことから本研究では、これまで学習のまとめの段階として取り入れてきた保育実習を、学習の前半に位置づけ、直接子どもと触れ合うことで子どもへの理解を図ることにした。そして、その後の知識・理解・思考・判断等を養う授業で実感をもたせる授業が展開できるのではないかと考えた。
しかし、保育実習を実施するに当たっては、理解のない状態で取り入れても、単に「子どもと一緒に遊んだ」で終わらせてしまう危険性がある。また、単位時間内に複数のクラスに実習させることを考えると、1回の実習を充実させる必要がある。そこで、保育実習までの内容を子どもと適切にかかわろうとする意識が育つように展開していくことが必要であると考えた。

3 単元の目標

(1) 子どもを取り巻く社会問題に関心をもち、親の役割と保育の重要性を把握することができる。
(2) 他者との意見交換等をとおして、保育を自身の問題としてとらえ、学ぶべき課題を追求することができる。
(3) 子どもの生理や発達について体験に基づいて理解し、子どもと適切にかかわることができる。

4 指導計画 <20時間>

(1) 親の役割と保育(4時間)
 @ 親の役割と子どもの人間形成・・・・・・・・2時間
 A 親の保育責任とその支援・・・・・・・・・・・1時間
 B 子どもを生み育てることの意義・・・・・・・1時間
(2) 子どもの発達(11時間)
 @ 子どもの心身の発達と特徴・・・・・・・・・・2時間(本時)
 A 子どもの生活と遊び・・・・・・・・・・・・・・・・2時間
 B 保育実習・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3時間
 C 母体の健康管理と子どもの誕生・・・・・・・4時間
(3) 子どもの福祉(5時間)
 @ 児童福祉の基本的な理念・・・・・・・・・・・・3時間
 A 子どもを取り巻く環境の変化と課題・・・・・2時間

5 本時について

(1) 目標
@ 育児体感人形により、乳児は泣くことにより要求を示していることを理解する。
A 子どもの心身の発達には個人差があるが、一定の順序と共通性があることを理解する。
B 実習先のビデオ映像から、子どもの発達課題に応じた遊びを考えることができる。

(2) 本時の展開

過程 学 習 の 流 れ 学 習 活 動 指導上の留意点 備考




(5)
1 課題の把握  ・自分の出生時の身体的特徴を想起する
本時の課題
「子どもの心身の発達と遊びの意義を知る」
   

























(90)
2 体感教具による乳児の観察・体感(30)
・育児体感赤ちゃんの「説明モード」で8種類の泣き方と世話について観察する

・全員が「だっこ」して、大きさや重さ首のすわり等を体感する

・アメリカで体感教具が必要とされている背景を知る
・説明を加えながら示範する
・泣くことにより要求を示し、要求により泣き方に違いがあることを知らせる
・要求にあった世話をしないと泣きやまないことを体感させる
体感教具
 マイベビー
示範
・代表生徒が練習モードを体験する(男女各3名)
・練習モードの体験は、本時間内に他の活動と並行する
3 乳幼児の心身の発達の理解(15) ・運動機能の発達を理解する
・言葉の発達を理解する
・社会性の発達を理解する
・子どもの発育・発達には、個人差があるが一定の順序と共通性があることを理解させる
学習プリント
教科書
4 視聴覚教材による乳幼児の発達と遊びの観察(25) ・ビデオ映像を見ながら、小羊幼稚園の一日を観察し、乳幼児の発達の違いと、遊びについて確認する

・自閉症児とダウン症児がいることを理解する
・幼稚園の中に子育て支援クラブや学童保育があることと、その必要性を理解させる
・保育実習で、子どもの集団の中に入ることを意識させる
・ビデオ映像に説明を加えながら着眼点を明確にする
自作VTR
5 乳幼児の遊びの意義の理解(20) ・遊びの意義と遊びの種類を知る
・幼い頃どのような遊びをしていたか想起しながら、保育実習で担当する対象児の発達に応じた遊びを考える
・保育実習でのグループごとの交流内容(遊び)を話し合い2つに絞る
・学校にある遊具を見せながらイメージさせる
・実習で担当する対象児の年齢ごとにグループを決定しておく
・道具を使うことや時間制限等条件を提示する
・交流内容(遊び)の決定については、グループ毎に指導する
紙板書
実物遊具
学習プリント




(5)
6 本時のまとめ ・自己評価と感想を記入する
  自己評価表
7 次時の予告  ・保育実習でのグループ交流に使う材料や道具を準備して臨むことを確認する ・保育実習をロールプレイングにより疑似体験をすることを知らせる
 

「保育実習」での生徒の様子をご覧ください