高等学校 2年 国語(現代文:わたしの文章修行) 指導案 花巻北高等学校 用紙は B4 縦  1行 100字(半角) 1ページ 60行に設定してください。 学習指導計画案  国語U(現代文)  岩手県立花巻北高等学校  授業者 菅原朝也 一、日時 平成元年十月五日(木)第4校時 二、学級 第二学年B組(男子二十一名、女子二十三名、計四十五名) 三、単元と教材 2−5観察と報告「わたしの文章修業」(教科書、『精選国語U』新訂版、明治書院) 四、単元目標(一)説明すること描写することの意義と困難について考えさせる。 (二)動きのある場面や、経過の叙述の仕方に留意して書くことを学ばせる。 五、教材目標(配当3時間)(一)筆者の「文章修業」と、その題材との関連について考えさせる。       (二)「批評」することと、その難点を理解させる。       (三)「批評」の本質について考えさせる。 六、本時の目標(第3時限)(一)「批評」の難しさについての、筆者の思考の深まりを理解させる。       (二)「記述の急所」とは何かを、正しく捉えさせる。       (三)筆者の言う「批評の極意」について考えさせる。 七、本時の指導計画 +---+-----------------------------+-------------------------------+--------------------------+ |  |      学習活動     |     指導上の留意点     |   板書事項 | +---+-----------------------------+-------------------------------+--------------------------+ | | 1前時の学習内容を確認させる。| 1(1)課題プリント三の「『全体』| @勝負の「急所」 | | 分| |  を記述する上で最も大切なこと」| (決定的瞬間)| | 5| |  とは何であったかふり返らせる。| ← | | 入| |  (2)「勝負の『急所』」と「記述|  重要性の正確な評価    | | 導| |  の急所」とのふたつの「急所」を|     ←  | | | |  理解させる(板書事項@)。 |  「記述の急所」 | +---+-----------------------------+-------------------------------+ | | | 1第五段落から第六段落までを通| 1指名し、音読させる。 | Aどこが急所か | | |  読させる。 | | 「右を差した」 | | | 2実際の「批評」文二例について| 2(1)発問し確認する。 | 決まり手(結果) | | |  「急所」を押さえさせる。 | (2)勝負の「急所」と勝負の結果|    寄り切り | | | |  との違いに注意させる(A)。 | ※両者の相違に注意。 | | | 3「急所」をとらえてなお、新た| 3「ただし」(一九六頁14行)以下の| | | |  に生じた筆者の問題を考えさせ|  記述の暗示的意味に注意させる。| B急所をとらえること | | | る。 | | ←   (書き手)| | 分| 4新たな問題の内容を掴ませる。| 4(1)「難しいものである」(一九 | 「なお残る何か」 | | 0| |  七頁 2行)の意味する内容を考え | ← | | 4| |  させる(B)。 | 何年、何十年たっても忘れ| | | | (2)筆者の行論が、「書き手」の|  ないある感動の手ごたえ | | | |  側から「読者」の側に換わってい| (読者の求めるもの)| | 開| |  る点に注意させる(C)。 | C書き手 | | | | (3)課題プリント四の問題につい| ↓読者の欲求に応える | | | |  て、確認させる。 | | | 展| 5さらに深化して行く「批評」の| 5(1)「それにしても上には上があ| D | | |  世界について考えさせる。 |  るものだ」(一九七頁10行)の内容| 「あんなのは相撲じゃない」| | | |  に注意させる。 | ← | | | | (2)「あんなのは相撲じゃない」| 「彼の信念」 | | | |  という言葉が、結局は何を意味し| | | | |  ているのか。その内実を理解させ| E「批評の極意」 | | | |  る(D)。 | +-----------+ | | | | (3)「批評の極意」(一九七頁15 | | 真実の啓示| | | | | 行)について、筆者が到達してい | +-----------+ | | | |  る境地を考えさせる(E)。 | (何年、何十年たっても| +---+-----------------------------+-------------------------------+ 忘れない……) | | 分| 1本時の学習内容を、ふり返らせ| 1(1)「文章修業」が「批評」の本| 「不易」なるもの | | 5| る。 |  質をつくに至る過程をふり返らせ| すぐれた「批評」 | | | | る。 |  ← | | び| | (2)「批評」の「真実の啓示」の| 万人に通用 | | 結| 2次の教材の予習を指示する。 | 意味を銘記させる。 | 「我が意を得たり」 | +---+-----------------------------+-------------------------------+-------------------------+ 八、評価  (一)「批評」することの難しさに関して、筆者の思考の深まりを理解させることはできたか。  (二)筆者の言う「批評の極意」の意味をつかませることはできたか。  (三)文章を書くということの根幹について考えさせることはできたか。 学習指導計画案  国語U(現代文)  岩手県立花巻北高等学校  授業者 菅原朝也 一、日時 平成元年十一月 十日(金)第3校時 二、学級 第二学年D組(男子二十二名、女子二十三名、計四十五名) 三、単元と教材 3−1社会と人間−評論− 「日本人の知性」(教科書、『精選国語U』新訂版、明治書院) 四、単元目標(一)知性・学問の本来の意義を理解させ、考えることの契機・端緒をつかませる。 (二)論理的文章を構造的に把握し、文脈を正確に読み取らせる。 五、教材目標(配当5時間)(一)「知性」「学問」の本義に、注意させる。       (二)複雑な論理を、精確に読む態度を身につけさせる。       (三)近現代日本の社会形成の背景について、考えさせる。 六、本時の目標(第4時限)(一)広い視野から論点を浮かび上がらせる方法を学ばせる。       (二)複雑な文章から、要点を抽出する態度を身につけさせる。       (三)近代日本の文化基盤が、奈辺にあったかを、把握させる。 七、本時の指導計画 +---+-----------------------------+-------------------------------+--------------------------+ |  |       学習活動     |     指導上の留意点     |    板書事項 | +---+-----------------------------+-------------------------------+--------------------------+ | 分| 1前時の復習をする。 | 1(1)「理解力」としての「知性」| @明治文化の背景 | | 5| |   偏重の事実を想起させる。 |   知性=理解力偏重 | | | |  (2)前時の内容が、その「知性」|   文明=「外的な強制」 | | 入| |   の実際的な側面であったことを| 「判断」の余裕なし | | 導| |   指摘しておく。(板書事項@)| | +---+-----------------------------+-------------------------------+ A明治文化の基盤 | | | 1第三章段(二三七頁5行〜二四| 1(1)指名し、音読させる。 |   武士気質+西洋の教養 | | |  ○頁)を通読する。 | (2)本時の学習範囲を、確認させ| (「和魂洋才」) | | | |  る。 | +-----------+ | | | | | | 混交の特性| | | | 2章段のテ−マをつかませる。 | 2(1)冒頭文への注意を喚起する。| +-----------+ | | | | (2)要点をしぼらせる。 | 既成の知識の堆積・集積| | | | (3)明治の「知性」の精神的側面|    → | | 分| |   ということを指摘する。(A)| 交換 | | 0| | | ← | | 4| 3「混交の特性」を言語について| 3(1)複雑な文脈を整理させる。 | 知性の生きた働き | | |  整理させる。 |  (2)文章の対比的叙述に気付かせ| | | | |   る。 | B言語的側面    | | 開| |  (3)西欧と日本の近代初期言語活| 西欧(言文一致運動) | | | |   動について、整理させる。 | だれにも分かる言葉で| | | |  (4)「混交」の「特質」に関する|    易しく | | 展| |   記述(二三七頁8行)の意味を| 日本(翻訳) | | | |   把握させる。(B)     |    西洋語の抽象名詞を難| | | | |    解な漢語に | | | 4「混交」が生じた経緯(言語に| 4(1)翻訳の背景にあった事情を押| | | |  ついて)を把握させる。 |   さえさせる。 | (だれにも分かる言葉に | | | | (2)明治の「知識階級」が抱いて| 訳す) → | | | |   いた「学問」観に着目させる。| 交換 | | | |  (3)明治の翻訳法が、当時の「学| ← | | | |   問」観からして、必然の帰結だ| (漢語をそのまま用いる)| | | |   ったことを指摘する。(C) | | +---+-----------------------------+-------------------------------+ C「学問」=「難解」なもの| | | 1本時の学習内容をふりかえらせ| 1明治文化の基盤である「混交の特| ← | | 分|  る。 | 性」について、その内容、その必| 学術用語(抽象名詞)の翻訳| | 5| |  然に、注意させる。 |   =「漢語」 | | | | |    「漢文読み下し」 | | び| 2次時の予告をする。 | 2現代の「知性」について、問題を| ← | | 結| |  提起しておく。 | 我が国の知識階級の性格 | | | | |   | +---+-----------------------------+-------------------------------+--------------------------+ 八、評価  (一)文章を精確に読む態度を徹底させることができたか。  (二)近代日本の文化基盤について、その一つの側面を捉えさせることができたか。