印刷用紙   :B4 縦 1ページの行数:39 1行の文字数(半角で):90 国 語 科 学 習 指 導 案 1 指導期間 平成5年8月24日(火)〜9月2日(木) 2 指導学級  岩手県立久慈高等学校1年B組(男子22名,女子24名,計46名) 3 教科書  尚学図書「新選国語  三訂版」 4 単元名   六 人生と思索 5 教材名  「若さと理想」(真下信一) 6 教材について 単元「人生と思索」は,真下信一「若さと理想」,野間宏「人生と思索」の評論文二編と,  表現教材「論理的文章の書き方」から成っている。人生や社会,青春時代の生き方などにつ  いて,筆者とともに考えさせ,主体的な思索を導き出すことをねらいとする構成である。こ  れまで本教科書で随筆,小説,詩の単元を学習してきた生徒にとって初めての評論文の単元  であり,最終単元「現代と伝統」の学習へ向けて,評論文の読解力を育てるとともに,進ん  で評論文を読もうとする態度を育てることを単元の目標とする。    教材本文は「講座*人生の探求 四巻 青春の探求」(1967年 大和書房)による。筆者の真下  信一氏(1906〜1985)は,若い世代への深い理解を示して多くの青春論を書くなど,啓蒙的哲  学者として活躍した。本教材では,理想を持たない青春はその名に値しないと力説する。 本文は,大きく二つの段落に分かれている。 第一段落では,「若さということの意味」について問題提起し,続いて「現在」を「未来と 過去の矛盾的一体」であるとする考え方を条理整然と説いて,「若さとは未来へ向いての現 在」であることを論証している。そして「未来の表象は理想である」ことを自明の理として, 「若さ即ち未来即ち理想」という三段論法で青年が理想を持つことを第二段落の論の展開の 前提とするが,この論の飛躍は理解に苦しむところである。しかし,むしろこの飛躍こそ筆 者の強烈な思いの表れと読み取ることができる。 第二段落では,「理想と現実の相克」を克服するためにどうすべきかを説き,「正しい理 想を持つこと」を主張する。 指導にあたっては,「正しい理想」とは何か,自己の問題として考えさせることを目標と する。この場合,性急に答えを出させるものとはせず,現に青春を生きる生徒自らの思索を 導き出すものとするよう配慮したい。 7 指導目標  (1)評論文の読解力を育てる。    ア 語句の意味や構成を理解させ,文章に即して論旨を読み取らせる。    イ 筆者のものの見方や考え方を読み取らせる。   ウ 読み取ったことをもとに自己省察を深めたり視野を広げたりさせる。  (2)進んで評論文を読もうとする態度を育てる。 8 指導計画(全五時間) +−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ |時|過程|   指  導  内  容   |時|過程|   指  導  内  容   | +−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |   |1 評論の特質を理解させる。 | | | (第二段落の読解)・ | |第| | | | | | | | |2 全文を通読させる。 | | |6「理想と現実」を読み取らせる。| |一|概観| |第| | | | | |3 「若さと理想」について各自の考| | |7「理想と現実」の見方や考え方を| |時| |  えを出させる。 | | |  広めたり深めたりさせる。 | | | | |四|分析| | | | |3a個の学習 + 疑問や課題を出 | | |7a個の学習 + 「理想と現実」に | +++++++++++++++++++++++ | |   | ついての各自の | |第| | b共同の学習| させる交流学習 |時| | b共同の学習| 見方や考え方を | | | | | | | | | 出させる交流学 | |二|概観| c個の学習 + | | | c個の学習 + 習 | | | | | | | | |時| | | | | | +−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |  (第一段落の読解)・   | | | (論旨の読み取り)・ | | | | | | | | |第| |4 「若さ」を読み取らせる。 |第| |8 「正しい理想」を読み取らせ,| | | | | | | 「理想」の見方や考え方を広めた| | | |5 「若さ」の見方や考え方を広め| | | り深めたりさせる。  | |三|分析| たり深めたりさせる。 |五|総合| | | | |       | |  |8a個の学習 + 各自のものの見 | | | |5a個の学習 + 「若さ」につい | | | | 方や考え方を総| |時| | | ての各自の見方|時| | b共同の学習| 合して考えさせ | | | | b共同の学習| や考え方を出さ | | | | る交流学習  | | | | | せる交流学習 | | | c個の学習 + | | | | c個の学習 + | | |    | +−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 9 指導の展開案例  (1)第一時(概観の過程)の指導の展開案 ア 目 標   評論の特質を理解させる。     学習の見通しを持たせる。 イ 展開案 +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |段階| 学 習 内 容 |   学   習   活   動   |  指導上の留意点 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | |1 評論の特質を理|1a 中学校の教科書に載っていた評論文|1 高校では評論は未| |導入| 解する。 |  を思い出す。       | 習であるが,日常,| |  | | | 目にする機会の多い| |10| | b 評論を読んだ経験を思い出す。 | 身近なものであるこ| | 分| | | とに気づかせる。 | |  | | c 「評」を含む熟語を挙げる。 | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | |2 文章の内容を予|2 「若さと理想」という題名から内容を|2 教材に親しみを持| | | 想する。 | 予想する。      | たせる。 | | | | | | | |3 全文の音読と難|3a グループごとに,難解語句等を確認|3 「評論」を意識さ| |展開| 解語句等の確認を|  しながら全文を音読する。 | せる。グループごと| | | する。 | | に,手順を工夫させ| |  | | b グループの代表が音読する。 | る。 | | | | | | | |4 文章内容に対し|4a 経験の有無,同意,疑+   |4 記入の便宜を図っ| |35| て自己の考えを持|  問・反論を思い起こす。|   | た作業プリント,学| | 分| つ。 |   |個の学習 | 習シートを事前に用| | | | b 自己の考えを学習シー| : | 意する。 | | | |  トに記述する。 + : | | | | |   : | | | | |     疑問や課題を出させる交流学習 | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |終末|5 本時の学習をま|5  学習の流れを想起し,次時は本時の |5 作業プリント,学| | | とめ,次時の見通|  個の学習の結果を発表したり,話し合 | 習シートを回収し,| |5分| しを持つ。 |  ったりすることを確認する。 | 点検する。 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+