印刷用紙:A4縦 1ページの行数:55 1行の文字数:82 −− 以下 指導案 本文 −− 高等学校理科(化学1B)学習指導案 指導者   高橋 匡之 1 学校名   岩手県立釜石南高等学校 2 対象学級  2年7組理数科 男子26名 女子16名 計42名 3 指導年月日 平成7年9月7日(木)〜19日(火) 4時間(65分授業) 4 主 題   溶解のしくみと溶解度      5 単元について         溶解は自然界の複雑な混合物から目的物質の抽出や精製のための最も単純で効果的な方 法である。「溶解」学習のねらいは、目的物質の抽出や精製と、「溶解のしくみ」や「溶 解度」などの基本事項とが深くかかわっていることを理解させることである。 ところが、これまでの「溶解」の単元の指導を検討してみると、「溶解のしくみ」と 「溶解度」の学習が独立したものとなり、それぞれの学習目標は達成されるけれども、  溶解学習のねらいである「溶解によって目的物質の抽出や精製ができる」ことを理解さ  せるための学習に至っていないという問題点が明らかになった。 これは、「溶解のしくみ」と「溶解度」の学習を関連させながら総合的に学ばせて、 「溶解」のねらいを達成させるという視点に欠けていたことによるものである。したが  て、この単元では「溶解のしくみ」や「溶解度」の学習を関連させ、発展させる実験教  材はなかった。 従って、本指導案では「溶解のしくみ」や「溶解度」の学習を関連させ、発展させる 実験教材を開発し、授業の中に位置づけて指導したものである。 6 指導計画   溶解のしくみと溶解度    溶解のしくみ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2時間    溶解度    ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1時間   総合実験   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1時間   合  計                       4時間   7 展開案   第1時から第4時の指導案を次ページ以下に示す。        授業指導案  <第1時> 1題材名   1 溶解のしくみと溶解度        A 溶解と溶液 2学習目標  (1)日常使う用語と化学用語を区別し、溶質が溶けて透明になることが溶けたかどうか    を判断する決めてになることを意識化する。  (2)溶けて透明になることを、ミクロの考察により理解する。 3展開 +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |時 |教師の活動 | 生徒の活動 |教材・教具・実| | | 間| |(期待する反応) |験道具試薬など| +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |導| 2 |自己紹介 | | | | | 5 |学習の進め方 |学習の仕方とテストの心構え |学習プリントの| |入| 3 |水の不思議さを読ませる|溶解の学習の動機づけ |配布 | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |【実験1】 |実験を行ない、考えをまとめる|エタノール・硫| | | 5 |1.イオウを水に入れてみ|1.イオウを水に入れ、よくかき|黄・ 水 | |展| | よう。これは溶けたと| 混ぜてみる。 | | | | | いえるだろうか。 | | | | | 5 |2.イオウをエタノールに|2.水のときとは違い、エタノー| | | | | 入れてみよう。これは| ルにぬれ、沈むけれど、かな| | | | | 溶けたといえるだろう| りのイオウが底に残っている| | | | | か。 | | | | |10|3.溶けているかどうかを|3.上の1.と2.が溶液なのか、溶| | | | | 調べるためにはどうし| 液ではないかを考える。 | | | | | たらいいでしょうか。|※1.と2.の上澄みをスポイトで| | | | | その方法を考えなさい| カバーガラスにとり、加熱し| | | | | 1.も2.も無色透明であ| てみる。 | | | | | り、全く区別できない| | | | | | 状態である。結果とし|イオウがなぜ見えなくなったの|学習プリント | | | | て、2.はイオウが溶け|か考えをまとめる。 | | | | | ていたわけであるが、| | | | | | イオウはなぜ見えなく| | | | | | なってしまったのだろ| | | | | | う。 | | | |開|15|4.2.の溶液をろ過し、イ|溶液中にでてきたものは何か。|ろう斗・ろ紙 | | | | オウを取り除いたろ液|自分の考えをまとめる。 |水・試験管 | | | | に水を入れる。 | | | | | |   ↓ | | | | | |コロイド溶液の確認 |ろ過できるかどうか予想し、実|ろう斗・ろ紙・| | | 5 |5.4.の溶液をろ過するこ|験する。 |セロハン・ビー| | | | とができるだろうか。| |カー糸 | | | 5 |6.4.の溶液をセロハン紙|目に見える程度のコロイド粒子| | | | | にいれたらセロハン紙|が、セロハン紙を通過できるか| | | | | の目を通るかどうか。|どうかを予想。 | | | | |(セロハン紙には分子レ| | | | | | ベルの穴が開いている| | | | | | ことを確認しておく)| | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |ま|10|溶解とは、溶質が分子レ|実験結果のまとめと本時のまと| | |と| |ベルの大きさになり溶媒|め溶質粒子の大きさと溶解の関| | |め| |中に分散することであり|係を理解する。 | | | | |溶液が透明になること。| | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+        授業指導案  <第2時> 1題材名   A 溶解と溶液(その2) 2学習目標  1 イオン性物質の水への溶解のしかたを理解する。  2 物質の化学式から、その物質の性質を予想できるようにする。 3展開 +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |時 |教師の活動 | 生徒の活動 |教材・教具・実| | |間 | |(期待する反応) |験道具試薬など| +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |導| 5 |前時の復習 |溶解は分子レベルの分散の確認| | |入| | | | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |《実験2》食塩を液体に|《実験2》注意事項:やけど |試験管1本 | | | | してみよう |観察:マクロ→ミクロの観察 |NaCl | | | | (4人1組の実験) | ※無色透明になることから、|キャンピングト| | | | ・キャンピングト |  塩化ナトリウムが分子レベ|−チ | |展| |  −チで加熱する。 |  ルまで、小さくなったこと|電気伝導性を確| | | ・電気を通すか、 |  に気づく。 |かめる装置 | | | |  どうか確かめる。 | ※食塩を液体にするには、か| | | | | |  なりのエネルギーが必要で| | | | | |  あることに気づく。 | | | | |《問い》 | | | | | |食塩を透明になるまで、|※水に溶かす。 | | | | |小さくする方法として、| 溶媒としての水のはたらき | | | | |他にはどんな事が考えら|(の凄さに気づく。    )| | | | |れる。 | | | | | |(水和イオンの導入‥結| | | | | | 合の仕方) | | | | | |◎分子のレベルになれば| | | | | |どんな物でも水に溶ける| | | | | |わけではない。水に溶け| | | | | |るグループと溶けないグ| | | | | |ループがある。 | | | | | | 水に溶けるもの | | | | | |  イオン性物質 | | | |開|50| | | | | | |  分子性物質 | | | | | |   極性分子 電解質 | | | | | |《演示実験》 | | | | | |水の極性を確認する実験|※水は特別な性質を持っている| | | | |・水の流れを静電気で曲| ことに気づく。 | | | | | げる。 | | | | | |・シャボン玉を静電気で| | | | | | 操る。 |四塩化炭素にヨウ素 | | | | |油に溶けるもの |四塩化炭素に硫酸銅 | | | | |分子性物質‥無極性分子|水にヨウ素 |ゴム栓・試験管| | | |《問い》右の組み合わせ|水に硫酸銅 |たて・四塩化炭| | | |で溶けるものと、溶けな|ベンゼンにヨウ素 |素・ヨウ素・水| | | |いものを判別しなさい。|◎予想を立てたのち実験する |硫酸銅 | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |ま| |《まとめ》 |極性分子と無極性分子を区別で|学習プリント | |と|10|硫黄の水への溶解性とエ|きるようになり、水に溶ける・| | |め| |タノールへの溶解性。 |溶けないの判断ができる。 | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+        授業指導案  <第3時> 1題材名   B 固体の溶解度    2学習目標  1 溶解してできた溶液中にも溶質は保存されていることを理解する。  2 温度によって、溶解度が変化することを理解する。 3展開 +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |時 |教師の活動 | 生徒の活動 |教材・教具・実| | | 間| |(期待する反応) |験道具試薬など| +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |導| |溶解のしくみの復習 |実験結果の疑問を解決し、整理| | |入| 5|(生徒の感想文の中から|する。 | | | | | 生徒の疑問を拾い出し| | | | | | 説明する。) | | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |《実験4》溶解度曲線を|試験管内の飽和溶液を、冷水で|2祉rーカー | | | | つくる実験 |冷やし、結晶を析出させて、析|30℃、40℃| |展| | 各温度における硝酸カ|出量を比較する。 |50℃、60℃| | | リウムの飽和溶液から| |における硝酸カ| | | | 駒込ピペットで試験管|《注意》 |リウム飽和溶液| | | | に一定量の飽和溶液を|次第に再結晶し始めるが、とき|20m視込ピ| | | | 入れる。 |どき針金でつっつき、結晶がな|ペット4本 | | | |飽和溶液‥これ以上溶質|るべく底にたまるようにする。|試験管4本 | | | |の溶けない溶液。 | |試験管立て | | | |マクロでストップ。 | | | | | |ミクロでつりあい | | | | | |結晶の質量不変 | | | | | | 溶質 ・ 結晶 | | | | | |    ↓ | | | | |45|  溶解平衡 | | | | | |固体の溶解度 | | | | | | 溶媒100汲ノ溶かすこ | | | | | とのできる 溶質の質 | | | | | | 量[犠 |実験によってできた沈殿の生成| | |開| |溶解度曲線 |量と教科書の溶解度曲線を対比| | | | | いろいろな温度におけ|させる。 | | | | | る溶解度をグラフで表|実験前に考えたことと実験結果| | | | | わしたもの |を見て考えたことをまとめる。| | | | |再結晶 | | | | | | 温度による溶解度の違|再結晶による物質精製の原理を|学習プリント | | | | いを利用して、固体物|理解する。 | | | | | 質を精製する操作 | | | | | | 溶解度曲線を利用しな| | | | | | がら、再結晶の説明を| | | | | | する。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |ま| |・溶かすことによる、 |学習プリントを整理する。 |学習プリント | |と|15| 物質の精製と | | | |め| | 物質の抽出をまとめる| | | | | |・温度と溶解度の関係 | | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+        授業指導案  <第4時> 1題材名   総合実験・・・・・・・・・・・・・・・・ 2学習目標  (1) 「溶解のしくみ」と「溶解度」の学習を関連させて考え、塩硝土を水に溶かすこ    とにより、硝石を取り出す実験方法を考えさせる。 (2) 総合実験を考えたり、体験することにより学習内容が明確なものとなり、「溶解」    の理解が深められる。 3展開 +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |時 |教師の活動 | 生徒の活動 |教材・教具・実| | | 間| |(期待する反応) |験道具試薬など| +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |◎硝石つくりのビデオを|◎VTRを見る。 |テレビ・VTR| |導| 5|見せる。 |・縁の下でなぜ、硝石を含む土|「やってみよう| | | |・富山県五箇山地方の合| ができるのか。 |なんでも実験」| | | |掌つくりの家の下におけ|・土から、どうやって硝石を取|〜土が燃える!| | | |る硝石つくりの様子。 | り出すのか。 |金属が燃える〜| |入| 3|◎自作読み物「塩硝土を|◎読み物を読む。 |の一場面 | | | |つくるを読ませる。 |・硝石つくりと塩硝土つくりを|学習プリント | | | | | 結びつける。 | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |◎発問 |◎実験手順を考える。 | | | | |・このビーカーに入って| | | | | | いるのが、越中五箇山| | | |展| | の塩硝土です。この塩| | | | | 2| 硝土から硝石を取り出| | | | | | す方法を考えなさい。| | | | | 8|・実験方法を考えたなら|◎実験方法を報告する。 | | | | | それを報告させる。 | | | | | |・実験方法のアドバイス| | | | | | をする。 | | | | | |・机間巡視する。 | | | | | |◎実験させる |◎実験をはじめる。 |実験テーブルの| | | |・ガスバーナーの取り扱|・塩硝土に水を入れる。 |下に実験器具を| | | | いに注意する。 |・溶液を加熱する。 |あらかじめ準備| | |35|・加熱したビーカーを持|・ろ過する。 |しておく。 | | | | つときの軍手を用意す|・ろ液を煮詰める。 |・ビーカー、ろ| | | | る。 |・再結晶させる。 |う斗、ろ紙、 | | | |・机間巡視する。 | |塩硝土、ガラス| | | | | |棒、試験管、軍| | | | | |手 等。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |ま| |◎観察事項の整理と実験|◎実験プリントに記入し整理す| | |と|10| のまとめを指示する。| る。 | | |め| |◎実験器具の洗浄と片づ|◎実験器具の洗浄をし、後片づ| | | | | けを指示す | けをする。 | | +−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+