印刷用紙:A4縦 1ページの行数:43 1行の文字数(半角文字で):96 音波の分析と合成装置を使った音波の単元の学習指導案 岩手県立総合教育センター 研修主事 互 野 恭 治 1 日 時  平成7年12月11日〜15日 2 対 象  岩手県立盛岡第四高等学校 普通科2年 3 教科書  数研出版(株)「物理1B」 4 単 元  波動 イ 音波 5 単元のねらい  波動では、観察、実験を通して、波動の基本的な概念や性質を理解させ、波動の具体的な例として日常生 活に深い音と光について調べ、それらの現象をとおして波のもつ一般的な性質を理解させることがねらいで ある。  とくにも音は、感覚器官を通して認識されるので,生徒の興味、関心も強く、音の性質を波動の一般的性 質と対比させながら理解させることができる。 6 指導方針  波動の一般的性質というのは、振動の仕方と伝わり方に大別できる。本指導案で取り扱うのは、前者の振 動の仕方である。音においては、振動の仕方によって、「高低」「強弱」「音色」の3要素を持つが、その 要因が何んであるかを意識させることは重要なことである。  とくにも、物質の固有振動が共振・共鳴によって引き起こされ、複雑な振動であっても、単純な単振動の 組み合わせであることに重点をおく。そのために、音センサーとコンピュータを組み合わせ、最も身近な素 材である人間の声を分析させる。また、コンピュータに波形を入力し、音波として観察する。さらに、単振 動の組み合わせによって複雑な声を合成させる。  これらの手法は、コンピュータを使うことによって初めて実現できることである。また、コンピュータの 処理によって、生徒個々の実験が可能である。それらの実験ともとに、生徒一人一人が自分の声を  いろ いろな角度から分析・合成することによって、音波のもつ一般的性質を理解させたい。 7 指導計画  1時間目(65分) 音の波形と三要素(実験)    2時間目(65分) 固有振動と探究活動(実験) 8 目  標    ・音の高低、強弱、音色を波形の要素で言い表せるようにする。    ・複雑な波形でも単振動の組み合わせであることを理解する。    ・固有振動は、物質の材質、形状によること、共振共鳴が重要な役割をすることを理解する。   ・固有振動に関連する探究活動をとおして、事象から法則性を読みとる力を養う。 9 使用教材  ・コンピュータ(PC-9801 NE2)  11台  ・音波の分析と合成装置(自作)  12台    ・TPシート           11枚    ・実験プリント      実験方法プリント       生徒数   まとめのプリント       生徒数   探究活動用プリント 生徒数 10 指導過程 1時間目(65分) +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | | 学習内容 | 学 習 活 動 |時間| 留意点及び備考 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | 導 |音について |●音は波の一種であり振動が伝わる現象で|7分| | | 入 | | あることを確認する | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | |実験1 |●音をコンピュータに入力し、音として再| |・実験は4人で一グ| | | 波形の観察 | 生したり波形を観測する。 | | ループとする。 | | | | | | | | |  |・コンピュータの使い方、音の入力方法、| |・コンピュータを11| | | | 再生方法、波形の拡大方法を説明する。| | 台、分析装置を12| | | | | | 台(1台は予備) | | | |・機器の調整のため、任意の言葉・歌など|25| 用意する。 | | 展 | | を入力・再生させる。 | 分 | | | | | | |・うなり波形用のお| | | |・「アイウエオツ」を入力させ、音を部分| | んさは3組用意し| | | | 的に再生させる。特に「ツ」は「子音+| | ローテーションで| | | | 母音」となっていることを確認させる。| | 使う。 | | | | また、各音の波形をスケッチさせる。 | | | | | | | | | | | |・おんさを使って正弦波およびうなり波形| | | | | | を観測させる。 | | | | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | |実験2 |●音の3要素である高低、強弱、音色の違| |・波形を予め描いた| | | 音の3要素 | いをコンピュータを使って確認する。 | | TP用紙を用意し| | | | | | 波形を描きやすく| | 開 | |・周期の短い正弦波と周期の長い正弦波を| | する。 | | | | マウスを使って描画させ、音として違い| | | | | | を観察する。 |25| | | | | | 分 |・線が二重になった| | | |・振幅の小さい正弦波と振幅の大きい正弦| | ときには、上の線| | | | 波を描画し、音として違いを観測する | | が優先することを| | | | | | 指示する | | | |・正弦波に近い波形と複雑な波形を描画し| | | | | | 音として違いを観測する。 | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | ま |実験1、2のまとめ|・波の波形、3要素についてまとめる | | | | と | | |8分| | | め | | | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ 2時間目(65分) +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | | 学習内容 | 学 習 活 動 |時間| 留意点及び備考 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | 導 |前時の復習 |●音の3要素及び機器の使い方を復習する|5分| | | 入 | | | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | |実験3 |●周期的に繰り返される振動の成分をコン| | | | | 振動の成分 | ピュータを使って調べる。 | | | | | | また、合成により成分が正しいことを確| | | | 展 | | 認する。 | | | | |  | | | | | | ・分析 |・フーリエ変換プログラムによりいろいろ| |・成分が連続しない| | 開 | | な音の成分を調べる。 | | ことに着目させる| | | | 1. 正弦波の成分 |25| | | | | 2. 「ア」の成分 | 分 | | | 1 | | 3. 矩形波および三角波の成分 | | | | | | | | | | | ・合成 |・単振動の組み合わせで複雑な波形を合成| |・合成するときには| | | | する。 | | 周期と位相差に注| | | | 1.「ウ」の波形(成分が簡単) | | 目させる。 | | | | 2.「ア」の波形(成分が複雑) | | | | | | | | | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | |探究活動 |●「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」を単振| | | | 展 | 音波の合成 | 動の組み合わせでつくる。 | |・振動の特徴を明確| | | | ・班員の声を調査し、複数のデータから|20| に捉えさせるため| | | |  共通する部分を見つける。 | 分 | に、合成に使える| | 開 | | | | のは、4成分まで| | | | | | とする。 | | | | | | | | 2 | | | | | | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | | 探究成果の発表 |●班ごとに合成した音を発表させ、もっと|10|コンテストのような| | | | もはっきり区別できた班を審査する。 | 分 |形式で行い生徒の意| | | | また、その成分を確認する。 | |欲を高める。 | +−−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+ | ま |実験3、探究活動の|・固有振動について、開管共鳴、閉管共鳴| | | | と |まとめ | |5分| | | め | | | | | −−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−+