印刷用紙:B4横 1ページの行数:44 1行の文字数(半角で):170 訪問教育部小学5年 養護・訓練学習指導案 ■日 時 平成3年9月27日(金)        10:15〜10:50 場 所 児童宅 (玉山村) 対 象 N・A (小学部5年 女子) 指導者 田中 佳裕1 題材名 「秋をさがそう」 2 題材設定の理由 ■ 本児は、染色体異常、外反足、脊柱側彎、胸部変形の障害を持つ小学部5年の 女子である。以前は季節の変わり目などに体調を崩して入院することが多かったが 、体が丈夫になってきており、ここ2年は入院することもなく過ごしている。そ こで週2回の自宅での学習では、日光浴を兼ねた歩行訓練などによる運動機能の向 上に重点をおいている。さらに、直接的な経験を通しての感覚機能の向上、コミュ ニケーションなどの内容を主に取り上げている。   本題材は「秋をさがそう」のテーマで、感覚機能の向上と経験の拡大を狙ったも のである。年間指導計画として感覚の指導項目では9月は視覚について、10〜12月 は味覚・臭覚について主に取り上げている。従って本題材の前半では感覚刺激のう ち視覚を中心に、後半では味覚・臭覚も取り上げ、幅広く感覚刺激を行うように計 画している。   本児は日頃、母親と一緒に買い物にでかけるなど、外出する機会は多い。しかし 、足元の草花や素早く移動する虫をじっくりと見たり触れたりすることは少ない そこで本題材で草花や虫とじっくり触れ合う機会を設け、本児の経験の拡大を図り たい。   また、本児は3秒程度の追視はできるが、集中して物を見続けることは苦手であ る。そこで、草花や虫を見せる際には声がけをすることによって、匂いや鳴き声に 気付かせ集中して見させたい。そのほか、初めて間近に見る虫などに対して怖がる ことも予想されるが、本児と一緒に触れることを繰り返す中で、草花や虫に対して 興味・関心を持てるようにさせたい。   指導にあたっては、指導内容について家庭によく理解してもらい、母親との外出 時などにもじっくりと自然に触れる機会を設けてもらうようにする。また、草花や 虫を室内に持ち込むことについても、協力が得られるようにする。  なお訪問教育部では、養護・訓練の内容を中核とした総合的な学習を行っている 。 3 指導目標  (1) 秋の草花や虫などを見たり触れたりすることを通して、感覚機能の向上を   図る。  (2) 経験の拡大を図る。 4 指導計画 (16回)  次    項   目      主 な 指 導 内 容    回 数  1 秋の草花や虫に触れる。 ・外へ出て草花や虫に触れる。    2                 ・野原の草花や木の実などを集める。  2 秋の草花や虫と遊ぶ。  ・草や木の実で遊ぶ。(どんぐり、                 落ち葉など)           5                ・虫と遊ぶ。(とんぼ、バッタ、コ                 オロギなど)          (本時                ・虫に餌をあげる。        3/5)             ・虫の声を聞く。  3 秋の草花で絵をつくる。 ・草花を使って絵をつくる。     2  4 秋の果物や野菜に触れる。・果物や野菜を見たり触ったりする。                ・果物や野菜の匂いをかいでみる。  4                ・果物や野菜を味わってみる。  5 果物や野菜の調理をする。・果物ジュースを作って飲む。    3                ・茶きんしぼりを作って食べる。  ※ 回数に ついて:120分の時間内で繰り返し行う場合や、前後の学習との組み合わ せなどを変更する場合もある。更に、取り上げる時間についても短時間であ ったり、やや時間を長くするときもあるので、回数で示している。  5 本時の指導   (1) 本時の目標    ア 落ち葉に親しみ、楽しく遊ぶことができる。    イ 歌を聞きながら落ち葉で遊び、秋を楽しむことができる。   (2) 児童の実態 (別紙)  (3) 本時の展開 (別紙)  (4) 評価   ア 落ち葉に親しみ、楽しく遊ぶことができたか。   イ 歌を聞きながら落ち葉で遊び、秋を楽しむことができたか。  (5) 配置図 本  ミシン等  入            棚        口            机                     ←------シート             た ん す 等  5−(2) 児童の実態、本時の目標 5−(3) 本時の展開  段階  学習内容    学 習 活 動        教 師 の 働 き か け          指 導 上 の 留 意 点       教材・教具 1.学習内・シートを広げる。・シートの音を聞かせたり、触らせたりする。・シートの手触りや音によって興味を持たせる。・シート  導 容の把握・落ち葉遊びをすること・床に座らせて落ち葉の入ったポリ袋に注目させ・落ち葉の音や声がけでポリ袋を注視させる。・ポリ袋 を知る。(音を聞く、 る。 ・聴覚、視覚、触覚、嗅覚の一つ一つの刺激を十分・落ち葉   入  見る、触る、匂いをか・様々な感覚刺激を通して落ち葉遊びをすること に味わわせる。   ぐ) をわからせる。  102.落ち葉・裸足になる。 ・援助して靴下を脱がせ袖をまくらせる。 ・自力でできる部分は自分でさせる。   分 遊びの準・袖をまくる。・寒くない程度に手足を出させ、直接皮膚でも落ち  備  葉の感触を味わうことができるようにさせる。 ・落ち葉を袋から出す。・落ち葉をポリ袋からシートにあけさせる。・落ち葉の落ちる様子をよく見させる。 3.落ち葉・手で触る。 ・援助して触らせる。 ・落ち葉の触れ合う音を聞きながら感触を楽しませ   遊び ・足や顔で触る。  る。   展 ・頭から落ち葉をかぶる。・頭上から落ち葉をふりかける。 ・感触や視覚的な刺激を楽しませる。 ・自分で落ち葉を頭にかけさせる。 ・最初は楽しめる程度に、教師が加減してかける。 ・目や口に入らないよう注意する。 ・手で撒き散らす。・教師が師範し、模倣させる。 ・落ち葉の落ちる様子を見させたり、落ち葉が体に   開   かかる感触を楽しませる。 ・落ち葉の上を運動する。・シート一面に落ち葉を広げ、その上で運動させ・感触や音、匂いを楽しませながら行う。  (歩く、四つばい、横  る。 ・随時、手や顔で落ち葉を触らせたり、頭から落ち  転)  葉をかぶらせたりする。  15   分4.落ち葉・歌を聞きながら落ち葉・「もみじ」「赤とんぼ」の歌を聞かせながら落・落ち葉の触れ合う音や感触、匂いを楽しませる。・ラジオカセッ   遊び  に触る。  ち葉に触らせたり、匂いをかがせる。 ・音楽を聞かせながらすることによって秋の雰囲気 ト  (歌を聞  を味わわせる。 ・カセットテー  きながら)   プ   ま5.あとか・落ち葉をポリ袋に入れ・教師が集めた落ち葉を援助してポリ袋に入れさ・落ち葉をポリ袋にきちんと入れられるよう、落ち・ポリ袋   と たづけ る。  せる。 葉や袋をよく見させる。   め・髪や服についた落ち葉をていねいに取る。 ・部屋に落ち葉が残らないよう注意してかたづける。 6.次回の・教師と対座する。・床に座らせ、次回の学習についての話を聞かせ・集中して話を聞けるように対座し、落ち着かせる。  10 学習につ・教師の話を聞く。 る。   分 いて ・シートをたたむ。・音を聞かせたり触らせたりしながら、シートを・楽しませながら、かたづけさせる。  たたませる。 ・上手にかたづけられたことをほめる。 資料   一日の学習の流れ  (9月27日 9:30〜11:30)  時間        ね ら い    学 習 内 容      学  習  活  動     教材・教具  9:30 引き継ぎ ・家庭との連携    ・親から児童の健康状態、家庭での様子等について      話を聞く。 健康観察 ・健康観察    ・健康観察。  9:35 朝の会  ・指示理解 ・机、椅子の用意  ・教師と一緒に机や椅子を運ぶ。・机 ・コミュニケーション ・はじめのあいさつ・椅子に座る。・椅子 ・礼の定着・礼をする。 ・手指機能の向上・朝の歌      ・キーボードの準備をする。(ファス・キーボード   ナーの開け閉め、袋からの出し入れ) ・挙手、握手の定着 ・挙手、握手をする。 ・移動能力の向上・カレンダーワーク ・自力で椅子から立ち上がり、自力歩・カレンダー   行でカレンダーの所まで行く。 ・注視 ・色鉛筆を箱から缶に移しかえる。・色鉛筆 (35分) ・カレンダーの今日の欄に色を塗る。・缶 ・カレンダーの今日の欄にシールをは・シール  る。 ・窓まで行き、窓の開け閉めをする。 ・言語理解力の向上・今日の勉強 ・今日の勉強の話を聞く。 ・運動機能の向上・今月の歌 ・ひざ立ちの状態で準備する。(テー・ラジオカセ ・手指機能の向上  プの出し入れ、ふたの開閉、スイッ ット ・コミュニケーション  チ押し) ・カセットテ ・歌や手遊びをする。  ープ ・指示理解 ・おわりのあいさつ・椅子に座る。 10:10 ・礼の定着・礼をする。 10:15 秋をさ ・感覚機能の向上・落ち葉遊び ・シート (35分) そう ・経験の拡大  別紙参照  (本時の展開) ・ポリ袋 ・運動機能の向上 ・落ち葉 10:50 ・手指機能の向上 10:55 着替え ・衣服の着脱動作・脱衣 ・途中までの介助で服を脱ぐ。 ・タオル ・指示理解 ・教師の「ちょうだい」に応じて、脱・ラジオカセ (15分)   いだ服を渡す。  ット 乾布摩擦 ・健康の保持・増進 ・乾布摩擦 ・教師の乾布摩擦に応じる。 ・カセットテ 11:10・着衣 ・部分介助で、服を着る。  ープ 11:15 帰りの会 ・コミュニケーション ・はじめのあいさつ・椅子に座る。 ・指示理解・礼をする。 ・礼の定着 ・今日の勉強 ・今日の勉強の話を聞く。 ・言語理解力の向上・帰りの歌 ・キーボードの準備をする。(ファス・キーボード (10分) ・手指機能の向上  ナーの開け閉め、袋からの出し入れ) ・挙手、握手の定着 ・挙手、握手をする。 ・礼の定着 ・おわりのあいさつ・礼をする。 ・指示理解 ・あとかたづけ ・教師と一緒に机や椅子を運ぶ。 11:25 引き継ぎ・家庭との連携    ・学習内容、学習の様子を伝える。 11:30 ・連絡事項の伝達。  注)         の枠の中が、本時の展開である。