教育センターニュース第115号 2018.02.27|岩手県立総合教育センターメールマガジン
教育センターニュース
115
◆すべては光る◆
岩手県立総合教育センター
http://www1.iwate-ed.jp/
メールマガジン
このメールマガジンは、岩手県内の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、特別支援学校へ、教育センターの研修・支援・研究に関する情報を迅速にお届けするために発行しています。
2018.02.27 お問合せ:ml-maga@center.iwate-ed.jp

[目次]

■1〔特集〕 平成29年度(第61回)岩手県教育研究発表会について

■2〔お知らせ〕 「教育研究岩手」105号の紹介

■3〔コラム〕 「親への恩返し」


[本文]
■1〔特集〕平成29年度(第61回)岩手県教育研究発表会について
 去る2月8日、9日の2日間、平成29年度(第61回)岩手県教育研究発表会を開催いたしました。2日間でのべ2,700名を超える参加者を得ての開催となりました。
 研究発表会の3年間の継続テーマである「確かな学び、豊かな学びをつなぐ」を受けて、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善をサブテーマとしました。岩手県教育委員会 高橋嘉行教育長の主催者挨拶から始まり、岩井昭教育次長の基調説明、京都大学高等教育研究開発推進センター教授 溝上慎一 氏の講演会、総合教育センターによる研究発表及び溝上慎一氏による講評で構成しました。

1日目開会行事から全体会の概要を紹介します。

○主催者挨拶 (岩手県教育委員会 教育長 高橋 嘉行)
 「震災からの教育の復興」を優先課題と捉え、第3期復興実施計画に基づき、引き続き、学びの場の復興に全力で取り組むとともに、「人を育む教育は社会形成の礎」との認識の下、「いわて県民計画」や「岩手県ふるさと振興総合戦略」に基づき、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を備え、調和のとれた人間形成に向け、本県の教育の充実を目指していくことについて述べました。さらに、本研究発表会テーマ「確かな学び、豊かな学びをつなぐ」を通じた「豊かな人間の育成」は、まさに学習指導要領の目指す「新たな時代を切り拓く資質・能力の育成」につながるものであり、学習指導要領の本実施に向けた具体的な授業改善のあり方を確認する場としたいという、本研究発表会の目的と意義について述べました。

○基調説明 (岩手県教育委員会事務局教育次長 岩井 昭)
 本研究発表会テーマ「確かな学び、豊かな学びをつなぐ」を受け、新学習指導要領が示された我が国の教育改革を背景とし、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」をサブテーマとして設定したことについて説明しました。そして、サブテーマを受け、「社会に開かれた教育課程」、「育成を目指す資質・能力」、「主体的・対話的で深い学び」、「カリキュラム・マネジメント」、「各教科等の特質に応じた見方・考え方」といったキーワードで文脈をつなげながら、学習指導要領等の改訂の趣旨や理念等について理解を深める場とする、本研究発表会における全体会の位置付けについて説明しました。

○講演会 (京都大学高等教育研究開発推進センター教授 溝上 慎一 氏)
 大学(高等教育)における取組や学生の実情、社会状況及び産業構造等の大きな変化について、調査研究等に基づいた根拠を示しながら、なぜ、アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善が必要なのか、新しい時代に求められる資質・能力と結び付けながら、明快にご教示くださりました。その中で、「深い学び」だけで成立するものではなく、「対話的な学び」が伴うことが重要であるという点に触れ、外化のプロセスが様々な思考力の育成につながっていくモデルを示し、実際の授業場面を取り上げながら授業改善の方向性についてご示唆くださいました。

○総合教育センター研究発表
 「見方・考え方」を鍵とした「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善、資質・能力を適切に見取るための評価方法等の工夫に焦点を当てて、各教科を貫く研究概要及び考え方について、総合教育センターが2年間進めてきた研究成果を発表しました。
 溝上慎一氏からは、本研究で提案した「単元構想シート」が資質・能力と授業改善とをつなぐ重要なツールとなり、こうした視点から授業改善に取り組むことは、今後どの校種においても重要になってくると、本研究を価値付けました。併せて、各教科等を横断して育成する資質・能力の必要性を挙げ、汎用的な調査項目を取り入れた検証を行うことによって、授業改善の成果や課題を一層明確にすることができるという点についてご教示くださいました。

★平成29年度(第61回)岩手県教育研究発表会資料の公開
 http://www1.iwate-ed.jp/kenkyu/siryou/index_29.html
 後日、分科会で発表された県内の先生方の発表資料についても、公開いたします。

○来年度の岩手県教育研究発表会のお知らせ
 平成30年度(第62回)岩手県教育研究発表会
 ・期 日 平成31年2月7日(木)~8日(金)
 ・会 場 花巻温泉、岩手県立総合教育センター、岩手県立生涯学習推進センター
 ・テーマ 「確かな学び、豊かな学びをつなぐ」
 多くの方々の参加をお待ちしております。 

■2〔お知らせ〕「教育研究岩手」105号の紹介
 「教育研究岩手」第105号の発行に向けて、現在編集作業を進めております。 今年度は特集テーマを「確かな学び、豊かな学びをつなぐ」とし、論説は千葉大学学校教育科学専攻教育開発臨床系特任教授 天笠 茂 氏より寄稿していただきました。主な執筆者及びテーマは下記の通りです。
 なお、県内各学校等の教育機関への発送は3月中旬を予定しておりますので、ぜひご一読ください。

◎教育随想「自分自身をみつめなおして」
  TBSテレビ アナウンサー 山形 純菜 氏
◎特集「確かな学び、豊かな学びをつなぐ」
〇論説「授業の質の改善を求めた学習指導要領改訂
 -『主体的・対話的で深い学び』の求め-」
  千葉大学学校教育科学専攻教育開発臨床系 
  特任教授 天笠 茂 氏
〇解説
 【「主体的・対話的で深い学び」の視点から】
  ・「主体的・対話的で深い学び」を読み解く
  県立盛岡第一高等学校 校長 川上 圭一 
 【「学力向上」の視点から】
  ・「学力向上の視点から児童生徒の一歩の成長を目指して」
  陸前高田市立第一中学校 校長 小野寺 哲男
 【「体育授業研究」の視点から】
  ・「子どもが主体的に学ぶ学習指導のあり方」
  西和賀町立湯田小学校 校長 盛島 寛 
 【「インクルーシブ教育システム」の視点から】
  ・「豊かな人間性を育む『交流及び共同学習』実践をめざして」
  県立釜石祥雲支援学校 校長 横澤 修
 【「特別な教科 道徳」の視点から】
  ・「考え議論する道徳」の確立を目指して
  滝沢市立滝沢第二中学校 校長 千葉 康彦
〇提言
  ・「『深い学び』をどう考えるか」
  国立教育政策研究所 総括研究官 山森 光陽
〇実践事例
  ・「自らを高め、共に認め合う生徒の育成」
   ~発問とそのつながりを工夫した授業展開を通して~
  久慈市立長内中学校 教諭 藤森 崇浩
◎平成28年度第60回岩手県教育研究発表会記録
◎研究・実践交流
◆研究報告 自分の考えを持ち、確かに表現できる子どもの育成
  ~複式学級における算数科の間接指導を通して~
  葛巻町立小屋瀬小学校 教諭 伊藤 由美子
◆指導実践 私たちの歌う意味
  県立不来方高等学校 教頭 村松 玲子
◆実践交流 喜んで遊びに取り組む子どもを育てる指導の在り方
 ~二人で一緒に思いを出し合いながら遊びに取り組んでいくようになるには~ 
  盛岡市立つなぎ幼稚園 副園長 佐藤 みき子
◆教材開発 特別支援教育の視点からの教材開発と実践について
  県立気仙光陵支援学校 教諭 鎌田 和茂
◎センターからの発信

■3〔コラム〕「親への恩返し」
 ネットで調べると、養育費と教育費を合算した額が子育てにかかる費用であり、特に教育費はどのような学校に行ったかで大きく変わるとある。自宅から通えるかどうかも大きく影響するだろう。それでも、子どもが大学まで行くとして、私が調べたところによると、平均して3,000万円ほどかかるらしい。子ども一人に、である。
 はたして自分はどうだっただろう。私は現在50歳。物価は違っているので、私に3,000万円かかっているとは言わないが、2,000万円はかかっているだろう。何しろ、私は高校から自宅を離れ暮らした。高校は下宿。大学はアパート。仕送り生活は7年に及んだ。
 さて、この2,000万円を私は親に返すことができるだろうか。
 「就職したら親へ仕送りをしなくてはならないもの」と、子供の頃は思い、自分にかかった経費・費用はすべて親には返すことができる。いや、それ以上だろうなどと浅はかに考えていた。実際就職してみると仕送りは苦しいことに気が付いた。そこで、お盆と正月にお小遣いを渡すことにして、現在まで続けている。情けないことに値上げは全くなし。この前計算してみると、半分も返していないことが判明して愕然とした。近い将来、同居して同一生計となれば、返せるだろうなどと思ってはいるが、まあ、難しい話だろう。
 自分が親の立場になってみると、自分自身は「返してもらわなくてよい。そもそも期待していない」という気持ちではいる。そして、その気持ちは自分の両親も同じであったであろうことは容易に推測できる。見返りを求めて子育てをするわけではないからだ。
 ただ、見返りは求めないとはいいながら、自分たちのことを気にしてもらうのはうれしかったりする。ちなみに息子は就職して、お盆と正月に私達にお小遣いをくれる。嫁の教育が効いたらしい。そういえば、自分が初任給をもらった時(当時は手渡しだったが)、「初任給は手をつけず、そのまま親に渡すものだ。親はありがとうと言ってそのまま返してくれるはずだ」と上司が教えてくれた。その通りにやってみると、本当に上司が言った通り「ありがとう、はい、返します。」と言って給料袋を渡してくれた母の顔は忘れられない。嫁と、元上司に感謝。
 このような話は高校生にも必要だろうと考え、時々話したりする。そんなとき生徒は神妙な顔で私の話を真剣に聞くのである。

□教育センターニュースの配信登録及びバックナンバーはこちらです。
 http://www1.iwate-ed.jp/news/ml-maga/index.html
□携帯サイト:お手持ちの携帯電話に「お気に入り」登録すると便利です。
 http://www1.iwate-ed.jp/mobile/index.html
□メルマガに関するご意見・ご要望の宛先は、ml-maga@center.iwate-ed.jp です。


教育センターニュース 第115号/発行元 岩手県立総合教育センター