物理の教材紹介

圧力実験器「パスカルん」

 本教材の一番の特徴は、3種類の断面積の異なるペットボトルから生じる圧力の違いを、3つではなく1つの計測装置で示そうとしたところにある。3つのペットボトルによる圧力のうち、目的のペットボトルの圧力だけを計測するために、他の2つのペットボトルにつながっているシリコン製のチューブを目玉クリップで止めて、遮断するように工夫した。
 また、計測に際しては、セロハンテープに直接記録することにより、繰り返し測定できるようにするとともに、生徒が容易に計測結果を検討・保管できるように配慮した。

感圧部 計測部 接続部



“感圧部”そのものは、ビニールの袋をペットボトルの中に押し込み、その中に水を満たしただけのものである。このままでは、正しく圧力が伝わらないため、ペットボトルの断面積とほぼ同じ面積の発泡スチロールの板を準備し、おもりの重さがペットボトルの断面積に均等にかかるように工夫してある。さらに装置全体を100円ショップで購入したかごの中に入れることで、持ち運びが簡単にできるように配慮した。 “計測部”は、市販のアクリルパイプ(内径10mm長さ1000mm)を半分(に切断しただけのものである。実験で計測する際には、アクリルパイプの表面にセロハンテープを張り、直接水面の高さを油性ペン等でマークできるようにしてある。この方法だと実験終了後にセロハンテープを机に貼り付け水面の高さを計測するのにも便利である。 “接続部”は、フィルムケースにガラス管(内径6mm長さ20mm)をエポキシ系接着剤で4本接合し、シリコン製のチューブで連結したものである。“感圧部”の3つのペットボトルと“計測部”のアクリルパイプを水で満たした状態に接続してある。
 


実験の方法

@  それぞれのペットボトルのビニール袋に水を満たし、ゴム栓を接続し逆さまに設置する。
A  ビニール袋に空気が入っている場合は、空気を追い出す。
B  圧力を伝える発泡スチロール板をビニール袋の上に設置する。
C  計測部にセロハンテープを貼り、基準となる水面を記録する。
D 測定するペットボトルを決め、それ以外の2つのペットボトルにつながるシリコンチューブを折り曲げ、クリップでとめる。
E おもり(缶コーヒーの空き缶に砂を詰めたもの約3N)をのせ計測部で上昇した液面の高さをマークする。
F おもりをはずしたあと水面が基準の水面に戻ったことを確認した後、別のペットボトルで同様の実験を繰り返す。

岩手県立総合教育センター理科教育担当 2005
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