期日 | 平成8年9月26日(木) 5校時 |
対象 | 4年生1学級(男6名 女4名 計10名) |
指導者 | 川 崎 喜 生 |
勇気をもって正しいと思うことを行う判断力を高める。
学校が終わると、けんじは、一郎や明にギャングごっこの仲間に入れてもらった。隠れ家を作って自分たちの行動を大人に知られないようにするスリル満点の遊びだ。そのうち一郎と明はお祭り道具が入っている町内会の倉庫を隠れ家にしようとするが、けんじはあまり気がのらない。二人に、「弱虫。勇気がない。」などと言われ、どうしたらよいか分からなくなってしまった。 |
段 階 | 学 習 活 動 | 主な発問と期待する児童の反応 | 指導上の留意点 | ||
導 入 |
学 習 の 方 向 づ け |
1 冒険や探検の経験について話し合う。 | ◎ 友だちと冒険したり探検したりして、おもしろかったことに、どんなことがありますか。 ・ 近くの神社の森の中に入って探検ごっこをして遊んだ。 ・ 原っぱに行って、一日中虫探検をして、たくさん集められた。 |
・ 児童の体験だけでなく、教師自身の子どもの頃の体験も語るなどして、ふんい気を効果的に作りたい。 | |
○ 今日勉強するお話は、だれにでも一度はあるような、友だちとの冒険や探検についてです。 | 教師自身にも、小さい頃にはスリルのあることも、失敗もあったことを話すなどして児童の興味を引いていくことによって、冒険や探検の経験に対して共感させていきたい。 | ||||
展 開 |
価 値 の 追 求 |
2 資料「ぼくらはギャング」を読んであらすじをとらえる。 | ○ 一郎の家の物置を隠れ家にしながら、けんじはどんな気持ちで見張りをしていますか。 ・ 見つからなきゃいいなあ。 ・楽しいなあ。 ・ ドキドキするなあ。 |
・ 友だちの仲間にミスターCとして仲間に入れてもらい、隠れているときの気持ちを十分に出させたい。 | |
○ 倉庫を隠れ家にしようとしたときけんじはどんな気持ちで「でも、大事な道具が入ってるんだよ。」と言ったのだろう。
・ 道具をこわしたらいけない。 ・ 勝手に入っちゃだめだ。 ・ ここはダメなんじゃないか・・・。 |
「小さな声で」にも補助的に着目させ、正しいことを積極的には発言できなかった主人公の立場にも共感させたい。 | ||||
◎ 「弱虫。勇気がないな、・・・」「せっかく仲間に入れてやったんだろう。」と言われたとき、けんじはどんなことを考えたのだろう。 ・ ことわると、もう仲間に入れてもらえないかも・・・。 ・ ことわって、弱虫とか勇気がないとか思われたくない。 ・ やっぱり入ろうか。 ・でも入らない方がいいかな。 |
・ 弱虫や勇気がないと言われることを児童はどう思うかを十分に考えさせるように、補助発問を適宜行うようにする。 | ||||
3 けんじの立場で考える。 | ◎ みんながけんじだったら、このあとどうしますか。 | ||||
学習カード記入@ C1 まず、自分がけんじだったらどうするかを考えて書いてください。それから、どうしてそうするのかも書いてください。 |
・ 児童が、けんじの立場になって考えて書けるよう、机間指導の中で支援する。同時に、児童がどんな考え方を記録しているのかを価値の類型に基づいて教師が把握し次のグループ作りに生かす。 | ||||
(どうする?) | (なぜ?) | ||||
・ 倉庫に行かないで帰る。 ・ 倉庫に入る。 ・ 「いけないことだ。」と言う。 |
・ 大事な道具をこわしてはいけないから。 ・ 悪いことはしたくないから。 ・ 見つかるとおこられるから。 ・ 次から仲間に入れてもらえなくなるから。 |
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価 値 の 把 握 ・主 体 的 自 覚 |
4 友だちの考えを 知る。 |
グループでの話し合い ◎ 今、カードに書いたことをグループの中で発表し合いましょう。 ― グループを作る ― |
・ 類似した考え方が一つのグループに偏らないように配慮する。 | ||
学習カード記入A C2 友だちの(それはなぜ?)のところを聞いて、自分の考えと比べてみましょう。比べた結果を、図にしてみましょう。 |
・ 図の書き方について、戸惑う児童もいると思われるので、机間指導で支援する。 | ||||
学習カード記入B C3 友だちの考えで、いい考えだと思ったことを書きましょう。 ・ 倉庫に入るのは、悪いことだ。 ・ 仲間が怒られるのを、放っておくのはいけない。 ・ 悪いことはきちんと教えた方がよい。 ・ 町内会の人の迷惑になることはいけない。 など |
・ 友だちの考えを含めても自分の考えがいいと考える児童には「今(これから)も・・・の考えをしたい。」などの形で自分の考えを書いてもよしとする。 | ||||
6 より望ましいと思う考えを出し合う。 |
◎ カードに書いたことをもとに、どんな考えがいいと思ったかを発表しましょう。 (例) 〜君(さん)の考えがいいと思いました。なぜかというと、ぼく (わたし)は見つかると怒られるから倉庫に入らないと考えたけど、〜君(さん)は大事な道具をこわしてはいけないというところまで考えたからです。怒られることよりも、迷惑をかけるということを考える方がいい考えだと思いました。 など |
・ 次の視点で発表をさせる。 @ いいと思う考え方について (いいと思うわけをつけて) A 自分の考え方と比較して |
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7 これから大切にしていきたいことを発表する。 | ◎ 今までの自分の経験を振り返りながら、これから大切にしていきたいと思うことを発表しましょう。 | ・ 児童の経験を想起させながら例えば、「あのときはこうしてしまったけどこれからはこう考えていきたい(こうしていきたい)」などのような発表をさせたい。 | |||
終 末 |
生 き る 方 向 性 |
8 まとめ | ◎ 先生が、勇気をもって正しいことを行うことの大切さを感じた経験を話しましょう。 | ・ 教師の思い出に残っていることを簡潔に話し意欲付けを図る |
友だちの勇気についての考え方がわかり、これから勇気をもって正しいことを行うための判断力が高まったか。