住田町立世田米小学校 及川 美香子
マンガ「ドラえもん」で有名な大山のぶ代さんは生まれつき、「どら声」であった。
小さい頃ののぶ代さんは、「どら声」ということに気づかず、のびのびとした幼年時代を過ごすが、中学生になると自分の声にひけめを感じるようになる。「何かしゃべると人がわたしの顔を見る」、のぶ代さんは、もう人前で声が出せなくなり追つめられた思いになる。
そんなとき、母に「人前でどんどん話をしなさい」と勧められる。
悩んだ末に、彼女は演劇部に入り話す努力を始める。その結果として、人前で声を出したり、話したりすることができるようになる。そして、現在の職業につながり、女優として芸を広げることになる話である。
過程 | 学習活動と主な発問 | 児童の主な反応 | 指 導 上 の 留 意 点 | ||||
導 入 |
価 値 へ の 方 向 づ 付 け |
1、ドラえもんの声を聞き、感じたこと発表する 〇ドラえもんの声を聞いて、感じたことを発表してください |
・おもしろい声だ ・ガラガラしている |
・マンガのドラえもんの声を聞かせて、資料への方向づけとともに、価値への方向づけをする | |||
展 開 |
状況把握 | 2、資料「ドラえもんの声」を読み、感想を発表し、話し合いへの意識をもつ
〇わたしについて思ったことを発表しましょう |
P3 自分の声がドラえもんの声に役に立ったなんてごいなすごいな |
P2 人前で自分の声が出せなくなり、かなり悩んだと思う |
P1 どうして、ドラえもんの声に、自分の声を生かせたのだろう |
・パネラーを実態調査及び、事前の感想に基づき、選出する ・登場人物の行為や心情に共感する考え、疑問や批判する考え、悩みに共感する考えの感想からそれぞ れパネラーを選出する ・パネラーの考えを聞き、その考えを全体に広げて考えさせ、話し合いへの意識をもたせる |
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3、わたしの気持ちについて話し合う 〇中学生のころ、何かしゃべると人に顔を見られたわたしは、どんな気持ちだったでしょう |
・わたしの声はそんなにひどいの ・どうして顔をみるの。生まれつきなんだものしかたがないじゃないの ・はずかしいから見ないで ・もう絶対にしゃべりたくない |
・幼少の頃の「わたし」の状況をおさえさせる
・自分の声はだめなんだとひけめを感じ、もう、しゃべりたくないとうまでになる「わたし」の気持ちに共感させる |
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聞 き 合 う |
〇母親に「人前で話をするようなことをしなさい」とすすめられたわたしは、心の中でどんなことを思ったでしょう | <パネラーの考え方、感じ方を聞く> | ・母親にすすめられ、やってみようという思いとすすめられてもできないという思いで悩む「わたし」の気持ちを出させる ・やってみようという思いには、何とか今の状態から抜け出したいという気持ちや、母親を心配させたくないという思いが入り混じっていることをおさえる チェック1 聞き合う活動後の自分の考え方、 感じ方をチェックする |
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P3 演劇部に入ってやってみよう |
P2 どうしよう |
P1 演劇部に入ることはできない |
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<パネラーの考えに自分の考えを位置づける> | |||||||
・このままではいけない。このままだったら自分がだめになってしまうから、母さんの言うとおりにやってみよう
・お母さんが心配して言ってくれたから |
・どうしよう。お母さんの言うようにするとうまくいくかもしれない。だけど、また、いやな思いをするかもしれない | ・何てことを言うんだ。ますます人前でしゃべられなくなるだけじゃないか ・また、いやな思いをするのはいやだ |
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<パネラー同士の話し合い> | ・「わたし」の心の中を話し合わせるが、このとき、前のパネラーの話を受けて話させるようにさせる ・価値的に低い考えから発表させる チェック2 パネラー同士の話し合いを聞いた後の自分の考え方、感じ方をチェックする ・迷う「わたし」の気持ちに気づき、話し合いにより心情や判断の根拠をほりさげさせる ・できないという考えに肩入れし、 やってみようとするよさに気づかせる チェック3 全体で話し合いをした後の自分の考え方、感じ方をチェックする |
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・このままなら何も変わらないよ。演劇部に入ることで人前でも話せるようになるよ | ・その気持ちもよくわかるよ。でも、人前で声が出せない。このままではよくないよ | ・ますます人前でしゃべれなくなるじゃないか | |||||
<パネラーの考え方、感じ方に質問や意見を述べる> | |||||||
<全体での話し合い> | |||||||
よ さ を さ ぐ る |
〇どんな気持ちがあったから、わたしの声がドラえもんの声に生かせるまでになったのだろう | <パネラーの考え方、感じ方を聞く> | |||||
・自分の声を人前でも出せるように、練習を重ねて努力すれば、きっといつか自分の声だって、何かの役に立つ | ・お母さんが心配して言ってくれたんだ。お母さんのためにも練習を重ねよ | ||||||
<自分と比較した考えを発表し、話し合う> | |||||||
<登場人物のよさをまとめる> 声を出す練習を重ねて、自分の声が出せてもそこでやめずに、自分の職業にその声を生かしたこと |
自分の悪声を自分らしさと受けとめ努力により生かすことができたことが理解できたか | ||||||
<自分や友達のよさ、不十分さに気づかせる> | チェック4 話し合いをした後の自分の考え方感じ方をチェックする |
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価 値 の 感 得 |
〇自分の声が役に立ったとき、わたしはどんな気持ちだったでしょう | ・悪い声だと思っていたけれど、役に立って本当にうれしい ・あのとき、わたしなんてとあきらめていたら、自分の声を生かせなかっただろう。本当にがんばってきてよかった |
・悪声だと思っていた声が役に立ち、喜びやうれしさで胸がいっぱいになっているわたしの気持ちを感じとる | ||||
価 値 の 主 体 的 自 覚 |
・自分にしかないところや自分らしさは何だと思いますか | ・何でもあきらめないでやろうとするところ
・イラストを書くのがうまいと自分で思っている ・本を読むのがすきなところ |
・見つけた自分のよさを十分に内省する | ||||
終 末 |
実 践 へ の 意 欲 づ け |
4、詩を聞き、まとめる | ・金子みすゞの「わたしと小鳥とずずと」の詩の朗読を聞かせる |