第 5 学 年 国 語 科 学 習 指 導 案
指導期間 | 平成12年9月7日〜10月7日 |
指導学級 | 紫波町立日詰小学校第5学年 |
指導者 | 田中 勝(長期研修生) |
1 単元名 「みんなで考えよう」〜光村図書『希望』5年上巻〜
2 単元について
(1) 教材について
本単元は、説明文教材「一秒が一年をこわす」とそれを受けた学習例「身近な環境」とから構成されている。説明文教材「一秒が一年をこわす」は、大きく分けて三つの意味段落から成り立っている。この三つの意味段落は、それぞれが小見出し「科学技術の発達に伴う地球環境の悪化」「地球の誕生と人類の誕生」「地球からのしっぺ返し」としてまとめられる。この三つの意味段落による構成から、地球の誕生以来の膨大な量におよぶ時間の流れの中で、ほんのわずかの時間しか過ごしていない我々人類が、いかに地球の環境や生態系に悪影響を与えてきたかを読みとらせることをねらいとしている。
また、「身近な環境」として例示されている学習活動は、前教材「一秒が一年をこわすでの学習を受けて学習者が直面している環境問題の身近さについて気付き、そこから自分たちの身の回りの環境に目を向け、自分たちができることについて考えさせるきっかけとなることをねらっているものである。自分たちで調査したことを発表し合う活動を経験するなかから相手意識・目的意識をもち、自分の考えを伝えようとしたり相手の考えをくみ取ろうとする力が育成されていくものと考える。
(2) 児童について
児童は、これまでに、説明文の学習として段落毎の要点をおさえたり、段落相互の関係を考えたりする学習を経験してきている。また、国語の学習を進めるなかで自分の考えをもち、発表する経験を積んできている。しかし、児童の実態をみると、漠然と話したり聞いたりすることはできるものの、相手や目的を意識して自分の考えを話したり、話の目的や意図を理解して聞いたりすることができるところまでには至っていない。
(3) 指導にあたって
本単元の指導にあたっては、「一秒が一年をこわす」という説明文教材と「身近な環境」という学習活動をとおして、これまで培ってきた要点をおさえる力や段落相互の関連をとらえる力をさらに伸ばすようにしたい。また、自分の考えを発表したり相手の考えを聞いたりする活動をとおして伝え合うことの大切さに気付かせていきたい。そのために、まず、単元の第一次「つかむ」段階において、学習課題をつかみ、教材文の要点をおさえたり、要旨をとらえたりする活動を行う。同時に、巧みな表現方法に目を向け、表現のよさを取り入れる。
次に、第二次「ふかめる」段階では、自分でテーマを設定し、調査し、発表の準備をする。調査した内容をメモに書きとめ、相手意識・目的意識をもって相手に伝わるように構成していく活動を行う。最後に第三次「ひろげる」段階では第二次「ふかめる」段階で準備したことを発表し合い、その内容をもとに、自分の考えや相手の考え、気付いたことをメモに書きとめ、組み立ててまとめる活動を取り入れて話し合いをもつ。
3 単元の目標
(1) 関心・意欲・態度
自分から進んで図書館などを利用して必要な情報を集めたり、調査などをして資料を集めたりし、発表しようとする。
(2) 表現の能力
集めた情報や資料を利用し、自分の考えや相手の考えを取り入れて話したり書いたりすることができる。
(3) 理解の能力
段落の要点や段落相互の関係に注意しながら読んだり、友だちの話を聞き取ったりすることができる。
(4) 言語についての知識理解
事実と意見とを区別し、構成を考えて文章にまとめることができる。
4 単元の指導計画(全14時間)
次 | 時 | 学 習 指 導 目 標 | 主 な 学 習 活 動 |
一 つ か む |
1 | ○教材文を通読し、疑問に思ったことや初めて知ったことをまとめることができる ○まとめたことをもとに学習の見通しをもつことができる |
・新出の漢字を学習したり、意味のわからない語句を
調べたりする ・「一秒が一年をこわす」の題名から想像できることを話し合う ・疑問や感想を出し合い、班で話し合う |
1 | ○疑問に思ったことをいかして話し合いをもち、学習課題を設定することができる | ・疑問や感想をもとに学習課題を設定する ・班毎に考えた学習課題を出し合い、学級で話合って課題を設定する |
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3 | ○「一秒が一年をこわす」が大きく三つのまとまりから成り立っていることをおさえることができる ○まとまり毎の内容を、メモに書きとめたことを組み立ててまとめる活動をとおして要約することができる ○学習課題に対する答えを段落の要点や段落相互の関係に注意しながらまとめることができる |
・「一秒が一年をこわす」が大きな三つのまとまりで構成されていることをつかむ ・筆者の伝えたいことや自分の考えをメモに書きとめ、組み立ててまとめる ・他の児童のメモのとりかたにも目を向け、よい点を指摘し合う ・一つめのまとまりについて、要点や重要語句 をメモに書きとめ、内容を要約し、文章構成を考える ・二つめのまとまりについて、要点や重要語句をメモに書きとめ、内容を要約し、文章構成を考える |
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二 ふ か め る |
5 | ○「身近な環境」を読み、環境についての自分たちの考えを出し合うことができる ○調べたことをみんなに知らせる方法を話し合うことができる ○自分たちが取り組むテーマを決定することができる ○調査のために必要なものを選択し、情報を集めることができる ○調査したことをもとにして事実と意見とを区別し、構成を考えて発表原稿を作ることができる |
・身近な環境について自分の考えを出し合う ・自分たちが取り組んでみたいことを班で出し合い、話し合う ・調べたことを知らせる方法を話し合う ・取り組みたいテーマを決める ・図書館やインターネットなどを利用して必要な情報を集め、メモに書きとめる ・集めた情報をもとに、自分たちの考えを取り入れ、事実と意見とを区別し構成を考えてまとめる |
三 ひ ろ げ る |
3 | ○テーマにそってグループ毎に発表することができる ○発表を聞き、相手の考えや自分の考えをメモに書きとめ組み立ててまとめる活動を行うことができる |
・発表を聞き、相手の考えや自分の考えをメモに書きとめる ・メモに書きとめたことを組み立ててまとめる ・まとめたものをもとに交流する |
5 本時の指導 (◆印は、手だてにかかわる内容である)
(1) 学習計画にそって、要点を読みとり要約文にまとめることができる。
ア 目 標
○ 「一秒が一年をこわす」の二つめのまとまりの要点をおさえたり、要約文にまとめたりすることをとおして文章構成をつかむことができる
◆ メモに書きとめたことを組み立ててまとめ、自分の考えを加えて、課題に対する答えをまとめることができる
イ 展 開
段階 | 学 習 活 動 | 指導上の留意点及び評価 | |
つ か む (5) |
1 二つめのまとまりについて学習していくことを知る 2 学習課題をつかむ
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・話題の転換点を意識させるようにし、時間と人類との関係について意識させる |
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ふ か め る (30) |
3 それぞれの段落の要点をまとめる ・段落毎の要点をメモに書きとめる ・段落毎の要点をまとめたメモを見せ合う 4 段落毎の要点を発表する ・自分が書きとめたメモをもとに発表する ・文章の構成について考える 5 自分の考えを書く 6 筆者が述べていることについて、自分の考えを加えながらまとめる ・やりとり作戦シートに、メモに書きとめたことをまとめる |
・メモの取り方を意識しながら要点や重要語句を抜き出すことができるよう支援する ・小グループでの見せ合う活動をとおして抵抗感を削減 するようにする ・メモをもとにすることで話すことへの抵抗感を少なくする ・初発の感想を意識させながら自分の考えを書かせたい ・付箋に書きとめたことをもとに大事なものを選択させまとめさせる |
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ひ ろ げ る (10) |
7 筆者が述べていることについて、自分の考えを加えながら発表する 8 学習を振り返って自己評価する 9 次時の学習活動の確認 ・発表会の準備をすることを知る |
・メモをもとに発表することができたか ・やりとり作戦シートの評価欄に記入する |
ウ 評 価
○ 「一秒が一年をこわす」の二つめのまとまりの要点をおさえたり、要約文にまとめたりすることをとおして文章構成をつかむことができたか
(2)メモに書きとめたことを組み立ててまとめる活動を取り入れた学習
ア 目標
○ 自分たちの調査結果が、相手に伝わるように発表することができる。
◆ 自分の考えや相手の考えをメモに書きとめ、構成して話すことができる。
イ 展開
段階 | 学習内容及び活動 | 指導上の留意点及び評価 | |
つ か む (5) |
1 発表会について、すすめかたに関する説明を聞く 2 学習課題をつかむ
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・地球温暖化について調査したグループから開始する |
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ふ か め る (30) |
3 各グループの発表を聞いて、要点・疑問点・自分の考えをメモに書 きとめる 4 発表を聞いて気が付いたことを書きとめたことをグループの中で見 せ合う 5 メモに書きとめたことを組み立ててまとめ意見を話す準備をする 6 意見を交流する |
・これまでの学習で身に付けてきた ことを生かして学習を進めていく ことを意識させる ・各グループの発表を聞き、これまでの学習を生かして要点や疑問点 をおさえるようにさせる ・メモに書きとめることができたか ・友達のメモの良さを見つけることができたか ・メモした中から発表に必要な事柄を選択することができたか ・選択した事柄を発表できるように構成する事ができたか |
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ひ ろ げ る (5) |
7 学習のまとめ 8 次時の学習内容の確認 まとめの感想を書くことを知る |
・自己評価することができたか |
・結果を相手に伝わるように発表することができたか
・自分の考えや相手の考え、気付いたことをメモに書きとめ、まとめることができたか