指導期間 | 平成10年9月16日〜10月3日 |
指導学級 | 大野村立林郷小学校第5・6学年 5年男4名、女2名、6年男5名、女4名、計15名 |
指導者 | 佐々木 義明(長期研修生) |
(1) 教材について
この単元では、児童が生活のなかから関心のあることを調査し、その結果を発表原稿にまとめ、研究発表をするという活動を行う。その活動をとおして、取材の方法や分かりやすい文章にまとめるための工夫や意図がはっきりした話し方の工夫を理解させることをねらいとしている。活動する範囲が広がり公的な場で話すことが多くなる高学年の児童にとって、要旨がはっきりした文章を書き、意図をはっきりさせて話す指導を行うことは、大切なことである。
(2) 児童について
児童は今までに各種行事の体験を作文にまとめたり、生活意見文を書いたりする学習を行っている。しかし、口頭発表を目的として発表原稿を書いたり、表現のしかたを工夫して発表したりする学習についてはあまり経験がない。また、学習時の話す場面では、自分の考えを述べることはできるが、自分の考えが伝わりやすい話し方ができる児童は少なく、意図をはっきりさせて話す力がどの児童にも身に付いているとはいえない。これは、小さい頃から少人数で変化が少ない集団生活であるために、はっきりとした口頭表現をしなくても通じるということと、聞き手の立場から自分の話し方を振り返る経験が少ないために、聞き手の受けとり方を考えて話そうとする意識が低いことによるものと思われる。そこで授業では、意図がはっきりした発表原稿や発表のしかたになっているかを聞き手の立場に立って検討し、意図がはっきりした話し方を指導することが必要であると思われる。
(3) 指導にあたって
本単元の指導にあたっては、聞き手の立場に立って意図をはっきりさせて話すことを単元の目標とする。そのため、単元の導入で意図がはっきりした話し方とはっきりしない話し方を比較させ、意図をはっきりさせて話すために大切な点を理解させる。次に調査した結果を発表原稿にし、研究発表会を開く。その過程で、内容や構成や話し方を集団で検討する場を設けることによって、どのような点に配慮すると聞き手にとって意図が分かりやすくなるかを体験的に理解させ、話す力を高めたい。
調査して材料を集め、要旨がはっきりした発表原稿を書き、意図をはっきりさせて発表することができる。
5年生
要旨がはっきりした発表原稿を書き、意図をはっきりさせて発表することができる。
6年生
発表時間を考慮して発表原稿を書き、意図をはっきりさせて発表することができる。
第一次 単元の目標をつかみ、調査の準備をする。(4時間)
・単元の目標をつかむ。(1時間)
・教科書作品をもとに調査方法と書き表し方の工夫をつかむ。(1時間)
・集団のテーマと個人テーマを決める。(1時間)
・調査の準備をする。(1時間)
第二次 調査結果を発表原稿にまとめる。(6時間)
・取材した結果を集計して取材メモを書く。(1時間)
・取材メモと発表資料を書く。(1時間)
・取材メモを検討して補正、修正する。(1時間)
・構成を検討して修正し、発表原稿を書く。(1時間)
・表現のしかたを検討し、修正する。(1時間)
・話す態度を検討し、修正する。(1時間)
第三次 研究発表会を開く。(1時間)
・研究発表をする。(1時間)
(1) 目標
調査をとおして分かったことを取材メモに書き、集団内で検討し、要旨がより分かりやすい取材メモにすることができる。
@ 分かりにくいところはないか、もっと知りたいことはないかなどの点から取材メモの内容を検討し、要旨が分かりやすい取材メモにすることができる。 (5年生)
A 発表時間を考慮しながら取材メモの内容を検討し、発表時間にあった要旨が分かりやすい取材メモにすることができる。 (6年生)
(2) 展開
評価項目 5年生 | (5年生) 学習活動と教師の支援 (6年生) | 評価項目 6年生 | |
1 学習課題を確認する。 | |||
取材メモを見直して、分かりやすくしよう | 取材メモを見直して、2分くらいの発表ができるようなメモにしよう | ||
・検討するポイントと検討する方法が分かる。 | 2 取材メモの検討のしかたを理解する。 ・資料を使いながら検討のしかたを説明し、検討の手順を理解させる。 ・検討内容は取材メモにメモ書きする。 ・メモ内容の意味が分からないときには聞き返す。 ・6年生は、取材メモの記述内容を検討した後、発表時間にあった取材メモになるように検討をする。 |
・検討するポイントと検討する方法が分かる。 | |
・友達の取材メモを検討する ことができる。 | 3 取材メモを検討する。 ・取材メモを集団内で読みあい、次の観点で検討する。 |
・友達の取材メモを検討することができる。 | |
・具体的な表現がされているか。(数・形・色など ・調べた結果と考えたことが区別されているか。 ・文が長くて分かりにくいところはないか。 ・取材メモに書いてあることでもっとくわしく知り たいことはないか。 ・取材メモに書いていないことで知りたいことはないか。 |
・具体的な表現がされているか。(数・形・色など ・調べた結果と考えたことが区別されているか。 ・文が長くて分かりにくいところはないか。 ・取材メモに書いてあることでもっとくわしく知り たいことはないか。 ・取材メモに書いていないことで知りたいことはないか。 |
||
|
・砂時計を使い時間を計りながら取材メモを読み、発表時間にあうように加除修正をする。
|
・2分くらいの発表になるように取材メモを加除修正することができる。 |
|
・取材メモを補正、修正することができる。 | 4 集団で検討したことをもとに各自自分の取材メモを補正、修正する。 | ・取材メモを補正、修正することができる。 | |
5 本時のまとめをする。 ・自己評価をする。 |
|||
6 次時への見通しをもつ。 |
(1) 目標
集団内で表現のしかたを検討し、意図をはっきりさせた表現にすることができる。
@ 言葉遣いや音声上の工夫をした発表のしかたが分かる。(5年生)
A 言葉遣いや音声上の工夫をした発表のしかたが分かり、2分程度の発表ができる。(6年生)
(2) 展開
評価項目 5年生 | (5年生) 学習活動と教師の支援 (6年生) | 評価項目 6年生 | |
1 学習課題を確認する。 | |||
話し方を工夫して分かりやすく話そう | 話し方を工夫して2分くらいで分かりやすく話そう | ||
・分かりやすい話し方のポイントが分かる。 | 2 資料をもとに分かりやすい話し方について学ぶ。 ・短いセンテンスで話す。 ・敬体で話す。 ・分かりやすい言葉を使う。 |
・分かりやすい話し方のポイントが分かる。 | |
・分かりやすい声のポイントが分かる。 | 3 資料をもとに分かりやすい声について学ぶ。 ・声の大きさ、はっきりした発音、聞き取りやすい速さ |
・分かりやすい声のポイントが分かる。 | |
・発表メモを書くことができる。 | 4 発表メモを書く。 | ・発表メモを書くことができる。 | |
5 集団で話し方を検討する。 | |||
・友達の評価を聞いて表現のしかたを修正することができる。 | ・友達の発表を聞いて、優れた点と直した方がよい点をメモする。
・直した方がよい点を明 らかにする。 ・直した方がよい点をもとに工夫して話す。 |
・時間を計りながら発表する ・時間が長すぎたり、短すぎたりしたときには、発表メモを修正する。 ・友達の発表を聞き、優れた点と直した方がよい点をメモする。 ・発表の優れた点と直した方がよい点を明らかにする。 ・直した方がよい点をもとに工夫して話す。 |
・友達の評価を聞いて表現のしかたを修正することができる。 ・2分くらいの発表になるように発表メモを修正できる。 |
6 学習のまとめをする。 ・自己評価をする。 |
|||
7 次時の予定を知る。 |