第5学年理科学習指導案

日  時 平成12年9月22日〜10月4日  
場  所 盛岡市立中野小学校5年2組
児童数 男子19名、女子18名、計37名
指導者 小山田 吉光

1 単元名「振り子」

2 単元について

  「振り子」の学習では、糸につるしたおもりが1往復する時間は、おもりの重さなどによっては変わらないが、糸の長さによって変わることを理解させることをねらいとしている。そのために、児童が主体的な測定活動をとおして、振り子の規則性について感じ、考え、実感し、理解を深めていくことが大切である。
  しかし、児童は振り子が1往復する時間が変わる要因は「おもりの振れ幅」、「おもりの重さ」、「糸の長さ」であるという見方や考え方をもっており、特にも、生活経験などから「おもりの重さ」と考える児童が多い。また、ストップウォッチでの測定では、誤差が生じるため得られる数値にばらつきが生じ、信頼できる結果を得ることが難しい場合がある。
  そこで、本単元では、これらの既有概念を基に、児童の主体的活動を促すことができる、ワンチップ・マイコンを活用した時間が手軽に測定できる装置を開発し、児童の実験に活用することで、振り子の規則性についての理解を深めていきたい。

3 単元の目標

(1) 糸につるしたおもりが1往復する時間が変わる要因について予想し、その予想を検証していく活動をとおして、おもりの重さ、振れ幅、糸の長さと、振り子の動きの変化の規則性につての理解を深める。
(2)観点別目標
【自然事象への関心・意欲・態度】
 ・  振り子の運動の規則性について、自分の予想をたてようとする。
 ・  振り子の運動の規則性についての自分の予想を検証しようとする。
【科学的な思考】
 ・  振り子が1往復する時間の違いを、おもりの重さ、振れ幅、糸の長さと関係づけながら考え、予想を立てることができる。
 ・  自分や友達の実験結果から、自分の予想や実験方法を振り返り、振り子が1往復する時間の規則性について考えることができる。    
【観察・実験の技能・表現】
 ・  自分の予想を検証する実験方法を、条件を統一して企画し、実行することができる。
 ・  調べたい要因を数値的に変化させる実験をしたり、回数を重ねて実験したりするとともに、実験結果の数値を適切に処理することができる。
【自然事象についての知識・理解】
 ・  振り子が1往復する時間は、おもりの重さ、振れ幅には関係ないこと。糸の長さが長いほど1往復する時間は長くなること。

4 指導計画

第1次 振り子が1往復する時間を測定しよう  
・振り子の1往復にかかる時間が違うのはどうしてだろう。 (1)
第2次 振り子の性質を調べよう。  4
・ 自分の予想を確認し、予想ごとの実験方法を考えよう。 (1)
・考えた実験方法で実験を行い、結論をまとめよう。 (1)
・話し合いをとおして、自分の予想や実験方法を見直そう。 (1)
・見直した実験方法で実験を行い、結論をまとめよう。 (1)
第3次 1秒振り子をつくろう  1
・振り子の1往復する時間を測定しながら、1秒振り子をつくろう。 (1)

5 指導の展開

(1)第1時(1/6)「感じる段階」

目標:振り子が1往復する時間を測定し、その要因について考え、自分の予想を立てることができる。
段階 主な学習活動と学習内容 指導上の留意点及び備考
課題把握 1振り子について知る

2学習課題をつかむ。             

振り子の1往復にかかる時間を測定しよう。
・振り子、おもりの重さ、振れ幅、糸の長さ、1往復、1往復にかかる時間を理解させる。

・実験用振り子のおもりの重さや糸の長さは、それぞれのグループで変えておく。

準備:実験用振り子7台、振り子計7台、ストップウォッチ7台、電卓7台、学習プリント

 

 

 

 

3測定方法を考える。

4測定する。

・ストップウォッチで測定(全体) 1周期の測定10周期での測定→平均           

・振り子計での測定(各グループ)

 

 

 

 

 

 

 

 

・1往復する時間の測定の仕方や振り子計の使い方を確認し、時間について測定を行わせる。

・教師用実験振り子をストップウォッチで測定させ、ストップウォッチの誤差に気づかせる。

・教師用実験振り子を振り子計で測定させ、ストップウォッチと比較し、測定値の正確さに気づかせる。

・グループごとに振り子計での測定の仕方を練習させる。     

振り子の1往復する時間を測定している様子

5測定結果を発表し、話し合う。
振り子の1往復にかかる時間の違いは、何に関係があるだろう。

6自分の予想を立て、その根拠を書く。

Aおもりの振れ幅 Bおもりの重さ C糸の長さ

・各グループの1往復する時間が違う要因について、話を焦点化していく。

・要因をまとめながら、疑問を整理し、学習課題をつくらせていく。

・自分の予想をしっかり持たせる。

 

(2)第5時(5/6)「考える段階」

目標:見直した実験方法で実験を行い、結果を出し、自分の結論をまとめることができる。
段階 主な学習活動と学習内容 指導上の留意点及び備考
課題把握

1 学習課題をつかむ。             

見直した実験方法で実験を行い、自分の結論をまとめよう。
準備:実験用振り子7台、振り子計7台、定規1m7本、学習プリント

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 見直した実験方法で実験を行う。

Aおもりの振れ幅 Bおもりの重さ C糸の長さ
おもりの振れ幅は30゜、おもりの重さは60g、糸の長さは、55cmを基本とする。5回ずつ測定し、小数第2位で四捨五入する。データは、平均して考える。(例)

方法A 振れ幅を10゜、20゜、30゜と変える。

方法B 重さを30g、60g、120gと変える。  方法C 糸の長さを30cm、40cm、50cmと変える。
  糸の長さを測定している様子

3 自分の結論をまとめる。

Aおもりの振れ幅 Bおもりの重さ C糸の長さ
予想通り(確証)◯◯◯◯◯◯◯◯◯

予想とは違って(反証)◯◯◯◯◯◯

予想通り(確証)◯◯◯◯◯◯◯◯◯

予想とは違って(反証)◯◯◯◯◯◯

予想通り(確証)◯◯◯◯◯◯◯◯◯

予想とは違って(反証)◯◯◯◯◯◯

4自分やグループの結論を出し合い、学級全体で話し合い、結論をまとめる。
振り子が1往復する時間は、おもりの振れ幅や重さには関係がない。糸の長さが長いほど往復する時間は長くなる。

 

・反証された結果は、予想が成り立たないことを明らかにしたと考えるようにする。

・学級全体で考えをまとめていけるように話し合う。

 

(3)第6時(6/6)「実感する段階」

目標:振り子の規則性を活用して、糸の長さを変えながら、1秒振り子を作ることができる。
段階 主な学習活動と学習内容 指導上の留意点及び備考
課題把握 1振り子の規則性について確認する。

2学習課題をつかむ。        

振り子のきまりを使って、1秒振り子をつくろう。
実験用振り子7台、振り子計7台、定規1m7本、学習プリント

 

 

 

 

3 1秒振り子の作り方について考える。

4 1秒振り子を作る。

 

 

 

 

 

5 2秒振り子に挑戦する。

 

 

 

・振り子が1往復する時間が1秒より短い場合と長い場合について考えさせる。

 1往復する時間が最初0.8秒の時→糸の長さを長くする。 

 1往復する時間が最初1.4秒の時→糸の長さを短くする。

・自分たちの測定データから最初の糸の長さを決定させる         

2秒振り子に挑戦している様子

 

1往復する時間 糸の長さ
1.0秒 約25cm
1.4秒 約50cm
2.0秒 約100cm

6 1秒振り子の作り方をまとめる。
糸の長さを調整しながら、1振り子をつくる。糸の長さが約25cmの時に、1往復する時間が約1秒になる。
・糸の長さの違いと1往復する時間にも簡単にふれる。
    1秒  →         2秒   (2倍)
  25cm  →  100cm  (4倍)