小学校第6学年 理科指導プログラム
学校名 | 胆沢町立南都田小学校 |
対象学級 | 第6学年1組(男子12名女子12名計24名) |
指導年月日 | 平成9年9月24日第3校時 |
指導者 | 宮本敏行 |
作成者 | 宮本敏行 |
T単元名「人と動物のからだ」
U単元設定の理由
1教材観
人や動物についての学習内容は、その成長に伴ういろいろな現象を観察・実験をとおして追究し、生物としての特性や環境とのかかわりを気づかせることに重点を置いて、各学年ごとに系統的に構成されている。これまでに、第3学年では、人や動物の体を外部から観察し体のつくりや成長のきまりについての見方・考え方を養ってきており、目、耳、皮膚などの感覚器官や骨、筋肉などの運動器官の働きについてとらえたり、昆虫の特徴における共通性や育ち方の一定の順序性について学習してきた。また、第4学年では、人の1日の生活リズム、季節による活動の変化、さらには体温、脈拍などから調節機能について、また、天気や時刻、季節による動物の行動の違いなど、人や動物の活動を環境とのかかわりについての見方・考え方を養ってきた。さらに、第5学年では人や動物の発生や成長について調べ、生命の連続性についての見方・考え方を養ってきている。生命の誕生のしくみや男女の体のつくりの特徴について、また、いろいろな動物の雌雄の違いや生まれ方、発生や成長の様子をとらえてきた。そして、第6学年では人や動物の体のつくりやはたらきについて学習する。人や動物は、自分で養分をつくることができないので植物や他の動物などから養分を得て生きている。取り入れた食べ物は消化管を通って消化、吸収され、残りが排出される。吸収された養分は、心臓の働きで体全体を循環する血液によって組織の各細胞に運ばれる。細胞ではエネルギーを取り出すときに酸素が使われ、二酸化炭素ができる。そのために動物は呼吸によって酸素を取り入れ、不用になった二酸化炭素を体外に出さなければならない。この働きをするのが肺やえらである。人や動物の体のつくりやはたらきとは、人や動物が植物や他の動物などから取り入れた養分を、生きる活動のエネルギーに変えるためになくてはならない体の構造や機能のことである。その中で小学校理科第6学年では、動物の呼吸、食べ物の消化と排出、血液の循環を扱う。「呼吸」を動物が酸素を取り入れて二酸化炭素を外に出すことに、また「消化と排出」を食べ物が養分に変えられ、吸収され、残りが外に出されることに、そして「循環」を血液が心臓の働きで体全体に酸素や二酸化炭素、養分などをめぐりながら運んだり受け渡しをしたりすることにそれぞれ限定して考える。さらに人と他の動物とを比較して共通点や相違点から人も動物と同じ仲間であることに気づかせるようにしたい。
2児童観
これまでに子どもたちがとらえてきた人や動物についての見方や考え方は、主に自分の目で観察したり実験したりしながらの直接体験によるものが多かった。これに対し、本単元の内容は、体の内部のつくりや働きを観察や実験することが困難なものが多く、子どもたちは体の内部のつくりや働きを理解することが難しい。このために、呼吸、消化と排出、循環についての知識について生活経験から見られる現象からの誤ったとらえ方をしていることも少なくないのが現状と考える。
3指導観
理科の学習では、自然の事物・現象についての観察、実験などを行うことにより問題を解決する能力や自然を愛する心情を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を図り、科学的な見方や考え方ができるようになることが大切であるといわれている。しかしながら、動物の体の内部を直接観察することは魚などの場合では比較的容易でも、人などの哺乳動物などでは困難であり、体のつくりや巧みな働きを実感し、理解することは難しい。また、動物の体の内部のつくりや働きを生きている状態で把握することが難しいことや、把握できる資料が少ないことが理解を困難にしている要因と考える。そこで、本単元では、できるだけ子ども自身で観察、実験できる教材を使用するとともに、直接観察や実験することの難しい場合については、模式化した動画、図、写真、説明などを提示できる教材が必要である。コンピュータには動画などの資料提示能力に優れているという特性があるので、コンピュータを用いれば、児童は直接観察の行いにくい動物の体のつくりや働きをとらえることができると考える。よって、本単元ではコンピュータを資料提示の道具として十分に活用したいと考える。
V単元の指導目標
1 人や動物などの体のつくりや働きに関心を持たせ、生命を大切にしようとする態度を育てる。(自然現象への関心・意欲・態度)
2 体のつくりや働きが人と他の動物と比較して共通点や相違点があることを考えさせる。(科学的な思考)
3 目的に応じて資料を選択できる能力を養う。(観察・実験の技能・表現)
4 体の呼吸、消化、循環などを微細なつくりや巧みな働きを生きている状態でとらえさせ、理解させる。(自然現象の知識・理解)
W単元の教材構造
X単元の指導計画(全10時間)
第 1時 オリエンテーション
第 2時 呼気と吸気の違い (観察・実験)
第 3時 肺のつくりと働き <コンピュータ教材
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第 4時 歯やだ液の働き (観察・実験)
第 5時 消化・吸収のしくみ(本時)<コンピュータ教材
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第 6時 血液の流れる様子 (観察・実験)
第 7時 血液の通り道と働き <コンピュータ教材
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第 8時 人と他の動物との共通点と相違点
第 9時 人のからだの特徴
第10時 学習のまとめ
Y本時の学習
1主題「消化・吸収のしくみ」
2指導目標
食べ物が口、食道、胃、腸などを通る間に、体に吸収されやすい養分に消化され、その養分が小腸から毛細血管に吸収されることを資料を選択させ読み取らせて理解させるとともに、吸収された養分のゆくえに関心を持たせる。
3目標行動
G食べ物が口、食道、胃、腸などを通る間に、体に吸収されやすい養分に消化され、その養分が小腸から毛細血管に吸収されることや残りかすは外へ出されることを胃や腸などの消化管やだ液などの消化液を挙げながら説明できる。
4下位行動目標(Rはレディネス)
R@ 食べ物には養分が含まれているといえる。
RA 人や動物は、自分で養分をつくることができないので、植物や他の動物などを食べ物として食べるといえる。
RB 人や動物は、食べ物の中の養分を取り入れて生きているといえる。
RC でんぷんは、だ液によって水にとけやすく体の中にとり入れやすい糖に変えられるといえる。
D 食べ物を体の中に吸収しやすい養分に変えることを消化といえる。
E だ液のように消化の働きをするものを消化液といえる。
F 消化液には、だ液や胃液などいろいろな種類があり、それぞれ異なった働きをしているといえる。
G でんぷんは、口から胃、腸を通る間に、消化液によって体内にとり入れやすいものに変えられていくといえる。
H 食べ物にはでんぷんのほか、たんぱく質やしぼうなどの養分も含まれていて、これらも消化液によって体内にとり入れやすいものに変えられていくといえる。
I 口からこう門までの食べ物の通り道は、1本の管になっていて、消化管といえる。
J 食べ物は、口から食道、胃、腸などを通る間に消化され、おもに小腸の毛細血管から養分として吸収されるといえる。
K 養分を吸収された食べ物の残りかすは、大腸に送られこう門から便となって体外へ出されるといえる。
L 水は小腸と大腸から吸収されるといえる。
RM 水は体の中に吸収されるといえる。
5 形成関係図とグルーピング
6 本時の展開過程
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