期 間 | 平成12年9月12日〜10月4日 |
場 所 | 北上市立黒沢尻西小学校5年1組 |
授業者 | 中 野 順 一(長期研修生) |
児童数 | 男子15名、女子13名、計28名 |
1 単元「くらしを支える情報・運輸」
2 単元について
本単元は、学習指導要領の第5学年の内容(3)「我が国の運輸、通信などの産業の現状に触れ、それに従事している人々の工夫や努力について理解できるようにするとともに、国民生活を支えるこれらの産業の意味について考えることができるようにする。」に基づいて設定されたものである。すなわち、本単元は、我が国の運輸、通信などの産業の様子やこれらの産業と国民生活との関連について理解させ、我が国の産業の発展に関心をもたせることをねらいとしている。我が国では、放送局のニュース番組作りにおいては、多くの情報の中から、視聴者に訴えたいものを選択し、発信している。また、コンビニエンスストアの仕事においては、商品の販売予測や仕入れに情報を役立てている。さらに、宅配便の仕事においては、荷物を早く確実に運ぶために、情報の仕組みを役立てている。このように、通信・運輸などの産業に携わる人々にとって、情報は、きわめて大切な役目を果たしている。そのために、本単元においては、通信・運輸という産業を「情報」という視点からとらえ、一体化して構成した。
児童は、ニュース番組を日常的に目にしているし、コンビニエンスストアや宅配便は、本人や家族がよく利用している。また、これらの仕事に携わる人々の仕事の様子も見ている。しかし、これらの仕事に携わる人々がどんなことを工夫し、どんなことに苦労しながら仕事をしているかなどについては、あまり考えていない傾向にある。 そこで、本単元の指導にあたっては、次のことに留意したい。児童が、臨場感、強調、再生という観点で作成した映像資料を視聴し、話し合いを行うことによって、通信・運輸などの産業と情報とのかかわりを具体的に追究していけるようにする。そして、自分たちのくらしにおける情報の役割を理解し、情報の活用・発信についても目を向けさせるようにするなど、小学校社会科における社会的事象の意味を考える力を高めていくようにしたい。
3 単元の目標
(1) 情報を伝える人々や情報を仕事に役立てる人々、物を運ぶ仕事をする人々の様子に関心をもち、それらの人々の工夫・努力や、国民生活とのつながりを進んで調べようとすることができる。<社会的事象への関心・意欲・態度>
(2) 身の回りには様々な情報があり、それがいろいろな仕事の中で役立てられていることについて考えるとともに、自分たちがどのように判断・選択しながら情報を役立てたり発信したりしていけばよいか考えることができる。<社会的な思考・判断>
(3) 我が国の通信・運輸などの産業について、見学や各種統計、文献等の資料によって調べ、わかりやすく表現することができる。<観察・資料活用の技能・表現>
(4) 我が国の通信・運輸などの産業について、情報を伝えたり、物を運んだりする仕事に携わる人々の工夫・努力の様子や、国民生活とのつながりをとらえることができる。<社会的事象についての知識・理解>
4 学習指導計画(18時間)
(1) オリエンテーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間
(2) 情報を伝える人々・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3時間
(3) 情報を仕事に役立てる人々・・・・・・・・・・・・・・・・10時間(本研究)
内容 | ねらい | 時間 | 学習活動と内容 | 資料等 | |
情報を集めて品物を売るコンビニエンスストア | つかむ | ・ 資料を読み取り、小単元の学習問題を設定するとともに、解決の見通しをもつことができる。 | 2 | ・ 店舗形態別売上高の推移のグラフから、コンビニエンスストアの売り上げが伸びてきていることをつかみ、学習問題を設定する。 ・学習問題について予想を出し合う。 |
・店舗形態別売上高の推移のグラフ ・5年1組の利用の実態 |
・ 自作映像資料を活用した学習活動の見通しをもち、追究の計画を立てることができる。 | ・ 「ビデオ資料を使った調べ学習の手引き」についての説明を聞き、学習活動を理解するとともに、調べ学習の計画を立てる。 | ・学習の手引き ・計画カード |
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調べる | ・ 観察や調査を行い、学習問題の追究のために必要な資料を集めることができる。 | 1 | ・ 各グループの計画に基づき、観察や調査を行う。聞き取り調査を中心としつつ、ビデオカメラやデジタルカメラによって、映像としても記録してくる。 | ・デジタルカメラ、ビデオカメラ | |
・ 調べたことのまとめをするとともに、次回の調べ学習の計画を立てることができる。 | 1 | ・ 調べ学習によって集めた資料を吟味し、学習問題の解決のために必要なものを選び出す。 ・ 次回の調べ学習で、さらに詳しく調べたい内容、新しく調べたい内容などを検討する。 |
・収集した資料 ・見学のまとめカード |
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・ 観察や調査を行い、学習問題の追究を充実させるために、資料を集めることができる。 | 2 | ・ 詳しく調べたい内容、新しく調べたい内容などについて、観察や調査を行う。映像としても記録してくる。 | ・デジタルカメラ、ビデオカメラ | ||
・ 調べたことのまとめをするとともに、調べたことの表し方を考えることができる。 | ・ 各グループの学習問題についてまとめる。 ・ 調べてわかったことの表し方を、臨場感、強調、再生という観点で検討し、映像資料作成のためのシナリオをつくる。 |
・調べ学習のまとめカード ・画用紙 ・シナリオ |
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まとめる | ・ 映像資料を視聴して話し合いを行い、学習問題についてまとめることができる。 | 1 | ・ 自分たちが作成した映像資料を視聴し、わかったことや疑問に思ったことなどを交流し合う。 ・ 意見交流によって明らかになったことを整理し、学習問題についてまとめる。 |
・児童自作の映像資料 ・わかったことカード |
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宅配便 | まとめる | ・ 宅配便の輸送量が増えていることをつかみ、宅配便における伝票のバーコードの仕組みを理解することができる。 | 2 | ・ 小口貨物の輸送量の推移のグラフから、宅配便の輸送量が増えていることをつかみ、その理由について予想する。 ・ 宅配便における伝票のバーコードの仕組みについて、運輸業社制作のビデオ資料をもとに追究する。 |
・小口貨物の輸送量の推移のグラフ ・宅配便の伝票 ・ビデオ資料 |
・ 宅配便の仕事をする人たちの、荷物を速く届けるための工夫や苦労について考えることができる。 | ・ 宅配便の仕事をする人たちの、荷物を速く届けるための工夫や苦労について話し合い、ビデオ資料をもとに追究する。 | ・ビデオ資料 |
(4) 世界を結ぶ貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4時間
5 本時の学習指導
(1) 調べ学習を行い、集めた資料を整理する(第3・4時/10時間)
ア 目標
・ グループの学習問題に基づいて観察・調査を行い、必要な資料を収集することができる。
・ 調べ学習によって収集した資料を吟味し、グループの学習問題の解決のために必要なものは何かを選ぶことができる。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教師の支援 | 資料等 |
つかむ | 1 グループの学習問題と、前時に立てた観察・調査の役割分担を確認する。 2 それぞれの調査場所に移動する。 |
・ 4つのグループそれぞれに教師が随行し、安全に移動できるようにする。 |
・グループの計画表 |
調べる | 3 計画に基づき、調べ学習を行う。 ○ 聞き取り調査を中心とするが、計画に基づいて映像としても記録する。 4 調べ学習によって得た資料を整理する。 |
・ 調査場所での適切な言葉遣いや行動ができるよう、指導する。 ・ 調べる過程で収集した資料のうち、グループの学習問題の解決のために必要なものは何かを吟味させるようにする。 |
・デジタルカメラ、ビデオカメラ ・調べ学習によって得た資料 |
まとめる | 5 グループの学習問題についてまとめるとともに、次回の調べ学習で、調べたい内容を検討する。 | ・ 学習シートを用いて、グループの学習問題に対して適切にまとめられるようにする。 ・ 今回の調べ学習で調べられなかったことや、新しく調べてみたいことなどを考えさせるようにする。 |
・調べ学習のまとめカード |
(2) 臨場感、強調、再生という観点から映像資料を作成する(第6・7時/10時間)
ア 目標
・ 二度の調べ学習によってわかったことの表し方を、臨場感、強調、再生という観点で検討し、映像資料作成の準備をすることができる。
・ 収集したり作成したりした資料をもとに、グループの学習問題についてのまとめを映像資料として表現する。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教師の支援 | 資料等 |
つかむ | 1 グループの学習問題についてわかったことを確認する。 | ・ 調べ学習を振り返り、グループの学習問題を解決するための資料がそろっていることを確認させる。 | ・調べ学習のまとめカード |
調べる | 2 二度の調べ学習によってわかったことの表し方を、臨場感、強調、再生という観点で検討する。 3 映像資料としてまとめるために必要な資料を作成する。 4 シナリオを作成する。 |
・ 資料の性質から、実際の様子がよくわかるようにしたい内容には臨場感を、相手の印象に残るようにしたい内容には強調や再生をするように計画させる。 ・ 映像では表現できない内容を自作資料(フリップ)として作成させる。その際、資料の訴求性が高まるように個別に支援する。 ・ 調べ学習のまとめと表現計画に基づき、役割分担、説明、資料の挿入などを内容とするシナリオを作成させる。 |
・調べ学習によって得た資料 ・調べ学習のまとめカード ・表現計画 |
まとめる | 5 グループの学習問題を解決するための映像資料を作成する。 |
・ 収録の場に場に立ち会い、カメラの操作や、アナウンスの仕方などについて助言する。 | ・調べ学習によって得た資料・自作資料 |
(3) 映像資料を視聴し、話し合いを行う(第8時/10時間)
ア 目標
・ 他者の追究と比べたり、結び付けたりするなどして互いの追究の価値を学び合いながら、社会的事象の意味を考えることができるようにする。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教師の支援 | 資料等 |
つかむ | 1 学級全体の学習問題と、各グループの学習問題を想起する。 | ・ この学習における学級全体の学習問題と、それを解決するために構成された各グループの学習問題について確認する。 | |
調べる | 2 各グループが作成した映像資料を視聴し、学級全体の学習問題を追究する。 (各グループの学習問題) A コンビニエンスストアの営業の仕方 B バーコードの秘密 C コンビニエンスストアのサービス D コンビニエンスストアの店の奥の秘密 3 各グループの映像資料を視聴してわかったことや疑問に思ったことを発表し合う。 |
・ ビデオプロジェクターを使い、大画面で見やすい映像資料となるようにする。 ・ 「わかったことカード」を用い、各グループの映像資料からわかったことを手早くまとめられるようにする。 ・ 映像資料を視聴してわかったことや疑問に思ったことを述べ合うことにより、各グループの学習問題についての理解を深めさせるようにする。 ・ 児童が進んで発言できるような雰囲気作りに努める。 |
・児童自作の映像資料 ・ビデオプロジェクター ・わかったことカード |
まとめる | 4 学習問題についてまとめる。 ○ 個人でまとめた後、学級全体でのまとめを行う。 |
・ 他者の追究と比べたり、結び付けたりするなどして互いの追究の価値を学び合いながら、社会的事象の意味を考えることができるようにする。 ・ 個人のまとめを整理し、学級全体のまとめとする。 |
・わかったことカード |