第6学年社会科学習指導案
期 間 | 平成13年9月5日〜9月18日 |
場 所 | 千厩町立清田小学校6年 |
授業者 | 伊 東 洋 司(長期研修生) |
児童数 | 男子4名 女子6名 計10名 |
1 単元「武士の時代の暮らし」
2 単元について
本単元は、学習指導要領の第6学年の目標(1)「国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について関心と理解を深めるようにし、我が国の歴史や伝統を大切にする心情を育てる」、(3)「地図、年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用することができるようにするとともに、社会的事象の意味をより広い視野から考えるようにする」及び内容(1)「我が国の歴史は、大和朝廷による国土統一が行われてから、政治の中心地や世の中の様子などによって幾つかの時期に分けられることに気付き、それぞれの時代の歴史上の主な事象について、人物の働きや代表的な文化遺産を中心に理解できるようにするとともに、我が国の歴史や先人の働きについて関心を深めるようにする」に基づいて設定されたものである。
ここでは、武士による政権が誕生してから、全国が統一され、江戸時代の長期政権が倒れるまでの期間を、「武士の時代」としてとらえている。武士による政治の様子と、農村や町の人々の暮らしが変化していくとともに新しい文化・学問がおこっていく様子について、理解と関心を深めることをねらいとしている。
児童は、これまで縄文時代から平安時代にかけてのそれぞれの時代の人々の暮らしと文化について学習してきた。そのなかで、資料などを活用して人物や文化遺産について調べ、表現してきた。しかし、自分が調べてまとめる学習だけで満足してしまい、そこから他の児童が調べ
た内容と比較しながら、社会的事象の特色や相互の関連、意味などを考えるところまでには至らない傾向にあった。
そこで、本単元の指導では、歴史上の人物の働きや願いについて調べたことを「ロール・プレイング」で発表し、その発表を見合いながら、互いの共通点、相違点に気付かせる。そして、その原因をとらえさせる話し合いを行い、社会的事象の意味や働きなどについて考えさせることで、小学校社会科において調べて考える力を育てていくようにしたい。
3 単元の目標
(1) 武士による政治の様子と、農村や町の人々の暮らしの変化、新しい文化・学問がおこっていく様子について進んで調べ、表現しようとすることができる。(社会的事象への関心・意欲・態度)
(2) 武士による政治の様子と、農村や町の人々の暮らしの変化、新しい文化・学問がおこっていく様子について、代表的な人物の働きや願いをとおして考えることができる。(社会的な思考・判断)
(3) 武士による政治の様子と、農村や町の人々の暮らしの変化、新しい文化・学問がおこっていく様子について、必要な資料を収集、選択して調べ、目的に応じた方法でわかりやすく表現することができる。(観察・資料活用の技能・表現)
(4) 武士による政治の様子、農村や町の人々の暮らしの変化、新しい文化・学問がおこっていく様子をとらえることができる。(社会的事象についての知識・理解)
4 学習指導計画(24時間)
(1) オリエンテーション─────────────────────── 1時間
(2) 武士と農民の成長─────────────────────── 5時間
(3) 天下統一のゆくえ─────────────────────── 5時間
(4) 将軍と大名、農民と町人─────────────────────4時間
(5) 力をつける農民・町人──────────────────────3時間
(6) 鎖国が終わる───────────────────────── 6時間(本研究)
5 小単元「鎖国が終わる」の指導計画(6時間扱い)
段階 | ね ら い | 時間 | 学 習 活 動 と 内 容 | 資料等 |
つかむ | ・黒船来航の影響を資料からとらえ、学習問題を設定することができる。 | 1 | ・開国は日本にどのような影響を及ぼしたのかを教科書や資料集等をもとに追求する。 ・小単元の学習問題を設定する。 |
・黒船来航の図 ・ペリーの写真と肖像画 ・江戸時代の年表 |
・「ロール・プレイング」を活用した話し合いにむけての見通しをもち、グループごとの学習計画を立てることができる。 | 1 | ・学習問題について予想する。 ・「学習のてびき」を用いて、これからの学習活動の見通しをもつ。 ・グループごとの学習計画を立てる。 |
・「学習のてびき」 ・学習シート |
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調 べ る | ・グループごとに資料を収集、選択し、調べたことを「ロール・プレイング」で発表できるようなシナリオを作成するために話し合い、発表の準備をすることができる。 | 3 | ・計画に基づき、資料を収集する。 ・シナリオ作成に必要な資料を選択し、シナリオを作成するための話し合いをグループごとにする。 ・「ロール・プレイング」での発表の練習をする。 |
・参考図書 ・資料プリント ・シナリオシート |
ま とめ る | ・調べたことを「ロール・プレイング」で発表して話し合いを行い、学習問題についてまとめることができる。 | 1 | ・発表を見合ったあとで、自分たちの調べた内容との共通点、相違点を見いだす話し合いをグループごとにする。 ・「なぜこのような共通点、相違点が生じたのか」ということを全体の場で話し合う。 ・個々に学習問題についてまとめる。 |
・学習シート |
6 本時の学習指導
(1) 黒船来航の影響(第1時/6時間)
ア 目標
・開国が当時の日本に及ぼした影響について、資料を収集、選択して調べることができる。
・黒船の来航が、幕府の政治を終わらせた要因の一つになったことを理解できる。
・資料や調べたことから、小単元の学習問題を設定することができる。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教 師 の 支 援 | 資料等 |
つかむ | 1 黒船来航の図やペリーの肖像画から、気付いたことを発表する。 | ・黒船来航の図やペリーの写真と肖像画の比較から、当時の人々の驚きや混乱をとらえさせる。 | ・黒船来航の図 ・ペリーの写真と肖像画 |
調べる | 2 開国が、当時の日本に与えた影響について調べる。 ・不平等条約を結ぶ ・貿易による物価の上昇で、生活が苦しくなる ・薩摩藩と長州藩が外国艦隊と戦う ・開港地がにぎわう |
・調べることが難しい児童には、個別に支援する。 ・教科書等から見いだした開国の「よい点」「悪い点」にアンダーラインを引かせる。 ・当時の日本が、不安定な時代にあったことに気付かせる。 |
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3 江戸時代の年表を見て、気付いたことを発表する。 | ・江戸時代の年表から、これまで250年も続いてきた江戸幕府が黒船来航後わずか14年で終わったことをとらえさせる。 ・年表から、14年の間に新しい世の中をつくるために働いた志士と呼ばれる人々がいたことをとらえさせる。 |
・年表1(江戸時代全体の年表) ・年表2(幕末14年間の年表) |
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ま とめる | 4 小単元の学習問題を設定する。 「どうして幕末の志士たちは、新しい世の中をつくろうとしたのだろうか。」 |
・小単元の学習問題を、学習シートに書かせる。 | ・学習シート |
(2) 学習の見通しをもち、グループごとの学習計画を立てる(第2時/6時間)
ア 目標
・学習問題について、根拠をもって予想することができる。
・学習の見通しをもち、グループごとの学習計画を立てることができる。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教 師 の 支 援 | 資料等 |
つかむ | 1 前時に設定した学習問題を確認する。 | ||
2 学習問題について予想する。 | ・学習シートを準備し、予想とその根拠を書かせる。 | ・学習シート | |
3 「学習のてびき」についての説明を聞き、「ロール・プ レイング」で調べたことを発表し、それをもとに話し合う学習をすることを知る。 | ・「学習のてびき」を用いて、これからの学習活動について説明し、学習の見通しをもたせる。 | ・「学習のてびき」 | |
4 グループごとに学習計画を立てる。 ・調べる内容について ・調べる方法について |
・幕末の志士たちの概要を、各人物の関係と簡単な業績を提示することで知らせ、調べる中心人物を決めさせる。 ・学習シートを準備し、グループごとに立てた学習計画を書かせる。 |
・幕末の志士(西郷隆盛、坂本龍馬、勝海舟、吉田松陰、高杉晋作の5名)の関係図 ・学習シート |
(3) グループごとの学習計画に基づき、資料を収集する。(第3時/6時間)
ア 目標
・計画に基づき、必要と思われる資料を収集することができる。
・調べたことから「ロール・プレイング」で表現する場面と登場人物を決めることができる。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教 師 の 支 援 | 資料等 |
つかむ | 1 前時に立てた学習計画をグループごとに確認する。 | ||
調べる | 2 グループごとの計画に基づ き、個々に必要と思われる資料を収集する。 |
・児童が多様な資料から収集できるように、参考図書や資料プリントを用意した資料コーナーを教室後方に設ける。 ・必要と思われる参考図書等のページに貼らせ、あとで見直しができるように、付せん紙を準備する。 ・複数の児童が必要とすると考えられる資料は、コピーしておいたり、プリントにしておいたりしておく。 ・調査が進まない児童には、個別に支援する。 |
・参考図書 ・資料プリント ・付せん紙 |
まと め る | 3 グループごとに、各自が調べた内容を確認し、中心人物以外の登場人物と場面を決める話し合いをする。 | ・学習問題を解決するために適当であるかという観点で検討させ、学習シートに話し合いの結果を書かせる。 ・登場人物は、一人一役で演じることができる人数にさせる。 |
・学習シート |
4 次時に調べる内容を検討する。 |
(4) 調べたことからシナリオを作成し、発表の準備をする。(第4・5時/6時間)
ア 目標
・シナリオ作成に必要な資料を収集、選択することができる。
・選択した資料をもとに話し合い、シナリオを作成することができる。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教 師 の 支 援 | 資料等 |
つか む | 1 前時に調べてわかったこと、本時に調べなければならないことについてグループごとに確認する。 | ||
調べる | 2 個々に不足していると思われる資料を収集する。 | ・参考図書 ・資料プリント |
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3 グループごとに話し合い、各自が収集した資料を整理し、必要な資料を選択する。 | ・シナリオ作成に必要な資料という観点で選択させる。 | ||
4 選択した資料をもとに、グループごとに話し合い、シナリオを作成する。 ・配役 ・せりふ ・動作 ・小道具類 |
・シナリオシートを準備する。 ・シナリオシートにある例を用いて、シナリオの書き方について説明する。 ・シナリオは3分以内で発表できる内容にさせる。 ・必要に応じて「学習のてびき」を用いるように助言する。 ・小道具類は、製作に時間をかけないように指示をする。 ・話し合いが滞ることのないように、各グループをまわり助言をする。 ・シナリオができたら歴史的事実に誤りがないか教師が確認する。 |
・シナリオシート ・「学習のてびき」 |
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5 「ロール・プレイング」での発表にむけて練習をする。 | ・シナリオが完成したグループから、場所を指定し練習をさせる。 ・ストップウォッチを渡し、時間内で発表できるか確認させる。 ・各グループの練習を見てまわり、助言をする。 |
・ストップウォッチ |
(5) 「ロール・プレイング」での発表を見合い、話し合う(第6時/6時間)
ア 目標
・調べたことを、「ロール・プレイング」で表現することができる。
・発表を見合い、自他の調べた内容の共通点、相違点を見いだすことができる。
・共通点、相違点の原因をさぐる話し合いをすることで、社会的事象の意味や働きを考えることができる。
イ 展開
段階 | 学習内容・学習活動 | 教 師 の 支 援 | 資料等 |
つかむ | 1 本時の学習内容を確かめる。 | ・発表をもとに、話し合いを行うことを意識させる。 | |
調べる | 2 グループごとに調べたことを「ロール・プレイング」で発表し、互いに見合う。 <各グループの発表場面> 1班 坂本龍馬らの薩長同盟成立のための話し合い 2班 高杉晋作らの松下村塾での話し合い 3班 西郷隆盛らの江戸城開城のための話し合い |
・進行は、教師が行う。 ・登場人物の行為や考えていること、願いに着目して、共通点、相違点を考えるように助言する。 ・学習シートに、自分たちの調べた内容の共通点、相違点と考えられるものを個々にメモをさせる。 |
・学習シート |
3 グループごとに自分たちと他のグループが調べた内容との共通点、相違点を見いだす話し合いをする。 | ・話し合いが滞ることのないように、各グループをまわり助言をする。 ・話し合いの結果を、グループの代表に発表させる。 |
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4 見いだした共通点、相違点の原因をさぐる話し合いを全体で行う。 | ・互いの顔が見えるように、グループごとに向かい合うような机の配置 (コの字形)にすることで、話しやすい雰囲気づくりをする。 | ||
まとめる | 5 学習問題についてまとめる。 | ・自分の予想とくらべながら、個々に学習シートにまとめさせる。 | ・学習シート |