第6学年社会科学習指導案 

期 間   平成9年9月10日 (水)〜26日(金)
場 所   一関市立一関小学校6年1組
授業者   佐 藤 伸 哉 (長期研修生)
児童数   男子17名,女子17名,計34名

1 単元名 「力をつける農民・町人」

2 単元について

 児童はこれまで,第1単元「大昔の人々のくらし」から第5単元「天下統一のゆくえ」まで,我が国の歴史の黎明期の社会の変化や大和朝廷の国土統一,その後の天皇中心の政治の立,さらに武士が勢力をもつに至ったころの様子から戦国の世が統一されていく様子につい学習してきた。そして,第6単元「将軍と大名・農民と町人」で身分制度が確立し,政治が定してきたことを学習した。また文化については,大陸文化の上に日本風の文化が起こったとや鎌倉期の力強い文化,室町期の新しい文化について学習してきている。

 本単元では,江戸時代の後半に,町人文化が栄えたことや新しい学問がおこったこと,農技術が進歩したことや百姓一揆が起こったことなど,農民や町人が力をつけ始め,社会が変っていったことを学習する。

 児童は,6学年から新しく学習する歴史学習については興味をもっているようである。特歴史上の人物について学習することを好んでいるようである。しかし,歴史上の人物の行為単なる過去のできごととしてとらえるにとどまり,その意味について考えるまでには至らな傾向にある。

そこで,本単元の指導にあたっては,力をつけ始めた農民や町人の生活についての網羅的指導にならないようにするために,中心的な人物を取り上げ,その人物の願いや行為に着目て学習することをとおして時代の様子をとらえさせたい。また,新しい学問の学習では,人「杉田玄白」の番組作りの活動を取り入れ,その活動をとおして歴史的事象の意味を考えるを育てていくようにしたい。

3 単元の目標

(1)  江戸時代後期の世の中や人物の願いや行為に関心をもち,進んで調べようとすることできる。<社会的事象への関心・意欲・態度>

(2)  江戸時代後期に農民や町人が力をつけていったことを,新しい学問が起こったことを心に調べ,その理由や意味について考え,判断することができる。<社会的な思考・判断>

(3)  江戸時代後期の農民・町人のくらしの様子や変化を資料を使って調べ,調べたことを現することができる。 <観察・資料活用の技能・表現>

(4)  江戸時代の人々の考え方を中心にして,町人文化が栄えたことや農業が発展したこと新しい学問が起こったことを理解することができる。<社会的事象についての知識・理解>

4 学習指導計画(9時間)

(1)変わりゆく村のくらし────────────2時間
(2)花開く町人文化───────────────1時間
(3)新しい学問(杉田玄白と解体新書)──────5時間(本研究)
(4)学習のまとめ────────────────1時間 

5 本時の学習指導

(1)「杉田玄白と解体新書」第1・2時

ア 目 標

杉田玄白という人物に興味をもち,杉田玄白らが解体新書を出版したことを理解するともに,その場面を台本に書き,番組にして表現することができる。

イ 展 開


 

学習内容・学習活動

教師の支援

資料等  














1 二つの解剖図からその違いに
気づき,感想や疑問を持つ。

2 杉田玄白と解体新書について
の簡単な説明を聞いて,学習問題
を設定する。
杉田玄白と解体新書のひみつをさぐり,番組を作ろう.


3 番組作りをとおして学習問題
を解決していくことを知り,番組
作りの手順と内容を理解する。
 

・違いを発表させることによって疑
問をもたせ,学習問題につなげるよ
うにする。
・「翻訳」という言葉の意味を説明
しながら,杉田玄白がオランダの医
学書を翻訳し,解体新書を表したこ
とを理解させるようにする。
・杉田玄白と解体新書にかかわるエ
ピソードを話し,また,肖像画を示
すことで,杉田玄白という人物に興
味をもたせるようにする。
・「番組作りのてびき」を利用して
見通しをもたせるようにする。

 

・図(解剖図)
「東医宝鑑」
「解体新書」
・絵    
「杉田玄白の肖像画」  
     
      
      
      
      
・番組作りのてびき   
      
      







調






















 

4 本時の学習課題を設定する。
杉田玄白は,いつ,どのように翻訳を行ったのだろう。


5 杉田玄白の行為とその時代に
ついて調べ,事実をとらえる。
○玄白の行為とその時代について
調べる。







○調べたことをもとにして行為に
ついて考える。
6 調べたことをもとに第1場面
の番組作りをする。
○調べたことをもとに第1場面の
台本を書く。





○台本をもとに第1場面の番組を
収録する。









 

・事実をとらえることのなかでも,
行為と時代をとらえることの大切さ
を確認する。
・番組の第1場面を翻訳している場
面にすることを確認する。

・教科書,資料集だけでは調べきれ
ないと考えられるので,図書館の参
考文献を用意するとともに,文章資
料として,「蘭学事始」から翻訳の
様子について書かれた部分をわかり
やすく書き下したものを配布する。
・事実としての行為のとらえ方につ
いてふれる。特に,時代をとらえる
場合,西暦だけでは不十分であるこ
とを確認する。
・調べたことをもとにして,自分な
りに行為の事実をまとめさせる。
・事実を把握する場面として「翻訳
の場面」を設定する。
・翻訳の場面の絵を提示し,イメー
ジをもって台本作りができるように
する。
・台本での言葉づかいや書き方につ
いて簡単に説明する。
・グループでの話し合いで,一つの
台本を仕上げさせるようにする。
・一人一役で全員が参加できる役割
分担をさせるとともに,準備等につ
いてグループ毎に話し合わせるよう
にする。
収録前に練習時間を設定する。また
簡単なリハーサルをする。
雰囲気を出せるように,簡単な衣装
等を準備する。
各グループの収録に立ち会い,機器
の操作等について助言をする。


 

      
      
      
      
      
      
・調べカード
・文章資料 
「蘭学事始」
      
      
      
      
      
      
      
      
      
      
      
・絵    
「ターヘル=アナトミアの翻訳」   
      
・台本シート
      
      
      
・役割分担表
・準備表  
・ビデオカメラ     
      
・CDプレーヤー    
          
  
     






 

7 学級全体で,まとめと第1場
面の番組作りの反省をする。



 

本時の学習課題に対するまとめをす
る。
本時の番組作りのよかった点と改善
点について話し,次時につなげる。

 

      
      
      
      
      
 

 

(2)「杉田玄白と解体新書」第3時

 ア 目 標

「解体新書」を著した杉田玄白の願いとその時代の様子を調べ,行為の理由をとらえ

とともに,その場面を台本に書き,番組にして表現することができる。

イ 展 開


 

 学習内容・学習活動

 教師の支援

資料等








 

前時の学習を想起し,杉田玄の行為について確認する。

本時の学習課題を設定する。
杉田玄白は,なぜ翻訳をしたのだろう。

・行為について確認した後,疑問を投げかけ,学習課題を引き出すようにする。
・玄白の願いと時代の様子を調べることを確認する。
・番組作りをとおして課題を解決していくことを確認する。
 

     
     
     
     
     
     
     
     





調















 

杉田玄白の願いとその時代の子について調べ,行為の理由をらえる。
玄白の願いとその時代の様子にいて調べる。

調べたことをもとにして行為の由について考える。
調べたことをもとに第2場面番組作りをする。
調べたことをもとに第2場面の本を書く。




台本をもとに第2場面の番組を録する。



 

・調べ方は前時と同じようにすることを確認する。
章資料として,「蘭学事始」から腑分けの見学の様子について書かれた部分をわかりやすく書き下したものを配布する。
・行為の理由を考える場合に時代の子とかかわらせるようにする。
・因果関係を把握する場面として,「腑分けの見学の場面」を設定する
・イメージ化を図るために,腑分けの見学の場面の絵を提示する。
・グループで話し合わせ,一人一人の思いを大切にした台本作りをさせるようにする。
・台本が仕上がったグループから簡単なリハーサルをし,収録する。

各グループの収録に立ち会うようにする。
 

調べカード
・文章資料
「蘭学事始」
     
     
           
    
・絵  
「腑分けの見学」   
台本シート
     
    
    
    
・ビデオカメラ
Dプレーヤ
     

 






 

学級全体で,まとめと第2場の番組作りの反省をする。



 

・本時の学習課題に対するまとめをする。            
本時の番組作りのよかった点と改善
点について話し,次時につなげる。
               
 

     
    
    
    
    
 

 

(3)「杉田玄白と解体新書」第4時

ア 目 標

「解体新書」を著した杉田玄白の願いや行為,行為の結果をまとめ,果たした役割をらえるとともに,その場面を台本に書き,番組にして表現することができる。

イ 展 開


 

  学習内容・学習活動

教師の支援          

資料等  








 

1 前時までの学習を想起し,杉田玄白の願いと行為について確認する。
2 本時の学習課題を設定する。
「解体新書」はどんなことで役立ったのだろう。

               
               
               
・番組の第3場面を玄白と「解体新書」の恩恵を受けた人との対話場面にすることを確認する。    
               
               

   
   
   
   
   
   
   
   





調











 

3 杉田玄白が与えた影響について調べ,果たした役割をとらえる
○玄白が果たした役割について調べる。


○調べたことをもとにして果たした役割について考える。
4 調べたことをもとに第3場面の番組作りをする。
○調べたことをもとに第3場面の台本を書く。

○台本をもとに第3場面の番組を収録する。
 

・調べ学習だけで果たした役割をとらえることは難しいと考えられるので,資料プリントを配布し,果たした役割の考え方について支援する。
・課題に対する予想を立てさせ,追究の意欲化を図る。
・予想との比較で,丁寧に確認していく。            
・歴史的な意義を把握する場面として,「玄白と玄白の行為の恩恵を受けた人物(または同時代に活躍した人物)との対話の場面」を設定する 組を完成させる場面だということを意識させるようにする。
               
               

調べカード
絵   
オランダ正月
    
     
学問の広がり
    
    
     
台本シート
     
     
デオカメラ
Dプレーヤ
    
    





 

7 学級全体で,まとめと第3場面の番組作りの反省をする。


 

・本時の学習課題に対するまとめをする。            
・本時の番組作りのよかった点と改善点について話す。