第5学年 図画工作科学習指導案

期 間 平成13年9月14日〜10月5日
児 童 花巻市立矢沢小学校5年2組
男子14名 女子15名 計29名
指導者 総合教育センター 佐藤 多江子
題材名
  自然からのおくりものでつくり隊
       ぼくらは、ネイチャーアーティスト

題材の目標
 木の枝の形や色、手触りなどから想像を広げ、今まで学習してきた表現方法から自分のおもいやイメ−ジに合う方法や材料を選択したり、いままでの学習をもとに工夫したりして表現することをとおして自然素材のもつ温かさやおもしろさなどを感じ取らせる。
題材について
  この題材は、新学習指導要領の第5学年及び第6学年の内容「A表現(2)『見たこと、感じたこと想像したこと、伝え合いたいことを絵や立体に表現したり、工作に表したりするようにする』」 と、「B鑑賞(1)『作品などを鑑賞し、それらのよさや美しさに親しむようにする』」とを関連さ せて設定したものである。児童自らが作品とかかわる表現活動や鑑賞活動をとおして、表現しながら作品のよさを感じ取ることができるようにしていきたいと考えた。そこで、ひとつとして同じものがない木の枝を素材として取り上げ、形や色、手触りなどから想像を広げ、今まで学習してきた表現方法から自分のおもいやイメ−ジに合う方法や材料を選択したり今までの学習をもとに工夫したりして表現することができるようにと考え、この題材を設定した。
児童の実態 
 児童は、学級での生活と同じように、図画工作の学習においても互いのよさを見つけ、認め合 おうとする姿勢が見られる。表現活動においては、自分なりの表現をしようという意欲をもっている児童が多い。また、絵画より、立体表現を好む児童が多い。しかし、なかには、自分なりの発想が広がらず何を表現しようかと悩む児童や、技術面でのつまずきから自分の表現に自信をもつことができないため表現が進まず、表現への意欲を失ってしまう児童もみられる。そのような児童に対しては、表現へのおもいを対話や学習カード、つぶやきなどから把握し、助言や励ましなどを行うとともに、互いの作品を鑑賞し合ったり、表現方法を教え合ったりする場を設定することで、自分なりの表現に自信をもたせたり、つまずきを克服したりしていくようにさせたい。
指導にあたって 
 題材の導入段階(1時間目のはじめの20分間)で表現の意図や方法がちがう参考作品を鑑賞させ、感想を述べ合わせたり、材料に触れながらどんな表現をすることができそうなのか考えさせることで、題材や材料に対するイメージを広げ、表現活動への意欲を引き出すようにさせたい。
 表現活動においては、どんなことを表現するか、どんな方法で表現するかなど、活動の進め方について自分で決め、自分のおもいやイメージにあった表現になるよう試行錯誤しながら表現させるようにしたい。また、表現の途中(3時間目のおわりの20分間)に、互いの作品を見て気付いたよさや美しさを伝え合わせることで、他者の表現から学んだり、自分の表現を振り返ったりさせる「きらりタイム」をグループから全体と二段階で行う。このとき、互いの作品を見る視点を明確にするために、色・形・材料の使い方や組み合わせ方などの観点を示した学習カードを用意する。、互いの作品を見合う活動の後は、他者の材料の選び方や生かし方、色や形の使い方や組み合わせ方などを参考にして、自分のおもいやイメージに近づけるよう表現させる。
 学習の最終時(6時間目の45分間)に 互いの作品のよさを認め合わせる「きらり美術館パート1」自分たちの表現活動と関連ある作品を紹介し合ったり、鑑賞したりする「きらり美術館パート2」を行う。完成作品だけでなく表現活動の過程を含めて、感じ取ったよさや美しさな どを交流させるため、表現の意図や試行錯誤の様子などを記述した作品紹介文とともに展示す る。さらに、木の枝やつるなどを使って表現した作品を探させたものを持ち寄らせ展示したり、 教師が提示たりして感想を述べ合わせることで、様々な表現に気付かせるようにする。作品の 提示にあたっては、自分たちの表現活動と結びつけて鑑賞することができるように、児童生徒 が木の枝などを使って表現した作品、日常品や飾るもの、町で見かけた看板店の前にディスプ レイしているベンチなど、作家が流木や木の葉などを使って表現した作品という順序で鑑賞させたい。
評価
   評   価   の   規   準
表現 〈造形への関心・意欲・態度〉
 木の枝の色や形、感触などから感じ取ったことや想像したことを自分なりに表現することを楽しもうとする。
〈発想や構想の能力〉
 木の枝の色や形、感触などから発想して、自分なりの構想をもとに表現する。
〈創造的な技能〉
 自分のおもいに合わせて、今まで学習した方法や材料のなかから選択し、工夫して表現する。
鑑賞 〈造形への関心・意欲・態度〉
 それぞれの作品と作品に込められたおもいのよさや美しさなどを感じ取ろうとする。
〈鑑賞の能力〉
 自分たちの作品や、自分たちの表現活動と関連する作品の意図を想像したり、特徴を感じ取ったりしながら見る。

7 指導計画(6時間)

8 本時の指導

(1) 本時のねらい
さまざまな作品のよさや美しさを感じ取り、互いの感じ方や見方を認め合う。
(2) 本時の準備
教師:鑑賞作品、学習カード、付箋紙(4色)
児童:筆記用具、身のまわりで見つけた作品
段階 学習活動 児童の思い 教師の支援






 
 











 
 
 
 
 
 








友だちの作品に込められた思いと表現の工夫を聞き、鑑賞の視点をつかむ





本時の課題を確認する
他の人の作品や自分の作品のよさを感じ取ろう

友だちの作品を見て、感想を書いたり、話したりする
 





自然からの贈り物をつかって表現した作品を鑑賞し、感想を述べ合う
 




本時の感想を発表する









木の枝を見てそんなふうに思ったんだ
そう思ったからこういう表現をしたんだな
あそこが工夫されてるな





私のいいところを見付けてくれてうれしい
つくってよかったな
いろいろな表現があるんだなあ
同じ材料を使っても想像することは一人一人みんなちがうんだな

身の回りにいろんなものがあるんだな
木の枝でなくても自然のものを使ったものって結構あるんだな
いろんな表現をしている人がいるんだな

みんなそれぞれにいいところがあるなと思いました
友だちの作品や自分の作品のいいところを見付けることができてよかった

2名の児童に自分の思いを中心に表現の工夫を話してもらい作品を見た感想を聞いたりしながら鑑賞の視点を示す。
材料は同じでも感じ方や見方によって表し方が異なり、ちがった作品に仕上がっていることに気付かせる
  鑑賞の視点
   アイディア・思い(付箋紙・青)
   素材の生かし方(〃・黄色)
   つくり方、色や形の組合わせ方(〃・紫)
   その他(見た感じやつくる途中でのこと)
                    (〃・ピンク)
隣の席の人の作品に感想を書いてから他の人の作品に感想を書くように指示する
友だちの感じ方や見方を知るために、友だちの感想を聞いたり読んだりするようにさせる         
児童が身の回りから見付けてきた作品を展示するコーナーを設け、児童が自由に見たり触れたりすることができるようにする   
友だちと話したり作品に触れたりしながら鑑賞させる        
自分たちの表現と結びつけて鑑賞できるよう、児童生徒が木の枝などを使って表現した作品、日常品や飾るもの、町で見かけた看板ベンチなど、作家が流木や木の葉などを使って表現した作品の順序で紹介し、鑑賞させる

評価の規準と評価方法
〈造形への関心・意欲・態度(鑑賞)〉
友だちの感じ方や見方に共感したり、一人一人の感じ方や見方、表現の違いを感じたりしながら作品を見ようとする
                                                                            (発表・観察・学習カード)
自ら見つけた表現活動とかかわりのある作品を紹介し合い、友だちの感じ方や見方に共感したり、自分の感じ方や見方を大切にしたりしようとする   
                        (見付けた作品・発表・観察・学習カード)
〈鑑賞の能力〉
材料や用具の生かし方、表現の意図とそれを表現するための工夫などに着目して作品を見る 
                                     (観察・学習カード)