「国語表現」学習指導案
指導期間 | 平成12年9月19日〜10月3日 |
指導対象 | 岩手県立宮古高等学校川井校第3学年 |
「国語表現」就職コース | |
男子8名 女子7名 計15名 | |
指導者 | 佐藤香菜(長期研修生) |
1 使用教科書 「国語表現」(東京書籍)
2 単元名 4「聞くこと話すこと」
3 単元について
この単元では、現行指導要領の「観察、調査などに基づいて、事実、状況などを正確に説明したり記録や報告にまとめたりすること」
という指導内容に基づいて、「話し言葉」の学習のための心得を習得し、実践をとおして「聞くこと・話すこと」の方法を身に付けることを
目標としている。その具体的な学習内容は以下に示すとおりである。
(1) 話し言葉におけるきめ細やかな感覚・配慮について学ぶ。
(2) 相手に理解させようという自分の意思を、どのように明らかにしていくかを学ぶ。
(3) どのような態度で相手から話を引き出すかを学ぶ。
以上の目標に基づいて、本単元は、澤田昭夫『「話」はおもしろく』、岩淵悦太郎・沢村貞子『言葉対談』、塚越恒 爾『会議進行』、
単元の内容を総合的にまとめた『話すこと・聞くことについて』、実践教材
『ディベートのすすめ』から構成されている。
4 教材について
本教材は、「書く論文」に対して、「話」を「話す論文・話された論文」と位置付けているところに特色がある。主題は、表題のとおり「話 はおもしろくせよ」ということであるが、「おもしろおかしい」という意味ではなく、話の筋道を明確にして、質的にも量的にも聞き手の理 解力を超えない範囲で、聞き手を引きつけよと提言している。構成は、「おもしろく、興味をわかすように」「声、スピード、間」「目、ノート ・メモ」「黒板・視聴覚設備の使い方」「身振り、手振り」「締めくくり」の6項目を立て、それぞれについて具体的な説明を簡潔に行ってい る。
「話し方」という把握しにくい漠然としたものを、構成に従い、習得していく過程をとおして、「話し方」を体系的に身に付けていく方法を 学ぶことができる。また「おもしろい話」の観点を「筋道が明確で論理的であること」と捉え、理解しやすい実践的な内容となっている。
5 指導対象について
「国語表現」就職コースは、第3学年の就職希望の生徒を対象としているため、就職試験対策の問題集を用いて、演習を中心とした 学習指導を行うことが多い。そのため、生徒は作文や漢字の書き取りなど、書く活動に取り組む機会が多く、書くことで自分の意思を 表現することはできるようになってきている。
その反面、話す活動や機会が少ないため、授業の中で、改まって自分の考えを話すことに対して苦手意識をもつ生徒が多い。この 苦手意識は、就職試験対策としての模擬面接の場においても顕著にみられ、短期間の指導で改善することは困難な状況である。
また、小規模校でクラス替えもなく3年間過ごしてきているために、互いの理解が深まり、比較的意思の疎通が図りやすい環境であ
ることも、表現方法を工夫して話す必要性が少なく、話し方が身に付きにくい要因と考えられる。
6 指導にあたって
本単元では、今まで「国語表現」において指導が不足していたと思われる話し方の指導に重点を置き、グループ活動、調査活動、発 表、相互評価という一連の話す活動によって、適切に表現する能力を高めていくものとする。
特にも、実践的な指導内容となっている本教材に基づいて調査活動を取り入れて指導することは、話し方を中心とした表現方法の特 徴や工夫を実感し、自身の言語生活の改善を図るうえで有効であると考える。
また、調査活動をとおして、社会人として円滑な社会生活を送るための心構えも同時に習得させたい。
7 指導目標
(1) 表現方法を工夫して話すことの必要があることを実感させる。
(2) 実践をとおして、話し方についての問題点を把握させ、改善への意識付けを図る。
(3) 聞き手や目的、場に応じた話し方を身に付けるための方法を習得させる。
8 指導計画
段階 | 時数 | 指 導 内 容 | 学 習 活 動 |
課題把握 | 1 | 1 学習課題の把握 @教材の内容を把握させる A話し方を学ぶことの目的を明確にさせる |
・『「話」はおもしろく学習プリント』を用いて自他の話し方の問題点について交流する |
課題追求 | 2 | 2 言語生活調査事前準備活動 @言語生活調査活動の目的を把握させる Aグループ構成と役割分担をさせる B 回目の調査項目の選択、構成をさせる |
@調査活動によって、話し方の工夫を学ぶという目的を確認する A調査対象を1箇所選んでグループを構成し、構成したグループ毎にもう 1箇所選択する B 「職場での言葉に関する素朴な?」「調査活動はこうして行う」「調査活動実践シート」を用いて、役割分担、調査項目の選択、構成を行う |
1 | 3 言語生活調査活動1回目を実施させる | ・1回目の聞き取り及び観察調査を行う | |
1 | 4 言語生活調査活動1回目の反省をさせる | ・グループ毎に「調査活動反省シート」の項目に従って反省し、交流する ・反省を生かして、調査項目の選択、構成を行い、聞き手が理解しやすい話し方を考える |
|
1 | 5 言語生活調査活動の2回目の調査項目の選択、構成をさせる | ・2回目の聞き取り及び観察調査を行う | |
4 | 7 言語生活調査事後交流活動 @調査結果の整理をさせる Aまとめ方の役割分担とまとめの作成をさせる B発表方法の工夫をさせる C発表、相互評価をさせる |
@聞き取り及び観察調査結果から、調査目的に応じたものを選択する A グループ毎に、2箇所の調査対象毎のまとめを1枚ずつ、2箇所を比較したまとめを1枚、合計3枚作成する B 「発表評価シート」により、評価の観点を把握し、発表方法を工夫する C グループ毎に発表し、相互評価する |
|
課題整理 | 1 | 8 学習課題の整理 @相互評価の確認、問題点の把握をさせる A実践的行動への意識付けを図る |
@相互評価の結果と「調査活動のまとめ」をもとに、話し方を中心とした表現方法の問題点を明確にする。 A明確になった自身の問題点を改善していく方法を考える |
9 評価計画
(1) 表現方法を工夫して話す必要があることを実感できたか。
(2) 実践をとおして、話し方についての問題点を把握し、改善への意識付けが図られたか。
(3) 聞き手や目的、場に応じた話し方を身に付けるための方法を習得できたか。