中学校 第2学年 英語科学習指導案

指導期間 平成12年10月10日(火)〜10月24日(火) 10時間
指導学級 北上市立北上中学校第2学年 (男子20名、女子18名、合計38名)
指導者 総合教育センター 舟山美知
教科書 東京書籍 New Horizon 2
単元名 Unit 6 Our Neighbors

6 単元について
 (1) 教材観
「日本人はもっとアジアに目を向けるべきではないか」という内容のカナダ人からの新聞への投書に対 して、日本
の中学生が自分の意見を投書するということが、本単元の内容である。この単元をとおして、 英語を母国語とする
人々とだけの交流のみならず、世界全体へと目を向け、視野を広げることの大切さを 気づかせたい。 本単元の新
出言語材料は“will / have to / must " などの助動詞である。助動詞は主語の変化に応じた活用がないので、比
較的生徒には理解しやすい事項であるが、前単元で学習したばかりのto不定詞が本 文の随所に現れるので、本
文の内容理解に困難を感じる生徒が多くいると予想される。 また、本単元では2年生で初めて説明文を学習するの
で、Topic Sentence や Support Sentence、 抽象 から具体へという論の流れなど、英文固有のパラグラフ構成に
注目した読みをさせたい。

(2)生徒観 
生徒感 中学2年という時期の生徒は、英語という言語形式や英語固有の発音などに対する新鮮な驚きや興味の
段階を経て、教師から示された学習方法を取り込み、さらに自分に適した学習方略を工夫し始める。また、
英語を聞いたり話したりできるようになりたいという興味や関心をもってはいるものの、語順や語彙を十分理解し
て、語彙を組み立てて使えるようになるまでの反復練習や機械的練習に対する意欲はやや低下し てくる。したが
って、英語の言語形式や語彙を理解させるための指導と、コミュニケーション活動をとお して、学習事項を使って
みるという経験を授業の中で十分保証し、理解と活用の一体化を図っていく必要 がある。

(3) 指導観
 ア Starting Out
 “have to" の意味と機能について、絵を用いて、「場面 → 機能 → 表現形式」というつながり
 を意識させ、感覚と思考の要素を組み合わせて理解させ、全体で置換練習を行う。

イ Listen and Speak
 韓国と中国の留学生が英語で自己紹介をするという場面設定になっている。コミュニケーションの技
能を高めるための方略を取り込んでコミュニケーション活動をさせたい。

ウ Read and Think  
  日本人は自分たちの近隣の国々にもっと目を向けるべきだという新聞の投書に対して、日本でもアジ
アの国々への関心が高まってきているという内容の投書という構成になっている。読むことの活動にあ
たっては個人毎の読み取りだけではなく、ペアやグループ活動を取り入れ、さらには自分たちの考えを
交流させたい。

7 単元の指導計画(10時間)

時間 指   導   内   容
第1時 《学習方略の指導》英語学習の困難点を意識させる。
第2時 《学習方略の指導》学級の生徒を、内向・右脳型、内向・左脳型、外向・右脳型、外向・左脳型の
 4つのグループに分けそれぞれに適した学習方略を示し、理解させ、取り込ませる。
第3時 《学習方略後の指導》英語学習記録ノートを配布し、本時で活用した学習方略などを記録させる。
 以下、第10時まで同様。  Starting Out  視覚的な要素と聴覚的な要素を取り入れ、「場面→
機能→表現形式」というつな がりで、"have to"の意味と機能を理解させる。音読練習の際には、
練習にかかわる認知方略を十 分活用させる。
第4時 Starting Out フラッシュカードで置換練習を全体から個人へと行う。 Listen and Speak 地図や絵
を用いて、リスニングの本文にかかわるスキーマを与えた上で、「聞く こと」の補完方略を活用し
て聞く活動をさせる。聞き取った内容をペアで交流させるなど、聞くこ とに対する精神的負担を軽
減する配慮をする。
第5時 Listen and Speak フラッシュカードで置換練習を全体から個人へと行う。助動詞"will"の意味に つ
いて、本文の話者の気持ちから「単純未来」と「意志未来」があることに気づかせる。 話者がなぜ
ハングルを勉強しようと思ったのか、日本と欧米の文化の相違に注目する社会的方略を 活用して、
その因果関係を表現形式上理解させる。
第6時 Read and Think 新聞の投書を読む活動を、個人とペアで行う。Topic Sentence → Support
Sentenceという英文のパラグラフ構成の特徴に気づかせるとともに、抽象→具体へという記述の
流 れに沿って読みを深めさせる。日本と欧米の文化の相違に注目する社会的方略を活用させる。
第7時 第6時と同じ指導内容
第8時 Read and Think 新聞の投書を読む活動を、個人とペアで行う。I don't think we are forgetting
our neighbors. のような否定の仕方の違いについて、日本と欧米の文化の相違に注目 する社
会的方略を活用させる。
第9時 グループで英語学習上の困難点と自分で実践してみた学習方略について交流させ、自分の学習
方略 を深化拡大させる。メタ認知方略を活用させる。
第10時 Let's Try 意味を伝えることがねらいであることを理解させ、練習にかかわる認知方略を十分活用
させ、活動を行わせる。

(注)ゴシック体で示したものは、学習方略にかかわる指導である。

8 第8時の指導

(1) 目標
ア 教科書の挿し絵をヒントに“have to"や“don't (doesn't) have to " が使われる場面から、それらの
   用法を理解する。
イ 英文を聞く活動をするときに、前後関係から意味を予測するなどの補完方略を用いることにより、学習
   方略を理解する。    

(2) 展開 

段階 学  習  活  動 用いた学習方略 指導上の留意点
導 入 (15) 1 教科書の絵を見て場面を予測し意味内容
  の正しい語句を選ぶ
2 CDを聞いて、語句を確認し、音読練習す
  る


3 "have to"を用いて書く活動を行い、ペア
  で情報交換を行う





・英語を聞くときは
 前後関係で意味を
 推測するという補
 完方略
・知っている単語を
 使って英作文する
 という練習にかか
 わる認知方略
・共同学習にかかわ
 る社会的方略
・学級全体に発問し、数名
 の生徒に答えさせる
・自分の願いと、しなけれ
 ばならないことについて
 書かせる







展開(25) 4 聞く活動に入る前に、英文の内容を予測
  する


5 中国や韓国について知っていることを発
  表する
6 CDを3回聞く
  1回目 英文の内容を推測する
  2回目 板書事項をもとに、さらに聞こえ
       た語や語句をメモする
  3回目 英文による自己紹介のうち年齢、
       住んでいる所、交通手段など要
       点を聞き取る
・本文の内容を予測
 するメタ認知方略




・共同学習にかかわ
 る社会的方略


・補完方略
・練習に関わる認知
 方略
・練習にかかわる
認知方略
・共同学習にかか
 わる社会的方略

・本字の学習内容について、
 スキーマを与える
・黒板に日本、韓国、中国
 の地図をはる




・ブレインストーミングを行
 う
・聞こえた語や語句につい
 学級全体に発問し、板書
 する
・聞き取った内容をペアで
 交流させ、精神的負担を
 軽減する






終末(10) 7 本時の学習事項の理解と用いた学習方略
  を英語学習ノートに記録する
・計画と評価のメタ
 認知方略
・学習方略の理解と活用を
促す

*これは学習方略と学習スタイルにかかわる研究の学習指導案である。