国 語 学 習 指 導 案

指導期間 平成12年9月7日(木)〜9月22日(金)
指導学級   花巻市立西南中学校2年□組(男子16名、女子13名、合計29名)
指導者 県立総合教育センター 藤 原 正 義
教科書名 光村図書出版「国語2」

1 単元名 「文化に学ぶ」
  ― 文章の構成や展開を的確にとらえ、文化について考えを深める―

 本単元のねらいは、生徒に「文章の構成や展開を的確にとらえ、文化について考えを深める」ことにある。
 日常の生活において、忙しさに紛れて特に気にとめたり、疑問を抱いたりすること の少ない中に、実は先人の長年にわたる生活の知恵や工夫がひそんでいることに驚く ことがある。このような知恵や工夫に対して、「なぜ?」「どうして?」などと疑問 を抱くと、それを追究したくなる。特にも知的好奇心の旺盛な時期にあたる中学生に とって、ある疑問から発してそれを解決する過程をとおして文化について考える契機 としたい。

2 教材名 「縄文土器に学ぶ」後藤和民

(1)教材観
  本教材「縄文土器に学ぶ」は、筆者の疑問を解明していく過程が述べられている説 明文である。単元の目標に「文章構成や展開を的確にとらえる」とあるように、本文 は、話題の提示、疑問、土器づくりの過程、結論という形で要点を押さえた構成になっている。
 筆者は、従来の研究の進め方に疑問を抱き、自分で実際に土器を作ることで、確か めてみようとしたものである。十数年にわたる努力の結果、やっと「土器作り」に成功する。そして「縄文人は高度な文化、友好的な共同生活を創造していた」ことを解明する。これまでは「縄文時代は野蛮で未開な段階」と決めつけていたものの見方や 感じ方に対して一石を投じるものである。この教材を学習することによって、生徒は研究者としての情熱を感じ取るとともに、知的好奇心の強い生徒は、ものの見方や考え方を学ぶうえで意義深いものと考える。
  日本文化の成り立ちや縄文時代に生きた人々の暮らしやものの考えに対して、生徒 は興味関心を持っていることから、この学習をとおして筆者の者の考えや研究への取 り組みを学ぶことにより、これから社会人として生きる上で参考になる教材であると考える。

(2)生徒観
  生徒は、これまでに説明文教材として「比喩の世界」(森山卓郎)を学習してきた。中学2年生という時期は、疑問に思ったり不思議なことに対して知的好奇心を強く抱 いたりする傾向が強い。しかし、生徒の多くは、説明文の学習はある程度理解できるものの、理解することに比べて書くこととなると苦手意識をもっているのも事実である。また、文学的な文章に比べて説明文に対して強い関心は示さないように感じられるが、これは指導者が教材を説明したり解釈したりすることが多く、生徒自身が主体的に教材に取り組むような学習活動が構成されていないことによるものと思われる。 したがって、特にも授業の導入に際しては、生徒の興味や関心を引き出させるような、学習者の立場に立った授業を第一に構想しておく必要がある。

(3)指導観
  本研究は、文章の理解と表現を関連させながら、生徒に文章表現力を育成しようとするものである。そこで、文章の理解の上に立って表現させるのでなく、両者を相互に関連させながら、文章表現を育成しようとするものであり、表現の取り立て指導で はない。
 昨年は、指導試案作成のために実態査を行った。その結果の主なものは次のとおりで ある。これらのことに留意しながら指導に当たる必要がある。
 (1) 文章の読解に比べて、主述のかかわりや文法的な用法などを含めた文章記述における個人差が大きいこと。
 (2) 文章の創作に関する興味や関心が高いことや文章をうまく書きたいという上達意識が高いことなど望ましい傾向がみられたこと。

3 単元の指導目標
(1) 人間の生活、歴史や社会に対するものの見方・考え方を理解し、文化についての考え方を深めさせる。
(2) 文章の展開に沿って読み、事柄や要点、文章の構成をとらえさせる。
(3) 文章の構成や表現上の工夫などの学習をもとにして、説明文や意見文を書くうえで参考にさせる。

4 単元の指導計画(8時間配当)

時 間 指  導  内  容
第1時 文章表現に興味・関心をもたせる。
これまでの学習を振り返り、多様な文章表現があることに気付かせる。
文章記述上の基礎的事項を確認させる。
第2時
教科書本文を通読し、初発の感想を発表させる。
題名や、冒頭の書き出しなどから、筆者の表現意図を理解させる。
語句の意味の確認及び漢字の読みを確認させる。
第3時 第1段落(@)と第2段落(AB)の読みとり 「学習プリント」@
縄文土器の特徴、縄文土器発明の理由、土器の発明によって明らかになった ことを読み取らせる。
箇条書きに整理させる。
第4時 第3段落(CDEFGH)の読みとり
縄文土器制作への疑問、これまでの研究の進め方への疑問及び土器作りへの挑戦を読み取らせる。
第5時 第3段落(IJKLMNOPQ)の読みとり 「学習プリント」A
筆者の実験をとおして明らかになったことを、順を追って整理させる。
第6時
(本時)
第4段落(R)の読みとり及び全体の要旨の把握 「学習プリント」B
筆者がたどり着いた結論を確認するとともに、それに対する自分の考えや意 見をまとめさせる。
第7時 筆者の表現意図を明らかに理解させる。 「学習プリント」B
個と集団による検討し発表させる。
「流行語」をテーマにして説明文を書く(課題)。
第8時 伝えたい事柄を工夫して文章を記述する。
前時に課題とした説明文をそれぞれ発表し、表現を検討する。
読み手の立場に立って分かりやすく表現を工夫する。

5 本時の指導目標

(1) 縄文土器の発明によって、食料が豊かになり食生活が安定して共同生活を営むこ とになったという筆者の考えを読みとらせる。
(2) 筆者の考えに対する、生徒一人ひとりの考えや感じ方をまとめさせることにより、 ものの見方や考え方を深めさせる。

6 指導展開案(第6時)

段階 指 導 内 容 学 習 活 動 指導上の留意点


10 分
1 前時の学習内容の想起と整理 1 学習内容を想起する
@長い年月をかけて土器づくりの実験をしたこと
A土器づくりの工程にはそれに適した季節があることがわかったこと
 2〜3名の生徒に指名 して答えさせる。
2 本時の学習範囲と学習目標の確認―
  第3段落(PQ)第4段落の読み取り
2 第3段落、第4段落の読みとりと学習目標を確認する。
展 開
  
35 分
3 学習範囲の音読 第3段落
  縄文土器の制作に関 する筆者の考えを読み取る。
  従来の研究法と筆者の研究の違いを確認

   用語・語法等
 とうてい考えられない
 理にかなっている
 求めてやまない
 生産、供給、消費
 分業と交易
  

 
だれでも、いつでも、ど こででも作れたのではない
               ↓
特定の工人集団の存在適切な季節に大量生産 →各地の供給する
 特に難しい用語はないが、教材の結論にあたる大事な段落である。
 第3段落(D)の記述と比較させる
「いつでも、どこでで も、だれにでも簡単に作れたにちがいない・・」



 該当の用語を使って短 文を作らせる。
縄文人にとって縄文土器はどういうものか  食料を豊かに確保し、食生活を安定させ、多くの人が共同生活を営むために欠 かせぬ道具 第2段落(AB)の記 述と比較させる。
「縄文人の食料は飛躍的に増大した」
「共同生活を営むことが可能になる」
「学習プリント」B
  学習後にどのような意見や感想をもったか
 学習プリントに記述した ものをもとに、それぞれ意見や感想を交流する。  グループで「流行語」 の実態について話し合い記述にあたって要点をメ モさせる。
  実際の記述は、自宅での課題学習とする。


5 分
  説明文や意見文を書 。(「流行語」をテ マとする)  これまでの学習をもと に、説明文や意見文を書く。  グループで「流行語」 の実態について話し合い記述にあたって要点をメ モさせる。
 実際の記述は、自宅で の課題学習とする。
4 まとめと次時の予告