中学校第1学年数学科指導プログラム
学 校 名 | 北上市立和賀東中学校 |
対象学級 | 1年C組(男子14名 女子20名 計34名) |
指導年月日 | 平成9年9月29日 第2校時 |
指 導 者 | 及 川 禎 彦 |
作 成 者 | 及 川 禎 彦 |
T 単元名 「関数と比例」
U 単元設定の理由
1 教材観
日常の事象の中には、風呂に水をためるときの時間と水位の関係や街灯からの距離と影の長さの関係など、関数関係でとらえられる事柄が数多く存在する。その関数関係をとらえることは小学校から学習している。
小学校第4学年では、簡単な事柄について、対応している数量に着目し、それらの関係を表やグラフに表すことや、表やグラフを用いて数量の関係を明らかにすること、第5学年では、面積や体積の公式などの簡単な式で表すことができる関係について、式から変化や対応の仕方の特徴を調べること、第6学年では、比例・反比例の意味や、式・グラフを用いて比例や反比例の特徴を調べることについて学習している。
中学校では、小学校の学習を基礎にして、第1学年では、比例・反比例の関係について、変化と対応に着目し、文字式の扱いに伴い文字を変数や定数として扱い変数と変域の意味や、関数の意味について学習する。さらに第2学年では、一次関数について、比例関係と比較しながら変化や対応の特徴をまとめ、第3学年では、2乗に比例する関数について、1次関数との共通点や相違点を明らかにして特徴をまとめ、その他のいろいろな関数について特徴を調べる学習をする。
学習指導要領では、数学科第1学年の数量関係のねらいとして、「事象の中から2つの数量を取り出し、それらの間の関係を考察してその特徴を明らかにし、関数関係について理解する。」としている。そこで、本単元では、いろいろな事象の中から伴って変わる数量を見い出し、変化や対応の様子を表やグラフや式に表して、その特徴を考察することをとおして、変数と変域の意味や関数の意味を理解することができるようにすることをねらいとしている。
数量が増減していること、複数の数量が伴って増減していること、伴って変わる数量の関係には規則性があることをとらえる学習を繰り返すことにより、生徒が、日常の生活に変化や対応についての見方や考え方を役立てることができるようになると考える。
2 生徒観
生徒は、比例や反比例という言葉は覚えていても、身の周りの事象の中にひそむ比例や反比例の関係をとらえられずにいる場合もあると思われる。それは、身の周りの事象の中の変化する数量に着目することができなかったり、2つの数量が伴って変化していることに気づくことができなかったりしているものと考えられる。
生徒は、コンピュータを用いた授業は初めてであり、非常に期待している。しかし、コンピュータの操作や、コンピュータを使用するときと使用しないときの切り替えがうまくできない生徒もいると思われる。
3 指導観
「関数と比例」の指導において、関数関係や比例・反比例の関係の特徴を見つけ出す場面で、身近な事象の中の変化する数量に着目させ、伴って変化する数量を見つけ出させる指導を共通して行う。そして、対応する値の組を表やグラフに表させ、表に表した数値を比べたり、グラフの傾きを調べたりすることから伴って変わる数量の間の関係を見つけ出させることにより、生徒に、伴って変わる2つの数量の変化から数量が一定の割合で増減していることや、対応する値の比や積が一定であるという規則性をとらえる力を身につけさせたい。また、着目した変化する数量から変数や変域、関数の意味を理解させ、見つけ出した伴って変わる数量の間にある関係の規則性から比例・反比例、比例定数の意味を理解させたい。そのために、小学校で扱った事象を用いて、値を表やグラフに表させ、伴って変わる数量の関係を調べさせる際に、中学校で新たに学習する変数や変域の考え方を取り入れ、小学校の学習内容を発展的に扱う指導を行うことが必要であると考える。
ここで、変化する数量を見つけ出させたり、伴って変わる数量の間にある関係を調べさせたりする際に、コンピュータ教材を用い、変化する数量と変化しない数量を見分け、2つの数量が伴って変化していることを見つけ出すことを容易にし、対応する値を表やグラフに表したり、2つの数量の間の関係を調べたりすることを容易にしたいと考える。
V 単元の指導目標
1 身の周りの事象について、変化する数量に関心をもたせ、数量の関係を表やグラフや式を用いて調べようとする態度を養う。(情意的領域)
2 関数関係にある2つの数量の変化の様子や対応の仕方の特徴を表、グラフ、式を用いて考察できるようにする。(技能・能力的領域)
3 事象の中から伴って変わる2つの数量を見つけ出させ、その変化や対応の様子をとらえさせることをとおして、変数や変域、関数関係の理解を深める。(認知的領域)
4 比例、反比例の特徴を調べさせ、その結果から比例定数の意味を理解させる。(認知的領域)
W 単元の教材構造
X 単元の指導計画
第1時 変化する数量を見つけ出し、変数の意味を理解する
第2時 変化の様子や対応の関係を調べ、関数の意味を理解する
第3時 関数関係を式やことばで表す
第4時 変域の意味を理解する
第5時 比例関係にある2つの数量を見つけ出し、その関係の特徴をとらえる
第6時 比例している2つの数量の関係を式で表し、比例定数・比例の意味を理解する
第7時 反比例関係にある2つの数量を見つけ出し、その関係の特徴をとらえる
第8時 反比例している2つの数量の関係を式で表し、比例定数・反比例の意味を理解する
Y 本時の学習指導
1 主題 「比例の関係」
2 指導目標
事象の中の変化する数量に関心をもたせるとともに、伴って変わる2つの数量を見つけ出させ、その関係を表やグラフに表させ調べさせることにより、比例関係の特徴を理解させる。
3 目標行動
G 比例関係にある2つの数量について、値を表やグラフに表して調べ、関数における比例の特徴を説明することができる。
4 下位目標行動(Rはレディネス)
@ 比例関係にある2つの数量を表に表したときの特徴は、2つの数量が一定の割合で増減していることといえる。
A 比例関係にある2つの数量を表に表したときの特徴は、対応する値の比が常に一定であることといえる。
B 比例関係にある2つの数量をグラフに表したときの特徴は、原点を通る直線であることといえる。
C 表から、一方の数量が2倍、3倍、・・・・と変化すると、もう一方の数量も2倍、3倍、・・・・と変化していることを指摘できる。
D 表から、対応する値の比が常に一定であることが指摘できる。
E 対応する値の組を表に表すことができる。
F 伴って変わる数量の値を順序づけて並べることができる。
G グラフが原点を通る直線であることを指摘できる。
H 対応する値の組を座標とする点の集合が直線になることが指摘できる。
RI 対応する値の組をグラフに表すことができる。
J 見つけ出した伴って変わる数量から対応する値の組がいえる。
RK 与えられた事象について「何が変われば、何が変わるか」を指摘できる。(第1時で学習)
RL 与えられた事象について「何が決まれば、何が決まるか」を指摘できる。(第1時で学習)
5 形成関係図とグルーピング
6 本時の展開
時間 | 主な学習内容 | 展 開 の 流 れ | 教材・教具と留意事項 |
5 分 |
〈導入〉 1・問題提示 「比例の関係にはどんな特徴があるのだろうか」 |
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2・学習課題の設定 「かげの問題について」 |
・コンピュータ教材の動画を一斉送信する ・どんな数量が変化しているかに着目させる ・コンピュータを使って伴って変化している2つの数量の値を求め、表やグラフに表しながら比例の特徴について考えることを知らせる |
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38 分 |
〈展開〉 3・ともなって変る2つの数量の確認 J RK RL |
・コンピュータ教材 ・歩いた距離とかげの長さがともなって変化していることを発表させる |
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4・ともなって変る2つの数量について値を求め表に表す E F |
・コンピュータ教材 ・小数値でもよいことを知らせる ・必要に応じて学習プリントに記入させる ・学習プリントに記入させる ・特徴を見つけ出せない生徒には、表の対応する値の比を調べればよいというヒントを与える ・特徴を学習プリントに書き表せない生徒からは説明を聞き、対応する値の比が一定であることについて書くヒントを与える |
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5・求めた値を発表する | ・発表されたことが、自分の表についても成り立つか確認させる | ||
6・表から比例の徴について気づいたことをまとめる @ A C D |
・学習プリントに記入させる ・コンピュータ教材 ・机間巡視 |
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7・気づいたこと発表する | ・何人かのグラフを一斉送信する ・全生徒の値を座標平面にプロットしたものを一斉送信する |
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8・値をグラフに表す RI | |||
9・グラフから比の特徴について気づいたことをまとめる B G H |
・特徴を見つけ出せない生徒には、グラフを原を通る直線と見るヒントを与える ・特徴を学習プリントに書き表せない生徒からは説明を聞き、直線であることと、原点を通ることについて書くヒントを与える |
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10・問題提起「そのほかの事象でも同じような特徴があるか確かめよう」 |
・コンピュータ教材 ・学習プリント ・メニューから問題を選ばせる |
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11・確かめた結果を発表する | ・自分の調べた結果についても同じことがいえるか確認させる | ||
7 分 |
12・比例について表やグラフからわかる特徴をまとめる G | ・比例関係を表やグラフに表したときの特徴をまとめる |