期 間 | 平成10年9月14日(月)〜10月2日(金) |
場 所 | 岩泉町立小本中学校2年A組 |
授業者 | 佐 々 木 孝 之 (長期研修生) |
生徒数 | 男子8名、女子8名、計16名 |
本単元の『日本の北東部』では、生徒にとって身近な地域である東北地方、そして北海道地方について学習することになる。本教材の「東北地方」では、東北地方の稲作農家が抱える問題と対策、さかんな果物づくりの中から津軽平野のりんごづくりを事例とした果樹栽培農家の努力や工夫、地方中枢都市としての仙台の動向と課題、東北地方の伝統工業と新しい工業について学習する。
生徒は、授業には真面目に取り組んではいるが、問題解決的な学習において一部の中心となる生徒の発言や教師の説明に頼ろうとし、多くの生徒は問題を自分のものとしてとらえていない傾向がある。
そこで、本単元の指導にあたっては、東北地方の学習内容から、生徒一人一人が興味・関心に基づいて自らの学習問題を見つけ、主体的に調べ、まとめた学習内容をお互いに交流する活動をとおして、中学校社会科における問題解決能力を育てていくようにしていきたい。
東北地方の人々の生活や産業に関心をもち、主な産業の特色やその生起の原因、問題点や解決策について進んでとらえようとすることができる。<社会的事象への関心・意欲・態度>
東北地方の人々の生活や主な産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などの地理的事象の意味について考えたり、判断したりすることができる。<社会的な思考・判断>
東北地方の人々の生活や主な産業の特色、その生起の原因や問題点を様々な資料から読み取り、わかりやすくまとめ、発表することができる。<資料活用の技能・表現>
東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点、解決策など地理的事象の意味について理解することができる。<社会的事象についての知識・理解>
第一次 オリエンテーション 1時間
第二次 東北地方の自然・人々の生活と産業(問題把握) 2時間(実践1)
第三次 東北地方の自然・人々の生活と産業(問題追究) 5時間(実践2)
第四次 東北地方の自然・人々の生活と産業(まとめ) 2時間(実践3)
第五次 東北地方の学習の深化・発展 1時間
学習班から調査班に分かれて、疑問や予想を話し合う場面
「調査班のテーマと調べる内容を決定しよう」(第3時)
ア 目標
(ア) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などについて関心をもち、グループの話し合いに積極的に参加できる。
(イ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などについて考えることができる。
(ウ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などについて資料から読み取ることができる。
(エ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などについて理解することができる。
イ 展開
学習内容・学習活動 | 教師の支援 | 資料等 | |
問 題 把 握 |
1 前時に立てた学習問題を確認する. 東北地方の人々の生活や産業の特色から東北地方の将来を考えよう |
○ 前時の資料と立てた学習問題を提示して想起できるようにする。 | ・イメージマップ ・カード |
2 本時の目標を設定する。 調べてみたいことをもとに調査班に分かれて、疑問や予想を話し合い、調査班で自分が調べる内容を決定しよう |
○ 生活経験や既習事項と資料を結び付けて考えることができるようにする。 ○ 交流メモに記入させる。 |
・資料集 ・交流メモ |
|
3 調査班に分かれて、疑問や予想を交流し合い、いろいろな考えがあることに気付く。 | ○ 資料集の図版資料や統計資料をもとに、疑問点や問題点、予想を交流し合う。 ○ 話し合いによって、予想の根拠を交流し合い、考える視点を広げることができるようにする。 |
・資料集 ・交流メモ |
|
4 調査班で交流し合った疑問や予想の中から追究したいことを一人調べの内容として決定する。 | ○ 調査班の予想や一人調べのテーマを把握し、調査班の活動が基礎的・基本的事項を押さえたものになるようにする。 | ・交流メモ | |
5 調べる項目と方法や手順を決定する。 | ○ 教科書や資料集を活用しながら、さらに資料を探して調べる活動が中心となることを伝え、調べる内容によっては、多様な方法があることを示す。 | ・「調べ学習の手引き」 ・学習シート |
|
6 調査班のテーマと一人調べの内容や分担を発表する。 | ○ 一人一人が何を調べればよいのかをはっきりさせて、誰もが学習に参加できるように確認する。 | ・交流メモ |
学習班で調べたことをもとに調査班で教え合う場面
「調査班から学習班にもどり、調べた内容を交流しよう」(第8時)
ア 目標
(ア) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などについて関心をもち、グループの活動に積極的に参加できる。
(イ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点や解決策などについてレポートと仲間の発表をもとに適切に判断することができる。
(ウ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点について班の仲間にわかりやすく説明することができる。
(エ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その生起の原因、問題点について班の仲間の説明から理解することができる。
イ 展開
学習内容・学習活動 | 教師の支援 | 資料等 | |
問 題 追 究 |
1 学習問題と各班で設定したテーマを確認する。 | ○ 前時の資料と立てた学習問題を提示して想起できるようにする。 |
・テーマ一覧表 |
学習問題 東北地方の人々の生活や産業の特色から将来を考えよう | |||
テーマA 厳しい自然の中で人々はどのような生活を営んでいるのだろう テーマB 稲作農家はどのような問題を抱えているのだろう テーマC 果樹栽培農家はどのような努力や工夫をしているのだろう テーマD 畜産農家はどのような思いで経営に努力しているのだろう |
|||
2 本時の目標を設定する。 調査班から学習班にもどり、調査した内容を交流しよう |
○ レポートや交流メモを見直し、調査班で調べた内容のポイントを確認するように助言する。 | ・レポート ・交流メモ |
|
3 調査班で集まり、学習班にもどって教え合いをするための準備を行う。 | ○ 強調することがらや質問されそうなことがらとその答え方について検討するよう助言する。 | ||
4 学習班にもどり、調査班での学習内容を教え合う。 ・ 一人ずつ調査班の学習内容を説明する。 ・ 質疑応答を行う。 |
○ 話し合いの手順とルールを掲示し、学習がスムーズに進行するよう指示する。 ○ 欠席等でテーマがそろわない班には他の学習班の同一担当者から教えてもらえるように指示する。 ○ 学習内容を深め、学習問題の解決のために、質疑応答や意見交換などの班内の活動が重要であることを説く ○ 担当者がうまく答えられない場合は他の学習班の同一担当者からの支援を求めるように指示する。 |
・話し合いの 手順 ・レポート ・交流メモ |
|
5 新たに生じた問題について学習班で調べ直す。 | ○ 資料の読み取りが十分であるかを確かめる。 |
||
6 学習問題についての結論を話し合う。 | ○ 単なる意見交換ではなく、学習班で協同で学習問題の解決にあたるように指示する。 | ・交流メモ |
学習班でまとめた内容をもとに一人一人が自分なりの考えを発表する場面
「一人一人が自分なりの考えを学級全体で交流しよう」(第10時)
(ア) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その将来について関心をもち、進んで自分の役割を果たし、他のグループの人たちの発表を意欲的に聞くことができる。
(イ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その将来についてわかったことをもとに適切に判断することができる。
(ウ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その将来についての考えを学級全体にわかりやすく説明することができる。
(エ) 東北地方の人々の生活や産業の特色、その将来について各グループの人たちの発表の要点を理解することができる。
イ 展開
学習内容・学習活動 | 教師の支援 | 資料等 | |
ま と め |
1 学習問題を確認する. 東北地方の人々の生活や産業の特色から東北地方の将来を考えよう |
○ 学級全体の学習問題を提示してこれまでの学習を想起できるようにする。 | ・紙板書 |
2 本時の目標を設定する。 学習班でまとめたことをもとに、自分なりの考えを学級全体で交流しよう |
○ 自分たちの考えを伝えることだけでなく、他のグループや個人の発表を聞いて、今後の東北地方の動向について考えることが本時のねらいであることを意識させる。 | ||
3 学習班でまとめた発表資料をもとに、一人一人が自分なりの考えを発表し合う。 | ○ 発表の流れを確認する。 ○ 前時に決めた役割分担に従って、グループ毎に発表を行わせる。 |
・模造紙 ・発表原稿 |
|
4 聞く側は、伝えているグループの発表内容や個人の考えの要点をメモする。 | ○ 複数の社会的事実を根拠にしているか注意して聞くように指示する。 | ・交流メモ | |
5 質疑応答を行う。 | ○ 学習問題の解決のために質疑応答や意見交換が大切であることを説く。 | ||
6 個人毎にイメージマップを作成する。 | ○ イメージや知識の変容をとらえさせることにより、これまでの学習に成就感をもたせ、次の学習への意欲をもたせる。 | ・マップシート |