印刷用紙:B4縦 1ページの行数:55 1行の文字数(半角で):100 第 4 学 年 国 語 科 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  野 田 満 哉 1 単元名 「場面を比べて」    教材名 「一つの花」 2 教材について  この教材は、ゆみ子を満足させたいと願いつつも、それが戦争というかなえられない状況の中で、精一杯   の愛をそそぐ両親の姿と、お父さんを戦争でなくした悲しみを乗り越えて生き続けるゆみ子の強さやけなげ   さが描かれている。    この物語は、「戦争の激しかったころ」「戦争後」の2つの場面で構成されている。作品は戦中から戦後   にかけて時代が大きく移り変わる中で、懸命に生きようとするゆみ子の家族の姿が描かれている。この作品   は、両親のゆみ子に対する気持ちが、場面の状況と結びつけてとらえられるようになっている。又、語り手   が、親子の愛情を親子の側に立ちながら外側から淡々と語っている表現、読み手に印象づける強調の「ので   した。」「のです。」の表現、「・・・のでしょうか。」という疑問の語りで、読み手に考させ強調する表現、   イメージを豊かにする比ゆ表現、「一つだけのお花、大事にするんだよう。」のような語り尽くせない     思いを想像させるダッシュ表現について考ることによって、登場人物の気持ちを読み取ることができる。  第4学年の理解領域の目標は、「内容の要点や中心点を正確に押さえながら話を聞いたり、段落相互の関   係を考えて中心点を正確に把握しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、読書の範囲   を広げるようにする。」である。子供たちはこれまでに「白いぼうし」を通じて、松井さんの気持ちを中心   に人物像を明らかにしていくことを学習した。さらに、「アナトール工場へ行く」では、対象人物であるガ   ストンからも読める子がでてきた。この学習を通して、自分の読みをもち、自分なりの読みを深めようとす   る子が増えてきた。しかし、別な観点からの読み取りに対してうなずくものの、聞くことに終始する子が多   く、主体的に話し合いに参加し、読み深めるところまでは至っていない。   指導に当たっては、まず題名の「一つの花」と、お父さんが戦争に行かなければならない日にゆみ子に手   渡した「一輪のコスモス」に着目させ、主題へ迫るように意識づけたい。また、子供たちが感覚的な読みに   ならないように叙述に即した確かな読みにするために、文を選ぶだけでなくさらにどの語句に着目して想像   するかということにこだわらせながら、両親のゆみ子に対する気持ちを場面の状況と結び付けてとらえさせ   たい。一人読みについては、個別指導で下位の子へ手がかりを細かく指示しながら書き込ませていきたい。 3 指導目標 (1) ゆみ子の家族の人たちの気持ちや行動と場面の状況とを結び付けながら深く読み取り、自分の感想をまと   めることができる (2) 自分の感想をさらに深め、考えを明確にして文章にまとめることができる (3) 読み取った内容を、場面の状況を考えて、効果的に聞き手に伝わるように音読することができる (4) 語句の意味を理解し、文末表現、指示語、接続語、ダッシュなどのはたらきを考え、理解を深めることが   できる 4 指導計画(11時限) 第1次 全文を読んで学習計画を立てる−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時限   ・ 難語句、新出漢字を見つけながら初発の感想を書く (1) ・ 全体のあらすじをとらえながら学習計画を立てる (1) 第2次 学習計画をもとに場面ごとの情景や両親の気持ちを読み取る−−−−−−−−−−−−−−−6時限 ・ 戦争がはげしかったころの社会状況を読み取り話し合う           (1) ・ ゆみ子が最初に覚えた「一つだけちょうだい。」のわけを読み取る (1) ・ お父さんが、めちゃくちゃに高い高いするときの気持ちを読み取る (1) ・ 戦争に行く日の情景を読み取り、お父さんやお母さんの心情を読み取る (1) ・ 1輪のコスモスの花に込められたお父さんの思いを読み取る (1)本時 ・ 戦争中と戦後のゆみ子とお母さんの生活からお母さんの気持ちを読み取る (1) 第3次 読後の感想を話し合い言葉や文章に対する理解を深めることができる−−−−−−−−−−−3時限 ・ 「一つの花」の意味することについて考えたことをまとめる (1) ・ 場面の情景や人物の気持ちを考えながら音読する (1) ・ 「一つの花」の感想をまとめる (1) 5 本時の指導 (1) ねらい お父さんがあげた「一輪のコスモスの花」に喜ぶゆみ子を見て、にっこり笑って、何も言わずに       出征して行くお父さんの気持ちを読み取ることができる (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・ |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 学習課題の把握 | |3| | | | ・ 父が戦争に行く日の父|・ 前時でゆみ子の家族はどんな| |・ 家族はひっそりしたさりげ| | |  母の心情を想起させた上| 別れをしたかったのか書いた子| | ない別れをしたかったという| |導|  で本時の学習課題を確認| の文を読ませる | | ことを確認する | | |  する | | | | | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−+ | | | | 何も言わず、一つの花を見つめながら戦争に行くお父さん|        | | | |は、どんなことを思っていただろうか。         |        | | |      +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−+ | | |2 読み取りの観点の把握 | |3| | | | ・ 本時は、中心人物(お|・ 自分の読み取りの観点が決ま| |・ ここでは、観点としてふさ| | |  父さん)対象(ゆみ子)| ったら、もう一つの観点につい| | わしいのは2つしかないこと| |入|  の行動から読み取ってい| ても考えるとよいことを指示す| | を確認した上でどちらかを選| | |  けることを確認する | る | | ばせるが、もう1つの観点か| | | | | | らも考えてみる意義にもふれ| | | | | | ておく | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |3 本時の学習場面の音読を|・ 指名読みをさせ、他の子には|3|・ 子供に読ませた後もう1度| | | する | 観点に当てはまる部分にサイド| | 自分の観点にそってサイドラ| | | | ラインを引かせながら読ませる| | インが引かれているか見直さ| | | |☆ 指名読みした子の読み方のよ| | せ、足りなくないか確かめさ| |展| | さについてそれぞれに簡単な賞| | せる | | | | 賛を与える | | | | |4 コスモスの花の咲いてい|・ 咲いていた場所、咲いている|8|・ 比べられない子が多い場合| | | る状況と一輪のコスモスの| 様子を考えさせ、父親や家族の| | は、「はしっぽ」「ごみ捨て| | | 花の咲いていた様子を読み| 様子と比べさせる | | 場」「わすれられたように」| | | 取る | | | などの言葉を取り上げ容ぼう| | | | | | や家族の様子とを結びつける| | |5 一人読み | | | | | | ・ それぞれの決めた観点|・ それぞれが決めた観点にそっ|8|・ 自分の観点での一人読みが| | |  にそって読み取る | てお父さんの気持ちを考えるの| | 終わった子に対してはもう1| |開| ・ 中心人物(お父さん)| だいうことをはっきりさせてか| | つの観点でも考えてみるよう| | |  の気持ち     | ら課題に取り組ませる | | うに指示する    | | | ・ 対象人物(ゆみ子)の|☆ 前時と比べ自力解決できてい| |・ つまづきの予想される子に| | |  行動を見てのお父さんの| る子を認める | | ついては机間巡視をしながら| | |  気持ち |☆ もう一つの観点を考えて頑張| | 又、実際に迷っている場合、| | | ・ それぞれの決めた観点| っている子については、その取| | 読みの中心となる場所、当面| | |  にそって視写し書き込み| り組みを認め、意欲をほめる | | まとめればよいことを、読み| | |  をする | | | 取らせたい内容にそって個別| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・ |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | に具体的に示していく | | | | | |・ 個の読み取りの状況を把握| | | | | | し指名の計画を立てておく | | |6 学び合う |・ それぞれの観点で読み取った|12|・必要があれば、お父さんが | |展| ・ ゆみ子の観点で読んだ| ことをもとに話し合わせる | | ゆみ子に何もしてやれないこ| | |  子の発言からお父さんの|・ ゆみ子の行動からお父さんの| | とを悔やんでいてゆみ子の将| | |  気持ちの理解を深める | どのような気持ちが伝わったの| | 来(喜びを知らずに育つ)を| | | | かを考えさせる | | 不安に思っていたことを補説| | | ・ お父さんの観点で読ん|・ 「にっこり笑う」「何も言わ| | する        | | |  だ子の発言からお父さん| ずに」「ゆみ子のにぎっている| |・ おにぎりでしか喜ばなかっ| | |  の気持ちの理解を深める| 一つの花を見つめながら。」と| | たゆみ子が、花(一輪のコス| | | | いう表現からお父さんの気持ち| | モス)で喜んだことに注目さ| | | ・ 一人一人の読みについ| を考えさせる | | せる | | |  て友達の良いところを見|☆ 似ている考えや自分にない考| | | | |  つける        | えに気づかせていく | | | | | ・ 自分の読み取りで、欠| | | | | |  けていたことをメモする| | | | | |7 自分の読み取りを深める|・ みんなの読み取りをもとにし|3|・ 父と娘が引き裂かれてしま| | | | て自分なりの学習課題の答えを| | う戦争という状況にあって、| | | | まとめさせる | | 一輪のコスモスの花に託した| | | |☆ 自分の読み取りに不足だった| | お父さんの願いと、それを受| | | | ものや友達から学んだ読み取り| | け取って足をばたつかせるほ| | | | のよさを取り入れてまとめられ| | ど喜んだゆみ子の様子に注目| | | | るようにする | | させ、まとめさせる | | | | | |・ まとめとしては、「一つの| | | | | | 花に対しても、喜ぶことので| |開| | | | きる心の美しい子に育ってい| | | | | | ることに満足している。」 | | | | | | 「自分の願いがゆみ子に伝わ| | | | | | り満足している」というよう| | | | | | にまとめさせたい | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |8 まとめの音読をする |・ 本時で学習したことが表れる|2| | | | | ような読み方になるように指示| | | |終| | する | | | | | |☆ はじめの音読と比較し気持ち| | | | | | を思いうかべながら読んでいる| | | | | | 子へ賞賛をあたえる | | | | |9 学習を振り返る |・ 友達や自分の良かったところ|3| | | | | を書かせる  | | | |末| |☆ 今日の学習を振り返り、自己| | | | | | 評価させながら自分のがんばり| | | | | | を確かめさせる | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+