印刷用紙:B5縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):80   −−以下 指導案本文−−           山田南小学校第5学年 国語科学習指導案                日 時 平成8年9月10日(火) 5校時                児 童 5年2組(男13名 女15名 計28名)                指導者 西 舘 修 治 1 単元名    調査したことを 2 教材名    みんなの読書生活 3 単元について (1)教材について 第5学年の表現の目標は「主題や要旨のはっきりした表現をするため、意 図や根拠を明らかにしたり,全体の構成を考えて文章を書いたりすることが できるようにするとともに,相手や場面の状況を考えて表現しようとする態 度を育てる。」ということである。  本教材は,上巻の作文小教材「記録に残そう」の中の自分の行動や感想を記 録に残すための記録文,5月の作文単元「こんな学校ならいいな」の中の物 事を深く考えた上で課題に対して取り組み,生活意見文を書くという学習を 受けた形で,生活の中から興味ある課題を見つけだし,グループでテーマ・ 調査方法を話し合って,調査した結果を分かりやすく相手に知らせるという ことをねらいとしている。また,本単元をより理解しやすくするために,教 材の構成についても(1)動機づけと課題への取り組み方(2)児童作品例 (3)調査事例と発表までの取り組み方というより具体的な手順を示してい る。  作文例では,グループで研究をまとめるために,どんな内容について調査し たらいいか話し合っている。読書生活の実態と問題点,それに将来のあるべ き方向を探るという研究内容から,何を調査するかは研究発表の質を決定す る大事な要素である。  ここでは,5人の話し合いの一部が紹介されているが,5人それぞれの調査の 内容と方法を示しているにとどまっている。本来ならば,研究内容について その意味とか,学級にとっての必要性,資料が得やすいかどうかなど,調査 方法の前提となる事柄がまず討議されるわけである。研究内容が決まったあ とで,教材例にあるように調査の内容と方法が話し合われる。ここには,本 が好きになった動機,持っている本の数,読書量,本を読まない理由,読書 日記の分類と多彩な内容を示している。 (2)児童について 子供たちはこれまでの学習で,家庭生活や学校生活における記録文,意見 文といった作文を学習してきた。これらの学習を通して,子供たちは毎日の 出来事の中から印象深いこと,考えさせられたことを書き続ける習慣が大分 形成されてきた。同時に,自分たちなりに日常生活を振り返り,「5年生, 高学年としての学校生活,家庭生活はどのようにあるべきなのか。」という ことを少しずつ考えるようになってきた。特に児童会から提案される月別取 り組みの反省を学級会で話し合っているときなどにその姿勢が見られる。本 教材では最初に「毎日の生活を振り返ったり,日記や読書記録を読み返した りして何か気づいたことはありませんか。」という問題提示をしている。家 庭生活の中から,あるいは学校生活の中から題材・テーマを決めて取材,研 究,調査といった活動をグループごとに話し合うことによって,ある程度内 容的にも分かりやすくなるのではないかと考えられる。 作文に対する意欲については週2回,課題として出される日記についてほ とんどの子(約9割)が200〜300字程度で提出してくる。しかし、課題のな い時でも書いてくる子は2,3人程度である。 作文技能面においては(ここでも日記を例にして考えてみると),その日 あった出来事を簡潔に書いてくるのが現状である。しかし,テーマ(「最近 思うこと」「先生,聞いて下さい」など)を設けた日記を書かせると,自分 の意見や,主題の明確な文章を書くことができる子供が多く,こちらからテ ーマを出しても自分の意見を書けない子は2,3名である。 推敲については定着している子は2名程度であり,今後課題として取りあ げなければならない。  (3)指導にあたって 子供たちにとって調査活動は興味のある事柄である。しかし,どのような ことを調べるか分からないで悩む子供も出てくると思われる。そこで,学校 生活や家庭生活に注意深く目を向けてみると、日常の題材は探せることに気 づかせたい。  取材の段階では,図書室の本・パンフレット等の資料活用,アンケート,イ ンタビューといった調査活動が中心となる。調査する段階では子供たちに, 何の目的で調査をするのか目的意識を持ち,文章構成を想定し,調査や取材 活動が有効に展開していくように意識づけを図りたい。  構成の段階では,持ち寄った調査結果についてグループごとに話し合い,自 分の考えているテーマに沿った調査とその方法を選び,@初め,A中,B終 わりという教材文の構成を参考にして考えさせる。また,この構成では,始 めにグループと個人のテーマを明確にした後,それぞれの調査の方法と結果 及び分かったことを順序よく述べ,最後に調査を通しての感想をまとめとし ている大まかな展開を捉えさせたい。  記述の段階では,構成計画に従って作文を下書きするが,その際,書き出し について教材文のよさを活用しながら読み手の興味をひくような書き出し, 要旨のはっきりした文章に仕上げさせたい。また,自分の構成表をただ原稿 用紙に書き写す作業にならないように,構成表から自分なりにふくらませな がら文章化させていきたい。  推敲の段階では,表記や指示語,接続語などの誤りを見直しさせることはも とより,文章の内容が読み手によく伝わるように叙述の仕方について具体的, 論理的な文章になるように一層工夫を心がけるようにさせたい。また,でき た作品については自分の調査したことをみんなの前で上手に表現できるよう に練習をして発表会を行い,互いの作品を認め合うようにさせたい。 4 単元の目標 <関心・意欲・態度> 生活の中で気づいたことをもとに,様々な角度から進んで調査し,要旨の 整った文章を書こうとする。 <表現> 事実と意見を区別して述べ,読み手によく分かる文章にまとめることがで きる。 <理解> 教材文を読んで,段落構成やそれぞれの段落の要点をしっかり押さえ,教 材文がどのような展開になっているのか理解することができる。 <言語事項> 書いた文章を読み返し,指示語や接続語に注意して一層表現を練るととも に,文章の構成を正すことができる。 5 指導計画 (10時間) 第一次(4時間) ○教材文を読んで学習のねらいを明確にし,学習の計画を立てることができる。                          -――――(1) ・どのような調査がよいか一人一人が課題について考える。 ・調査したことについて発表するまでの学習活動の流れを話し合う。 ○教科書作品をもとに工夫した箇所を見つけることができる。―――(1) ・どのように調査を進めたのか,話し合う。 ・調査結果をどのように書き表しているのか話し合う。 ○グループで話し合い,調査計画と調査の準備をすることができる。(1) ・グループで調査する内容を決め,個人の調査内容について話し合い, 個人テーマを決める。 ・調査の準備をする。(アンケート等) ○調査活動をする。――――――――――――――――――――――(1) ・アンケートのまとめ方を工夫する。 ・調査メモを用意し,結果を書き留める。 第二次(4時間) ○取材した結果を持ち寄り,話し合うことができる。―――――――(1) ・分かったことや,更に取材が必要な事柄,分かりやすく表現する方 法について話し合う。 ○構成表を作成することができる。     ――――――――(1)                               <本時> ・教科書作品を参考に構成表を立てる。 ・構成表をグループで検討し,構成を見直す。 ○構成表に沿って作文を下書きする。 ――――――――――――(1) ・教材文をもとに,叙述の工夫を考えて書いてみる。 ・書き上がった作文を観点表に沿ってチェックする。 ○書き上げた作文を読み合い,清書する。―――――――――――(1) ・分かりやすく書けているか,表現は適切か,指示語, 接続語,句 読点,助詞等の用法は適当か点検する。 第三次(2時間) ○発表会を開き,友達の作品のよさや表現の工夫について感想を交流し合う。(2) ・発表会の準備をする。(グラフ・表づくり) ・発表会をして,感想を交流する。 6 本時の指導  (1)本時の仮説 構成表を仕上げる場合に,用紙の工夫をしたり,作業の仕方が分からない 子供に対して個々に教師が支援をすることによって,子供たちは意欲を持っ て構成活動に取り組むことができ,更に自分が書こうとしている作文の全体 像が明らかになることによって次時の記述では子供たちは意欲を持って作文 を書くことができるのではないか。 (2)目標 <関心・意欲・態度> これまで取り組んできたことをもとにして意欲的に構成を考えることができ る。 <表現> 調査したことをもとに,相手に分かりやすい構成を考えて構成表にまとめる ことができる。 <理解> 研究調査文の構成の仕方,及びその有効性を理解することができる。 (3)展開 +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 前時の学習内容 |調査した結果を話し合い,まとめ方を考えた。 | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | |学習活動 | 主発問と指示・予想される反応| 支援と評価 | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |つ|1 前時の学習を |◎これまでみなさんが研究調査文| | |か| 確認する。 |を書くためにしてきた作業を教え| | |む| |て下さい。 | | | | |テーマを決めた | | | | |アンケート,インタビューをとっ| | | | |て結果を書いた。 | | | | |まとめ方を考えた。 | | | | 2 学習課題をつ | | 何のために書くか確 | | | かむ。 | | 認し意欲づけを図る | | | | | 。 | | | | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |見|3 構成表の書き |◎作文の構成は,大きく3つに分 |構成はそれほど多く | |通| 方を確認する。 |かれていましたが,どのように分|ない(単純)ことに | |す| |かれていましたか。 |気づかせたい。 | | | |・初め,中,終わりです。 | | | | |◎班ごとの発表では,誰のどうい|全体のまとまりを考 | | | |うテーマから進めるのが最も分か|えた作文であること | | | |りやすい作文になりそうでしたか|を確認する。 | | | |・調査するきっかけ,アンケート| | | | |,インタビュー,資料の調査,ま| | | | | とめです。 | | | | |◎テーマをうまくつなげるため,|指示語や接続語に対 | | | |教科書ではどんな指示語や接続語|する注意を喚起させ | | | |を使っていますか。 | る。 | | | |「その」「この」「こちら」です| 紙板書を使って段落 | | | |。 | ,扱う資料を構成表 | |5| |「まず」「次に」「さらに」です| に書き入れることを | |分| |。 | 知らせる。 | | | | | (評価B)| +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |ふ|4 調査結果をも |●これまで調査・研究したことを|構成表を活用する。 | |か| とに,構成表を作 |使って構成表を作ってみましょう| (付箋)| |め| ってみる。 |。 | | |る| | 紙片に何を書いていいか分から |教材文を参考にさせ | | | |ない。 | る。(ヒントカード | | | | | の活用) | | | |早く終わってしまった。 | 相手に分かりやすい | | | | | 順番になっているか | | | | | ,接続語はそれで適 | | | | | 当かもう一度考えさ | | | | | せる。 | | | | | (ヒントカードの活 | | | | | 用) | | | | | | |20| |取材したことを羅列している。 | 前時,グループで考 | |分| | | えた順番を思い起こ | | | | | させる。 | | | | | (評価@・A) | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ |ま|6 学習のまとめ |グループ内で構成表を読み合い,|・友達同士で読み合 | |と| をする。 |友だちにアドバイスやコメントを| い,書き足りない箇 | |め| |つけてあげましょう。 | 所や重複している箇 | |る| | | 所等を直すように指 | | | | | 示する。 | | | | | 相手のがんばりをほ | | | | | めるようにする。 | | | | | (評価@)| | | | | 自己評価カードに記 | | | | | 入させる。 | | | | | (評価@A)| |17| | | | |分| 7 次時の学習内 |●次の時間にはこの構成表をもと| | | | 容を知る。 |に作文を書いてみましょう。 | | | | | | | +−+−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+ | 次時の学習内容 |構成表をもとに叙述を工夫し,作文に書きまとめる。 | +−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (◎主発問 ●指示 ・予想される反応 ◇支援対象児) (4)評価 @これまで取り組んできたことをもとにして意欲的に構成を考えることができ たか。                    (自己評価,観察) A調査したことをもとに,相手に分かりやすい構成を考えて構成表にまとめ ることができたか。              (構成表,自己評価) B研究調査文の構成の仕方,及びその有効性を理解することができたか。                             (観察,挙手)