印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):82   −−以下 指導案本文−−    第5学年 国語科学習指導案                 日 時 平成8年9月11日(水)公開授業1校時                 児 童 2組 男子18名 女子23名 計41名                 授業者 小田島 幸江 1、単元名 人物の結びつきを(教材名「大造じいさんとガン」) 2、単元について (1)教材について     第5学年の「理解」に関する目標は、「話し手の意図をつかみながら聞いたり、主    題や要旨を理解しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、読書    を通して考えを深めるようにする」である。本単元の主たる指導事項は、「場面が移    り変わるとともに人物の結び付きや気持ちが変化する様子を読み取り、読み取った情    景や気持ちが聞き手にもよく分かるように、音量や速さなどを工夫して朗読すること    ができる」である。本教材「大造じいさんとガン」は、狩人の「大造じいさん」とガ    ンの頭領の「残雪」との間に繰り広げられる知恵比べの中で、大造じいさんの残雪に    対する憎しみが感心、そして感動へと徐々に変化していく心情が、緊迫した雰囲気の    中に生き生きと描かれている。作品の構成は、前書きと、うなぎつりばりの特別な仕    掛けに失敗する大造じいさん、タニシ作戦の策略も再び見破られて失敗する大造じい    さん、頭領らしい残雪の態度に強く心を打たれる大造じいさん、残雪を空に放す大造    じいさん、の4つの場面からなり、起承転結が明確な文章構成になっている。場面が    1年ごとの事件として読み進められ、4つの場面がうまく結び付いたドラマチックな    作品である。大造じいさんは、長年の経験を生かした巧妙な手口で残雪を捕らえよう    とするが残雪の持つ野鳥としての本能や知恵は、いつも大造じいさんの策略を上回っ    てしまう。大造じいさんは、残雪のことをいまいましく思っていながらもたかが鳥の    ことと考えていたが、策略をことごとく見破るあまりの賢さに感嘆してしまう。さら    にハヤブサとの戦いの場面では、自分を犠牲にしても仲間を救おうとする勇敢さと責    任感に強く感動し、残雪に対する見方、考え方が大きく変容する。このように残雪に    対して「たかが鳥」という思いから、「ガンの英雄よ」とまで認めていく大造じいさ    んの心の動きから、知力を尽くした戦いの中で残雪の頭領としての堂々とした威厳あ    る態度に感動を深めていく大造じいさんの人間味あふれる姿を主題としてとらえさせ    たい。また、本教材で使われている色彩豊かな情景描写「真っ赤に燃えて」「あかつ    きの光」等からは、場面を鮮やかに想像することができるとともに、大造じいさんの    気持ちをも暗示させる働きをしていることがわかる。簡潔で力強い文体と相まって物    語の主題がいっそう美しく印象深いものとして伝わってくる。以上のことから、情景    を思い浮かべながら人物の心情を読み取り、主題をとらえ   る学習に適した教材    であると考える。 (2)児童について     児童は、5年生の国語学習の出発にあたって、「ヤドカリ探検隊」で、自分なりの    1年間のめあてを理解し意欲的に学習に取り組むようになった。そして、登場人物た    ちが体験したことを想像しながら読み取り、人物の気持ちや情景がよく表れるように    工夫して朗読する学習をした。また、「麦畑」では、人物の気持ちやそれと響き合う    情景描写の美しさを読み味わいながら、作品の主題を読み取る学習をした今までの学    習を通して、児童は、課題解決に向かって大事な文や言葉に着目しながら人物の行動    や心情を読み取り、主題をつかみ取ろうとする意欲は育ってきている。しかし、一人    一人に目を向けるとその読み取りの差には大きな違いがあり、前の場面と関連づけた    り他の文や言葉とを結び付けて読み取ったりするところまでは至っていない。また、    学び合いにおいても、自分の考えたことを表現するのを苦手とする児童が少なくない    ため、積極的に自分の考えを発表し互いの読みを深めていこうとする意識が低い。し    たがって、これからの学習を通して、細かい点にも注意して話の内容を正確に聞き取    る力や相手を意識して根拠を明確にして話す力、友達の優れた考えを自分の考えに取    り入れ深めていく力も育てていかなければならない。 (3)指導について     指導に当たっては、残雪に対する大造じいさんの気持ちやその移り変わりが描かれ    ている言葉や文に着目させるとともに、好敵手である残雪の行動、様子や情景描写に    も着目させて、大造じいさんの心情の変化をとらえさせていきたい。     具体的には、一人読みの段階で、自ら読み深めていくことを学習の基本にすえ、大    事な言葉や文にサイドラインを引かせ、視写・書き込みをさせることを通して、課題    に対する自分なりの読みを持たせたい。学び合いの段階では、互いに読み取ったこと    を出し合い、自分の考えと友達の考えを比べさせながら、自分の読み取りにはない良    さに気付かせ、読み取りが深まるように支援していきたい。 3、単元の目標 (1)関心・意欲・態度・進んで学習課題の解決に取り組み、主題を読み取るとともに、物   語文について興味・関心を持ち、意欲的に表現しようとすることができる。 (2)表現・主人公の心の動きについて話し合い、自分の考えをさらに深めて発表すること   ができるようにする。 (3)理解・場面が移り変わるとともに主人公の気持ちが変化することを読み取り、主題を   考えることができるようにする。 (4)言語事項・慣用的な表現や熟語、動きや様子を表す語句、色彩語などについて理解を   深め、使い方を知ることができるようにする。 4、指導計画(10時間扱い)  第1次 全文を読んで感想をまとめるための読み…………………………2時間  ・全文を読んで感想をまとめる。  (1) ・学習計画を立てる。                      (1)  第2次 課題を追求するための読み…………………………………………5時間  ・特別な仕掛けをするが、失敗する大造じいさんの気持ちを読み取る。(1)  ・2年目の策略にも失敗する大造じいさんの気持ちを読み取る。   (1)  ・おとり作戦に意気込む大造じいさんの気持ちを読み取る。     (1)  ・残雪の態度に感動する大造じいさんの気持ちを読み取る。     (1)  ・飛び去る残雪に呼びかける大造じいさんの気持ちを読み取る。   (1)本時  第3次 まとめのための読み…………………………………………………2時間  ・全文を読み通して、主題について考え、感想をまとめる。     (1)  ・人物の気持ち、情景を考えながら朗読する。           (1)  第4次 練習と評価……………………………………………………………1時間  ・作品の優れた表現、新出漢字等について学習する。        (1) 5、本時の指導 (1)目標情景や大造じいさんの行動、会話文、残雪の行動から、残雪に呼びかける大造じい   さんの気持ちを読み取ることができるようにする。 (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 学習活動 ○主発問 | 教 師 の 支 援 ☆評価 | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1、前時の学習を想起する|・残雪の頭領としての威厳を保とうとする態度や行| | | | 動に、心を打たれた大造じいさんの気持ちの変化| |導| | を想起させたい。 | | |2、学習課題を把握する。| | | |+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ||飛び去る残雪に呼びかける大造じいさんの気持ちを考えよう。| | |入|+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |☆学習課題をとらえ、読みの見通しを持つことがで| | | | きたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3、本時の学習場面を音読|・読みの視点を、情景や大造じいさんの行動、会話| | | する。 | 文、残雪の行動に設定し、サイドラインを引きな| | |(P21L6〜 | がら読ませたい。 | | | P22L13)|・指名読(3名) | | | |☆正しくはっきり音読できたか。 | | | |☆自分の読みの視点に沿って、サイドラインを引く| | | | ことができたか。 | | | | | |展|4、残雪を解き放す際の情|・大造じいさんの残雪への呼びかけを読み取る前の| | | 景を読み取る。 | 素地として、好敵手同志をとりまく情景が、晴れ| | |○大造じいさんと残雪をと| やかさ、すがすがしさを暗示していることに気づ| | | りまく情景は、何をあら| かせたい。具体的には、「ある晴れた春の朝」 | | | わしているのだろう。 | 「らんまんとさいたスモモの花」などの表現を手| | | | がかりに、これまでの場面でも使われてきた色彩| | | | 語に注意しながら考えさせていきたい。 | | | |☆情景が、晴れやかさ、すがすがしさを暗示してい| | | | ることを読み取ることができたか。 | | | | | | |5、飛び去る残雪に呼びか|・「おうい、ガンの英ゆうよ。おまえみたいなえら| | | ける大造じいさんの気持| ぶつを、おれは、ひきょうなやり方でやっつけ| | | ちを読み取る。 | たかあないぞ。なあ、おい。今年の冬も、仲間| | |○大造じいさんは残雪に、| を連れてぬま地にやってこいよ。そうして、お| | | どのような思いを伝えた| れたちは、また堂々と戦おうじゃないか。」 | | | かったのか書き込んでみ| を視写し、大造じいさんの気持ちを自分なりに考| | | よう。 | えさせたい。 | | | 〈一人読み〉 |☆正しく視写し、自分の考えを書き込むことができ| | | | たか。 | | | | | | |6、飛び去る残雪に呼びか|・相互の読み取りを交流し合う中で、「ガンの英ゆ| | | ける大造じいさんの気持| うよ」「えらぶつ」「おれたち」等の表現から、| | | ちを学び合う。 | 大造じいさんが残雪を対等の力を持った存在であ| | |○書き込んだことをもとに| ると認識を改めたことに気づかせたい。更に「ひ| | | 話し合おう。 | きょうなやり方」の指す内容を具体的に考えさせ| | | 〈学び合い〉 | 併せて、「また堂々と戦おうじゃないか」の表現| | | | を取り上げながら、互いに知力を尽くして万全の| | | | 状態でぶつかり合いたいという間柄へと変貌をと| | | | げたことを読み取らせたい。 | | | |・発言に結び付かない児童の読みも、机間巡視によ| |開| | り教師が把握しておき、意図的指名によって取り| | | | 上げることにより、学び合いの広がりもねらって| | | | いきたい。 | | | |☆自分の書き込みをもとに、読み深めることができ| | | | たか。 | | | | | | |7、本時の学習のまとめを|・学習を振り返り、飛び去る残雪に呼びかける大造| | | する。 | じいさんの気持ちについてまとめさせたい。 | | | |☆本時の学習を振り返り、大造じいさんの気持ちを| | | | ノ−トにまとめることができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |8、まとめの音読をする。|・指名読(3名) | | | |・大造じいさんの気持ちが表れるように音読させた| |終| | い。 | | | |☆大造じいさんの気持ちが表れるように音読できた| | | | か。 | |末| | | | |9、次時の予告をする。 |・次時の学習内容を確かめる。 | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+