		次長　　田中吉兵衛

各学校が準備、作成しておいた方がよいと思われることをいくつか挙げてみます。　まず、学校教育目標のなかに、「生きる力」の育成をめざした児童生徒像が明確に位置付けられているか、その児童生徒像が、児童生徒、学校、地域の実態と課題に結びついているかを自己点検する必要があります。平成１３年度の学校教育指導指針の「本年度の指導行政の重点」で、“本県は、広い県土に広がる地域コミュニティーを基盤としつつ、～(中略)～地域を活かした教育や基礎学力の育成、個性重視の教育の実現に努めてきた。”と述べています。このことをふまえ、学校教育目標が、借り物ではなく、岩手の、地域の、学校の、目の前の児童生徒の「生きる力」を具体的に育成できるものであるのかを見直すようにしたいものです。　次に、学校教育目標を実現するために、児童生徒・学校の実態や課題、発達段階に沿った年間（月別、学期別、学年別）指導計画・活動計画、学年・学級活動計画、単元計画等の全体計画が、全教職員の共通理解のもとで、英知を結集して作成されているかを検討してみることです。そのためには、児童生徒、保護者、地域社会のニーズを的確に把握するように努め、これらのニーズを「総合的な学習の時間」活動、「特色ある学校経営」、「（地域に）生きる力」の育成に活かすような全体計画の作成ができるようにすることです。また、これらのニーズを活かした教育活動を展開することが「地域に開かれた学校づくり」へとつながっていくと考えられます。		さらには、それらの全体計画のなかに、多様な学習形態や評価活動が具体的に位置付けられているかをチェックする必要があります。多様な個性の児童生徒に対して、習熟度別・学習課題別学習、少人数指導等の多様な学習形態が準備され、個々の児童生徒のニーズに応じた学習活動が行われるように工夫したいものです。また、児童生徒の変容と学習の成果を把握し、次の学習に活かすために、自己評価を含む多様な評価活動を行い、「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決」できるようにしたいものです。　最後に、これらを評価する「学校の自己評価」「外部からの評価」計画を用意しておくことです。「学校の自己評価」は、その年度で児童生徒がどう変容したのか、そのための教職員の「手だて」はどうだったのか、児童生徒のニーズに応えたのかを具体的に評価する計画を立案することです。また、保護者や地域社会のニーズに応えたのかを評価するために「外部からの評価」計画を作成し、評価実施の具体案を持っておきたいものです。　新教育課程実施のこの時期こそ、岩手、各地域、各学校なりの「生きる力」の育成をめざした教育の構築を真摯に考える絶好の機会です。そのためにも、これまで述べたことをふまえ、例えば、新教育課程で登場する「総合的な学習の時間」について、「完全実施までには、教育課程の全体計画の中に総合学習をこう位置付けています。各教科との関連もこれこれです、などと各学校が説明できるように」《「週刊教育資料」№６８０、工藤文三国立教育研究所開発研究室長（当時）》したいものです。