53号コラム(2011.03.11)
『思いのこもった言葉』
 今年最初の研修講座が行われたのは、岩手が降り積む雪のうちに新年を迎え て間もない、1月5日のことでした。アイーナ会場での「授業力向上研修・共 通2」です。県内各地から、450名の小学校・中学校・県立学校の先生方が出 席し、2日間にわたり熱心に受講され、それぞれ1年のスタートを切られまし た。  この研修では、県内外から7名の講師をお迎えし、それぞれの専門の立場か ら貴重なお話をしていただきました。その中のお一人、東京で法律事務所長を されている清水幹裕(つねひろ)氏には、教員に求められる法令・法規につい ての講義をお願いしました。  実は、その清水氏は、もう一つ、高校・大学野球の審判員という重要な顔を お持ちで、長い間、甲子園や神宮球場で数々の名勝負を裁いてこられました。 講義の終わりには、そうした経験からのエピソードもいくつか披露してくださ いました。何試合、何十試合と審判の経験を積んでも、試合前ともなると、自 分のジャッジが結果を左右するという思いから、大変な緊張感に襲われたそう です。でも、プレーする子どもたちに最高の試合をしてもらおうと思うことで、 その緊張を、プレッシャーではなく集中力に変えることができたということで す。  このお話を伺い、子どもたちが何事かに打ち込み成長する、まさにその場に 立ち会う者の覚悟、あるいは決して惰性に与することなく全力を傾注するその 道のプロとしての責任といった真摯な心のありようにふれた思いがして、とて も印象深く心に残りました。  そして講義の最後に氏は、会場の先生方へ期待する思いを熱く語られました。 失敗の大切さ、批判は常にある、愛情が謙虚さを生む、等をキーワードに、 「我々に感動を呼ぶようなひたむきさ、真剣さをもった子どもたちを育てるこ とができるのは、先生方、あなた方なのです」と締めくくられました。教育に 期待する方の思いのこもった言葉に、まるで心のストライクにストレートが投 げ込まれたようでした。このエールに会場の誰もが元気をいただき、まさに心 を新たにした日となりました。   資料繰るさざ波のごと冬講座  (吾)
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