60号コラム(2011.12.26)
『ちょっとした危機管理』
 担任をしていたとき心がけていたことがあります。欠席した子どもの家に、 その日の夕方に電話することです。  「様子はいかがですか?」と聞きますと、たいてい「おかげさまで、ずいぶ んよくなりました。」と言われます。そういうときは、「今、電話に出ること はできますか。」と尋ねます。  替わって出た子どもは、たいてい照れくさそうな、ちょっぴりうれしそうな 声です。短く様子を聞いて、明日元気だったら、学校に来てね、待ってるから ね、と伝えます。  たまに、違うときがあります。 担任「様子はいかがですか?」 母親「いえ、大丈夫なようなんですが・・・。」 担任「何か心配なことがありますか?」 母親「実は、ここ1週間ほど、学校に行きたくないようなのです。」 担任「それは、気づきませんでした。事情をお聞かせください。」  こういって、母親から話を聞きます。理由は、「給食がつらい。」「友達と トラブルがあった。」「プールに入りたくい。」など。  こちらからすれば、些細に思えることも、本人にとっては、学校に行く気力 を失う大問題なのです。 担任「わかりました。明日、学校で話を聞きますので、どうぞ登校させてくだ さい。」  場合によっては、子どもに電話に出てもらいます。 担任「大丈夫だよ。明日、先生が相談に乗ってあげるから。」  これで、母親も安心し、次の日子どもは登校しました。  たった1本の電話で、子どもの危機を発見できる場合があります。(茂)
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