南部鉄器 伝統工芸士の方の話

「作業をしていて大変なことは何ですか?


 
作業をしていて大変なことは,製造工程の全てが手で作っていきますので,非常に時間がかかるということと,せっかく苦労をして鉄びんの型を作ったとしても,いざとけた鉄を流しこんだ時に失敗してしまったり,うまくもようがでなかったりという時には,やっぱり苦しいですし,くやしいという思いをします。せっかく時間をかけて作ったものが,いっしゅんでだめになってしまうことが大変なことでもあります。


「作業をしていてうれしいことは何ですか?


 
「やっていてよかったなとか,うれしいな」というのは,作るのに苦労をしたものが自分の思い通りのイメージで完成された時とお客さんに喜んでもらって,買ってもらった時です。一番うれしいのは,一度買ってもらった鉄びんが,また自分たちの所にもどって来て,鉄びんの色の直しのお願いをされてもどって来る鉄びんを見た時が一番うれしいです。というのは,すごく大事に使ってくれているというのが分かるしゅん間だからです。


「伝統を守ることについてどのように考えていますか?


 
伝統を守るというのは,昔の鉄びんを作ってきた職人さんたちの技術を守るのも一つなんですけれども,鉄びんを作る,作り続ける思いを大切に守っていくというのもまた一つで,それというのは,使ってくれる鉄びんを常にその時代に合ったように作り直している,その作り直す気持ちが伝統の一つですから,古い物ばかりを作っているのではなく,実はその時その時に必要とされる鉄びんをどんどん改良(かいりょう)して作っていく,そういった気持ちが伝統ですから,それを守っていきたいなと思っています。


「小学生のみなさんに伝えたいことはどんなことでしょう?


 
自分の好きなことを見つけることが大事かなと思います。人に言われてそれをやるのではなくて,自分がこれが好きだというのであれば,まずそれに向かって一歩足をふみ出す,そしてやってみて,やっぱりちがうなと思ったならその時にまた少し考え直せばいいので,とにかく自分の好きなものを見つければいいのではないか,私はこれ(鉄びんを作る 伝統工芸士の仕事)が好きなので,ずっと続けていくことができたので,とにかく好きというのが一番かなと思います。