本教材は、100mlのプラスチック製シリンジ2本を使用する。一方はそのまま空気採取用シリンジとし、もう一方は、脱臭剤用等の活性炭をお茶パック(フィルター)に入れ密封したものをシリンジ内に入れ、二酸化炭素吸収用シリンジとする。空気採取用シリンジで燃焼後の空気を100ml採取した後、2本のシリンジをシリコンチューブで連結し、採取した空気を空気採取用シリンジと二酸化炭素吸収用シリンジの間を往復させる。これによって、二酸化炭素が活性炭に吸着し、減少した体積分を二酸化炭素の割合として計測する。しかし、物の燃焼後の二酸化炭素の割合は3〜4%と少ないため、確実な操作が必要である。
また、プラスチック製シリンジは、ピストンのゴムの部分と筒の内側の摩擦が大きいため、気体の弾性により大きな誤差を生じる。そこで、ピストンのゴムの部分にシリコングリースとシリコンオイルを混合させた潤滑剤を塗布することで摩擦を大きく減らすことができる。また、空気採取用シリンジには、元の目盛りとは逆向きに目盛りを付けることで、酸素の減少した量が読み取りやすくなる。
1 教材の材料及び器具【図1】
プラスチック製100mlシリンジ2本、ピンチコック、
お茶パック(フィルター)2枚、
シリコンチューブ(長さ30mm外径8mm、内径6mm)、
活性炭(脱臭剤用)、シリコンオイル、シリコングリース
2 製作の手順
@ 空気採取用シリンジに、体積の減少が一目で読み取れるようにするため、【図2】のようにシリンジ
についている元の目盛と逆向きに目盛用紙を貼る。
A 活性炭を約3g量り、【図3】のように、それをお茶パックに入れる。それをもう一枚のお茶パックに
入れて封をし、二酸化炭素吸収剤とする。
B お茶パックの余った部分を縦横に一回ずつ折り、形を整え、【図4】のように二酸化炭素吸収用
シリンジに入れる。
C ピストンのゴムの部分にシリコングリースとシリコンオイルを混合させた潤滑剤(【図5】)を塗布
する。
D ピストンを差し込み、できるだけ隙間をなくすように、【図6】のように二酸化炭素吸収剤に押しつ
ける。
E 【図6】のようにシリコンチューブを付け、保管時には空気が入らないようピンチコックで止める。
【図8】シリンジを連結し、ピストンを往復させる
3 操作手順
@ 【図7】のように空気採取用シリンジで物の燃焼後の空気を100ml採取し、ピストンを押しつけた状態
の二酸化炭素吸収用シリンジとシリコンチューブで連結する。
A 空気採取用シリンジから二酸化炭素吸収用シリンジへ空気を送り込む。送られた空気は、二酸化
炭素吸収用シリンジの中の活性炭を通り、二酸化炭素が減少する。
B 二酸化炭素吸収用シリンジから空気採取用シリンジへ空気を送り戻す。この時も活性炭内を通るの
で、二酸化炭素が減少する。
C A、Bを【図8】のように約10往復以上繰り返すと空気中の全ての二酸化炭素が活性炭に吸着する。
D 減少した空気の量を見る。減少した分が空気中の二酸化炭素素の割合となる。
【図9】模式図
【図7】空気採取用シリンジで燃えた後の
空気を100ml採取する