2021.03.08|岩手県立総合教育センターメールマガジン
教育センターニュース
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 このメールマガジンは、岩手県内の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、特別支援学校などへ教育センターの研修・支援・研究に関する情報を迅速にお届けするために発行しています。
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[目次]
■1〔研修推進〕令和3年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて

■2〔研究推進〕令和2年度の研究紹介

■3〔コ ラ ム〕コロナとPDCA


[本文]
■1〔研修推進〕令和3年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて

(1)申込み手続きについて
 ①申込み開始は、3月15日(月)です。
 ②年度初めの研修申込みについてまとめた案内「4月ナビ」は、3月15日(月)以降に「令和3年度 教職員研修の手引」と併せて順次送付しますので、申込み手続きの際にご確認ください。
  ただし、県立学校にはdesknet's NEOのインフォメーション、盛岡市立高等学校にはメールでも送付します。
 ③申込み手続きは、交流ネットをご利用ください(ログイン用のIDとパスワードは、これまでに発行されているもの)。
 ④交流ネットの入力フォームは、一人分が1画面です。複数の申込みがある場合には、画面を開き直して一人分ずつ入力してください。
 ⑤研修講座の日程及び概要は、総合教育センターのWebページにも掲載します(3月下旬に掲載予定)。

(2)基本研修、特別研修について
 ①申込み締切日は4月13日(火)です(締切厳守)。
  ただし、「県立学校等新任教務主任研修講座 I・II」の申込み締切日は、4月6日(火)ですのでご注意ください。
 ②該当者がいない場合でも、必ず「該当者なし」と入力してください。
 ③幼稚園以外の「中堅教諭等資質向上研修(旧10年研)(以下、中堅研)」は、教育センターを会場にした集合研修は行いませんが、交流ネットでの該当者の申込み(報告)が必要です。
 ④教職経験者5年研修(以下、5年研)及び中堅研については、例年、育休等で延期された方の申込み漏れがありますのでご注意ください。
 ⑤平成30年まで、教職経験11年目を対象に実施していた中堅研の対象者は、令和元年度から以下のとおり変更されました。変更された校種は小学校、中学校、高等学校、特別支援学校です。
 ・5年研修了後の、最初の授業力向上研修の対象者
 ・前年度の研修対象者のうち、都合により修了していない者
 ⑥研修の受講を次年度以降に延期する場合は、延期届【研修様式3】(令和3年度 教職員研修の手引)を提出してください。
 ⑦授業力向上研修については後日連絡します。

(3)希望研修について
 ①申込み締切日は講座開始日の2週間前に設定していますが、準備の都合上、申込み締切日が通常より早い研修講座がありますのでご注意ください。
 ②各学校に配付される「令和3年度 総合教育センター研修講座(希望研修)案内」に講座内容等を記載しています。申込みの際の参考にしてください。
 ③詳しくは「令和3年度 教職員研修の手引」をご覧ください。

(4)教育センター「明窓館」の昼食の注文方法について
 ①明窓館での昼食を希望する場合、事前に「岩手教育情報交流ネット」による申込みが必要です(研修当日の注文受付は行いません)。
  ※参加申込みと同時に注文を受け付ける研修もありますので、要項等でご確認ください。
 ②詳しくは「令和3年度 教職員研修の手引」をご覧ください。


■2〔研究推進〕令和2年度の研究紹介

【研究紹介 所員】
◆児童が造形的な活動を思い付いたり、表したいことを見付けたりする学習指導に関する研究
 -指導の手立てを明確にする題材構想シートの活用を通して-
(担当:教科領域教育)
 平成29年3月に告示された小学校学習指導要領において、図画工作科の目標(2)では、「創造的に発想や構想」ができるようになることが求められています。
 本研究では、図画工作科における表現領域の「ア 造形遊びをする活動」と「イ 絵や立体、工作に表す活動」において、教員が児童の活動から発想や構想に関する資質・能力を捉え、必要な手立てを明確にし、題材構想を深められる構想シートを開発し、その活用により、児童が創造的に発想や構想をする学習の充実を図る指導の一例を示しました。

◆新科目「歴史総合」における歴史的な見方・考え方を働かせる学習指導に関する研究
 -生徒が問いを表現し、資料を活用して追究する授業の在り方について-
(担当:教科領域教育)
 令和4年度から始まる地理歴史科の新科目「歴史総合」では、歴史的な見方・考え方の働かせ方や主体的・対話的で深い学びの視点など、学習方法の視点を重視した科目であることが示されています。
 本研究では、系統的かつ総合的に歴史事象を捉え、生徒が問いを表現し、歴史の見通しをもって学習することを重視する単元の構想例及び授業展開例を示すとともに、多面的・多角的に考察したり構想したりする際の根拠となる資料を効果的に活用する方法を示しました。

◆「エネルギーを柱とする領域」の基本的な概念を段階的に身に付けていく指導の在り方
 -音の性質について規則性や関係性を児童生徒が見いだしたり、捉えたりする授業づくりを通して-
(担当:理科教育)
 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編では、学習内容の系統性を考慮し、資質・能力の育成を図る学習活動を効果的に行うことが求められています。
 本研究では、「エネルギーを柱とする領域」の基本的な概念の一つである音の性質について、小・中・高等学校を通じて身に付けていく基本的な概念及び資質・能力のつながりを明確にし、規則性や関係性を児童生徒が見いだしたり、捉えたりする授業を単元計画に位置づけた授業例を示しました。

◆高等学校共通教科情報科「情報 I」における情報活用能力を育成する学習指導の在り方に関する研究
 -プログラミングによって問題を解決する活動を通して-
(担当:情報・産業教育)
 平成30年3月に告示された高等学校学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力と位置付け、教科横断的に育成する旨が明記されるとともに、小・中・高等学校を通じてプログラミング教育を充実することが示されました。
 本研究では、高等学校共通教科情報科の科目「情報 I」の内容「(3)コンピュータとプログラミング」で、プログラミングによって問題を解決する活動を通して、情報活用能力を育成する学習指導の在り方を明らかにし、その指導例を示しました。

◆「共に学び、共に育つ教育」の充実に向けた授業づくりに関する研究
 -小学校通常の学級と特別支援学級における体育及びパラリンピックスポーツの体験を通して-
(担当:教育支援相談)
 東京2020オリンピック・パラリンピックでは、「多様性と調和」をビジョンに掲げ、共生社会をはぐくむ契機となるような大会を目指しています。平成29年の学習指導要領の改訂においても、体育科では、体力や技能の程度、年齢や性別及び障がいの有無等にかかわらず、運動やスポーツの多様な楽しみ方や関わり方を共有することができるよう、共生の視点を踏まえて指導内容が示されました。
 本研究では、小学校通常の学級と特別支援学級において、在籍児童の困難さに応じた体育科(運動領域)における指導内容や方法の工夫を取り入れた授業づくり及びパラリンピックスポーツの体験によって、共に学び、共に育つ体育の授業の一例を示すとともに、研究の成果を「豊かなスポーツライフガイドブック」にまとめました。


【研究紹介 長期研修生】
◆中学校理科における、生徒が見通しをもって観察、実験を行う授業の在り方に関する研究
 -自らの考えを基に「課題設定」、「仮説設定」、「検証計画の立案」に取り組むことに着目した指導の充実を通して-
(担当:理科教育担当)
 平成29年3月の中学校学習指導要領の改訂により、主体的・対話的で深い学びの実現を目指した授業改善を推進することが求められています。理科においては、見通しをもって観察、実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実を通して、その実現を図るようにすることが重要とされています。
 本研究では、理科の探究の過程において生徒が自ら課題と仮説を設定し、検証計画を立案できるようにするための指導の手立てとして、課題を類型化しそれに話型を対応させることにより、見通しをもって観察、実験を行う授業の在り方を明らかにし、その授業の一例を示しました。

◆自閉症・情緒障がい特別支援学級における教育課程の適切な実施に関する研究
 -教育活動における自立活動の効果的な取組を通して-
(担当:教育支援相談)
 小学校学習指導要領(平成29年4月告示)総則及び解説において、特別支援学級において実施する特別の教育課程について自立活動を取り入れることが新たに示されました。また、特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編(平成30年3月)においては、自立活動において実態把握から具体的な指導内容を設定するまでの例(流れ図)が示され、教育課程上の自立活動の大切さが明示されました。
 本研究では、小学校の自閉症・情緒障がい特別支援学級における自立活動の効果的な取組を明らかにし、教育課程の適切な実施の一例を示すとともに、研究の成果を「自立活動ガイドブック」にまとめました。

◆特別支援学校における障がい種に応じた専門性の向上と指導の充実に関する研究
 -自立活動指導資料(視覚障がい)の作成を通して-
(担当:教育支援相談)
 視覚支援学校の自立活動においては、目が見えない・見えにくいことで生じる困難さを改善・克服するために、点字や歩行、視覚補助具、ICT活用等の教育実践が積み重ねられています。
 本研究では、視覚障がい教育における教員の専門性の要素を明らかにし、「自立活動指導資料(視覚障がい)の作成とそれを活用した授業実践を通して、教員の専門性の向上と指導の充実を図りました。


■3〔コ ラ ム〕コロナとPDCA

 みなさんこんにちは。早いもので、もう年度末ですが、次年度へ向けてのPDCAは意識されていますか。
 PDCAサイクルは、おもに組織経営の手法の一つとして語られる語ですが、最近では、カリキュラム・マネジメントとしても推奨されることが多くなっており、それぞれの学校、組織においても、カリキュラム・マネジメントの手法として意識されていることと思います。
 今年度、このサイクルは上手く回ったでしょうか。昨年度の反省をもとに立案していた当初の計画を、ことごとくひっくり返さなければならないという苦渋の1年だったのではなかったでしょうか。

 ところで、PDCAではなく、CAPDという考え方をご存じですか。読み方は、キャップディーとか、キャップドゥ(CAPDo)などと言ったりするようです。サイクルの起点をCとする考え方ですね。ちなみに、県の教育委員会では、CAPDサイクルを次のように説明しています。
「「C(現状把握・分析)現状の問題点を把握し原因を分析する(Check)」、「A(改善)改善内容を立案する(Action)」、「P(計画)改善案を基に具体的な施策を計画する(Plan)」、「D(実行)計画に基づき施策を行う(Do)」サイクルで、改善から次の計画までのサイクルが循環しやすい、より実効性の高い連続性を持った改善サイクル。」(学力向上担当HP)

 また、同HPで次のように述べられています。
「児童生徒の学習上のつまずきに対応したきめ細かな指導を行うため、諸調査の内容改善と調査結果の効果的な活用、学校訪問指導の改善、校種横断的な連携の取組など、学校や児童生徒等の実態把握に基づいたCAPDサイクルによる授業改善を推進します」

 これらの説明から筆者が考えた仮説は、児童生徒のつまずきにきめ細かに対応するためのCを起点としたこのサイクルは、評価結果をフィードバックし授業計画の修正や子供たちへの回復指導に生かす、いわゆる「形成的評価」と親和性が高いのではないかということです。このことは、来年度の教育研究発表会のサブテーマ「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習評価」とも関連することなので、今後さらに思索を深めていきたいと思っています。

 さて、生産現場においてボトムアップで改善を図っていくことをあえてカイゼンと言い、カイゼンを目指すサイクルについては諸説あるようですが、今年度のようなときには、CAPD(あるいはDCAP)が向いているのかもしれません。誰もが未経験で未知の領域のもの、既知ではあるが不確実性の大きいもの等、まさにコロナ禍の状況がそれと言えるでしょう。コロナに対応するために、まずは「やる」ことからスタートした事例も多かったのではないでしょうか。
 また別の視点から考えてみます。個人レベルで考えた場合、例えば新たな部署に配属になったときなどは、前任者が立てた計画に基づいて物事を進めていくことになることが多いと思います。このようなときは、すでにPは出来上がってしまっているので、Dから(場合によってはCから)のスタートであると考えることができます。
 センターの初任研などでは、自己研修の文脈でPDCAの必要性を説明するのですが、中にはそれだけでは腑に落ちないという研修者もいます。1年目の途中でPDCAと言われても、Pには関与していないし、授業など、まずはD、とにかくD・D・D!という感覚があったようです。そこで、上述内容を補足し、PDCAでもDCAPでもCAPDでも起点はどこでもいいのですよ、ということを伝えたところ、納得感が得られたというケースもありました。

 このように、カイゼンを目指すサイクルの基本形はPDCAであるとしても、場面や状況に応じて変化させたり使い分けたりすることも大事なのだろうな、ということを考えさせられた1年でした。そして、前例踏襲は通用しない、何が本当に必要なのかを吟味することを常に突き付けられる、そんな1年でもありました。
 現在は、コロナ禍(下)、ウィズコロナ、ポストコロナ、ニューノーマルなどが盛んに言われるようになっていますが、これからの状況がどうなるのかは誰にもわかりません。このようなときだからこそ、先行き不透明な状況に相応しいカイゼンサイクルを模索しつつ、「行為しながら考える」というドナルド・ショーンの言説を改めてヒントにしてみたいと思っております。(了)


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