2022.03.18|岩手県立総合教育センターメールマガジン
教育センターニュース
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 このメールマガジンは、岩手県内の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、特別支援学校などへ教育センターの研修・支援・研究に関する情報を迅速にお届けするために発行しています。
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[目次]
■1 令和4年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて

■2 令和3年度の研究紹介

■3〔コラム〕感性

[本文]
■1 令和4年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて

(1)申込み方法について
 ①申込みは、岩手県教育情報交流ネットで行ってください(ログイン用のIDとパスワードは、これまでに発行されているものです)。
 ②申込み開始日は、3月22日(火)です。
 ③交流ネットの入力フォームは、一人分が1画面です。複数の申込みがある場合には、画面を開き直して一人ずつ入力してください。
 ④研修講座の日程及び概要は、3月22日(火)から総合教育センターのWebページで閲覧できます。
 ⑤「令和4年度 教職員研修の手引」と併せて、年度初めの研修申込みについてまとめた案内「4月ナビ」を、3月22日(火)に総合教育センターWebページのトップページにある「お知らせ」及び「新着情報」に掲載しますのでご確認ください。

(2)基本研修、特別研修について(「令和4年度 教職員研修の手引」及び「4月ナビ」を参照)
 ①申込み締切日は4月12日(火)です(締切厳守)。
 ②市町村立学校の小学校・中学校・義務教育学校及び県立学校で「中堅教諭等資質向上研修」の対象者は、「教職経験者5年研修終了後、令和4年度に初回の免許状更新講習の受講対象であった者」です。
 ③教職経験者5年研修については、過去に育休等で延期された方の申込み漏れが例年多くありますのでご確認ください。
 ④研修の受講を次年度以降に延期する場合は、「令和4年度 教職員研修の手引」を参照し、延期届【研修様式3】を提出してください(毎年、提出が必要です)。

(3)希望研修について
 ①申込み締切日は通常、講座開始日の2週間前ですが、申込み締切日が通常より早い研修講座がありますのでご注意ください。
 ②詳しくは「令和4年度 教職員研修の手引」をご覧ください。
 ③研修内容等についてまとめた案内「研修講座案内等(リーフレット)」を、3月22日(火)に総合教育センターWebページのトップページにある「お知らせ」及び「新着情報」に掲載します。申込みの際の参考にしてください。


■2 令和3年度の研究紹介

【研究紹介 所員】
◆ICTを活用した学習活動の充実に関する研究(1年次)
-教員のICT活用指導力の充実に資する実践事例集の作成を通して-【2年研究】
(総論担当:情報・産業教育)
 ICTを活用した学習指導を構想する際に参考となる実践事例集を作成しました。この実践事例集を各学校における教育活動や研修に役立てることにより、教員のICT活用指導力の充実を図り、資質・能力を育成する主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善に資することを目的として研究を推進してきました。
 これまで公表されている豊富な実践を学習場面ごとに抽出・分類し、研究協力校において、実践・実証した事例による実践事例集を作成しました。作成に当たっては、教員のICT活用指導力の充実と児童生徒一人一人がICTを学習の手段として活用しながら、学習活動の充実につながるものを目指しました。

<ICT活用実践事例集に係る教科研究>
▼小学校 第5学年 音楽科 A表現「音楽づくり」
「全体のまとまりを意識し、思いや意図をもって音楽をつくる活動の充実に関する実践」
(担当:教科領域教育)
 音楽づくりの活動過程において、音を出して試し、思いや意図を膨らませながら旋律をつくったり、つくった旋律を発表したりする場面や、ワークシートを共有する場面でICTを活用し、音を聴いて確かめ、試行錯誤しながら旋律をつくる体験の充実につながる実践を目指しました。

▼中学校 第2学年 国語科 C読むこと
「複数の文章を比較しながら読むことを通して論理的に考える学習の充実に関する実践」
(担当:教科領域教育)
 「君は『最後の晩餐』を知っているか」と「『最後の晩餐』の新しさ」という二つの文章を、シンキングツールを活用しながら観点に沿って整理することで、文章の特徴を捉えられることを目指しました。また、二つの文章を比較しながら読むことを通して、一つの文章だけでは気付かなかった文章の構成や表現の効果について発見することができたり、筆者の意図や文章が書かれた目的についても考えることができたりすることを目指しました。

▼小学校 第5学年及び第6学年 理科 B生命・地球
「問題解決の過程において児童及び教師が情報を適切に活用し理科の学習の充実を図ることに関する実践」
(担当:理科教育)
◎「流れる水のはたらき」
 本単元で扱う実験は、実験をする度にその様子が毎度異なります。そこで、実験を行う際に、タブレット端末を使って土地の様子の変化を動画で撮影しました。考察の際に、実験の様子を撮りためていた動画も活用しながら、児童が時間的・空間的な見方を働かせて、変化の過程を捉えることができることを目指した実践の一例を示しました。
◎「植物のからだのはたらき」
 予想や考察の際に、イメージ図を使って互いの考えを交流することで、児童が実験の着眼点を明確にしたり、植物の体の水の通り道や蒸散について理解したりすることができることを目指しました。また、その際に、タブレット端末を使い、互いの考えを可視化し、他者と思考の共有化を図った指導の一例を示しました。

▼高等学校 理科 物理基礎 波の性質
「探究の過程において仮説を立て、検証する学習の充実を図ることに関する実践」
(担当:理科教育)
 1人1台端末のカメラ機能を活用して波動実験器での実験の様子を撮影し、動画を視聴しながら調べることで、事象の特徴を捉え、課題解決につなげることを目指しました。また、観察、実験の結果の処理、考察などの場面で、あらかじめ個人で考え、その後、意見交換したり、科学的な根拠に基づいて議論したりして、自分の考えをより妥当なものにすることと、理科の見方・考え方を働かせながら探究の過程を通して学び、様々な知識をつなげ、より科学的な概念を形成することに向かうことを目指した実践の一例を示しました。

▼高等学校 理科 生物基礎 (2)ヒトの体の調節
「探究の過程において資料を適切に活用し理科の学習の充実を図ることに関する実践」
(担当:理科教育)
 観察結果を分析し、考察することができるようにするために、観察の場面と考察の場面でICTを活用しました。観察の場面では、顕微鏡で観察したコオロギの血球をスマートフォンで撮影、記録し、その画像を全体で共有しました。考察の場面では、記録した画像や白血球の食作用の動画を根拠資料として活用しました。これらのICTの活用を通して、異物の侵入に対して働く食作用の仕組みについて自分の考えをまとめて表現することができることを目指した実践の一例を示しました。

▼中学校 技術・家庭科[家庭分野] B衣食住の生活
「住生活の課題を解決する学習の充実に関する実践」
(担当:情報・産業教育)
 家族の安全を考えた住空間の整え方について問題を見いだして課題を設定し、生活の営みに係る見方・考え方を働かせながら、解決策を構想します。課題解決の場面において、効果的にICTを活用し、思考の過程や結果を可視化したり、考えを共有したりしながら実践を評価・改善し、考察したことを論理的に表現するなどして課題を解決する力を身につけることを目指した実践の一例を示しました。

▼高等学校 商業科 情報処理 (3)情報の集計と分析
「ビジネスに関する表とグラフを検討することで、課題を発見、解決する学習の充実に関する実践」
(担当:情報・産業教育)
 商業科のビジネスに関する課題について、ICT機器を学校の無線LANに接続し、授業を支援するアプリケーション等を使用して、協働して分析、考察、討論する場を設定しました。それにより、商業科の科学的な根拠に基づいて、見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見出して解決策を考えたりすることでICTを活用した授業の在り方の一例を示しました。


◆特別支援学校における図画工作科・美術科の授業づくりに関する研究
-文化芸術活動の充実に向けて-
(担当:教育支援相談)
 本研究は、美術の側面からの文化芸術活動の充実に向けた取組の一つとして、特別支援学校における、教科の目指す資質・能力の育成を図るための図画工作科・美術科の授業づくりに取り組みました。
 知的障がいのある児童生徒の図画工作科・美術科において、評価の観点を踏まえて児童生徒の実態に応じた目標を設定し、表現及び鑑賞の活動を通して、教科の目指す資質・能力を育成するための授業づくりの一例を示しました。

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【研究紹介 長期研修生】
◆高等学校公民科「公共」における思考力、判断力、表現力等を育む授業の在り方に関する研究
-大項目B「自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち」の単元構想の工夫と学習活動の充実を通して-
(担当:教科領域教育)
 高等学校公民科の新科目「公共」大項目Bにおける、他者と協働して主題を追究したり解決したりする学習活動(主題学習)の単元及び授業の在り方を構想し、その実践をとおして、生徒に思考力、判断力、表現力等を育む授業の充実に資することを目的に実践を行いました。
 本研究では、思考力、判断力、表現力等を「人間と社会の在り方についての見方・考え方を働かせ、考察、構想したことを表現する力」を捉えました。この力を育むために、問いの立て方の工夫、学習内容を見通す工夫、論拠をもって自分の考えを表現できるように思考を促す工夫の3つの手立てを講じた授業実践例を提示しました。


◆特別支援学校における障がい種に応じた専門性の向上と指導の充実に関する研究
-自立活動指導資料(聴覚障がい)の作成を通して-
(担当:教育支援相談)
 聴覚支援学校において、聴覚障がいのある子供の自立と社会参加のために必要な資質・能力を育成するために、聴覚障がい教育の専門的な視点をおさえた授業実践を通して、教員の専門性の向上と指導の充実に資することを目的として研究を推進しました。
 聴覚障がい教育における「教員の専門性に関する調査」、「調査結果を基にした試案の作成」、「試案を活用した授業実践」の三つの手立てによって研究を進め、それらの有効性について検証を行いました。聴覚障がい教育における教員の専門性の要素を明らかにし、専門的な視点や内容等を示した自立活動指導資料を作成するとともに、その資料を活用した授業実践を通して、教員の専門性の向上と充実を目指しました。


■3〔コラム〕感性

 日本のパンク・ロックバンドであるThe Blue Hearts(ザ・ブルーハーツ)の代表曲「リンダリンダ」の歌詞の冒頭に、「ドブネズミみたいに美しくなりたい ※1」というフレーズがある。そのフレーズの次に、「写真には写らない美しさがあるから ※2」とその理由が続く。この歌詞はとても深いメッセージを私たちに伝えているのではなかろうか。外見だけではなく内面をしっかり見よう、本質を捉えようというメッセージであると私は解釈している。〔※1、※2 出典:甲本ヒロト『リンダリンダ』〕
 「ドブネズミ」と「美しい」は、それぞれ相反する意味内容の言葉であるが1つのフレーズとして成立している。このような表現は世の中に多く存在している。例えば、「急がば回れ」、「負けるが勝ち」などである。これらの表現は印象的で深く記憶に刻まれる。これらの表現に用いられている修辞法(レトリック)はオクシモロンとよばれ、撞着語法と訳されている。「ジャイアントコーンミニ」や「Mr. Children」などの名称にもこの修辞法が使われている。
 通常は相反する意味内容の言葉が共起不可能であっても、それらを組み合わせることで何か新しい感覚の意味内容の言葉が生まれ、なぜかしっくりくるものになっていることがある。このような表現に出会うと無意識のうちに一瞬立ち止まり、深く考え、やがて私たちの心の中に深く刻まれる。さまざまな情報があふれる世の中で生活している私たちは、意識的に立ち止まり、それらの情報を精査し、深く考えることが大切だと思う。これまで以上に大切になることの1つに、対立する意見、考えや他者を認め、結合させていくプロセスがある。1つの正解を出すプロセスよりも、何人かで主体的に「納得解」を生み出すプロセスが、その時代、国や地域、集団にとってしっくりくるものになると思うからである。また、このプロセスを通じて豊かな感性が形成され、毎日の生活が充実したものになっていくだろう。
 感性を磨くためには「見えないもの」を大切にする心構えが必要になると思う。心構えそのものも目に見える形で示すのが難しい。目に見える形の大部分はAIが代替してくれる時代がやってきている。一方、目に見えない「心」で考えることは人間しかできないことである。感性は人間特有のものである。最近、私は芸術、古典文学、哲学といった目で見ることが難しいことを深く学びたいと思うことが増えてきている。大人にとっても子供にとっても、感性を磨くことを意識した生活は何か新しいことに出会え、ワクワクした毎日につながるのではないだろうか。


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