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岩手県教育研究発表大会
授業改善を問う
 
 さる2月13日(木)・14日(金)に、花巻温泉、総合教育センター及び生涯学習推進センターを会場として、第57回岩手県教育研究発表会を開催いたしました。2日間でのべ1,500名を超える参加者を得て、天候にも恵まれた中での開催となりました。
 今年度のテーマを「授業改善を問う」としました。「授業改善」という合い言葉のもと、課題や悩みを参会者全員で共有し、今までの自分の授業を見つめ直したり、方向性を変えてみたり、あるいは新しく始めるきっかけにしてみたりする「立ち止まって考える」研究発表会となりました。

 1日目の午前中に、開会行事(主催者挨拶 八重樫勝 教育委員長)と基調報告(平賀信二 総合教育センター所長)、全体会では基調講演(作山雅宏 教育次長兼学校教育室長)とシンポジウムを行いました。
 全体会の基調講演では、作山教育次長から平成26年度の県教委は、ヒストグラムの分析を通じて授業改善に取り組んでいくという話がありました。
 シンポジウム「授業改善を問う」では、東京学芸大学 佐々木幸寿教授をコーディネーターに、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のそれぞれの校種の校長先生にシンポジストとしてご登壇いただきました。作山教育次長の講演を受けて、シンポジストの校長先生方には、授業改善を進めるために抱えている課題、必要なPDCAサイクル、組織としてどのように取り組んでいけばよいかなどについて思いや考えを語っていただきました。
 午後は、2つの特設分科会、「生徒指導」分科会、「幼児教育/幼小接続」分科会が行われました。
 特設分科会1「いわての復興教育」の意義と今後の方向性では、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のそれぞれ1校から、実践発表をしていただきました。さらに、国立教育政策研究所の山森光陽総括調査官にご講演をいただきました。
 特設分科会2「人材育成を目指したこれからの校内研修を考える」では、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のそれぞれの校種から1人ずつパネラーとしてご登壇いただき、東京都府中市教育委員会 三田村 裕指導室長のコーディネートのもと、パネルディスカッションが行われました。三田村室長には、最後にご講演もいただきました。
 「生徒指導」分科会は111名、「幼児教育/幼小接続」分科会は83名の参加者を得て、大変盛会に終わりました。

   2日目は、各教科領域等18分科会において、69主題の授業実践、研究成果が発表されました。それぞれの分科会ではパネルディスカッションやワークショップなどを取り入れたり、講演会を実施したりと運営に工夫を凝らし、興味深い発表や活発な協議をする場になりました。それぞれの発表の成果が、これからの岩手の教育に実際に活用されることを期待しています。
 ご多用の中、コーディネーターや講演講師、シンポジストを務めていただいた先生方、研究発表された先生方、また、発表者を推薦してくださいました関係各機関、企画展に出品していただいた関係各位、さらに、開催に当たってご支援、ご協力を賜りました花巻温泉のスタッフをはじめ関係各位、皆さまに心から感謝を申し上げます。
開会行事
主催者挨拶
県教育委員会 八重樫勝 委員長
県教育委員会 八重樫勝 委員長
 八重樫委員長は、挨拶の中で、年度末の多忙な時期の開催にもかかわらず、多くの教育関係者の参加を得て開催できることへの謝辞に加え、何かの期待をもってこの研究発表会に来ている先生方の熱意に頼もしさを感じていると述べました。
 さらに、本年度発刊の「教育研究岩手第101号」に掲載された文部科学省 浅田和伸課長の提言「必要なのはプロとして高め合いだ」から一文を引用し、教員同士のプロとしての厳しさ、高め合いの必要性についても話しました。
 最後に、本研究発表会での熱い研究協議が授業改善の原動力となることへの期待を述べました。
基調報告
総合教育センター 平賀信二 所長
総合教育センター 平賀信二 所長
 平賀所長は、岩手県の学力向上のこれまでの取組を確認し、その後、県学調のデータや県の施策、教師や学校、児童生徒の実態からその成果と課題についてふれました。そして今こそ教師の生命線である「授業」について本気になって向き合う必要性を強く話しました。
 最後に特設分科会、各分科会で忌憚のない意見交換が活発に行われることを期待すると述べました。
全体会(基調講演、シンポジウム)
基調講演
教育次長兼学校教育室長 作山雅宏
岩手県教育委員会 作山雅宏 教育次長兼学校教育室長
 作山教育次長からは、岩手県の国語と算数の全国学調のヒストグラムが示され、このヒストグラムの形をどう改善していくかが児童生徒の学力保障の観点で大切になってくるとの話がありました。そのために平成26年度の県教委は、学力向上のための対策を見えるように示し、学校現場で徹底することができるようにしていくと述べました。
 最後に学力向上は学校体制全体にかかわって取り組むべきものであると話しました。
シンポジウム「授業改善を問う」
東京学芸大学 佐々木幸寿教授
東京学芸大学 佐々木幸寿 教授
 作山教育次長の講演を受けて、シンポジストの校長先生方には、授業改善を進めるために抱えている課題、必要なPDCAサイクル、組織としてどのように取り組んでいけばよいかなどについての思いやお考えを語っていただきました。
 コーディネーター 東京学芸大学  佐々木 幸寿教授
 シンポジスト 盛岡市立仁王小学校 多田 英史校長
           盛岡市立下橋中学校 小岩 和彦校長
          県立盛岡第一高等学校 橋 廣至校長
          県立盛岡視覚支援学校 橋 勉校長
               佐々木教授によるシンポジウムのまとめはこちら(PDF:230KB)
仁王小学校 多田英史校長 下橋中学校 小岩和彦校長 盛岡第一高等学校 橋廣至校長
     
盛岡視覚支援学校 橋勉校長 シンポジスト 会場全景
特設分科会1「いわての復興教育」の意義と今後の方向性
国立教育政策研究所 総括研究官 山森光陽
山森光陽 総括研究官
 「いきる」「かかわる」「そなえる」の3つの教育的価値を視点として、推進校の実践発表、シンポジウム、講演会が行われました。
 <推進校の実践発表>
  盛岡市立向中野小学校 新屋 敏明副校長
  田野畑村立田野畑中学校 大久保 士郎教諭
  県立水沢高等学校  橋 和夫校長
  県立盛岡視覚支援学校 小野寺 秀子指導教諭
 <シンポジウム>
  コーディネーター 国立教育政策研究所 山森 光陽総括研究官
  シンポジスト   盛岡市立向中野小学校 平 政光校長
             田野畑村立田野畑中学校 関向 正俊校長
             県立水沢高等学校  橋 和夫校長
             県立盛岡視覚支援学校 橋 勉校長
全景1 全景2 全景3
特設分科会2 人材育成を目指したこれからの校内研修を考える
東京都府中市教育委員会 教育部副参事兼指導室長 三田村裕
三田村裕 教育部副参事兼指導室長
 パネルディスカッションと講演を通して、教員の人材を育てる校内研修の在り方から授業改善を考えました。
  <研究発表>
  「高等学校におけるOJTの進め方に関する研究」
     −教員の授業力向上を目指した取組を通して−
         総合教育センター  松本 諭 研修指導主事
        長期研修生(県立盛岡第二高等学校)畠山 隆行教諭

   <パネルディスカッション>
  コーディネーター 東京都府中市教育委員会 三田村 裕教育部副参事兼指導室長
  パネラー     北上市立黒沢尻東小学校 木村 利光校長
            花巻市立石鳥谷中学校 伊藤 信彦校長
            県立遠野高等学校 菅原 一成副校長
            県立久慈拓陽支援学校 佐藤 文円副校長
特設2 特設2 特設2
分科会−18分科会実施−
分科会1 分科会2 分科会3
分科会4 分科会5 分科会6
参加者の声〜アンケートから〜
 発表会にご参加いただいた皆様に、会運営や所員等の発表内容について、アンケートを実施しました。
<おことわり> ●アンケート回収枚数は622枚(昨年706枚)です。●割合の合計は、端数処理のため100にならない場合があります。●未回答があるため、所属校種の合計はアンケート回収枚数と異なります。
( )は昨年度
所属校種
上段:回答数
下段:割合%
幼稚園
保育所
小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 その他
1(65) 331(327) 197(212) 44(36) 30(25) 19(29)
0.2(9.2) 53.2(46.3) 31.7(30.0) 7.1(5.1) 4.8(3.5) 3.1(4.1)
全体会
 
人数[割合%]
名称 大いに
参考になった
参考になった あまり参考に
ならなかった
参考に
ならなかった
授業改善を問う 109人[38%] 81人[28%] 55人[19%] 41人[14%]
特設分科会の満足度
人数[割合%]
延べ回答数:339
分科会 大いに
参考になった
参考になった あまり参考に
ならなかった
参考に
ならなかった
特設1復興教育 55人[47%] 55人[47%] 6人[5%] 1人[1%]
特設2校内研修 37人[50%] 30人[41%] 7人[9%] 0人[0%]
13日 午後 特設分科会1 「いわての復興教育」の意義と今後の方向性
特設分科会2 人材育成を目指したこれからの校内研修を考える
アンケート結果 (PDF:234KB)
アンケートの記述から
(抜粋)
  • 教育研究発表会を通して勉強になりました。まだまだ未熟であり、先生方の研究発表を参考に授業改善を図り、今後に役立てていきたいと思います。ありがとうございました。(中学校)
  • 学力調査のヒストグラムに目を向けて分析し、それを授業に反映させることの大切さが分かった。また、校種をこえた現状を把握する上でもよい機会となった。(小学校)
  • 全体会での校長先生方の話から、各学校で取り組んでいくことは明確であると思った。今後3年間でその課題にしっかり取り組んでいけるようにし、少しでも授業改善できるようにしていきたいと思った。(小学校)
  • 盛一の橋校長先生の中退していく生徒の背中に申し訳ないと呼びかけたというお話を聞いて、涙が止まらなくなるほど感動しました。岩手の先生は、小も中も高もすばらしい人ばかりです。(小学校)
  • 八重樫勝教育委員長の挨拶は凜としたものがあり、いつ聞いてもやる気、元気、根気が出てくる内容でした。この気持ちを継続し、現場での教育活動を推進して参りたい。(中学校)
  • 明日に役立つ授業改善、いつも職員室で意識しているつもりです。研究会と銘打つとちょっと構えてしまいますが、この観点で研究を行うのはとても良いと思いました。勉強になりました。(特別支援学校)
  • 発災時沿岸に勤務し、現在は内陸部に勤務しています。復興教育に対してどう関わっていけばよいかというジレンマを感じているところでしたが、大きなヒントをいただくことができたように思います。それは学校教育の中に復興教育の視点を位置づけること、そしてチームとして共有化していくこと、そして「かかわる」というポイントを大切にすること等です。(小学校)
  • 学校組織を活用して、所属職員の教師力を高める実践と三田村先生の講演により理解を深めることができました。特に校長として一人一人の教員の力を高めるために今まで学校で行われてきた諸活動を見直し、工夫実践されてきた三田村先生のお話は大いに参考になりました。(その他)
  • 校内研修をどう進めたらよいかと日々考えつつ、研究主任として来年度に向けてのヒントを得ることができれば、と分科会2に参加しました。OJTとは何かということから始まり、仮説検証型から個々の教員に焦点を移した方法へ、と校内研修を変えていく人材育成の視点を学ぶことができました。(中学校)
  • 2日目からの参加でしたので、ぜひ全体会も聞きたかったと残念です。来年度は1日目から参加したいと思います。ありがとうございました。(小学校)
  • 異校種でどのように授業が展開されているのか、様々な実践発表を見ることができ勉強になりました。高校の授業でも、小・中学校の実践で使われているものを取り入れたり、反映させたいと思いました。ありがとうございました。(高等学校)
  • 参加してとてもよかったです。来年度も是非来たいと思います。貴重な資料も多数いただけてありがたかったです。国語分科会の「ポスターセッション」を初めて体験しました。刺激されました。(高等学校)
  • 2日目午後、教材開発に関する研究。アイディアをいただいて、興味・関心のわく授業に役立てたいと思いました。楽しい時間をありがとうございます。(特別支援学校)
  • 資料、発表ともに準備がたいへんだったと思います。会場、運営も手厚い配慮が感じられ、震災からの復興の勢いある内容にも感銘を受けました。岩手県の熱心な取組がよく理解できました。ありがとうございました。(中学校)
  • 岩手大学の山本准教授の助言・指導においていじめ・不登校対応について貴重な視座を得た。各発表を学問研究の視点から位置・意義を与えることは大変重要だと感じる。(高等学校)
アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。今回のアンケート結果を来年度の研究発表会の運営や所員等の研究推進に生かしていきたいと考えています。来年度も先生方の多数のご参会をお待ちしております。

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