教育センターニュース第132号 2020.03.02|岩手県立総合教育センターメールマガジン
教育センターニュース
132
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[目次]
■1〔 特 集 〕令和元年度(第63回)岩手県教育研究発表会

■2〔お知らせ〕「教育研究岩手」第107号の紹介

■3〔 コラム 〕担当業務の共有化を図るために

[本文]
■1〔 特 集 〕令和元年度(第63回)岩手県教育研究発表会

 去る2月13日,14日の2日間,令和元年度(第63回)岩手県教育研究発表会を開催しました。2日間でのべ 2,300名を超える参加者を得ての開催となりました。
 今年度,新たに教育研究発表会の3年間の継続テーマを「新しい時代を拓く子どもたちの主体的な学びの充実を図るカリキュラム・マネジメント」と設定し,カリキュラム・マネジメントについて理解を深め,本県が学校教育において目指す姿を共有する機会にしたいと考えました。さらに,初年度となる今年度は,学習指導要領等で求められる教科等横断的な視点で育む資質・能力に焦点を当てることとして,サブテーマを「教科等横断的な視点に立って育む資質・能力」として開催しました。

 1日目の全体会は,横浜国立大学 名誉教授 髙木 展郎 先生による講演会と,パネルディスカッションを行い,髙木先生には講演に引き続いてファシリテーターを務めていただき,県内の小・中・高等学校から3名のパネリストをお招きして開催しました。その概要を紹介します。

○講演会
 演題:新しい時代を拓くこれからのカリキュラム・マネジメント
    ~教科等横断的な視点に立って育む資質・能力~
 講師:横浜国立大学 名誉教授 髙木 展郎 先生

 講演では,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の委員でもある髙木先生から,新指導学習指導要領におけるカリキュラム・マネジメントの意味,そして,カリキュラム・マネジメントが求められる理由とその重要性について分かりやすく解説してくださいました。さらに,カリキュラム・マネジメントを行う具体の手順について,先生が作成した多くの資料(シート)を使い明快にご教示いただきました。
 また,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善は単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインで考えること,汎用的な資質・能力の育成についてはフィンランドの学校教育をもとに私たちのパラダイムの転換が必要であること,そして,ダイバーシティの考え方で,教育は一人一人の個に合わせて行わなくてはならないことなどカリキュラム・マネジメントを進めるにあたっての視点を示唆していただき,これからのカリキュラム・マネジメントについて理解を深める全体会となりました。

○パネルディスカッション
 テーマ:カリキュラム・マネジメントを推進するためのポイント
 ファシリテーター:横浜国立大学     名誉教授 髙木 展郎 先生
    パネリスト:宮古市立宮古小学校  主幹教諭 工藤 千秋
          住田町立世田米中学校 教諭   黄川田 潤一
          岩手県立遠野高等学校 副校長  鈴木  徹
 パネルディスカッションでは,はじめに,学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントに取り組んでいるパネリストの学校の実践を紹介いただきました。宮古小学校の工藤先生からは復興教育をもとにしたカリキュラム・マネジメントについて,世田米中学校の黄川田先生からは世田米町として新設した「地域創造学」を中心としたカリキュラム・マネジメント,遠野高等学校の鈴木先生からは総合的な学習の時間を軸としたカリキュラム・マネジメントの実践を報告いただきました。
 そのうえで,苦労した点や課題と感じる点をどのように乗り越えてきたのかについてお話いただきました。その中では,学校全体で進めるにあたってベクトルをそろえるための時間の確保,教師と児童生徒のゴール像の共有化,学校目標の実現に向けた継続性ある教育課程の編成があげられました。こうした状況をそれぞれの学校からは,日常的に教師間で情報共有することや,授業としてゴール像を共有化する時間を設けることなど改善を繰り返すことで乗り越えてきた様子を伺うことができました。
 最後に,ファシリテーターの髙木先生からは,地域に根差し児童生徒に関わりながら進めている事例について評価していただきました。そして,今後のカリキュラム・マネジメントを推進していくポイントとして,カリキュラム・マネジメントによる教育教育が,活動のみを目的として終わらせることがないように,資質・能力を確実に育成することが目的であることを明確にすることの重要性をご指摘いただき,今後の方向性を共有する機会となりました。

★令和元年度(第63回)岩手県教育研究発表会資料の公開
 http://www1.iwate-ed.jp/kenkyu/siryou/index_r01.html
 2月下旬に,分科会で発表された県内の先生方の発表資料(希望された方のみ)についても,公開いたします。

★来年度の岩手県教育研究発表会のお知らせ
 令和2年度(第64回)岩手県教育研究発表会
 ・期 日 令和3年2月9日(火)・10日(水)
 ・会 場 花巻温泉,岩手県立総合教育センター,岩手県立生涯学習推進センター
 ・テーマ 新しい時代を拓く子どもたちの主体的な学びの充実を図るカリキュラム・マネジメント ~学校段階等間の接続の視点に立って育む資質・能力~

 来年度も,多くの方々の参加をお待ちしております。


■2〔お知らせ〕「教育研究岩手」第107号の紹介

 本年度も各関係機関の皆様のご協力をいただきまして,「教育研究岩手」第107号を刊行する運びとなりましたことに厚く御礼申し上げます。今回は特集テーマを「新しい時代を拓く子どもたちの主体的な学びの充実を図るカリキュラム・マネジメント~教科等横断的な視点に立って育む資質・能力~」とし,論説は 横浜国立大学 名誉教授 髙木 展郎 氏より寄稿していただきました。
 主な執筆者及びテーマは下記の通りです。
 なお,県内各学校等の教育機関へは,令和元年12月に送付しておりますので是非ご一読ください。

◎教育随想
 「JETRO人生、万博人生」
 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)参与
 経済産業省国際博覧会交渉官
 2020年ドバイ国際博覧会(万博)日本政府代表  中村 富安 氏

◎特集
 新しい時代を拓く子どもたちの主体的な学びの充実を図るカリキュラム・マネジメント
 ~教科等横断的な視点に立って育む資質・能力~
 ◆論説
  「子どもたちの主体的な学びの充実を図るカリキュラム・マネジメント」
  横浜国立大学 名誉教授 髙木 展郎 氏

 ◆解説
  □「主体的な学びの充実」からのアプローチ
    地域と協働した高田高校未来創造プロジェクト
     ~総合的な学習(探究)の時間T×ACTION PROJECTの取組~
      「高田高校らしさ、ならでは、だからこそ」
    岩手県立高田高等学校 校長 須川 和紀

  □「カリキュラム・マネジメント」からのアプローチ
    主体的な学びの充実を図る  盛岡西峰学園の小中一貫教育の取組
    盛岡市立土淵小学校・土淵中学校 校長 畠山 雅之

  □「特別支援教育」からのアプローチ
    特別支援学校におけるカリキュラム・マネジメント
    -学校のグランドデザインの作成を目指して-
    岩手県立盛岡ひがし支援学校 校長 佐藤  信

  □「コミュニティ・スクール」からのアプローチ
    カリキュラム・マネジメントを支える仕組み
    小学校におけるコミュニティ・スクールの可能性
    八幡平市立寄木小学校 校長 藤嶋 茂美

 ◆提言
  伝統って?
  変化を恐れない。その先にあるもの
   株式会社岩鋳 伝統工芸士 三代目清茂 八重樫  亮 氏

 ◆実践事例
  無形文化遺産「早池峰神楽」の里で生きる力を育む -地域を学ぶ・地域から学ぶ「大迫学」-
   花巻市立大迫中学校 教諭 小笠原 康喜

◎発表会記録
 平成30年度第62回岩手県教育研究発表会
 ◆全体会
  講演会「資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントの実現」
   千葉大学 教育学部 特任教授 天笠  茂 氏

 ◆提案授業
  単元名「田沢湖のクニマス問題を考えよう」~どうなることが「問題解決」と言えるのか~
  主教材「幻の魚は生きていた」(光村図書 国語1)
   岩手県立総合教育センター 研修指導主事 早川 貴之

◎研究・実践交流
 ◆研究報告
  英語を用いて豊かに表現できる生徒の育成
  ~教科書の題材内容を活用してふるさとの魅力を発信する活動の工夫~
   遠野市立遠野中学校 教諭 浅沼 美紀子

 ◆研究報告
  学校組織マネジメントの在り方に関する研究
  ~学校現場における働き方の意識改革の取組を通して~
   花巻市立石鳥谷小学校 校長 千葉  勉

 ◆指導実践
  盛岡工業高等学校定時制の取り組み
  ~定時制におけるキャリア教育の実践~
   岩手県立盛岡工業高等学校定時制 副校長 小田中 達夫

 ◆実践交流
  子どもはどこを見ているのか?
  ~保育者の思いと子どもの興味~(第10回幼稚教育実践会 発表内容)
   修紅短期大学附属認定こども園 主幹保育教諭 小野寺 郁子

 ◆教材開発
  地域資源を活用した地学授業の実践 三陸ジオパークの教材化を通して
   宮古市立重茂小学校 教諭 滝川 加奈子

◎岩手県立総合教育センターからの発信
 ◆研究紹介
  論理的思考力を育むプログラミングの体験の在り方に関する研究
  -小学校における総合的な学習の時間の指導を通して-
   研修指導主事 高橋 光広

  高等学校における特別支援教育の推進に関する研究
  -校内研修プログラムの作成及び各校のニーズに応じた活用を通して-
   研修指導主事 金田 美輝子

 ◆教師のためのワンポイントアドバイス
  <学級経営Q&A>  特別支援学級の学級経営で大切にしたいこと
            主任研修指導主事 田代 由希

  <教科指導Q&A>  中学校理科における授業づくりのポイント
           3学年「月や金星の運動と見え方について」の授業づくりを通して
            研修指導主事 菊池 新司

  <教科指導Q&A>  小学校家庭科における新学習指導要領改訂のポイント
            主任研修指導主事 千田 満代

  <領域等指導Q&A> 特別活動における「合意形成」と「意思決定」
           -ホームルーム活動の充実を図る指導の在り方について-
            研修指導主事 吉田 幸彦

  <教育相談Q&A>  事例から考える不登校傾向への理解と支援
           -感覚処理特性の視点から-
            研修指導主事 外川 直美

  <特別支援Q&A>  特別支援学級における自立活動の指導
           -肢体不自由児の目標設定を通して-
            研修指導主事 阿部 真弓

◎カメラレポート
 陸前高田市立気仙小学校


■3〔 コラム 〕担当業務の共有化を図るために

 人を介して物事を正確に伝えることは難しいものです。例えば,伝言ゲーム。AさんからFさんまでの6人が,一つの文章を正確に伝えるゲームです。しかし,間違って伝わる場合が往々にしてあります。次の人に上手く「伝わるには,どう伝えれば」よいのだろう?と考えたりもします。
 創業70周年を迎えるある会社では,会社の歩みを正しく受け継ぐことを大切にするため,節目ごとに記念誌を作成しているそうです。
 また,ある会社では専門的業務の担当者が長期療養に入った際,引継ぎが出来ず,このことから業務をマニュアル化し,部署内で共有するようになったといいます。製造業の世界でも「技は目で盗む」という職人の在り方を見直し,技を文書化して伝承しているということです。勿論,文書だけでは伝わらないことはありますが,先人から受け継いできた特殊な技が途絶えてしまう危険性を回避できることにつながっています。
 2月になり,次年度に引き継ぐ準備が始まっています。自分が担当する業務を正確に把握し,伝承できる状態にあるか,確認しながら年度末を迎えたいものです。新年度,自分の業務を初めて担当する方が,「自分もこのように引き継ぎたいものだ」と感じてもらえるよう意識して,令和元年度を締め括る整え方を進めたいものです。


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