■ 『本格復興推進年と教育』
「本格復興推進年」と位置付けられた平成26年度がスタートしました。震災を乗り越え、三陸鉄道南北リアス線も全線で運行が再開されました。復興のために日々努力を惜しまない岩手の人々の姿に、心打たれるものがあります。
岩手県教育委員会では、平成25年2月に「『いわての復興教育』プログラム改訂版」を発行し、「いわての復興教育」を推進するための三つの教育的価値として、「いきる」「かかわる」「そなえる」を掲げ、全県を挙げて取り組んでいるところです。教育センターでは、この改訂版と今年度5月に発行された「復興教育副読本」とを用いて、各学校での復興教育がさらに充実するよう復興教育副読本活用講座を開設し、県教育委員会と一体となって震災からの教育の復興に努めて参ります。
さて、当センターは、本年度も「現場に役立つセンター」づくりを一層推進し、所員、長期研修生が一丸となって、復興教育を始めとする本県の教育課題や地域社会等のニーズに的確・迅速に応え、学校や幼児児童生徒等の支援にあたって参ります。
教員研修では、現在「授業力向上研修」(「教員免許状更新講習」を兼ねる)を核とした、教員のキャリア・ライフステージに応じた研修を実施し、教科・領域指導や学級経営等の実践的指導力の向上を図って参ります。その先駆けとして、採用3年目までの若手教員の授業力や実践的指導力の向上のためのプログラムを初任者研修、2年目研修、3年目研修と位置付け、採用後の教員を関係機関が連携し、3年間かけて育成することにしました。また、被災地及び遠隔地における教職員の研修支援及び研修機会に配慮し、教科指導・情報教育指導を支援する「移動センター研修」を充実させていきます。さらに、今年度は、小学校理科サポート研修講座を土曜日に設定し、現場の先生方のニーズに沿った研修機会を提供したいと考えております。
教育支援相談では、各学校などからの相談に丁寧に対応し、幼児児童生徒の発達や学校生活に関する教育的ニーズの的確な見立て、具体的な指導、支援の充実を通して、学校や幼児児童生徒、保護者を総合的にサポートします。併せて、全県的な教育支援体制づくりを推進する中で、長期研修講座(養成研修コース)及び通級による指導担当教員養成講座の充実を図って参ります。
現場の先生方の主体的な学びを支える研究では、昨年度作成した「自己研修の進め方」テキストを活用した事例を収集し、「自己研修の進め方」テキストを活用するための手引を作成します。さらに算数・数学科においては、本県での課題を明確にし、十分な力を身につけさせる指導法について研究を進めます。情報モラルについては、スマートフォンなどインターネットの問題が取りざたされていることから、高等学校の生徒を対象として、道徳的実践意欲を高める情報モラル指導について方向性を探ります。
「本格復興推進年」における教育の役割は非常に重要です。「知・徳・体」を総合的に兼ね備えた、社会に適応する能力を育てる「人間形成」を目指し、復興・発展を担う人材育成こそが岩手の教育の使命であります。当センターはその一翼を担うべく、今後とも教育の専門機関として、研修、支援、研究の三つの面から岩手の復興と教育課題の解決に取り組んで参ります。
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