教育センターニュース
第98号
◆すべては光る◆
岩手県立総合教育センター
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岩手県内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校へ、教育センターの研修・支援・研究に関する情報を迅速にお届けします。
2016.3.24 お問合せ:ml-maga@center.iwate-ed.jp

[目次]
■1〔お知らせ〕平成28年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて
■2〔研究紹介〕平成27年度の研究内容の紹介
 
■3〔コラム〕『子ども達を育てる場』

[本文]

■1〔お知らせ〕平成28年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて

【申込みの際の注意】
・基本研修,特別研修の申込み締切日は4月15日(金)となっています。
 4月に行う手続きについては,「平成28年度 教職員研修の手引」と一緒に送付された「4月ナビ」をご覧ください。
・基本研修,特別研修では,該当者がいない場合でも「該当者なし」として登録する必要がありますのでご注意ください。
・希望研修の申込み締切日は,一部の講座を除き各講座開始日の2週間前となっています。
・研修講座の日程,内容の概要を総合教育センターの Webページで閲覧することができますので,参考にしてください。
・入力フォームは,一人1画面です。複数の申込みがある場合には,一人ずつ分けて入力してください。
・平成28年度は,交流ネットログイン用の学校ID,パスワードの更新はありません。平成27年3月に発行されたものをご使用ください。

【基本研修】
・平成28年度から「3年目研修」が始まります。対象の教員がいる学校は,申込み漏れがないようにご注意ください。また,対象教員は,自己研修の講座でレポートの提出がありますので,ご準備いただくようにお願いいたします。
・初任者,2年目,3年目研修の該当者がいる学校では,自己研修に関わる資料を交流ネットの「自己研修の進め方」よりダウンロードして使ってください。
・幼稚園以外の10年研は,センターの集合研修はありませんが,該当者の申込み(報告)が必要です。
・例年,5年研および10年研を育休等で延期された方の申込み漏れがありますのでご注意ください。
・授業力向上研修については後日連絡します。

【希望研修】
・高等学校教科「情報」研修講座は,平成28年度から希望研修となりました。
・「障がい種別指導法基礎研修講座」については,特別支援学校教員はこれまで特別研修でしたが,平成28年度から希望研修となりました。
・研修の準備の都合上,申込み締切日が講座開始日の2週間前より早期に設定している講座がありますのでご注意ください。
・各学校に配布される「平成28年度 総合教育センター研修講座(希望研修)案内」に主な講座内容等が記載されています。申込の際の参考にしてください。

 詳しくは各学校に配付された「平成28年度教職員研修の手引」をご覧ください。

 交流ネットからの平成28年度研修講座の申込みは,平成28年3月22日(火)から開始します。(授業力向上研修は除きます)


■2〔研究紹介〕 平成27年度の研究内容の紹介

 本年度,総合教育センターが行った11本の主題研究の内容を紹介します。

【所員の調査・研究】
○学習指導要領を具体化する小・中・高等学校国語科の指導法に関する研究
  〜学びの連続性を考慮し,言語活動の充実を図る授業づくり〜
 国語科では,「実生活で生きてはたらき,各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を身に付けることに重点を置いた授業改善を図ること」が求められています。本研究では,学習指導要領から目指す授業像を客観的に捉えた上で,授業改善の具体的な方策として,小・中・高等学校の学びの連続性,単元や本時の学習過程の工夫を手立てとした言語活動の充実を図る授業の進め方について研究し,研究協力員による授業実践を通してその有効性を明らかにしました。

○中学校社会科及び高等学校地理歴史・公民科における「アクティブ・ラーニング型授業」の進め方に関する研究
 中学校社会科及び高等学校地理歴史・公民科では,社会的事象の意味の理解を通して社会的認識を深め,社会参画への意識や態度を成長させることを目指しています。この具現化に向け,本研究は,生徒が主体的・協働的に学び,社会的な見方・考え方を深めていく「アクティブ・ラーニング型授業づくり」の進め方について研究し,その理論を基にした授業実践を通して有効性を明らかにしました。また,研究の考え方及び理論についてはガイドブックにまとめることができました。

○中・高等学校英語科における「話す力」を高めるための指導の在り方に関する研究
 中・高等学校英語科では,自分の考えや気持ちを伝える「話す力」の育成を重視した授業への改善が求められています。本研究では,「中・高を通じて学習到達目標を意識した授業デザイン」「言語使用場面の設定による,自然かつ十分なコミュニケ−ション活動の設定」「インプット・アウトプット量を増やす,英語で行う授業」という3つの手立てを基に授業を進めました。そして,この3つの手立てを意識した授業開を行うことで,生徒の「話す力」が高まりました。報告書に実践例を記載していますので,授業改善にご活用ください。

○幼稚園・こども園・保育所における子育て支援の進め方に関する研究
  〜親と子が共に育つ支援の質的充実を図るための事例集作成を通して〜
 幼稚園等で行う子育ての支援においては,保護者の物理的負担を軽減するだけでなく,園と保護者のパートナーシップを形成し,子どもの健やかな成長につなげることが大切です。本研究では,子育ての支援を「保護者の幼児期の教育に関する理解力の向上」という視点で見直し,質的に充実させていくための進め方を探り,研究協力園での実践を通してその有効性を明らかにしました。研究の成果を事例集としてまとめましたので,各園での子育ての支援にご活用ください。

○小学校理科の追加内容における教材と指導に関する研究
 平成20年に学習指導要領が改訂され,小学校理科では授業時数が大幅に増加したことに伴い,14の学習内容が追加されました。この追加内容について,全面実施から数年経過しているのですが,指導法や教材の研究があまり進んでおらず,学校において指導に苦慮している状況が伺えます。この状況を克服するために,指導の工夫・改善及び教材の開発・工夫に関する研究を行い,その成果をガイドブックにまとめました。

◯児童生徒の実態に即した体系的な情報モラルの指導に関する研究
 情報通信端末や SNS等のサービスの進展にともない,情報モラルの指導内容が多岐にわたっています。このような現状において,教員による情報モラルの指導の充実を図るため,児童生徒の実態や様々な指導機会に対応した教材を選択し,組み合わせることができる教材集を作成しました。教材は,選択しやすいように「コミュニケーション」「金銭・契約」「情報セキュリティ」「健康・安全」「自他の権利」に分類しました。どうぞご活用ください。

○タブレットPCを活用した学習指導に関する研究
 本研究では,タブレットPC導入後における,児童や教員,機器環境等の実態を踏まえた段階的な活用や学校規模に応じた具体的な実践事例を紹介しています。また,情報モラルの指導教材「情報サイトLAN」の掲示板機能を,道徳の振り返りや音楽の鑑賞の場面で活用し,児童同士の考えを共有しやすい環境を生かした実践事例について,その有用性を明らかに示しながら紹介しています。

○通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への支援の充実に関する研究
〜校内資源を活用した校内支援体制の確立を目指して〜
 本研究は,特別な支援を必要とする児童生徒に対し,校内資源を活用し,組織的な取組を推進することを目指したものです。研究の視点として,「個に対する支援」と「全体に対する支援」の視点を設定し,校内支援体制の基本的モデルを策定し,研究協力校での実践を行いました。研究成果を収録した「校内資源を活用した校内支援実践事例集」では,具体的取組事例や各種シートを紹介しています。校内支援のさらなる充実に向け,ご活用ください。

【長期研修生の調査・研究】
○タブレットPCを活用した学習指導に関する研究
  〜「思考力・判断力・表現力」を高める指導を目指して〜
 教育の情報化の推進に伴って,授業実践における ICTの活用が進められており,特にタブレットPCの導入が今後進むものと考えられています。近年,多くの教育実践などからも,授業でタブレットPCを活用することによる教育効果が実証されてきています。本研究では,児童の「思考力・判断力・表現力」を高めることを目的として学習過程を工夫し,タブレットPCをどの学習場面でどのように活用すれば効果的な学習指導を行うことができるのかを明らかにしました。

○高等学校理科「化学基礎」における学習指導要領に対応したサポート資料の作成
 今年度は,「化学基礎」について,観察,実験に関する情報を集約したサポート資料を作成しました。「化学基礎」の実験を進める上で必要となる薬品の取り扱いや後処理の方法に加えて,生徒に目的意識をもたせるための手段として導入の工夫を盛り込みました。そのほか,準備や手順の詳細,安全面の留意点,失敗例や別法などを掲載しております。どうぞご活用ください。

○重度・重複障がいのある児童生徒の教育内容・指導方法の充実に関する研究
  〜AT・ICT機器を活用した指導実践の提示を通して〜
 この研究では,県内の特別支援学校における重度・重複障がいのある児童生徒を対象とした ICT活用状況調査とAT・ICT機器を活用した授業実践から分析・考察を行い,重度・重複障がいのある児童生徒のための「ICT活用実践資料」を作成しました。資料は,具体的な機器やアプリの紹介と,それらの活用の仕方の二つの視点に基づいてまとめました。この資料を活用し,AT・ICT機器を活用した学習指導について理解を深めることにより,重度・重複障がいのある児童生徒の教育内容・指導方法を充実させることができるものと考えます。どうぞご活用ください。


■3〔コラム〕『子ども達を育てる場』

 「15の春」を迎え,高校入学に向けて様々な思いを抱きながら,準備をしている時期ではないかと思います。
 さて,この時期,高等学校では各教科の授業で必要な問題集や参考書などの副教材の購入準備を行っています。特に大学進学を目指す子ども達には,全国レベルの問題により多く取り組ませようと数多くの教材が準備され,年間の教材費は膨大なものになります。
 教員側からすれば,生徒全員同じものを持っているので指導はしやすい状況です。
 「問題集,○○ページ,開いてください!」
 各教科の先生方から多くの教材を配布され,これらに取り組み,消化することに最大の精力を注いでいる生徒たちは,果たして,これらの書籍の大切さや情報のありがたさを十分に理解しているでしょうか。今とは学校事情が異なりますので,比較にならないかもしれませんが,私が生徒時代の30年ほど前には,自分で書店に出向き,自分に合う書籍を探して購入するのが普通だったと思います。今考えてみると,たくさんの書籍の中から自分に合う問題集や参考書を選び出し,限られたお金の中で購入するということも大切な学習の場面であったのではないかなと思います。
 我々教員が子ども達のためと考え,あまりにも手をかけすぎることで,実は子ども達にとって大切な経験や成長する場面を奪ってしまっているのではないのかなと,自問自答している現在です。子どもたちが自らを成長させる場面というものも考えて,我々教員は指導していかなければならないのではないでしょうか。


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教育センターニュース 第97号/発行元 岩手県立総合教育センター