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新しい時代の学校づくり
平成19年度(第51回)岩手県教育研究発表会
平成20年1月8日(火)〜9日(水)開催
全体テーマ 新しい時代の学校づくりをめざして
多数のご参加ありがとうございました!

 1月8日(火)、9日(水)、当総合教育センター及び生涯学習推進センターを会場として開催された岩手県教育研究発表会は、県内外、遠くは和歌山県から参加をいただきました。
 国立教育政策研究所の千々布先生に「授業研究と新しい学校づくり」についてご講演いただき、奥州市立水沢小学校の授業とワークショップ型授業研究会や情報教育分科会のパネルディスカッション等、新しい時代の学校づくりをめざす取組が数多く発表されました。
 今年度もJR花巻駅から当センター直通シャトルバスを用意し、参加の先生方に利用していただきました。ご協力ありがとうございました。
  
■開会行事
主催者挨拶
伊藤所長による挨拶  伊藤所長は、挨拶の中で、どんな時代にあっても、教員の使命は子どもの育成であり、指導力の向上のため、これまで以上に学校が教師を鍛える文化をもち、学校と家庭・地域が一体となった教育を進めることの必要性を述べました。
 また、19分科会106主題の「新しい時代の学校づくりをめざす」研究や協議がこれからの本県教育を進めていくうえで大きな力になると期待を示しました。
総合教育センター 伊藤勝所長
委員長挨拶
箱崎教育委員長による祝辞  箱崎委員長は、ご挨拶の中で、いわゆる「平成の教育改革」の中核にあるものは、児童生徒一人一人が「生きる力」を確実に身に付けることであり、児童生徒が望む「職業」「生活」を実現していけるように学校、教師、家庭、地域が協働していくことが大切であること。本県においては、「いわて型コミュニティー・スクール」の確立を目指し、検証可能な目標達成型の学校経営を進めていくことや教育振興運動に取り組んできた強みを生かすことの大切さを述べ、充実した研修の機会となることへの期待を示されました。
県教育委員会 箱崎安弘委員長
 
■講演『授業研究と新しい学校づくり』 千々布敏弥 先生
 国立教育政策研究所の総括研究官である千々布敏弥先生から、「授業研究と新しい学校づくり」との演題で、約1時間半にわたってご講演をいただきました。
千々布先生による講演
千々布敏弥先生による講演
◎講演概要
 我が国の教育の質は明治以来授業研究によって支えられ、このことが米国からも注目されている。
 しかし、近年の傾向として、形式に流され、褒めるばかりの授業研究や授業者を守る姿勢の授業研究が散見され、教師集団が授業の課題に対して主体的にコミュニケーションを図ろうとする状況が見られなくなっている。
 授業の見方は、教師それぞれの経験年数や視点によってそれぞれであり、それらが議論されることに教育の質を保障する意義があるのだが、ある意味では視点の定まらない議論で終わってしまう場合が多くなってしまう。
 そこで付箋を活用することで、参加者個々の意見発表を保障するとともに、発表された意見を観点別に整理しながら、それぞれの課題に対する具体的な解決策をワークショップ形式で検討し合う手法が非常に効果的であるとされている。
 学校により授業研究の取組は様々であるが、調査によると職員全員が年に1〜3回程度授業公開し、授業及び授業研究の質を高めている学校が成果をあげている。
 指導案や教科の壁にこだわらず、積極的に授業研究に取り組んでいきたい。
満員の講演会場 質問も続々と
満員の講演会場 質問も続々と
 
■分科会 −19分科会で実施−
付箋を使った協議の様子(外国語) 水沢小学校の授業(授業改善) 研究発表の様子(学校経営・組織マネジメント)
研究発表の様子(教育相談) 19分科会で106主題の
研究発表がありました。
研究協議の様子(教育相談)
助言者によるコメント(音楽) 研究発表の様子(キャリア教育) 分科会の参加者(学校経営・組織マネジメント)

■参加者の声〜アンケートから〜
 今回の発表会では、ご参加いただいた先生方に、研究発表会運営や所員等の発表内容について、アンケートを実施しました。その内容を紹介します。
 アンケート回収枚数は757枚(昨年675枚)です。下表( )内は昨年のデータです。
 ◇所属する校種
校種 幼・保 小学校 中学校 高等学校 特別支援
学校
その他
回答数 62(62) 436(407) 157(125) 35(41) 33(25) 33(10)
割合% 8.2(9.3) 57.7(60.7) 20.8(18.7) 4.6(6.1) 4.4(3.7) 4.4(1.5)
 ※未回答があるため、合計はアンケート回収枚数と異なります。
 ◇年齢
年齢 〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50歳〜
割合% 15.0(11.4) 29.0(30.7) 37.5(40.3) 18.5(17.6)
 ◇この時期の参加のしやすさ
参加しやすさ 参加しやすい どちらかといえば
参加しやすい
どちらかといえば
参加しにくい
参加しにくい
回答% 42.4(45.9) 51.9(47.5) 4.5(4.6) 1.2(1.9)
 ◇分科会の満足度
分科会名 満足した どちらかといえば
満足した
どちらかといえば
満足しなかった
満足しなかった
分科会全体 回答%
※回答数1,072(628)
45.7(42.2) 47.8(51.9) 6.2(4.9) 0.4(1.0)
国語 %(以下同) 21.7 65.2 13.1 0
社会/地歴・公民 57.7 42.3 0 0
算数/数学 47.3 48.7 4.0 0
理科 54.3 40.0 5.7 0
音楽 88.9 11.1 0 0
図画工作/美術 56.3 37.5 6.3 0
家庭/技術・家庭 72.7 27.3 0 0
体育/保健体育 31.3 53.1 9.4 6.3
外国語 64.4 33.3 2.2 0
道徳 51.4 45.7 2.9 0
総合学習/生徒指導 34.4 56.3 9.4 0
学校経営 61.4 36.4 2.3 0
進路・キャリア教育 64.7 29.4 5.9 0
情報教育 45.9 51.4 2.7 0
小規模・複式指導 25.0 65.9 6.8 2.3
幼児教育 70.0 28.3 1.7 0
教育相談 56.0 42.9 1.1 0
特別支援教育 42.3 48.1 9.6 0
授業改善(8日) 63.9 29.2 5.6 1.4
授業改善(9日) 22.4 67.3 10.2 0
 ◇研究内容の評価
研究主題名 満足した どちらかといえば満足した どちらかといえば満足しなかった 満足しなかった
研究全体 回答% 47.8(42.3) 46.2(51.5) 5.4(5.7) 0.7(0.5)
授業改善を図るための校内授業研究の進め方 52.8 46.1 0 1.1
中学校国語科−Gアップシートの活用 13.6 65.2 19.7 1.5
中学校数学科−Gアップシートの活用 51.7 44.8 3.4 0
学習指導の効果を高める情報機器の活用 51.5 39.4 9.1 0
小学校複式学級における学年別学習指導の充実 12.5 75.0 10.0 2.5
小学校理科、観察・実験指導マニュアル 84.2 15.8 0 0
理科の学習の定着を高める観察・実験教材開発 70.4 25.9 3.7 0
家庭分野の基礎的知識・技術の習得−消費生活学習 81.8 18.2 0 0
中学校1年生の早期適応を図る小・中連携の在り方 65.0 33.3 1.7 0
事例から学びをとおした児童生徒に対する指導・援助 57.9 40.8 1.3 0
知的障害特別支援学校におけるキャリア教育 40.0 50.9 9.1 0
岩手県における学校教育に関する実態調査 40.0 56.0 0 4.0
 ◇アンケートの記述から(抜粋)
  • キャリア教育における年計や実践例が参考になった。(小学校、30代)
  • 算数の割り算の文章題の研究や、特別支援の現状把握のためのシートなど、現場の実践例や評価シートなどの例が提示される発表がすごく参考になったので、もっとそのようなものが多いといいなと思いました。(小学校、20代)
  • 中学校でもきめ細かな指導がなされていることを知り、先生方の授業以外の時間の取組に頭が下がります。(小学校、50代)
  • 学校におみやげとして持ち帰り、紹介したら喜ばれそうな豊富な資料や、Web上で常によりどころにできそうな情報提供など、実際場面ですぐ活用できるものが提示されてよかった。(小学校、40代)
  • 中学校の1年生の早期適応のために〜の「児童個票」を使用した引き継ぎがとても参考になった。早速この個票を活用したい。(その他、50代)
  • 講演会では、研究の質を高めていくための手だてを示していただき大変勉強になりました。 また、算数の分科会では、子どもの思考を大切にする授業の在り方を学ぶことができました。大変ありがとうございました。(小学校、20代)
  • 1日目の体育・保健体育分科会では、実際に子どもたちの活動に生かすことのできる内容が多く、大変参考になりました。 2日目の算数分科会では、各校の研究での成果や課題が分かりやすく、課題についての助言も明確であったので、普段から疑問に思っていたことが解消されたように思いました。(小学校、30代)
  • キャリア教育が小・中・高でどのように行われているか、今回は特に高校での実践が紹介されていて勉強になった。教師自身が知らないでいるということを実感した。キャリア教育は特別な時間を設けなくても日々の授業・行事などで取り入れられていることが分かった。(小学校、20代)
  • 教育相談の発表の「中学校1年生における〜」で発表された小中の連携の在り方や児童個票については、この場での発表でおわりではなく、ぜひ教育委員会等を通して全小中学校に紹介し、これを基に、各校の引き継ぎの在り方を検討することを働きかけていただきたいと思いました。(小学校、40代)
  • Gアップシートはそのままでは使えないが、自分の学校なりの改良を加えればさまざまな場面で活用できると思った。このような「ベースづくり」は、研究として非常に重要だと思う。(小学校、30代)
  • 図工・美術科の参加者は今回少なかったようですが、その分、発言者同士が近く、生き生きとした意見交換ができたと感じます。参加者は、せっかく雪の中でかけてきたのですから、一人一回は発言できるといいですね。一年に一回、専科の刺激を受けられてありがたいです。(特別支援学校、40代)
  • 数学のGアップシートの活用について、継続することが大切である。来年度の本校の研究として取り組みたい。(中学校、40代)
  • 中学校の話はとても参考になりました。(高等学校、30代)
  • Gアップシートについて、とても参考になりました。小学校なので、全く知りませんでした。小学校でもGアップシートのようなものがあったらいいかも知れないと思いました。(小学校、30代)
  • かなりの回数センター発表に参加したが、センター研究員の研究が県の教育(研究)の中核となり、県全体に発信していくという姿勢を一番強く感じた。 当センターに来るための近隣への駐車が可能であってほしい。(小学校、50代)
  • 付箋一つで研究会が盛り上がることは、目からウロコでした。水小の子供たち、先生方にも感謝です。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。(小学校、30代)
  • 音楽では、音を楽しむこと、聴くだけが鑑賞ではないんだなということを学びました。他にもたくさん勉強させていただいたので、実践していこうと思います。(小学校、20代)
  • 本研修(発表会)での発表は、現場における我々の今後の指導に役立てる、道筋になるものと、参加が可能なときには必ず参加しています。今後とも期待をして参加を続けたいと思います。(中学校、40代)
  • とてもきめ細かく、まとまっていて、すばらしい内容で勉強になりました。 プレゼンの画面の文字が大きくて、最後尾だった私もよく読め、よく分かりました。障害の重い、軽いは、「支援」と「手だて」で指導することがよく分かりました。現場で大変役立つ内容でありがとうございました。
  • 特別支援学校ではないのですが、特別支援学校のキャリア教育にも参考となる部分がたくさんありました。(障害の程度にもよりますが)キャリア教育の大切さについて考えさせられました。ありがとうございました。質疑の時間が少なくて、少し残念に思いました。(小学校、40代)
  • 私事ですが、16年目にして初めて来ましたが、各学校の発表を聞き、目からウロコでした。自分を振り返るとともに、今後の参考にしたいと思います。資料を印刷してもってくれば良かったと後悔しました。(中学校、30代)
  • この場で書き留めることのできないかも知れなかった意見や感想を、文字として残してもらえるワークショップ型のやり方は、とてもありがたいと思います。園に帰って全員で話し合います。ありがとうございます。(幼・保、50代)
  • 付箋を使い、様々の園の考えを聞けたことをうれしく思います。また、幼稚園の取組も今回初めて聞くことができ、勉強になりました。(幼・保、30代)
  • シャトルバスを活用したことは、会場周辺の混雑もなくとてもよかった。(小学校、50代)
  • 新幹線を利用しても行けるように、新花巻からセンターへの送迎バスも出せますか?行き帰りに大変時間がかかって、いつも疲れてしまいます。(中学校、40代)
  • 新花巻駅からもシャトルバスが出ると大変うれしかったのですが・・・。(小学校、40代)
  • 国語Gアップについて:小学校であるため実際にはGアップシートを使うことはありません。しかし、内容を考えて、小学校高学年でも工夫して作成していけるのではないかと思いました。つまずきを予測して、「お助けカード」学習シートの作成等、助言を含めて参考になりました。(小学校、40代)
  • 社会科分科会の高・中・小学校の3つの発表が全て、大変参考になりました。 運営について、センターまでのバス輸送は仕方がないとして、発着が花巻駅ではなく、そこまでは自家用車で来れるよう、大きい駐車場までにしてほしい。花巻駅までの交通機関を考えると、研究発表に参加できる時間が制限される。(小学校、50代)
  • 理科の教材開発等、非常に参考になります。今後に生かしていきたいと、大きな財産をいただいたと思っております。(中学校、40代)
  • 消費者教育の授業実践を伴った研究は、実際に生徒と接しながらの研究であったために、生徒の反応を身近にすぐに感じながらの内容の濃い研究であったと思います。(中学校、40代)
  • 英語指導ですぐ授業に取り入れられそうなポイントをたくさん学びました。今回初めて参加しましたが、大変内容の濃い大会なのだと思いました。ありがとうございました。(中学校、20代)
  • 「道徳」は大変勉強になりました。価値は何かと問いながら、指導していきたいと思います。(小学校、20代)
  • 発表を聞いたり、資料を読ませて頂いたりして、複式における直接指導、間接指導の進め方で良いヒントをたくさんいただきました。(小学校、40代)
  • キャリア教育を実践している先生方の輝きを感じました。キャリア教育を本校でどのように位置付けていくか課題です。アイディアをもらいました。(小学校、50代)
  • 情報教育のパネルディスカッションは、大いに参考になった。ネット社会のマイナス部分がいろいろと分かりました。(中学校、50代)
  • パネルディスカッションで、様々な実例が出され、とても驚くと共に、小学校現場でもうかうかしていられないことを痛感した。(小学校、40代)
アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。今回のアンケート結果を、来年度の研究発表会運営や所員等の研究推進等に生かしていきたいと考えています。

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