1月6日(火)・7日(水)、総合教育センター及び生涯学習推進センターを会場として、延べ2,000名を超える参加者をお迎えし、第52回岩手県教育研究発表会を開催することができました。
1日目は、はじめに、講師に国立教育政策研究所の菅正隆先生(北上市出身)を招いての講演会を行い、学習指導要領の改訂及び外国語教育の方向性に関わる内容を中心にお話しいただきました。また、その後に、新企画として、当センターで進めている事業の中から、「小学校外国語活動の紹介」「情報モラルの指導の実際」「教育相談講演会」の三つの紹介をいたしました。
また、1日目午後から2日目の終了までは、18分科会において、県内から選りすぐられた104主題の授業実践、研究成果が発表され、工夫を凝らしながら活発な協議を進めていただきました。いずれの発表も、これからの岩手の教育を支え、創造していく研究成果として、大いに活用されることを期待しています。
ご多忙の中、おいでいただいた菅先生、研究発表なされた先生方、また、発表者を推薦してくださいました関係各機関、企画展に出品していただいた関係各位、さらに、開催に当たってご支援、ご協力を賜りました皆様に、心から感謝を申し上げます。 |
開会行事 |
主催者挨拶 |
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県教育委員会 箱崎安弘 委員長 |
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箱崎委員長は、挨拶の中で、様々な教育改革が積極的に進められる中、岩手県教育委員会では、「いわて希望創造プラン」をベースに、児童生徒の「知・徳・体」をバランス良く育み、将来、社会人としてたくましく生きていくことができる総合的な人間力を育成するという教育目標の実現に向けて、学校現場の支援を軸に取り組んでいること、また家庭・地域との連携を図りながら目標達成型の学校経営をめざす「いわて型コミュニティ・スクール」の推進や、教員免許更新講習への対応、基礎・基本の定着に向けた取組の強化等々を進めており、本県の教育振興の基本目標である「一人一人が学びの世界を拓く、心豊かでたくましい人づくり」の実現に努めていることを述べました。
さらに、2日間の発表会の18分科会で協議される104主題の発表が、これからの岩手の教育を支え、創造していく研究成果として示されることへの期待を示しました。 |
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基調報告 |
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総合教育センター 藤原忠雄 所長 |
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藤原所長は、報告の中で、教育が大きな改革のまっただ中にあり、新しい時代を迎えている今日、様々な課題を解決し、子どもに「生きる力」を身につけさせるためには、個々の教師の力量を高めるとともに、学校が教師を鍛える文化をもち、学校全体で子どもの教育に取り組むことがこれまで以上に求められているとし、授業をはじめ、自らの様々な実践を検証し、紹介し、点検し合っていくことで、 教師の指導力の向上を図っていく必要性を訴えました。また、県内から選りすぐられた104主題の授業実践、研究成果について、工夫を凝らし活発に協議を進め、本県の教育に携わる方々とともに、「新しい時代の学校づくり」を力強く推進して参りたいとの意欲を示しました。 |
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講演「これからの教育がめざすもの−学習指導要領改訂の趣旨をふまえて−」
菅 正隆 先生 |
文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官及び国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官である菅正隆先生(北上市出身)から、「これからの教育がめざすもの −学習指導要領改訂の趣旨をふまえて−」との演題で、1時間半にわたってご講演をいただきました。
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◎講演概要
今回の小・中学校の学習指導要領改訂のポイントとして、言語活動の充実と道徳教育の充実の二点を挙げ、新時代の学校教育と教師に求められる資質の向上について話されました。また、各学校の子どもたちの実情に応じ、学習指導要領に示していない内容を加えて指導できるように、今回の改訂においては、「…は取り扱わないこと」とするいわゆる「はどめ規定」の見直しを行ったことについても説明されました。
小学校外国語活動を導入した趣旨については、児童のコミュニケーション能力の向上がねらいで、英語はそのためのツールであると説明され、作成して配付する補助教材を充実させながら、従前の教師主導の授業から子どもを中心とした授業にすることで、子どもたちに積極的に活動させてほしい旨を話されました。 |
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満員の講演会場 |
熱心に聴き入る参加者 |
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分科会−18分科会で実施− |
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参加者の声〜アンケートから〜 |
発表会にご参加いただいた皆様に、会運営や所員等の発表内容について、アンケートを実施しました。 |
<おことわり> ●アンケート回収枚数は680枚(昨年757枚)です。●表の( )内は昨年のデータです。●割合の合計は、端数処理のため100にならない場合があります。●未回答があるため、所属校種の合計はアンケート回収枚数と異なります。 |
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幼稚園
保育所 |
小学校 |
中学校 |
高等学校 |
特別支援学校 |
その他 |
64(62) |
388(436) |
132(157) |
29(35) |
29(33) |
28(33) |
9.6(8.2) |
57.9(57.7) |
19.7(20.8) |
4.3(4.6) |
4.3(4.4) |
4.2(4.4) |
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〜29歳 |
30〜39歳 |
40〜49歳 |
50歳〜 |
13.5(15.0) |
27.7(29.0) |
37.3(37.5) |
21.6(18.5) |
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名称 |
満足した
人数(割合) |
どちらかといえば
満足 |
どちらかといえば
満足しなかった |
満足しなかった |
小学校外国語活動 |
167人[83.1%] |
30人[14.9%] |
4人[2.0%] |
0人[0%] |
情報モラル指導 |
20人[44.4%] |
22人[48.9%] |
3人[6.7%] |
0人[0%] |
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分科会 |
満足した |
どちらかといえば
満足 |
どちらかといえば 満足しなかった |
満足しなかった |
分科会全体 |
44.0(45.7) |
49.9(47.8) |
5.4(6.2) |
0.8(0.4) |
6日 午後 |
33.6 |
56.6 |
8.8 |
1.0 |
7日 午前 |
51.8 |
45.1 |
2.4 |
0.7 |
7日 午後 |
45.6 |
48.4 |
5.3 |
0.6 |
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6日 午後 |
国語 音楽/美術 外国語活動/外国語 キャリア教育 教育相談 授業改善/農業 特設 |
7日 午前 |
国語 社会/地歴・公民 算数/数学 理科/工業 家庭/技術・家庭/食育 道徳 総合的な学習の時間/生徒指導 小規模・複式指導 幼児教育 特別支援教育 授業改善/農業 |
7日 午後 |
国語 算数/数学 理科/工業 体育/保健体育 道徳 情報教育 幼児教育 授業改善/農業 |
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研究主題名 |
満足した |
どちらかといえば
満足した |
どちらかといえば
満足しなかった |
満足しなかった |
研究全体 |
42.9(47.8) |
52.1(46.2) |
4.5(5.4) |
0.4(0.7) |
小学校国語科におけるテキストを理解・評価しながら読む力の育成に関する研究 |
26.3 |
63.6 |
9.3 |
0.8 |
中学校社会科における社会的な見方や考え方を育成する指導と評価の在り方に関する研究 |
51.6 |
45.2 |
3.2 |
0.0 |
小学校算数科における数学的に解釈する力や表現する力の育成に関する研究 |
35.7 |
60.0 |
4.3 |
0.0 |
理科における学習の定着を図るための観察・実験教材の開発に関する研究 |
70.0 |
30.0 |
0.0 |
0.0 |
2008年岩手・宮城内陸地震に伴う岩手県内の地表地震断層 |
65.2 |
30.4 |
4.4 |
0.0 |
学校・家庭・地域が連携して進める食育の在り方に関する研究 |
75.0 |
25.0 |
0.0 |
0.0 |
小学校外国語活動の推進に関する研究 |
40.2 |
58.5 |
1.2 |
0.0 |
命を大切にする心を育む中学校道徳教育に関する研究 |
28.6 |
61.9 |
9.5 |
0.0 |
小・中学校におけるキャリア教育の推進に関する研究 |
42.5 |
52.5 |
5.0 |
0.0 |
中学校技術・家庭科「コンピュータの利用」における「生活の技能」の育成に関する研究 |
41.2 |
47.1 |
11.8 |
0.0 |
学習指導の効果を高めるネットワークの活用に関する研究 |
68.8 |
25.0 |
6.3 |
0.0 |
幼稚園における幼児一人一人が共に育ち合う指導の在り方に関する研究 |
55.4 |
44.6 |
0.0 |
0.0 |
特別支援学級の「弾力的な運用」の推進に関する研究 |
47.3 |
50.9 |
1.8 |
0.0 |
幼稚園における幼児一人一人が共に育ち合う指導の在り方に関する研究 |
39.0 |
54.2 |
6.8 |
0.0 |
授業改善を図るための校内授業研究会の進め方に関する研究 |
36.4 |
56.1 |
4.5 |
3.0 |
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- 幼児期の言語発達の重要性に改めて気付かされ、それを促していくための保育者の援助、必要な環境構成など、本当に勉強になりました。(幼・保育園 20代)
- ワークショップ型の討議で、全員参加を実感でき、多くの声を聞くことができ、とてもよかった。(幼・保育園 40代)
- 一般参加も許容しているなど、多くの熱心な教育実践者がいることを発信する観点から、県民に開かれた発表会をたいへん評価します。(幼・保育園 50代)
- 国語分科会の協議で2つに分かれて実施していたが、分かれない方がよい。声が届かなくて聞き取れなかった。中高を聞いても参考になるので、全体でやってほしい。(小学校 20代)
- 駐車場がまったく使えないのは不便です。市町村単位で何枚か駐車券を交付していただければ、相乗りで来られたと思います。(小学校 30代)
- 学校教育活動の具体に生命尊重の道徳教育を位置付けた発表は非常に参考になった。とても価値ある提案だ。(小学校 30代)
- 学校運営の中で研究がもっと重要な位置にあるべきだと考える。部活や行事、生徒指導に追われる状況を改善し、本日のような研究成果を日常的に生かしていきたい。(小学校 40代)
- 小規模・複式の分科会では、発表内容もすばらしいし、ビデオ映像がとても分かりやすく、感動しました。助言も心に残りました。(小学校 40代)
- 県外から新幹線で来ました。新花巻駅からのアクセス方法、時間なども知らせていただければと思いました。(小学校 40代)
- 特設分科会の構成はとてもおもしろかったです。井上先生の基調講演をベースにしてシンポジウムまで、本県の学力向上について様々な視点をもとに考え続けることができた3時間半となりました。
教育相談講演会も対話形式で新しい試みがよかったです。(小学校 50代)
- 講演会、小学校外国語活動の紹介は、最新の情報を提供する、すぐれたものでした。(小学校 50代)
- 長期研修生の発表内容は、キーワードになる言葉が鮮明に伝わり、分析も鋭く、チャレンジ精神にあふれている。(小学校 50代)
- 教育の基本は同じで、いかに心をもって子どもに接するかであり、その手だてを学ぶことができて有意義でした。大人も共に学び、人間性(思いやり)の豊かな大人になることが必要と思った。(小学校 50代)
- 小学校の食育の取り組みは、実態に応じた細やかかつ全校レベルのもので、非常に参考になりました。(中学校 30代)
- キャリア教育について教えていただいたことがとても参考になりました。社会情勢もありますが、様々な職種の現在状況を知り、生徒に適性を考えさせながら指導していきたいです。(中学校 30代)
- 情報モラルを授業の形で見せていただき、とても参考になりました。エイズやエコ教育同様、インターネットの普及に伴い、個人に任せるだけでなく、学校で取り組むべき課題の一つと感じました。
(中学校 40代)
- 事前に開会行事・講演会のモニター会場が割り振りされていたことや、発表会資料の掲載などたいへん行き届いた運営でした。(中学校 50代)
- 食育の研究内容がとても参考になりました。すぐに学校で活用できるような、分かりやすく丁寧な内容で、とても勉強になりました。(高等学校 20代)
- 複数の分科会に参加する場合を考えて、発表時間をしっかり守ってほしい。あるいはもう少し時間にゆとりがあればと思います。(高等学校 40代)
- 小中高の各段階における様々な実践について知ることができ、参考になりました。(高等学校 40代)
- 授業改善での付箋活用の授業研究が参考になった。授業公開、授業研究のためにセンター所員が出かけてくれるとのこと、ありがたく、頼もしい。(高等学校 50代)
- 他校種の様子を知りたいと思い参加しました。VTRやマイク等、視聴覚教材の調子がよければもっとよかったと思いました。(特別支援学校 40代)
- 私どものY県には全校種、全教科についての大規模な発表会がないので、岩手県の取り組みはすばらしいと考える。自分の研究を県下全てに伝えられるという緊張感、使命感からか、発表内容の質もたいへん高く、充実していた。(その他 40代)
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★アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。今回のアンケート結果を、来年度の研究発表会運営や所員等の研究推進等に生かしていきたいと考えています。 |