2月13日(月)・14日(火)、花巻温泉、総合教育センター及び生涯学習推進センターを会場として、2日間でのべ1,900名を超える参加者をお迎えし、第55回岩手県教育研究発表会を開催することができました。未曾有の大震災を経て、岩手の教育関係者が一堂に会する初めての日になりました。
今年度のテーマは、「真の学力向上をめざして〜震災からの復興と共に〜」とし、震災からの復興のためには、子どもたちに生きる力、確かな学力を身に付けさせることが大切であることを再確認する場としたいと考えました。
1日目の午前中に、「開会行事」(主催者挨拶・基調報告)と「全体会 学力向上と組織マネジメント」を行いました。
児童生徒の学力向上に取り組む学校を支える市町村教育委員会の役割について、秋田県東成瀬村教育委員会の鶴飼孝教育長と二戸市教育委員会の鳩岡矩雄教育長のお二人に実践を紹介していただきました。その後、東京学芸大学佐々木幸寿教授のコーディネートにより、シンポジウムを行いました。その中で、学校の役割とともに市町村教育委員会の果たす役割の重要性についても再確認する場となりました。
午後は、全体会「いわての復興教育」と題し、学校教育室の多田英史義務教育課長より、いわての復興教育プログラムについて、概略の説明がありました。県内各地で先進的に行われている復興教育の事例を多数紹介していただきました。
続いて行われた特設分科会1「震災からの復興と児童生徒の安全・安心」では、3人の校長先生(前校長を含む)に震災当時の状況について、緊迫感に満ちた報告をしていただきました。さらに、兵庫教育大学大学院の冨永良喜教授にいわて子どものこころのサポートチームの実践についてご紹介いただきました。その後、学校教育室田村忠生徒指導担当課長の進行により質疑応答が行われ、最後に冨永教授による講評をいただきました。
同時に行われた特設分科会2「効果的な校内研究推進マネジメント」では、3人の校長先生に教員一人一人の授業力向上を目指したマネジメントについて、各学校の取組を紹介していただきました。その後、参加者約200名をグループに分けて、ワークショップ協議を行い、提案で学んだことや各自の抱えている悩みなどについて情報交換を行いました。
2日目は、1つの特設分科会と16分科会において、県内から選りすぐられた60主題の授業実践、研究成果が発表されました。それぞれの分科会でも工夫を凝らした運営がなされ、活発な協議を進めていただきました。それぞれの発表の成果が、これからの岩手の教育に実際に活用されることを期待しています。
ご多用の中、おいでいただいた東成瀬村教育委員会鶴飼孝教育長をはじめ、シンポジスト、研究発表された先生方、また、発表者を推薦してくださいました関係各機関、企画展に出品していただいた関係各位、さらに、開催に当たってご支援、ご協力を賜りました本会場の花巻温泉のスタッフをはじめ関係各位、皆さまに心から感謝を申し上げます。 |
開会行事 |
主催者挨拶 |
|
|
県教育委員会 八重樫勝 委員長 |
|
八重樫委員長は、挨拶の中で、はじめに東日本大震災津波によりお亡くなりになられた方への哀悼の意を表するとともに、被災された方へのお見舞いを述べました。
学校現場が直面した困難な状況にもかかわらず、学校の再開、教育の復興のために不眠不休で働く教職員の姿に感謝の言葉を述べました。
また、被災した本県の子どもたちの強さ、たくましさ、成長ぶりにふれ、日々の教育活動の中で身に付けた教育の成果について強調されました。
最後に、岩手、東北、そして日本の復興の担い手として、岩手の子どもたちをたくましく育てるために、教育愛、使命感、指導力をさらに磨く2日間となることの期待を示しました。 |
|
基調報告 |
|
|
総合教育センター 藤原忠雄 所長 |
|
藤原所長は、2年前の発表会からの流れを振り返りながら、岩手県の学力向上の課題について、家庭学習の取組、運動部活動等との関わりなどを取り上げました。それを受けて、今年度の発表会の趣旨とその概要について、パワーポイントを用いて説明しました。特にも、午前の全体会では「学力向上と組織マネジメント」という題で、お二人の市町村教育委員会教育長をお迎えしていること、また、午後の分科会では、復興教育と校内研究について取り上げることを紹介し、2日間を通して、震災からの復興と創造、真の学力を身に付けたたくましい岩手っこのために、活発な議論を期待すると述べました。 |
|
|
全体会(シンポジウム、概要説明) |
|
|
|
県教育委員会学校教育室 多田英史首席指導主事兼義務教育課長 |
|
|
|
|
|
|
分科会−16分科会・3特設分科会で実施− |
|
|
参加者の声〜アンケートから〜 |
発表会にご参加いただいた皆様に、会運営や所員等の発表内容について、アンケートを実施しました。 |
<おことわり> ●アンケート回収枚数は476枚(昨年441枚)です。●表の( )内は昨年のデータです。●割合の合計は、端数処理のため100にならない場合があります。●未回答があるため、所属校種の合計はアンケート回収枚数と異なります。
|
|
幼稚園
保育所 |
小学校 |
中学校 |
高等学校 |
特別支援学校 |
その他 |
47(40) |
292(203) |
186(156) |
56(30) |
29(26) |
19(8) |
8.0(8.4) |
44.0(42.6) |
29.0(32.8) |
6.0(6.3) |
5.0(5.5) |
3.0(1.7) |
|
|
|
|
|
全体会
|
名称 |
大いに 参考になった |
参考になった |
あまり参考に ならなかった |
参考に ならなかった |
学力向上 |
122人[51.7%] |
104人[44.1%] |
10人[4.2%] |
0人[0.0%] |
いわての復興教育 |
130人[45.9%] |
138人[48.8%] |
14人[4.9%] |
1人[0.4%] |
|
|
|
特設分科会の満足度 |
人数[割合%]
延べ回答数:339 |
|
分科会 |
大いに 参考になった |
参考になった |
あまり参考に ならなかった |
参考に ならなかった |
特設1復興教育 |
172人[72.9%] |
62人[26.3%] |
2人[0.8%] |
0人[0.0%] |
特設2校内研究 |
36人[64.3%] |
17人[30.4%] |
3人[5.4%] |
0人[0.0%] |
特設3いわてスタンダード |
33人[57.9%] |
23人[40.4%] |
1人[1.8%] |
0人[0.0%] |
|
13日 午後 |
特設分科会1 復興教育
特設分科会2 校内研究 |
14日 午前 |
特設分科会3 いわてスタンダード |
|
アンケート結果 (PDF:448KB) |
|
|
|
|
- 校種の違う先生方の発表もとても参考になりました。研究は子供たちの姿あってのものだと改めて実感しています。校種の枠を超えた”共有”が、今後の岩手の復興教育につながっていくと感じた発表会でした。(小学校)
- センターの研究成果物が活用され、進化されていくことは、とてもすばらしいことだと思います。あわせて、調査、分析の中から見えてきた課題の解決に向けての研究のみならず、県教委、各研究団体、管理職への発信を強くしていただきたいです。(中学校)
- 自分はいったい何をやっていたのだ…と思わされる1日でした。本当に大変勉強になりました。(中学校)
- 2日間ありがとうございました。初めての参加でしたが、自分自身の学習意欲の向上、生徒への還元を強く考えることのできた2日間でした。これから活かしていきます。(高等学校)
- 全体会は昨年度のシンポジウムの内容も踏まえて今年につなげているので、今年も来て良かったと思いました。教育研究発表会も前年度の取り組みを、土台にして進められているのが、改善へつながる希望です。校内研の最近の傾向が分かって良かったです。(小学校)
- 発表(全体会)の方の人選がとても良かったと思います。お二人とも教育について熱く語られ、熱意が伝わった。話された内容についても、とても良かったと思います。(中学校)
- 具体的で貴重な事例や取り組みを報告していただき、大変参考になりました。「いわての復興教育」プログラムをもとに、これからの教育課程の中で実践していきたいと思います。また、家庭や地域と日頃から連携をとり合いながら、進めていきたいと感じています。明日から子供たちや職員とやらなければならないことが、目の前にたくさんありますが、少しでも普通の学校生活が送られるよう頑張っていきたいとおもいます。ありがとうございました。(小学校)
- 震災に対応してこられた先生方の実際の様子をじかに聞いて、当時の大変さが心にしみて涙が出ました。先生方の思い、子供たちの思いを内陸の子供たちの生活、心の育成に活かしたいです。(小学校)
- 被災地の生の惨状、現状を再確認できた。復興といってもやはり一概にまとめることは出来ないと感じた。(中学校)
- 特設1について、綾里小と気仙中など実際に、津波を体験された先生方のお話を聞くことが出来てとても良かったです。実際に体験された先生方のお話は、とても生々しく緊迫感が感じられ、本当にどれだけ大変な思いをされたのかと、胸の痛い思いで聞きました。そして子供たちのけなげさに涙が出ました。難しいことはさておき、これからもこの体験を伝えることが大事だと思います。(中学校)
- 特設分科会 3本の発表を聞いて、本当に胸の熱くなる思いでした。先生方の、そして子供たちの力のすばらしさを感じました。(特別支援学校)
- 知識として知っていたことでも、具体的実践として示していただけたことで、明日からやってみようという刺激になった。特に校内研究の進め方については、自分自身の考えていたこととマッチし、その進め方の具体を知ったことが、とても参考になった。現任校で実践する場合の課題はあるが、それを解決しつつ実践に移していこうと思う。(小学校)
- 研究主任をしていますが、研究主任の仕事、校内研の進め方を教わったことがなく、困っていました。今回ワークショップ型の校内研を学び、大変参考になりました。個々の力量アップ、勉強になりました。(中学校)
- 水戸部先生の講演は大変良かったです。研究推進の力になり、次年度実践に役立つものとなった。また発表に対する助言も水戸部先生だったことで、求められている授業構想、実践構想がより明確になった。(小学校)
- どの研究もとてもすばらしく、本当にためになりました。子供たちの未来のため、これからも一人の保育者として研究実践にいかしていきたいです。(幼稚園・保育園)
|
|
|
★アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。今回のアンケート結果を、来年度の研究発表会運営や所員等の研究推進等に生かしていきたいと考えています。 |