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岩手県教育研究発表大会
教育の復興
 
 2月14日(木)・15日(金)、花巻温泉、総合教育センター及び生涯学習推進センターを会場として、2日間でのべ1,700名を超える参加者をお迎えし、第56回岩手県教育研究発表会を開催いたしました。例年より、花巻地方は雪が多く、足下の悪い中での実施となりました。

 今年度のテーマは、復興元年ということもあり、「教育の復興」としました。「教育の復興」とは、震災を契機にもう一度岩手の子どもたちに必要な教育とは何かを考え、原点に立ち返ることであると捉えています。県内の教育関係者が一堂に会し、自分たちの足下を捉え直す場としたいと考えました。

  1日目の午前中に、「開会行事」(主催者挨拶・基調報告)と全体会シンポジウム「校種間連携と岩手の人材育成」を行いました。
 校種間連携の必要性については、かねてから言われていることですが、特にも東日本大震災津波により、小学校に小学校が、また小学校に中学校が間借りして、学校の統合が否応なしに進む状況にあります。本県が進める人材育成の一つの手段として、校種間連携の在り方とそこから見えてきた課題について考える場として設定しました。

 現在、また過去の実践の紹介として、普代村教育委員会の熊坂伸子教育長と陸前高田市教育委員会の山田市雄教育長のお二人に取組を紹介していただきました。その後、かつて岩手県教育委員会教育長で、現在岩手県立大学の相澤徹理事長のコーディネートにより、シンポジウムを行いました。基調報告を受けての学力向上の問題、校種間連携の成果と課題について等、意見を交換しました。

 午前の終わりに、学校教育室の松葉覚特命課長より、「いわての復興教育〜この1年の取り組み〜」について、概要説明を行いました。今年度の取り組みとして、小中46校と全県立学校を推進校に指定したこと、プログラムの改訂版の作成したこと、研修会等への支援を行ってきたこと等について、説明がありました。

 午後は、3つの特設分科会を行いました。

 特設分科会1「いわての復興教育〜この1年の実践とこれから」では、推進校の中から小学校2校、中学校2校、高等学校1校から、実践発表をしていただきました。さらに、鳴門教育大学教職大学院の村川雅弘教授に講演をいただき、いわての復興教育について、共通理解する場となりました。

 特設分科会2「効果的な校内研究推進マネジメント」では、高知県教育委員会スーパーバイザーで、東村山市立大岱小学校の前校長である西留安雄氏による「学力向上の処方箋〜校内研修の活性化〜」と題する講演がありました。続いて、小学校1校、中学校1校の基調提案があり、それらに基づいて、約150名の参加者がワークショップ型協議で情報交換を行いました。

 特設分科会3「地域と共に歩む教育をめざして〜幼、小、中、高、特支、地域との連携の姿から〜」では、認定こども園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校から、幼小中一貫教育、中高一貫教育、特別支援教育について、具体的な実践例を提案していただきました。
 さらに、総合教育センター会場では、幼児教育/幼小接続分科会が100名を超える参加者を得て、実施されました。

 2日目は、2つの特設分科会、各教科領域等13分科会において、県内から選りすぐられた41主題の授業実践、研究成果が発表されました。それぞれの分科会で工夫を凝らした運営がなされ、興味深い発表と活発な協議を進めていただきました。それぞれの発表の成果を、これからの岩手の教育に実際に活用していきたいと考えています。

 ご多用の中、おいでいただいた岩手県立大学相澤理事長をはじめ、シンポジスト、研究発表された先生方、また、発表者を推薦してくださいました関係各機関、企画展に出品していただいた関係各位、さらに、開催に当たってご支援、ご協力を賜りました本会場の花巻温泉のスタッフをはじめ関係各位、皆さまに心から感謝を申し上げます。
開会行事
主催者挨拶
県教育委員会 八重樫勝 委員長
県教育委員会 八重樫勝 委員長
 八重樫委員長は、挨拶の中で、年度末の多忙な時期の開催にもかかわらず、多くの教育関係者の参加を得て開催できることへの謝辞を述べました。そして、自らの資質・能力を向上させたいという参加者の熱意と意欲が岩手の教育を前進させているという認識を示しました。
 次に、本年度のテーマ「教育の復興」について説明するとともに、児童生徒の自己実現のために、互いに学び合ってほしいという期待を述べました。同時に、いじめ・体罰の問題にも触れ、教職員が倫理観・使命感を高めることについても呼びかけました。
 さらに、本年度発刊の「教育研究岩手第100号」に掲載された(株)マイヤ 代表取締役社長 米谷春夫氏の提言を紹介しました。
 最後に、参会者の熱い研究協議が岩手の子どもたちの明るい未来に還元される2日間となることの期待を示しました。
基調報告
総合教育センター 藤原忠雄 所長
総合教育センター 藤原忠雄 所長
 藤原所長は、2年前の発表会からの流れを振り返りながら、岩手県の学力向上の課題について、家庭学習の取組、運動部活動等との関わりなどを取り上げました。それを受けて、今年度の発表会の趣旨とその概要について、パワーポイントを用いて説明しました。特にも、午前の全体会では「学力向上と組織マネジメント」という題で、お二人の市町村教育委員会教育長をお迎えしていること、また、午後の分科会では、復興教育と校内研究について取り上げることを紹介し、2日間を通して、震災からの復興と創造、真の学力を身に付けたたくましい岩手っこのために、活発な議論を期待すると述べました。
全体会(シンポジウム、概要説明)
県立大学相澤理事長長 普代村熊坂教育長 陸前高田市山田教育長
     
復興教育 シンポジウム 会場全景
分科会−14分科会・5特設分科会で実施−
分科会1 分科会2 分科会3
分科会4 分科会5 分科会6
参加者の声〜アンケートから〜
 発表会にご参加いただいた皆様に、会運営や所員等の発表内容について、アンケートを実施しました。
<おことわり> ●アンケート回収枚数は706枚(昨年649枚)です。●表の( )内は昨年のデータです。●割合の合計は、端数処理のため100にならない場合があります。●未回答があるため、所属校種の合計はアンケート回収枚数と異なります。
所属校種
上段:回答数
下段:割合%
幼稚園
保育所
小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 その他
65(47) 327(292) 212(186) 36(56) 25(31) 29(23)
9.2(7.2) 46.3(45.0) 30.0(28.7) 5.1(8.6) 3.5(4.8) 4.1(3.5)
全体会
 
人数[割合%]
名称 大いに
参考になった
参考になった あまり参考に
ならなかった
参考に
ならなかった
校種間連携 132人[48.7%] 131人[48.3%] 8人[3.0%] 0人[0.0%]
復興教育 104人[40.0%] 140人[53.2%] 18人[6.8%] 1人[0.4%]
特設分科会の満足度
人数[割合%]
延べ回答数:339
分科会 大いに
参考になった
参考になった あまり参考に
ならなかった
参考に
ならなかった
特設1いわての復興教育 89人[50.6%] 82人[46.6%] 5人[2.8%] 0人[0.0%]
特設2効果的な校内研究推進マネジメント 38人[74.5%] 12人[23.5%] 1人[2.0%] 0人[0.0%]
特設3地域と共に歩む教育をめざして 25人[37.9%] 36人[54.5%] 0人[0.0%] 0人[0.0%]
特設4学校ぐるみで取り組む中学生の学力向上 16人[69.6%] 7人[30.4%] 0人[0.0%] 0人[0.0%]
特設5こころのサポート 51人[51.0%] 49人[49.0%] 0人[0.0%] 0人[0.0%]
14日 午後 特設分科会1 いわての復興教育〜この1年の実践とこれから〜
特設分科会2 効果的な校内研究推進マネジメント
特設分科会3 地域と共に歩む教育をめざして
15日 午前 特設分科会4 学校ぐるみで取り組む中学生の学力向上
特設分科会5 こころのサポート
アンケート結果 (PDF:353KB)
アンケートの記述から
(抜粋)
  • 県内で閉校・統合が進んでいる中、旧市町村・保小中1校となる地域が確実に増えている。本校もその一つである。その意味でも校種間連携の必要性、大切さを感じていて、今回の取り組みは正にタイムリーで勉強になった。ありがとうございました。(小学校)
  • 学力向上を指導者側のみではなく、子ども自身の視点からとらえ直すこと(学力における自分の立ち位置)、知・徳・体のバランスを考えた情報発信をすること、オープンに語り合える信頼関係づくりの構築が重要であること、自校の実践に生かしていきたい。(小学校)
  • 校種間連携について、全ての学びは繋がっていることを勉強しました。ありがとうございました。(高等学校)
  • 「学力向上」は必要で大切だと思う。データ化も必要で共感するが、結果として90%伸びたとして、残りの10%に目を向けていくことを忘れてはならないと思う。また、小・中・高での「特別支援」の考え方、方法がないと、取りこぼされていく子どもたちは増える。今後の方向として支援学校の立ち位置を考えていく必要があると思う。(インクルーシブ教育として)(特別支援学校)
  • 震災津波からまだ2年しか経っていないのに、内陸部の人達は発災について少々風化されつつあると思われる。本日のこの会を通して改めて子ども達に、復興に向けて全県で頑張っていることを伝え、良き人材を育んでいきたいと思いました。(小学校)
  • いわて復興教育について詳しく知ることができた。計画を立案中なので具体的な取り組みを聞いたことで具体的にイメージすることができた。(小学校)
  • 3年連続発表会に参加しています。復興教育については大学院および教職大学院の授業、教員免許講習でも活用させていただいております。(その他)
  • 効果的な校内研究推進マネジメントとの西留先生のお話がたいへんすばらしく、聞くことができて本当に良かったです。DVDにして県内全ての学校に配布してもいいと思うくらいでした。ここ数年の校内研究(修)の推進に当っては本当に進歩が著しく、先校研究をされている先生方の努力がすばらしいと思っています。(小学校)
  • Gアップシートの活用法 大変参考になりましたし、もっと活用したいと思いました。また、これだけのものを御苦労されて作成された方々に心から感謝いたします。(中学校)
  • 特設5 こころのサポートに参加しました。被災された学校の姿を知ることができました。内陸に住む者にとっても震災を忘れてはならないし、目の前の子ども達に機会をとらえて伝えていかなければと思った。実践発表もすばらしく、学ぶものがたくさんありました。ありがとうございました。(小学校)
  • こころのサポート・・・被災した子どもたちの様子、がんばっている姿が目に浮かび、すごくよかったです。「こころのサポート映像集」のDVDをまだ見ていないので、具体的なサポートについてよくイメージができなかったのですが、個にあったサポートをして行ければ、と思います。しかし「ことば」を上手に選ばなくてはいけないのでもっともっと深い学習や支援を考え指導したいです。また、内陸の生徒たちの思いもくみとって相互に支え合い、交流をして行けたらと思います。(中学校)
  • 国語の分科会ですが、寺井正憲先生の「言語活動を通した授業づくり」、大変参考になりました。書くこと、音読すること、しかもその量を確保することが大切だということが良く分かりました。時間が足りないといって、読むこと、書くことの時間を減らしているのは、結局焦点化されていないということの表れだと感じました。(小学校)
  • 岩手の復興に関して、また、算数・数学教育において様々な視点の研究発表を聞くことができ、とても勉強になりました。秋田と岩手の算数・数学教育についてとても興味が深まりました。学んだことを大学での研究に活かしていきたいと思います。(その他)
  • 資料、発表ともに準備がたいへんだったと思います。会場、運営も手厚い配慮が感じられ、震災からの復興の勢いある内容にも感銘を受けました。岩手県の熱心な取組がよく理解できました。ありがとうございました。(中学校)
  • 今回参加させていただき、それぞれ、先生方の教育に対する熱意を感じました。今後、私も、日々熱意を持って、子どもたちのために、はたらきかけや、援助をしていきたいと思います。ありがとうございました。(幼稚園・保育園)
アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。今回のアンケート結果を、来年度の研究発表会運営や所員等の研究推進等に生かしていきたいと考えています。

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