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岩手県教育研究発表大会
授業改善を問う
 
 さる2月12日(木)・13日(金)に、花巻温泉、総合教育センター及び生涯学習推進センターを会場として、第58回岩手県教育研究発表会を開催いたしました。悪天候の中でしたが、2日間でのべ3,400名を超える参加者を得ての開催となりました。 今年度のテーマは「授業改善の推進」としました。『授業改善』をキーワードとした2年目です。県教育委員会、市町村教育委員会、学校等すべての教育機関が一体となって授業改善の取組が確実に行われつつあることが確認された研究発表会となりました。

 1日目の午前中は、開会行事(主催者挨拶 八重樫勝 教育委員長)、全体会では講演会(講師 合田隆史 尚絅学院大学学長)と授業改善実践発表(提案授業 県立一関第一高等学校附属中学校 佐藤宏行 教諭、生徒)を行いました。全体会の講演会では、合田隆史学長より新たな教育方法への転換(主体的学修)が必要であることをお話しいただきました。授業改善実践発表では、県立中学校1年数学科の提案授業が行われました。コマ作りを通して,数学的な見方や考え方を育む活動として「振り返り」に重点を置いた授業を提案いただきました。午後は、「知・徳・体」を柱とした特設分科会1「学力保障のための授業改善の推進(知)」、特設分科会2「豊かな心を育てる道徳教育の推進(徳)」、特設分科会3「健やかな体を育む教育の推進(体)」、そして、「復興教育」分科会、「幼児教育/幼小接続」分科会を開催しました。

 特設分科会1「学力保障のための授業改善の推進(知)」では、県教育委員会学校教育室より「平成26年度県の学力向上対策の成果と平成27年度の取組」について報告があり、その後,実践報告として小学校、中学校、高等学校(2)の発表をしていただきました。さらに、秋田大学の阿部昇教授より「秋田県の学力向上の秘密」と題してご講演をいただきました。

 特設分科会2「豊かな心を育てる道徳教育の推進(徳)」では、一関市立滝沢小学校の実践発表が行われ、その後、秋田公立美術大学の毛内嘉威教授のご講演をいただきました。

 特設分科会3「健やかな体を育む教育の推進(体)」では、「授業改善を支える体育・健康に関する指導の在り方」と題してシンポジウムが行われました。シンポジストには教育行政(秋田)、小・中・高教育関係者に登壇いただきました。講演は「児童生徒が活力ある学校生活を営むための資質や能力を育てる教育の在り方」として、鹿屋体育大学の佐藤豊教授にご講演いただきました。

 開会行事・全体会には512名、特設分科会1 342名、特設分科会2 99名、特設分科会3 72名、「復興教育」分科会は159名、「幼児教育/幼小接続」分科会は70名の参加者を得て、大変盛会に終わりました。

 2日目は、各教科領域等18分科会において、69主題の授業実践、研究成果が発表されました。それぞれの分科会ではパネルディスカッションやワークショップなどを取り入れたり、講演会を実施したりと運営に工夫を凝らし、興味深い発表や活発な協議をする場になりました。それぞれの発表の成果が、これからの岩手の教育に実際に活用されることを期待しています。

 ご多用の中、コーディネーターや講演講師、シンポジストを務めていただいた先生方、研究発表された先生方、また、発表者を推薦してくださいました関係各機関、企画展に出品していただいた関係各位、さらに、開催にあたってご支援、ご協力を賜りました花巻温泉のスタッフをはじめ関係各位、皆さまに心から感謝を申し上げます。
開会行事
主催者挨拶
県教育委員会 八重樫 勝 委員長
県教育委員会 八重樫 勝 委員長
 八重樫委員長は、挨拶の中で、年度末の多忙な時期の開催にもかかわらず、多くの教育関係者の参加を得て開催できることへの謝辞に加え、何かの期待をもってこの研究発表会に来ている先生方の熱意に頼もしさを感じていると述べました。
 さらに、「知・徳・体」を兼ね備え調和のとれた人間形成を目指し、確かな学力をはぐくむためには、授業改善は校種を問わず、岩手の学校や教師が取り組むべき重要な課題であることを述べました。
 最後に、本研究発表会での熱い研究協議が授業改善に係る目標の確認と今後の取組につながることへの期待を述べました。
全体会(講演会、授業実践発表)
講演会
尚絅学院大学 合田 隆史 学長
尚絅学院大学 合田 隆史 学長
 尚絅学院大学の合田隆史学長(元文部科学省生涯学習政策局長)からは、「我が国の未来を切り拓く教育の実現」と題して、今後必要とされる人材を育てていくためには、新たな教育方法への転換(主体的学修)が必要であること、生涯にわたる総合力は学校・家庭・地域の総合力であることなどをお話しいただきました。
授業改善実践発表
県立一関第一高校附属中学校 佐藤 宏行 教諭  
県立一関第一高等学校附属中学校
佐藤 宏行 教諭、1年1組生徒
 県立一関第一高等学校附属中学校の佐藤宏行教諭と生徒による1年数学科の提案授業をしていただきました。平面図形(作図の利用)を取り上げ、きれいに回るコマを作る作業をとおして、数学的な見方や考え方を育む活動として「振り返り」に重点を置き、数学的な価値付けをした授業が提案されました。
県立一関第一高校附属中 授業実践1 県立一関第一高校附属中 授業実践2 県立一関第一高校附属中 授業実践2
特設分科会1「学力保障のための授業改善の推進(知)」
秋田大学 阿部 昇 教授
秋田大学 阿部 昇 教授
 今年度,県の学力向上対策として、各学校が「主体的に自校の課題に向き合い、一人ひとりの学力を保障する手立て」を考えるための取組を進めてきました。実践報告では、諸調査を基にした小中学校の先進実践校の取組と教科の枠を越えた校内研修を進める高等学校の取組を紹介してもらいました。
 講演では、秋田大学の阿部昇教授から「秋田県の学力向上の秘密」と題して、その要因、質の高い授業研究を進めるための要件、そして「つながり」と「連携」が大切であることをお話しいただきました。

  <報告>
  「平成26年度県の学力向上対策の成果と平成27年度の取組」
   県教育委員会事務局学校教育室 高橋 広明 主任指導主事

  <実践報告1>
  「諸調査の結果を基にした先進実践校における授業改善の推進」
   紫波町立赤石小学校   石川 和広 教諭
   二戸市立金田一中学校  佐賀 之厚 教諭

  <実践報告2>
  「教科の枠を超えた校内研修の推進」
   県立種市高等学校     伊東 理俊 教諭
   県立盛岡第三高等学校  下町 壽男 副校長

  <講演・講評>
   講 師  秋田大学教育文化学部 阿部   昇 教授
特設分科会1 特設分科会1
特設分科会2「豊かな心を育てる道徳教育の推進(徳)」
秋田公立美術大学 毛内 嘉威 教授
秋田公立美術大学 毛内 嘉威 教授
 道徳教育に関する国の動向の説明と一関市立滝沢小学校の実践発表を通して、道徳教育の在り方や道徳の時間における授業改善の方策について共通理解を図りました。 講演では、秋田公立美術大学美術教育センター長の毛内嘉威教授により、道徳における授業改善の視点についてお話しをいただきました。

  <実践発表>
  「自己を見つめ、よりよく生きようとする児童の育成〜補充・深化・統合を意図した道徳の時間の工夫を通して」
   一関市立滝沢小学校  金里  徹 教諭
   一関市立滝沢小学校  熊谷 佳子 教諭

  <講演>
  「これからの道徳教育と道徳の時間の展開」
   講 師  秋田公立美術大学 毛内 嘉威 教授
特設分科会3 特設分科会3 特設分科会3
特設分科会3「健やかな体を育む教育の推進(体)」
鹿屋体育大学 佐藤 豊 教授
鹿屋体育大学 佐藤 豊 教授
 健やかな体に焦点を当て、「授業改善を支える体育・健康に関する指導の在り方」をテーマに、児童生徒が活力ある学校生活を営むための資質や能力を育てる教育の在り方について、小中高関係者、教育行政(秋田)担当者によるシンポジウムを開催しました。
 鹿屋体育大学佐藤豊教授から、各学校で実践しているオリジナルな取組に自信を持ち、「知・徳・体」のバランスがとれているか確認する必要があることをお話しいただきました。

  <シンポジウム>
  「授業改善を支える体育・健康に関する指導の在り方」
   コーディネーター  鹿屋体育大学         佐藤  豊 教授
   シンポジスト     秋田県教育庁保健体育課  安田 知明 指導主事
               県立不来方高等学校    平藤  淳 校長
               盛岡市立黒石野中学校   藤尾 佳子 教諭
               一戸町立一戸南小学校   齋藤 康子 校長

  <講演>
  「児童生徒が活力ある学校生活を営むための資質や能力を育てる教育の在り方」
   講 師  鹿屋体育大学   佐藤  豊 教授
特設分科会3 特設分科会3 特設分科会3
分科会−20分科会実施−
当日の様子 分科会 分科会
分科会 分科会 分科会
参加者の声〜アンケートから〜
 発表会にご参加いただいた皆様に、会運営や所員等の発表内容について、アンケートを実施しました。
<おことわり> ●アンケート回収枚数は770枚(昨年622枚)です。●割合の合計は、端数処理のため100にならない場合があります。●未回答があるため、所属校種の合計はアンケート回収枚数と異なります。
( )は昨年度
所属校種
上段:回答数
下段:割合%
幼稚園
保育所
小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 その他
35(1) 348(331) 216(197) 71(44) 40(30) 40(19)
4.7(0.2) 46.4(53.2) 28.8(31.7) 9.5(7.1) 5.3(4.8) 5.3(3.1)
全体会
人数[割合%]
名称 大いに
参考になった
参考になった あまり参考に
ならなかった
参考に
ならなかった
講演会 95人[32%] 170人[57%] 30人[10%] 2人[1%]
授業改善実践発表 228人[77%] 64人[22%] 3人[1%] 0人[0%]
特設分科会の満足度
人数[割合%]
分科会 大いに
参考になった
参考になった あまり参考に
ならなかった
参考に
ならなかった
特設1〔知〕 132人[69%] 57人[30%] 2人[1%] 0人[0%]
特設2〔徳〕 32人[48%] 34人[52%] 0人[0%] 0人[0%]
特設3〔体〕 20人[45%] 24人[55%] 0人[0%] 0人[0%]
アンケート結果 (PDF:234KB)
アンケートの記述から
(抜粋)
  • 公開授業はすばらしかったです。教科は違いますが、自分の教科指導と結びつけて考えることができました。教科のとらえ方、教材研究の大切さ、何をどう教えるのかなど、授業の原点に立ち返って研修を深めることができました。(高等学校)
  • スクールトレーニーとして、このような会に参加させていただけたこと、ありがとうございます。自分のことで精一杯となり、授業がつたないものになるかもしれませんが、常に子ども達の成長のために尽力していきたいと思います。今後ともご指導よろしくお願いします。(その他)
  • 特設分科会1の発表及び講演ですばらしい話を聞いた。全体会では実践発表もすばらしかった。心が洗われるような気がした。こんなにすばらしい発表を、たったこれだけの人で聞くのはもったいない気がした。多くの教師が参加できるような長期休業中に開催できないだろうか?大学の先生のお話も良かった。プラス、研究が深まり、たくましい人が育たなくなっているのではとも、どこかで感じている。(中学校)
  • 改めて、小・中・高の学びの連続性を切ってはいけないと自覚しました。また、各教科とも連携し、学校全体で言語活動の充実に取り組む必要があると感じました。早速、実践に移していければと思います。積極的に小中学校での取組を知っていかなければと深く思いました。非常に充実した一日となりました。(高等学校)
  • 復興教育・・・・・・・岩手県におかれましては、当然のことのように進められているかもしれませんが、他県から参りました私にとっては、内容も途中に流れたビデオも、胸が熱くなる思いでした。すべての教育活動の目指すところにつながっているので、全国に広めていただきたいと心から思いました。被災された皆様だからこそ、一つ一つの言葉、活字にもとてつもない重みがあり、心に染みました。・・・と同時に、私たちのような離れている者も命についてちゃんと向き合い、「いきる、かかわる、そなえる」の大切さを、すべての教育活動の中で念頭に置き、生徒に伝えたいと思いました。(中学校 県外)
  • 大雪の中、丁寧な駐車場の誘導があり、心強く安心しました。ちょうど防災教育の分科会で、自分の命は自分で守るという事を学び、今朝の大雪渋滞での行動を考えさせられました。ご配慮に心から感謝いたします。ありがとうございました。(中学校)
  • 特別支援教育分科会の高校の発表には驚きと共に高校の先生方の地道且つ丁寧な指導に対する姿に敬意を払いたいと思います。高校でここまで丁寧に指導してくださる学校があること、地域に愛されている学校であること、我が子が進学するならこんな高校に行って欲しいと思いました。校種を越えて学ぶことが多かったです。(小学校)
アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。今回のアンケート結果を来年度の研究発表会の運営や所員等の研究推進に生かしていきたいと考えています。来年度も先生方の多数のご参会をお待ちしております。

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