■ 『復興加速年と教育の役割』
岩手県立総合教育センター 所長 平賀 信二
「復興加速年」と掲げられた平成25年度がスタートしました。未曾有の震災を乗り越え、復興のために日々勇往邁進する岩手の人々の姿に、心打たれるものがあります。岩手県教育委員会では、平成25年2月に「『いわての復興教育』プログラム」改訂版を発行しました。「いわての復興教育」は、「郷土を愛し、その復興・発展を支える人材の育成」を目的として、震災津波の体験から得られた教育的価値を具体化して、震災津波後の新たな教育課題に対応し、これまでの教育活動を充実・進化させるものです。本改訂版では、「いわての復興教育」を推進するための三つの教育的価値として、「いきる」「かかわる」「そなえる」を掲げ、全県を挙げて取り組んでいるところです。
当センターにおきましても、昨年度2月の第56回岩手県教育研究発表会において、「教育の復興」の全体テーマのもと、1,700名を超える教育関係者をお迎えして、全体会、五つの特設分科会、教科・領域別の14の分科会を開催いたしました。全体会では、「教育の復興」の一つの視点として校種間連携を取り上げ、シンポジウム「校種間連携と岩手の人材育成」を行いました。その中で子どもたちの成長、学力向上を推進する上で、校種間連携の重要性が、再確認されました。
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さて、当センターでは、本年度も「現場に役立つセンター」づくりを一層推進し、所員、長期研修生が一体となって、本県の教育課題や地域社会等のニーズに的確・迅速に応え、学校や児童生徒の支援にあたって参ります。
教員研修は、現在「授業力向上研修」(「教員免許状更新講習」を兼ねる)を核とした、教員のキャリア・ライフステージに応じた研修を実施しておりますが、基本研修の見直しを含め、改めて研修体系の在り方を検討し、教科・領域指導や学級経営等の実践的指導力の向上を図って参ります。その先駆けとして、採用3年目までの若手教員の授業力や実践的指導力の向上のためのプログラムの立案、初任者研修では一人一人の状況に応じた学級経営や教科指導における課題解決に向けて丁寧な支援に努めて参ります。また、遠隔地や被災地における教職員の研修支援及び研修機会に配慮するため、教科指導・情報教育指導を支援する「移動センター研修」を充実して参ります。
さらに、今年度は、小学校理科サポート研修講座、わかる電子黒板活用研修講座をそれぞれ土曜日に設定し、現場の先生方のニーズに沿った研修機会を提供したいと考えております。
教育支援相談では、各学校などからの相談に丁寧に対応し、幼児児童生徒の発達や学校生活に関する教育的ニーズの的確な見立て、具体的な指導、支援の充実を通して、学校や幼児児童生徒を総合的にサポートします。併せて、全県的な教育支援体制作りを推進する中で、長期研修講座(養成研修コース)及び通級による指導担当教員養成講座の充実を図っていきます。
今後見込まれる若手教員の大量採用に伴う人材育成の必要性等、学校においては、今まで以上に意図的・計画的・継続的に教員としての力量を高めていく必要があります。今年度は、校内におけるオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)の進め方を明らかにしていきます。さらに新しい学習指導要領に対応した小学校理科の教材開発やICT機器を活用した実践事例の作成を行い、「わかる授業」へ寄与していきたいと考えております。また、教育支援相談では、「交流籍」を活用した交流及び共同学習の取組の検証を通して、「共に学び、共に育つ教育」の推進を図っていきます。
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「復興加速年」における教育の役割は非常に重要であります。10年後、20年後の岩手の復興・発展を担う人材である目の前の子どもたちを教え育てていくことが、今の岩手の教育に課せられた使命であります。当センターはその一翼を担うべく、今後とも教育の専門機関として、機能の充実と専門性の向上に努めて参ります。
★総合教育センターWebページ〔所長挨拶〕
http://www1.iwate-ed.jp/center/director/index.html
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