[目次] |
■1〔コラム〕『「自分にできること」から「みんなができること」へ 』
■2〔お知らせ〕平成26年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて
■3〔研究紹介〕平成25年度の研究および研究的業務の紹介 |
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■1〔コラム〕『「自分にできること」から「みんなができること」へ 』
初任の時、自分にできること、1年間やり通すこととして、子どもたちが見つけてきた「はしりもの」を毎日学級通信で紹介することを子どもたちの前で宣言した。
最初は、「学校に来る時、カエルが鳴いていました。用水路のわきに、つくしが出ていました。」程度で、ネタを捜すのが苦痛だった子どもたちも、2ヶ月程経った頃から自分なりの「問い」とそれに対する解釈が加えられるようになってきた。「チョウは朝早く羽化します。チョウは弱い生き物だから早く羽化して危険から身を守るためだと思います。」別の子は「セミは夜に羽化するので、敵から襲われることが少ないからチョウよりも長い時間かけて羽化できると思います。」というように、自然を見る目も広がっていくことを教えられた。
教室では、子どもたちが集めたり拾ってきたりしたものを、水槽やケージで飼った。モルモット、シマヘビ、ザリガニ、イモリ、チョウ、グッピー、カイコ、子どもたちがもってくるものは何でも飼った。先輩方からは、「4年2組動物園」と命名され、いい気分になっていた。毎日脱走するシマヘビのシマちゃんとイモリには困った。シマちゃんは教室の外には逃げていかず、机の中で休んでいた。登校してきて、勉強道具を机に押し込もうとしても入らないので、中を覗いた子どもが「先生、シマちゃんが入っています。」と言いつつ、またシマちゃんの部屋に戻す。イモリは、いつも3階から階段を降りて1階のポンプ室の前で綿ぼこりになってうごめいていた。初めの頃は、その綿ぼこりの正体をイモリと気付かずに「ゴミが生きている。」と学校中大騒ぎになったこともあった。
授業中に、教室にハトが飛び込んできた。その後を追って大きな塊が飛び込んできて廊下の壁に激突した。捕まえてみたらハヤブサだった。子どもたちは大喜びで「ハヤちゃん」と名付けて世話をした。ハヤちゃんとのお別れの日、空高く小さくなっていく姿に手を振り泣いている子どもたち。
そんな初任1年目も終わろうとする3月になり、後輩が入って来ることに気付いた。自分にできることしかやってこなかった自分、自己満足でしかも理科の教員ぶっている自分があったからだ。
慌てて高松のセンターに勤めている先輩に相談して理科の勉強会「土曜会」を立ち上げた。先輩や後輩との実践交流を通して「自分にできること」から「みんなができること」へつなげていきたいと思って立ち上げた「土曜会」もいつの間にか29年が過ぎた。(典)
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■2〔お知らせ〕平成26年度に総合教育センターで実施する研修講座の申込みについて
申込みに係る学校の負担を軽減し、研修者が積極的に研修に参加できるよう改善しました。
【主な昨年度との改善点】
(1)基本研修、特別研修の申込み締切日は、原則として4月18日としました。
(2)希望研修の申込み締切日は、一部の講座を除き各講座開始日の2週間前としました。
(3)「チェックリスト」の提出は不要としました。
【基本研修】
・幼稚園以外の10年研は、センターの集合研修はありませんが、該当者の申込み(報告)が必要です。
・例年、5年研および10年研を育休等で延期された方の申込み漏れがありますので御注意ください。
・授業力向上研修については後日連絡します。(免許更新手続と併せて行います)
【特別研修】
・「高等学校新任特別支援教育コーディネーター研修講座」は、申込み締切日が4月11日となります。(申込み方法については、GWWでお知らせします)
【希望研修】
・研修の準備の都合上、申込み締切日が講座開始日の2週間前より早期に設定している講座がありますのでご注意ください。
詳しくは各学校に配付された「平成26年度教職員研修の手引」を御覧ください。なお研修講座の日程および内容の概要は、4月に総合教育センターWebページに掲載いたします。ご確認の上お申し込みください。
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■3〔研究紹介〕平成25年度の研究および研究的業務の紹介
本年度、総合教育センターで行われた研究と研究的業務の内容を紹介します。
《研 究》
1:高等学校におけるOJTの進め方に関する研究
―授業力向上を目指した取組を通して―
授業力向上を目指した取組において、高等学校で人材育成に向けたOJTをどのように進めていけば良いのかを研究しました。OJTの推進にあたり、次の三つの視点が大切です。(1)管理職のマネジメント、(2)小集団を基盤とした取組、(3)自己理解を基盤とした取組です。この研究に基づいて作成した「高等学校OJT推進者のための授業力向上ガイドブック」は、既存の取組を充実させる工夫や県内の実践事例を盛込み、学校ですぐ活用できるものとなっています。
2:小学校理科の学習指導要領に対応した教材開発に関する研究
校内研究・研修の少ない小学校理科における、授業で使える「開発教材集」と、その授業での活用を示した「活用資料」を作成しました。
これらの指導資料は、学習指導要領改訂に伴い発刊された教科書に基づいたもので、観察・実験を中心とする授業を目指し、準備から授業までの見通しなどを示しました。
3:授業における電子黒板等ICT機器の活用実践集の作成
各校種の学習指導要領の総則には、ICT(情報コミュニケーション技術)の活用について記載されています。県内のほとんどの学校には電子黒板等ICT機器が導入されていますが、小学校の約50%で週1回以下の活用にとどまっており、中学校、高等学校においては活用されていない実態が見られます。そこで、本研究は、授業の目標を達成するための活用方法、授業での活用イメージ、活用の留意点等について記載した電子黒板等ICT機器活用実践集を作成しました。
4:スマートフォンにおける情報モラル指導に関する研究
近年、携帯電話等の所持率が増えており、その中でもスマートフォンの割合が急増しています。スマートフォンは、コンピュータと同様の機能を持っており、メール、Web利用の他、アプリ、ゲームなど多様に活用できる半面、利用におけるプライバシーや情報セキュリティ面での課題もあります。そこで、スマートフォンの利用について指導用教材を作成し、体験的な学習活動を通して安全・安心な情報機器の活用を考えさせる授業展開例の作成を行いました。
5:「共に学び、共に育つ教育」の推進に関する研究
―「交流籍」を活用した交流及び共同学習の取組の検証を通して―
平成24年度に実施された「交流籍」を活用した交流及び共同学習の取組の成果と課題を検証し、計画的・組織的に推進するための要件を明らかにしました。また、その要件に即した具体的な手立ても含め、実践のポイント等を示した「交流及び共同学習ガイドブック」を作成しました。ぜひ、ご活用ください。
《研究的業務》
1:学習指導要領を具体化する小・中・高等学校国語科の指導法に関する研究
「読むこと」領域における「小・中・高等学校国語科授業づくりガイドブック」をまとめました。どのような授業を目指し、どのような手順で授業づくりを進めるのか、どのように単元を構想し、どのように一単位時間の授業を進めるのか、評価をどうするのかについて具体的に解説しています。授業実践例や授業づくりのための参考資料も充実しています。
2:小学校家庭、中学校技術・家庭の安全指導資料の作成
『小学校家庭、中学校技術・家庭の安全指導資料』は、技術室・家庭科室などの実習室の安全管理および実習を円滑に進め、小学校家庭、中学校技術・家庭の指導の充実に役立てるために作成しました。 指導資料の内容は、「実習室の環境整備と管理」と「実習中の事故防止」の2つで構成しています。なお、実習中の事故防止については、小・中学校家庭では調理実習・調理活動とミシンを使用した製作実習、中学校技術では材料と加工の製作実習を中心にまとめています。
3:小・中学校における特別支援教育支援員の業務推進に関する研究
小・中学校等への配置が進められている特別支援教育支援員について、学校が特別支援教育支援員を有効に活用し、業務を推進するための4つの要件を明らかにしました。作成した『特別支援教育支援員の業務推進の手引』では、校内体制への位置付け、役割の共通理解、特性や場面に応じた支援、研修内容等について、具体的事例をあげながら、業務推進の在り方を示しています。
★これらの研究および研究的業務の岩手県教育研究発表会での発表資料と成果物は、センターwebページよりご覧になれます。
http://www1.iwate-ed.jp/kenkyu/siryou/index.html
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〔編集後記〕
3月も半ばを過ぎました。教育センターの周辺はまだ雪に覆われてはいますが、少しずつ寒さの緩みが感じられるようになってきました。
教育センターでは4月15日からの高校初任研センター研Iと特別支援学校初任研センター研Iを皮切りに各種研修講座がスタートします。平成26年度からは希望研修の申込み受付期間を延長し、先生方がより申込みやすくしました。たくさんの先生方の受講をお待ちしています。
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教育センターニュース 第80号/発行元 岩手県立総合教育センター |