令和7年度岩手県教育研究所連盟研修会
兼 岩手県立総合教育センター公開講演

 令和7年9月19日(金)、岩手県立生涯学習推進センターにて、今井むつみ氏(一般社団法人今井むつみ教育研究所 所長)をお迎えし、「児童生徒が『生きた知識』を得るための教育~子どもの思考と学びのプロセスの科学的根拠に則ったカリキュラムと授業づくり~」をテーマに研修会を開催いたしました。

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主催: 岩手県教育研究所連盟
実施日時: 令和7年9月19日(金)9時30分~11時45分
実施方法: 対面及びリアルタイム・オンライン(ハイブリッド形式)
会場: 対面:岩手県立生涯学習推進センター セミナーホール
リアルタイム・オンライン:YouTube配信
参加者数: 161名(対面74名、リアルタイム・オンライン87名)
演題: 児童生徒が「生きた知識」を得るための教育
~子どもの思考と学びのプロセスの科学的根拠に則ったカリキュラムと授業づくり~
講師: 一般社団法人 今井むつみ教育研究所
 所長 今井 むつみ 氏
対象: 岩手県教育研究所連盟加盟機関の所長及び所員
参加を希望する県内教職員及び県内指導主事
岩手県立総合教育センター所員及び長期研修生

研修会の特徴

 本研修会は、対面とオンライン(YouTube配信)のハイブリッド形式で実施し、県内全域から161名の皆様にご参加いただきました。認知科学と教育心理学の第一人者である今井氏から、「生きた知識」の習得と「記号接地理論」の教育現場への応用について、最新の研究知見に基づいた実践的なお話をいただきました。

 今回は、参加者の皆様が講演に集中して聴けるよう、講演資料を事前には配付せず、研修後にPDFファイルで共有する方式を採用しました。資料を気にすることなく講師の説明に集中できたことで、内容への深い理解が促進されました。

参加者の高い評価

 研修後のアンケートでは、96名の方からご回答をいただき(回答率59.6%)、研修内容の理解度や授業改善への意欲について、参加者の98%以上が肯定的な評価(4点以上)をくださいました。また、自由記述欄には、79.2%の方が「児童生徒の『生きた知識』の習得を支援するために、授業改善や指導方法の見直しを行いたい」といった実践への強い意欲を示されました。

評価結果

・「生きた知識」と「記号接地」の理解:平均4.68点(5点満点)
・新たな気づきの獲得:平均4.66点(5点満点)
・授業改善への意欲:平均4.69点(5点満点)
「生きた知識」と
「記号接地」の理解
4.68
/ 5点満点
新たな気づきの獲得
 
4.66
/ 5点満点
授業改善への意欲
 
4.69
/ 5点満点

参加者の声

■ 「生きた知識」について

  • 「生きた知識は人に作ってもらうことはできない、という言葉が印象に残った。概念は外から教えられて暗記するものではなく、自分で発見していくもの」
  • 「分かりやすく教えることが、必ずしも子どもたちの『生きた知識』の習得につながるわけではないというお話が印象深かった」
  • 「基本的な概念の理解不足が、単なる知識・技能の習得に影響を及ぼすのみならず、その活用や主体的に取り組む態度にも影響を及ぼすことが理解できた」

■ 今後の実践への意欲

  • 「体験活動や生活に根差した学習を通じて、記号接地を促す授業をしたい」(体験・実体験に関する記述:24件)
  • 「カードゲームなどのプレイフル・ラーニングを取り入れたい」(プレイフル・ラーニングに関する記述:15件)
  • 「各教科で学んだことを結びつけ、概念の深い理解を促したい」(教科横断に関する記述:8件)
  • 「子どもの誤概念やつまずきを活用し、『なぜそう考えたのか』を探る指導をしたい」(誤概念の活用に関する記述:3件)

講師からのメッセージ

 講演では、今井むつみ氏から、認知科学の知見に基づいた次のようなメッセージをいただきました。

  • 「生きた知識」とは、必要な時にすぐ取り出せ、他の知識と組み合わせて問題を解決できる知識である
  • 基本的な概念の不理解が、学習のつまずきの大きな原因となっている
  • 記号接地を促すには、体験と推論、そして言葉の理解が重要である
  • 遊びが記号接地を助け、生きた知識をつくる

研修会運営の工夫

 ハイブリッド形式の採用により、遠方からの参加や業務の都合で会場に来られない方々にも研修の機会を提供することができました。「オンラインで参加できて大変助かった」という声を多数いただいております。また、事前質問の募集制度により、参加者のニーズに応じた講演内容の充実を図りました。

今後の展開

 本研修会を通じて得られた学びを、県内の教育現場での実践につなげていくことが重要です。参加者の皆様の高い改善意欲が、児童生徒の「生きた知識」の習得を支える授業改善として、各学校で具体化されることを期待しています。

 今後も、教育現場の課題に応える質の高い研修会を企画してまいります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。